この記事へのコメント

歩いていたら、後ろから自転車に「チリンチリン」と鳴らされて驚いた。
反対に自転車のベルを鳴らしたら歩行者に怒られた。

そんな体験がSNSに投稿されています。

以前、後ろからおじさんにベル鳴らしたらどなられた。その後は鳴らさないようにしていたら今度は別のおじさんに、鳴らさないことでも文句言われた
歩道を歩いていて後ろから自転車がぶつかって何も言わずに立ち去られたこと何度かある、なんでベルを鳴らすなり声をかけるなりで危険を知らせないんだろう
自転車が歩行者に対して「どけどけベル」を鳴らすことが不愉快であることがより広く伝わればいいと思う

ライフチャットにも自転車のベルをめぐって、読者から意見が寄せられています。

・自転車のベルってどこでも鳴らしていいの?
・自転車のベルって、いったい何のためにあるの?

さっそく取材に行きました。

突然ですがクイズです!自転車のベルを鳴らしていいのはどんな時?

自転車のベルって何のため?

お話を聞いたのは、交通安全の教育に30年以上携わっている日本交通安全教育普及協会の彦坂誠さんです。

前回記事の武蔵野市の自転車安全利用教室でも講師として活躍中

秋元
自転車のベル、そもそも何のために付いているんでしょうか。ふだんめったに使わないという方も多いですよね。
答えは、“鳴らさなくてはいけないものだからついている”ということなんです。
彦坂誠さん

やさしい交通ルール解説 その1

・道路交通法第54条(警音器の使用)では、標識等で指定されている場所や区間では警音器(ベル)を鳴らさなくてはいけないと決められています。

・また、危険を防止するため、やむをえない場合では鳴らしてよいということになっています。

秋元
なるほど“鳴らさないといけないもの”なんですね?
法律ではさらに、ベルがついていない自転車は公道では乗ってはいけない、と定められているんです。
彦坂誠さん
秋元
あまり見かけたことがないのですが「警笛鳴らせ」の標識がある場所って例えばどんなところですか?
見通しの悪い山道のカーブや坂の頂上、曲がり角などがありますね。
彦坂誠さん

やさしい交通ルール解説その2

・道路運送車両法の保安基準に「軽車両は適当な音響を発する警音器を備えていなければならない」となっています。(※自転車は軽車両)

・さらに道路運送車両法でも保安基準に適合する警音器(ベル)がついていなければその車両には乗ってはいけないということになっているんです。

秋元
ベルやライトが最初から付いていない自転車もありますけど、それだと公道を走れないんですか?
はい、本格的なオフロード走行向けの自転車などでは、初めからベルやライトがついていないタイプのものがありますが、公道を走る場合は別途購入して装備しないといけませんね。
彦坂誠さん
秋元
そういえば最近、ペダルやベルやブレーキがついていない子ども向けの“キックバイク”をよく見かけますが…
ベルやライト(後部反射器を含む)、前後の両ブレーキ、ペダル自体がついていないものは“自転車”ではなく“玩具”なので、公道を走ってはいけないんです。
彦坂誠さん
だだし子どもの成長に合わせて後からペダルなどを付けられるようになっているものもあるので、保護者の方が装備を確認して、ルールを守って安全に使用しましょう。
彦坂誠さん
秋元
“キックバイク”、公園に行く途中の道でつい乗ってしまいそうになることもあると思いますが、禁止行為なんですね…。

自転車のベル、鳴らしていいのはどんな時?

秋元
私自身、普段はベルをまったく使わないのですが、冒頭のクイズをみると鳴らしていいときは限られるんですね?
まずはクイズの回答について解説しますね。
彦坂誠さん

①歩道や路側帯で歩行者を追い抜くとき、注意を呼びかけるために鳴らす
→×です。
道路標識「警笛鳴らせ」で指定された場所や区間(見通しの悪い曲がり角や坂の頂上など)では鳴らさなくてはいけませんが、それ以外の場所では、危険防止のためやむを得ない場合を除き使用禁止です。歩道は歩行者優先ですので、道を譲ってもらうためにベルを鳴らすのはNGです。たとえ目の前に視覚障害者の方や親子連れが歩いていても、単に注意喚起としては、使用してはいけません。横を通り抜けるのが危険と感じる場合は降りて押して歩きましょう。

②車道左側を走行中に向かい側からこちらに気付いていないスマホの“ながら運転”自転車が来たので注意を呼びかけるために鳴らす
→状況に応じて○
対面する自転車が道路を逆走している状態で、さらに“ながら運転”で前方不注意の状態。こちらが避けるにしても車道で後続車と衝突する危険性があり、ベルを鳴らすしか衝突を回避できない状況であれば鳴らすべきですね

③「警笛鳴らせ」の標識はないが、住宅街の見通しの悪い交差点にさしかかったので鳴らす
→×
①と同様に「警笛鳴らせ」の標識のないところでは鳴らしてはいけません。一時停止して左右を確認するなど、ベルを鳴らさなくても安全に通行できる方法があります。

秋元
気軽に鳴らしてよいものではないんですね。
やむを得ない場合以外で使用してはいけない、ということを知らない方は意外と多いと思います。
彦坂誠さん
歩行者がいるとベルを鳴らして知らせたい気持ちもあるかもしれませんが、ご自身が歩行者の立ち場だった時のことを想像すると、いきなり後ろから鳴らされたらビックリしますよね。
彦坂誠さん
お子さんや視覚障害者の方はもっと驚かれるかもしれません。
彦坂誠さん
秋元
本当にそうですね。
道路自体はさまざまな方が利用していますので、道をみんなで共有するという意識で、無理な運転やベルの使い方をしないようにお願いしたいと思います。
彦坂誠さん
ただ、いざというときに交通事故を未然に防ぐ装置ですので、故障していないかチェックもお願いします。
彦坂誠さん
秋元
ありがとうございました。

【番外編】昔はベルの音って「ジャランジャラン」でしたね?

そういえば、昔の自転車ってジャランジャランって音がしませんでしたか?

あれってどうしてなのか?編集部でも話題になりました。

それは「自転車のベルがジャランジャランからチリンチリンになったのは、ベルを鳴らす部分の材料が変わったから」なんです。

国内でトップクラスのシェアをもつ東京ベル製作所に聞きました。

東京ベル製作所の担当者
「昭和40年代、50年代ごろは国内生産でベルを鳴らす部分の材料にを使用していたので、みなさんが“ちょっとうるさいな”と感じていたようなあの懐かしい音がしていたんです。

それがだんだん海外で製造するようになって、海外ってアルミを使うことが多いので今のチリンチリンという高い音が主流になっていったんですね。

つまり、国内から海外生産が増えて材質が変わったことによる違いだと思います。」

最近はカラフルなデザインのものも国内外で好評だそうです

意外と奥深かった、ベルの話題でした。

※解説で用いた「自転車」とは「普通自転車」をさします。普通自転車の規格に適合しないものは、「自転車を除く」などのルールが適用されませんので、注意しましょう。

2010年から奈良、大阪、ネットワーク報道部で健康や医療、インクルーシブ社会について取材をしてきました。

みなさんの声

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