みんなの憲法

日本国憲法の施行からことしで75年。
この機会にあらためて日本の憲法の特色や
様々な議論のポイントについて知って、
考えてみませんか。

お知らせ

憲法とは?

憲法の「3つの柱」って?

75年前の1947年5月3日に施行された日本国憲法。
その柱となる3つの原則が「国民主権」 「基本的人権の尊重」 「平和主義」です。

国民主権

1つは、国のあり方を決める主体は国民であることを定めた「国民主権」です。

戦前の大日本帝国憲法では主権は天皇にありましたが、日本国憲法では前文に「主権は国民に存する」と明記されました。

天皇は国の「象徴」となって国政に関する権能を持たなくなり、国の政治は正当な選挙で選ばれた国民の代表が国会で行うことになりました。

※より詳しくは教育サイト「NHK for School」解説動画もご覧ください。

基本的人権の尊重

「基本的人権の尊重」とは、すべての国民が個人として尊重され人間らしく生きる権利を持つことです。
日本国憲法では一人ひとりが生まれながらにして持つ「侵すことのできない永久の権利」と宣言しています。

すべての人が自分らしく生きられるよう、年齢や性別、障害のあるなしに関わらず、健康で文化的な暮らしを送ることが保障されています。

大日本帝国憲法では「臣民の権利」は法律で制限され、言論や集会の自由にも一定の制約がありました。
また男性を優位とする法律のもと、女性には参政権が認められず、結婚や相続などでも不平等な扱いを受けていました。

「平和主義」

「平和主義」とは、
戦争を永久に放棄しすること。そのための戦力を持たないことです。

戦争で多くの尊い命を失った反省から、日本国憲法では、悲惨な戦争を二度と繰り返さないという強い決意のもと「国際平和を誠実に希求」する意思が明確に打ち出されています。

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憲法は暮らしに深く関わっている

「憲法」はさまざまな法律の元になり、ルールや制度という形で、私たちの日々の暮らしに深く関わっています。

教育を受ける権利も、義務教育が無償なのも…

たとえば教育を受ける権利や、小学校と中学校あわせて9年間の「義務教育」の元にあるのは、憲法26条です。
26条では、すべての国民はその能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利があるとし、すべての国民は、子どもに普通教育を受けさせる義務を負い、義務教育は無償とすると定めています。

これを元に、法律では義務教育の期間を9年間と定め、国や自治体が設置する小中学校の授業料を無償としています。

生活保護制度は「生存権」

困窮している人に対し、国が最低限度の生活を保障する「生活保護」の制度。
憲法25条の理念に基づいています。

25条では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とされ、この権利は「生存権」と呼ばれています。

厚生労働省は、この生存権により日本の社会保障制度は大きく発展し、さまざまな仕組みが整備されてきたとしています。

“清き1票”も、財産や性別に関わらず

選挙で私たちが投じる1票も、憲法で保障された国民の権利です。

憲法15条は、「公務員を選定し、これを罷免することは、国民固有の権利である」とした上で、
その3項で「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」と定めています。

1925年まで、一定以上の納税をした男性しか投票できず、女性は戦後まで1票を投じる権利が認められませんでした。いまは、すべての国民が財産や性別に関わらず、一定の年齢になれば投票することができる「普通選挙」が保障され、生活や社会をよりよくするための代表を選ぶことができるのです。

暮らしのさまざまな場面に憲法が

このように憲法は暮らす場所や職業選択、納税や結婚、働くこと、表現や学問など、人が生きる上で関わるさまざまな場面に深く関わる根幹なのです。

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何が議論に?

憲法9条 変える?変えない?

憲法9条は「戦争の放棄」や「戦力の不保持」などを規定しています。憲法が掲げる「平和主義」の象徴と言えます。

この9条の改正を巡る議論で、自衛隊の存在を切り離すことはできません。

1947年に施行された今の憲法には、自衛隊の存在は明記されていません。
自衛隊は1954年の自衛隊法の施行で陸上・海上・航空の3つが揃いました。
自衛隊が合憲なのか違憲なのかを含め、9条を巡る議論は長い間行われてきました。

主な論点としては「自衛隊を憲法に位置づけるべきか」「明記する必要があるかどうか」といった点が挙げられます。

憲法改正をして自衛隊の存在を明記すべきだという意見もあれば、戦争ができる国になってしまう、他国の戦争に巻き込まれやすくなるなどの理由で、明記する必要はないという意見もあります。そもそも憲法9条を削除すべきではないか、という意見もあります。

そうした議論にとどまらず、最近では北朝鮮によるミサイルの発射や、中国の軍事力の強化をはじめとする東アジアの安全保障環境などを踏まえて議論される機会も増えています。

「自衛隊の明記」について、自民党は「違憲論」を解消するために9条への明記が必要だと訴えています。 立憲民主党は、憲法上フルスペックの集団的自衛権の行使が可能になりかねないなどとして、9条への自衛隊の明記に反対です。 公明党は、9条は堅持するとして明記には慎重な立場です。 日本維新の会は、自衛隊関連の規定の明記について議論しています。 国民民主党は、9条に現実を規律する力を持たせるべきだとして、改正案を例示しています。 共産党、れいわ新選組、社民党は、自衛隊による海外での無制限の武力行使を可能にするものだなどとして9条への自衛隊の明記に反対しています。 NHK党は、改正の必要性を指摘しています。

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緊急事態条項は必要か?

新型コロナウイルス対策としての「緊急事態宣言」は知られていますね。改憲論議での「緊急事態条項」は、言葉は似ていますが内容は異なります。

憲法での「緊急事態条項」は、国家権力を制約する憲法秩序を非常事態の場合には一時的に停止して、非常措置をとるという考え方に基づきます。

この「緊急事態条項」を創設すべきかどうかを巡って、国会でも議論が活発になっています。例えばテロや大規模な災害などが起きた時、緊急事態を宣言して総理大臣などに一時的に憲法の枠組みを超える権限を与えるべきかどうか、といったことなどが議論されています。

議論の中では

宣言の期間中は国会の機能を維持するために衆議院を解散できないようにすべきだ。 国会議員の任期は延長すべきだ。 国民は国や自治体の指示に従うべきだ。

といった意見が出ています。

これに対して

国会議員の任期を延長すると選挙をせずに議席を復活させることになるので、国民主権の観点からも望ましくない。 国や自治体が強すぎる権限を持つと、人権の制限につながる。 今の法律の枠内でもより強い措置をとることは可能だ。

として、憲法に盛り込む必要はない、反対だという意見も出ています。

自民党、日本維新の会は、大規模災害などの緊急事態に対応するため、政府の権限を一時的に強化することなどを憲法に規定すべきだとしています。 立憲民主党、公明党は、事態に応じて個別の法律で対応すべきだとして慎重な立場です。 国民民主党は、緊急事態における法の支配の空洞化を是正するための議論をすべきだと主張しています。 共産党、れいわ新選組、社民党は、自民党の主張では国民の権利を制限するなどとして反対の立場です。 NHK党は、自民党などと同様の主張をしています。

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想定されていなかった 環境権

「環境権」は、環境を守り、維持することで、私たちが良好な環境の中で健康に生活できる権利を保障しようというものです。

1960年代の高度経済成長期に、大気や水質の汚染といった公害が相次いだ教訓を受けて主張されるようになりました。

「環境」という言葉は現在の憲法には登場せず「環境権」は規定されていません。
こうしたことは、憲法が制定された当時は想定されていなかったのです。

憲法に規定されている国民の権利は「幸福追求権(13条)」や「生存権(25条)」などがありますが、これらと並んで「環境権」も、憲法上の人権として保障されるべきだという主張があります。
一方で、こうした新しい人権は、今の憲法の解釈で対応することができ、憲法改正が直ちに必要になる訳ではないという意見もあります。

自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党は「環境権」について決まった方針はありません。 これまで「環境権」を憲法に加える対象として議論してきた公明党は、脱炭素社会の実現が国際的な課題になる中、個人の権利よりも幅広く、国や国民が地球環境を保全する責務について議論を深めるよう訴えを変化させています。 共産党は、現在の憲法にある生存権から導き出せるとして憲法への明記は必要ないと主張しています。社民党も同様の立場です。 れいわ新選組は、憲法を変えなくても、現在の施策のあり方を変えればいい話だとしています。 NHK党は、党として明確な見解はないが、決めるのは国民なので、改正を発議することには賛成するとしています。

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