「女性が倒れた時にAEDの使用をためらわないで」。未来スイッチで伝えたところたくさんのご意見をいただきました。 ご意見を紹介するとともに、女性にAEDが使われない問題に取り組んだ新たな動きをお伝えします。
その中には、やはり現状では、女性にAEDを使用しにくいという意見がありました。
「たとえ善意・救命であっても男性が見ず知らずの女性や子供に関わるとそれだけで様々なリスクに晒される世の中です」
「素肌を出して触れるというさらにセンシティブな問題であるAED使用は躊躇されて当然でしょう。君子危うきに
近寄らずという言葉があるように自らリスクを招く行動は基本誰もしたがりません」
社会の考え方がもっと変わっていって欲しいという意見もありました。
「倒れた人を目の前にしてAEDが本当に必要かどうかなど素人にわかるものではありません。AEDを使ったけれども必要なかったということは十分にありえます。相手の女性から不快感を示されない保証はどこにもないのではと思います」
こう意見を寄せてくれた人は、人命救助を優先する考え方をもっと広めていくべきだと訴えています。
「命に関わることでは一切の配慮は必要なく、ただ命を救うことを最優先に考えて良いという風潮を広めるべきではないかと考えます」。
命には代えられない、迷わずAED使って欲しいと言う女性からの意見もありました。
「22歳女性です。死ぬ事と裸を晒すのどっちって言われたら私は生きたいです。命には代えられないですし、後遺症が残るのも辛いと感じます」。
「多くの男性と思われる方々が女性へAEDを使う事に躊躇ってしまわれている様です。しかしこれを非人道的の一言で片付けて良いとは思いません。法律の見直しや教育など、勇気を出して命を助けた方々が絶対に不利益を被らない様にする必要があるのではないかと私は思います」。
一連の問題に対して新たな取り組みを始めたところもあります。 東京都の多摩府中保健所です。中心となっているのは生活環境安全課の澤田めぐみさん。
澤田さんは、「倒れた人が女性だと、男性よりもAEDが使われにくい」という調査結果を取り上げたNHKの報道をみて、同じ課の職員とともに動き出しました。 日本AED財団に出向いて救命の講習会を受け、AEDは服をすべて脱がす必要はなく、パッドを貼る部分だけ服をずらしたりして貼ればいいことを学びました。
女性に配慮した使用方法を広く周知し、AEDを使うのをためらわないでほしい。 澤田さんたちはいざというときに女性であっても、一歩を踏み出してもらえるように啓発用の資材を2種類作ることにしました。
1つは、A4サイズのリーフレット。 「服をすべて脱がさなくても、AEDは使用できます」。 「パッドを素肌に直接貼り付けることができていれば、ブラジャーを外す必要はありません」。 「服の下で下着をずらして貼ることで対応できます」。 「パッドを貼った後に、上から上着やタオルなどをかけても大丈夫です」。 女性の体の絵とともに、どう対応すればいいか、具体的に書かれています。 裏面には倒れて意識がない人への救命法の流れも書かれていて、澤田さんたちはこれをAEDのボックスに掲示できるよう、下敷きのような固さのものも作りました。
もう一つ、澤田さんたちは、AEDと一緒に配備する布を用意しました。 布は1メートル四方の風呂敷のようなもので、倒れた人の素肌にパッドを貼ったあと必要に応じて被せることができます。 多摩府中保健所では武蔵野市や三鷹市など、管内の6つの市に依頼して、公共施設などに設置されたAEDに、2種類の資材を順次設置していくことにしています。
澤田さんは「助けたいと思っても女性の服を脱がせることに抵抗がある人はいます。この啓発資材によって性別に関係なくAEDが使われる環境を整えていきたい。それが結果的に大切な命を救うことにつながる」と話しています。 リーフレットがダウンロードできる多摩府中保健所のサイトはこちらです。
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