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“空の玄関”のバリアフリー最前線

2年後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、各地でバリアフリーの対策が進められています。東京の「空の玄関」羽田空港では、どのような準備が行われているのでしょうか。

出発ロビーの配慮

国内線第2ターミナルビルを使用する全日空では、おととしから少しずつ準備を進めてきました。空港の係員に手伝いを希望する利用者のため、出発ロビーの中央付近には、専用の入り口が設けられています。

「SPECIAL ASSISTANCE お手伝いが必要なお客様」という標示が目印です。

タブレット端末の活用

入り口を通ると、車いすの利用者にあわせた高さのカウンターには、2種類のタブレット端末があります。

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「コミュニケーション支援ボード」と呼ばれる端末では17の言語で、案内が表示されます。文字と内容を容易に理解できるピクトグラムを活用し、すべての表示で音声も出ます。
小型の電子黒板のように使い「筆談」することもできます。この端末は、窓口にあるだけではなく、すべての客室乗務員も持っています。

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もう1つの端末は、手話が必要な人にも対応しています。
手話通訳ができる専門の会社のオペレーターにつながる仕組みです。筆談や身ぶり手ぶりで対応していたのに比べて、搭乗前の意思の疎通がしやすくなりました。

利用者、空港の係員、手話通訳のオペレーターの3者間で、情報の理解・共有を図ります。さらに、音声を翻訳するソフトも入れました。対応する言語は、20余りです。こちらの端末にも、筆談機能が付いています。

「樹脂製車いす」の活用

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車いすも、工夫しました。ほとんどの車いすでは、骨組みや車輪などに金属が使われています。セキュリティー・チェックの際に通る金属探知機では、車いすそのものが反応してしまうため、利用者の服の上から個別にボディチェックを行う必要がありました。

そこで開発したのが、硬い樹脂でつくった車いすです。金属探知機には反応しないため車いすに座っている人が金属を身につけていなければスムーズに通り抜けられます。

さらに、ターミナルビルと航空機を結ぶ「ボーディング・ブリッジ」で車いすの大きな車輪を取り外すと、航空機内の通路の幅に収まるサイズに「変身」です。

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樹脂製の車いすには小さな車輪も付いていて、機内を行き来できます。
座席の肘掛けを跳ね上げれば、利用者は、横にスライドするだけで車いすから座席に移動できるようにしました。到着時には、出発時と逆のルートで航空機からターミナルビルに移動します。

小型機とターミナル結ぶ新装置

バリアフリー対策が進むのは、東京の羽田空港だけではありません。全国各地には、小型のプロペラ機が就航する空港があります。

小型機の場合、車いすの利用者は、いったん駐機場を通る必要や、バスを乗り降りする場合もあり大きな負担となっています。小型機は大半のジェット機に比べて出入り口が低い位置にあるため、「ボーディング・ブリッジ」を使えないからです。この問題を解決しようと新たな設備の導入も進められています。

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ジェット機よりも低い位置にある機体の出入り口とターミナルビルのボーディング・ブリッジを結ぶ「搭乗橋アダプター」です。これを使うことで、車いすのまま機体からターミナルビルに移動し、バスの乗り降りや、駐機場に降りる必要がなくなりました。
一連の取り組みは、去年12月、内閣府から表彰を受けました。

バリアフリー対策は、ハード・ソフトの両面で

「ハード面」に加え、利用者にどのような意識で接するかという「ソフト面」でも、バリアフリー対策を進めています。全日空オペレーションサポートセンターの山本雄貴さんは、「今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界トップクラスのユニバーサルなサービス、それから、すべての人に優しい空の旅の実現に取り組みたい」と話しています。

対策はまったなし

航空分野だけでなく、公共施設や各交通機関など、バリアフリーの対策が必要なところはまだまだあります。今回紹介した羽田空港のケースでは、準備から導入まで、およそ2年をかけました。東京大会までおよそ2年半ということは、ハードとソフト両面でバリアフリー対策をまったなしで進める必要があると感じました。

三上弥
アナウンサー 三上弥
平成6年入局
ニュース、国会中継などを担当