ミガケ、好奇心!時事もんドリル

星

コロナ禍で活躍!自動販売機

日本は世界有数の「自動販売機大国」で、全国におよそ400万台あります。しかし新型コロナウイルスの影響で、自動販売機が多いオフィス街や観光地の人出が減り、売り上げは減少しています。そうした中、独自の工夫で自動販売機に活路を見いだす動きが広がっています。

自動販売機で売り上げアップ

岩手県の住宅街に登場したのは、クレープの自動販売機です。
設置したのは菊池史子さん。以前はキッチンカーで販売していましたが、コロナ禍で対面での販売に不安を感じ、去年5月から休業していました。
それでも、「クレープを食べたい」というお客さんの声を受け、この方法を考えました。
自動販売機は、飲料用のものを改造して使用。
お客さんの評判は…

「人と触れないで買えるから、好きなときに買えていい」
「すぐ近くにあって、楽なのでいい」

売り上げは、キッチンカーの2倍と好調です。

菊池さん
「たくさんの方に喜んでいただけた結果につながったと思うと、本当に私の活力になっています」

続々登場!ユニーク自販機

ユニークな自動販売機はほかにもあります!

こちらは岩手名物「盛岡冷麺」。
麺とスープのもとが入っていて、簡単に調理できます。

熊本市の住宅街に設置されたのは、「焼き芋」の自動販売機です。
温かい焼き芋はもちろん、夏場におすすめの冷たい焼き芋も買うことができます。

新型コロナの影響で飲食店などの苦境が続く中、ほかにもうどんやイチゴなど、さまざまな商品の自動販売機が登場しています。

自動販売機利用の背景は

こうした動きの背景について、専門家はどう見るのでしょうか。
流通経済研究所の山崎泰弘さんに話を聞きました。

山崎さん
「外食が減ったなかで、クレープとかは家で作るよりも、外で食べてみたいというニーズがあったのかなと思います。お店には行けないけれど、自動販売機で人と接触しないで買えるという気付きから、今まで利用しなかった消費者が使うようになったというのはあるかもしれません」

住宅街に置かれた場合も売れるというのは、一体どういうことなのでしょうか。

山崎さん
「最初に誰かが見つけると、今は、SNSを使って拡散されるということだと思うんですね。変わったものを売っていること自体が話題になって、集客につながる、そのようなサイクルがあるように感じます」

海外進出の第一歩に

さらに自動販売機で海外での販路拡大を目指す動きもあります。

香港にある自動販売機では日本の食品が売られています。

山本さん
「コロナだからこそ、この行き来ができない中で、日本食材に対する香港の人の興味関心が高まっている」

浜松市のベンチャー企業と静岡県焼津市の食品会社が連携し、このビジネスに挑んでいます。

この日は、香港のバイヤーに新商品をPRしました。
バイヤーの目に止まったのは、静岡特産のカツオとマグロが入ったレトルトのツナカレー。

山本さん

「こういうふうに、ちゃんと形が分かるようにゴロゴロ入っています」

香港のバイヤー

「おいしそう。売れるという自信があるので、ぜひサンプルと見積もりを教えてください」

ツナカレーは、試験的に香港に輸出されることが決まったということです。

石橋さん
「非常にうれしい。コロナに負けずに売り上げを伸ばしていって、地元も活性化したいと思っています」

海外展開も進み出した自動販売機ビジネスについて、専門家に聞きました。

山崎さん
「最近は自動販売機の追い風として、キャッシュレスの決済があるかなと思います。釣り銭を用意しなくてもいいので、メンテナンスが楽になっています」

コロナが無事終息したとして、この自動販売機ビジネスは、どんな方向に向かうでしょうか。

山崎さん
「新しく売り場をつくるのは大変なので、最初にトライアルで、自動販売機でニーズを確認する取り組みというのは、中小の企業でも、できるではないかと思います」

「変わり種の自動販売機が増えた理由を挙げよ」など、入試問題になるかもしれませんね。

流通経済研究所の山崎さんは、「コロナ禍でビジネスを始める中小企業にとって、自動販売機はコストを抑え、試験的な販売ができるメリットがある」と話していました。

「今までにない場所と商品」の組み合わせで、自動販売機の意外な可能性が広がっているようです。

「週刊まるわかりニュース」(土曜日午前9時放送)の「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、鎌倉キャスターと考えていきましょう!

ミガケちゃん
なるほど