信号機のない横断歩道で一時停止する車の割合が全国で最も少ないとされた三重県。地元のNHK津放送局では、こうした状況を知ってもらい改善につなげようとローカルニュースの番組で「横断歩道が危ない!」キャンペーンを展開しています。最初に取材したのは、地元の自動車学校の取り組み。教官たちは「わがこと」としてとらえ、さまざまな取り組みを行っています。
「みなさんこの数字知ってますか?信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうと待っていた時車が一時停止する確率。47都道府県がある中でなんと三重県がワースト1位なんですよ」。
津市の自動車学校で行われている学科教習。教習生に最初に説明されるのが去年、JAF=日本自動車連盟が行った、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている時に一時停止する車の割合の調査で、全国最下位の3.4%となった三重県の現状です。
なぜ、本来の教習課程には含まれていないことを力説するのか。この自動車学校で指導員を20年務めている小田芳輝さんは、三重県がワースト1とされた事実を「わがこと」として受け止めているからだと語ります。
(小田さん)
「私たち指導員の力不足というのも数値として結果に出ているかなと思います。教習の甘さがあったしれないと反省し、もっと力を入れて啓発指導をしていかないといけないですね」
実は、三重県はおととしの一時停止率の調査で全国45位になりました。学校におよそ20人いる指導員を取りまとめる指導課長も務めている小田さんは、これをきっかけにこれまでの指導方法の見直し始めました。その取り組みの一つが、冒頭の学科教習なのです。
この自動車学校では、ほかにも「脱最下位」に向けた工夫を行っています。
それは教室の窓から見える近くの信号機のない横断歩道を教習生たちに見せることです。通りかかった車が、実際に停止や減速しているのかを確かめながら教習生たちに問いかけます。
(教官)
「みなさんが歩行者で横断歩道を渡ろうとして止まった時、車はどうですか」
(教習生)
「あまり止まってくれない」
「渡るタイミングがない、止まってほしい」
教習の根底にあるのは、歩行者の視点を忘れないドライバーになってもらいたいという思いです。
こうした教習は教習生たちに響いているのか?実際に聞いてみました。
(教習生の女性)
「信号のない横断歩道でもちゃんと安全を確認して運転できるようなドライバーになりたい」
(教習生の男性)
「歩行者を先に通すというのは思いやりではなくルールというのが1番響いた」
自動車学校では今後、校内の教習用コースに信号機のない横断歩道を設置することも検討しています。
これから運転免許を取得する若いドライバーたちの意識を変えることで、一時停止率の向上につなげようという自動車学校の取り組み。その先に、三重県の全国最下位からの脱出が見えてくるのか、引き続き注目していきます。
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