ミガケ、好奇心!時事もんドリル

星

黄砂の発生地では何が…

今回は春に起きやすい黄砂について。発生地に目を向けると単なる自然現象ではない、難しい課題が見えてきました。

問題に挑戦!

早速、問題です。

問題

黄砂とはアジア大陸の乾燥地帯から発生した砂じん(土ぼこり)が日本をふくむ東アジア一帯に飛んでくるものです。この現象が起こるためには、乾燥地帯で強風により砂じんが巻き上げられる、上空の大気の動きで東に運ばれる、という2つの条件がそろうことが必要で、その季節が春になります。
下線部の大気の動きを何といいますか。
(「上空の大気の動きで東に運ばれる」に下線)

(白百合学園中学校 2020年 改題)

答えは「偏西風」ですね。

黄砂の飛来

黄砂の発生源は、ユーラシア大陸内陸部の砂漠やその周辺の乾燥地域です。この地域で春になって気温があがると、強い風が吹いて砂嵐が起きやすくなり、それが、上空の風、偏西風にのって何千キロも離れた日本に飛来するのです。

大陸では深刻な災害

日本では黄砂による健康への影響も指摘されていますが、大陸側では、災害レベルの深刻な状況が起きています。

2021年3月、モンゴルで発生した大規模な砂嵐です。建物と比べればその大きさがわかります。死者や行方不明者が出たほか、「ゲル」と呼ばれる伝統的な移動式住居が壊れる被害なども出たということです。

砂嵐を体験したことのある日本人に話を聞きました。20年以上にわたり、中国やモンゴルで緑化活動に取り組む団体の代表、原鋭次郎さんです。

原さん
「ひどいときは、鼓膜に砂があたる音がするんですよ、パチパチと。方角が分からないくらいになっちゃいます。10mぐらい先も見えない。日本に来るのは降りかかってくる程度かもしれないけど、現地ではもっと恐ろしい部分もあるんです」

2021年3月の中国・北京の様子です。飛来してきた砂で黄色くかすんでいます。北京の2つの空港で、400を超える便の運航が取りやめになったといいます。

大陸側ではこのように、被害や影響が深刻です。

黄砂の背景には…

重要なのは、砂嵐が起きる乾燥地域が荒廃するのを防ぐ、つまり、「砂漠化」を食い止めることです。
砂漠化は気候変動だけでなく、人為的な要因もあると指摘されています。

原さん
「家畜をたくさん飼いすぎてしまう。とくにヤギが草が少なくなると、掘り起こして根まで食べてしまう。これは日本も影響しているんですけども、需要が増えたカシミヤヤギです。需要が高まっていることによって生産量も増やさなければいけないということで、家畜の数もどんどん増えていったというのもあると思います」

原さんによると、乾燥地域の人たちにとって生きていくために家畜は手放せませんが、家畜を飼いすぎる「過放牧」が土地を荒廃させているといいます。
こうした砂漠化を防ぐため、原さんたちが現地の人たちと行っているのが緑化活動です。

これは「草方格」という手法です。ワラを地中に差し込む作業を、格子状に行っていきます。すると、砂が動きにくくなるそうです。そこに種をまいて植物を育てます。

砂丘だった場所が、10年後には…

花が咲いています。ここまで変わるのですね。

中国政府も緑化に力を入れています。「緑の長城」と言われる大規模な防護林や、農場をつくる計画です。2050年までの息の長い取り組みです。

砂漠化の懸念は東アジアだけではありません。アフリカなどでも進んでいます。
放置すれば、砂嵐のような災害だけでなく、農業や牧畜ができなくなることで、飢餓や貧困がさらに広がるおそれがあります。

原さん
「砂漠化した地域では貧困問題とかも当然ありますし、さまざまな問題があると思うので、一つの問題を解決するという活動ではなくて、国を超えてやっていく必要があると思います」

黄砂ひとつとっても、単なる自然現象ではなく、人の営みも絡んだ複雑な問題です。
地球環境問題は政治、社会、経済などあらゆる分野に関係する上、対策のノウハウを共有する必要もありますから国際的な協力が欠かせません。
気候変動の問題にしても砂漠化の問題にしても、国と国との利害や対立をのりこえて、一致して取り組む姿勢が大事なのです。

「週刊まるわかりニュース」(土曜日午前9時放送)の「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、鎌倉キャスターと考えていきましょう!

ミガケちゃん
なるほど