「止まって乗りたい」へのご意見

(2018.11.22 ネットワーク報道部取材班)

これまで、「エスカレーターに止まって乗りたい人たち」の切実な声や、止まって乗ることが、ラッシュ時の混雑を軽減する効果があるというシミュレーションなどについて、3回にわたって記事を掲載しました。
これまでの記事に寄せられたご意見を紹介し、質問にもお答えします。

シミュレーションへの疑問

まずは前回の記事でご紹介した、
「エスカレーターは止まって乗るほうが、片側だけを歩くより、みんなが速く移動できる」
ということを証明したシミュレーションの結果について、寄せられた疑問やご意見を紹介します。

下の動画が、シミュレーションの結果を示したものです。
(動画は時間を短縮しています)

このシミュレーションでは、全長30メートルのエスカレーターの利用客が350人として、「エスカレーター上を歩く人」の割合を30%と設定しました。

シミュレーションの結果、すべての乗客がエスカレーターを通り抜けるまでにかかった時間は、
「停止した場合」が6分49秒、
「片方が歩いた場合」が7分35秒。
46秒も差がつきました。

(寄せられたご質問)
歩く方を30%としている根拠は何なのでしょう?その割合によって、どっちが速いか変わりますよ。

構造計画研究所によりますと、まずシミュレーションの前提条件については、大都市の鉄道駅でのエスカレータの利用状況を研究した「論文」を参考にしています。

論文によるとエスカレーターを歩く人の割合の平均は、
・山手線の渋谷駅で51.3%
・みなとみらい線の馬車道駅で36.2%
・東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅で10.8%
こうしたデータから、今回は歩く人が「30%」に設定されています。

そのシミュレーターはおかしい!
途中で右側をあけてわざと遅く見せています。嘘で印象操作するのは反対です。

右側を歩く人どうしの間隔が空いているのは、上記の前提条件で、歩く人が少ないためだということです。

「健康な人は右を歩くようにしましょう」と呼びかけ、50~60%の人が歩く設定にしたらどうなるでしょう?

今回のシミュレーションでは、片側を歩く人の割合が70%程度にまで増えないかぎり、結果が逆転することはないそうです。

シミュレーションしているチームの室長、北上靖大さん(左)と小川倫さん(右)です。

海外で同じ実験が行われていた!

次のようなご意見もいただきました。

確かイギリスだったと思うけど、実際の駅にある2つのエスカレーターで1機は2列で止まり、もう1機は片側を歩く用にして実験したニュース見た事あります。結果は(シミュレーションと)同じでした。

その実験は、ロンドンの都心部を通るロンドン地下鉄のホルボーン駅で行われたものです。
エスカレーターの乗客に協力してもらい、2列で立ち止まって乗るのと片側歩行とで、どちらが混雑するかを3週間にわたって試しました。

その結果、2列で立ち止まって乗ったほうが、30%混雑を緩和できた、という結果が得られています。

「わかっているけど、急いでるから」

「止まって乗ること」への反対意見も寄せられました。

急ぐ人がエスカレーターを歩いて上ってしまう光景をよくみます。

理屈と安全性はわかっているが、急いだ人は電車に乗り遅れず、なんだよね。

知ってた。でもさっさと上がりたいのよ。

右側を歩いて上がる人は、止まってる人より速く上がれて、人を追い越す気分も味わえるところがやめられない元でしょう。

「しかたなく歩く」という人も

いわば「消極的な反対派」という意見です。

流れに乗らなきゃ、押されて逆に危ないっつーの。ケガしたくないから右は歩くな~

全員が「歩きたい人」ではなく、右側を「しかたなく歩いている人」が結構いるのでは、と感じました。

興味深い調査をしている大学生たちが
いました

文京学院大学経営学部の新田都志子教授のゼミの学生たちは、ことし9月、Webで10代から70代の約600人を対象に、エスカレーターの乗り方について意識調査を行いました。

調査の結果です

エスカレーターで歩く人たちに理由を尋ねたところ、「急いでいるから」と答えたのは47%で最も多くなりました。

その理由に注目しました。

「人の流れでそのようになってしまう」と答えた人が36%、さらに「(左側で)待つことが面倒」と答えた人が26%。
つまり積極的に歩きたい人より、しかたなく歩いている人の方が多かったのです。

エスカレーターの乗り方のマナーを変えるヒントは、このあたりにありそうです。

私も止まって乗りたい

さてサイトに寄せられた意見のうち、最も多かったのは「止まって乗ること」への賛成意見でした。一部の意見をご紹介します。

私は先日鎖骨を折り、手術までの間、左手を三角巾で吊っていました。そうなって初めて左手が使えない不自由さを知りました。理学療法士の方々の啓蒙活動、頭が下がります。

私は左手左足に麻痺があります。だから右手でエスカレーターの手すりをつかみたいです。しかし左側に寄って乗ることが当たり前になっている今、左側に寄って利用しています。
右側に止まって乗ることも、当たり前の世の中になってほしいです。

後ろから歩いてきた男が、並んでいた姉とめいが邪魔だったのでしょう、2人の間を無理やりとおり、小さいめいが突き飛ばされ、わたしの背中にぶつかってしまったのです。そのまま男は走って逃げてしまいましたが、もしもの事を思うと腹が立ってしかたがありません。
周りにはいろいろな身体のハンデを抱えている人々がいるのです。わたしもエスカレーターは止まって乗りたい。

私も左利きのせいか右側に乗りたくなります。右側の手すりにつかまる方が、安心感が得られます。ですが皆さん左に並ぶので、エスカレーターが空いてる以外は私も左側に乗っています。
右側に乗りたい人がいる。2列で乗る方が効率的。この考えがもっと広がるといいなと思いました。

「溝をつくること」は、望んでいません

最後に、最近寄せられた「反対」の意見をご紹介しましょう。

この提案(エスカレーターで止まる)は広く受け入れられないと思います。
少数者のために大多数の人が「行動を変えるべき」などと言われれば、両者の間にかえって溝が生まれてしまうのではないでしょうか?

今の時代、意見が分かれるメッセージを伝えるのは難しいことですが、私たちはそれによって溝が生じることを望んではいません。

ただ、エスカレーターに止まって乗りたい人は、障害のある人だけではありません。

超高齢化が進む日本では、誰もがいつか「止まって乗りたい人」になるのではないでしょうか。

次回は、エスカレーターに思わず止まって乗りたくなってしまう、様々な工夫をしている大学生たちの挑戦をお伝えします。

寄せられたご意見[2件]

2018/12/03 30代

自分の子の様子を見ていると、1~3歳くらいの子どもにとって、エスカレーターは乗り降りが難しい乗り物のようです。乗り降りするタイミング、推進する力のかかり具合→続きを読むについて理解するまでに時間がかかります。親としては横に乗って手を繋いでいたい。子どもの前後に乗って手を繋ぐと、ひっかかってどちらかが転びそうで怖いのです。
わたしの住んでいる京都では、エスカレーターの左に止まっても、右に止まってもあまり非難されないように感じます。左に止まる関東と、右に止まる関西の間に位置するためか、関東関西海外問わずいろいろな観光客やビジネスパーソンが行き交うためか、街の雰囲気がのんびりしているためか、理由はいろいろあるのかも知れません。多様であることを前提にすれば、気にならなくなることもあるのではないでしょうか。(なお平日にあまり電車等に乗る機会がないため、そう感じているだけという可能性はあります。)

sekky

2018/12/13 30代

エスカレーターを歩きたくない、についてエスカレーターは私も止まっていたいです。しかしながら、あの幅1mに知らない人と何十秒か寄り添っていなけらばならない、という→続きを読むのはパーソナルスペースに他人が入っていて不快です。通り過ぎるのなら耐えられますが。そういった感覚の方も多いのではと思うのに、そういった視点がない分析と記事で、残念です。

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