新型コロナの影響で心の不安を訴える人が、いま、増えています。
大学生などの若い世代も、人と会う機会が減っていて、切実な状況です。
周囲にいる私たちは、不安を持つ若者にどう接していけばいいのでしょうか。
大学生の片山さんは、一人暮らしをしながら保健師を目指して学んでいます。
寂しいです。
授業がオンラインになって、友達と会うのが週に1回1時間だけとかになりました。本当に人としゃべる機会がないな、という感じです。
片山さんだけでなく、多くの学生が、アルバイトや実家へ帰省する機会も減り、人と関わることが少なくなっているのです。
徳島大学が行った調査では、若い世代の2割以上の人が、気分が落ち込むなど「治療が必要な抑うつ状態」と推定されるという結果も出ています。
専門家は、長引く自粛生活の中で、将来への不安や孤独感が高まっていることが大きな要因だとみています。
(徳島大学准教授 山本哲也さん)
すごく顕著なメンタルヘルスの危機だと感じています。
早いうちから、ストレス状態やメンタルヘルスを気をつけて、早期にアプローチすることが大切です。
若い世代の心を守り、支えるには、どうしたらいいのでしょうか。
周囲の人たちにできることがある。その具体的な方法を伝える取り組みが広がっています。
カウンセラーの大小原利信さんです。
友人が落ち込んでいる時にどう接したらいいか。この日は、群馬大学の依頼で、学生にオンラインで研修を行いました。
参加した3年生の齋藤理さんは、久しぶりに会った友人が以前よりも元気がなく、どう声をかけたらいいのか、わからなかったといいます。研修で、こう質問しました。
中には雰囲気が変わったかなという友だちもいます。何か気をつけることとか、声のかけ方のポイントはあるのでしょうか?
大小原さんは、相手に心を開いてもらうためには、否定せずに寄り添うことが何より大切だと伝えました。
(大小原利信さん)
やりたくてもできないという人たちに対しては、「頑張って」ということばはつらいです。
「つらいね」「一緒に考えようか」「何かお手伝いできますか?」こういう言い方をしないと、相手を追い込んでしまうのではないでしょうか。
(齋藤理さん)
「大変だね」とか「つらかったね」と、共感や肯定してあげることが大切なんだと思いました。お互いに話しやすい雰囲気作りができたらいいなと思います。
若者が、人と関わる機会を増やしていこうという取り組みも始まっています。
秋田大学では、学生と地域の高齢者をつなぎ、定期的にビデオ通話をする試みを行っています。
人と話す機会が減り、寂しさを感じていた片山さんも参加しました。
パートナーは94歳の鈴木昭子さん。思いつくままにおしゃべりします。
(片山さん)この間、久しぶりに図書館に歩いて行きました。
(鈴木さん)本好きですか?
(片山さん)好きです。
(鈴木さん)きっと感性の豊かな女性になるんだなと思って。
(片山さん)なんだか、未来への希望のことばをいただいた感じです。
ビデオでの通話は週3回。この時間を片山さんは大切にしています。
(片山さん)
「話せてうれしい」と直接、言われることはなかなかないので、すごくうれしいです。少し心がやすまる感じがします。
心を癒やす、何気ないことば。少しだけ、周りの人を気にかけてみませんか。
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