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高校生に 5万円届きました

このサイトでは7月、コロナ禍で経済的に厳しい高校生の大学受験を支援しようと、奨学金のための寄付の募集を始めたNPOの活動についてお伝えしました。

支援対象の高校生たちの中には、ひとり親世帯の子も多くいます。大学入試の受験料などを気にして、将来の選択肢も狭めようとしている子も…。

7月の記事【5万円あれば… 夢をあきらめさせない】

その後、NPOから「目標とする寄付金が集まり、全国の高校生に奨学金を支給できた」という知らせをもらいました。

今回は、支給を受けた高校生やその家庭から寄せられた切実な声、そして「もっと支援が必要」と訴える現場からの声をお伝えしたいと思います。

(ネットワーク報道部記者 大窪奈緒子)

夢をあきらめさせない

キッズドアの学習会の様子

奨学金の寄付を募り支給したのは、収入の少ない家庭の子どもたちの学習支援などを行っているNPO法人キッズドアです。

新型コロナの影響で経済的に厳しい状況にある高校生は、大学入試の受験料や、参考書代などの費用に頭を悩ませています。

キッズドアはこうした高校生たちの受験勉強を支えようと、ことし6月から8月にかけて、ネット上で奨学金のための寄付を募るクラウドファンディングを行いました。

キッズドアのHPより

その結果、全国の個人や企業から合計で389件、2888万5200円の寄付が集まりました。

生活状況などの審査をしたうえで、9月には全国の高校生557人に奨学金を支給することができたということです。内訳は、高校3年生284人に1人5万円、2年生273人に1人3万円です。(残りは振り込み手数料や、人件費、通信費などに充当)

奨学金の申し込みに合わせてNPOが取ったアンケートによると、申し込んだ世帯の8割以上がひとり親世帯。同じく8割以上が年収300万円以下でした。

「夜も眠れない日々が」

奨学金の受給が決まった人たちから、NPOに届いた声です。

大学入試試験の費用に充てたいと思います。本当に大変助かります」

「塾にも思うように通わせてあげられず情けなく思っていました。塾の後期講習代にあてさせていただきたいと思います。娘は小学校の先生になりたいと夢に向かって一生懸命頑張っています。応援したいと思います。本当にありがとうございました」

「子どもの『大学へ行きたい』という気持ちを大事にしてあげたいと思うのと同時に、費用面で夜も眠れない日々が続いていました。でも、あたたかい支援のおかげで改めて気付きました。立ち止まっている時じゃないと。また前に向かって子どもたちと歩いて行きます」

「わが家は中3、高3とことしは2人とも受験生で、このたびの援助が大変ありがたい形となります。高3の娘は参考書を買いたいと、探している現在です」

「大学受験のために塾へ通わせていますが、コロナの影響を受けて、今月も食べていくだけで精いっぱいで、塾をやめさせるか悩んでいました。きょう、塾へ月謝を持って行くことができます。ありがとうございます」

「ことばでは言い表せないくらい感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんの方々のご厚意を身をもって感じ、決して生活費で消えないよう、大切に受験のために貯金しておきたいと思っております。本当に皆さんのおかげでなんとか生活できているという現状ですが、今できる仕事を一生懸命頑張り、夢をかなえさせてあげられるよう努力して参りたいと思います」

社会全体で応援を

奨学金を支給したNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長は、さらなる支援が必要だと訴えます。

(渡辺理事長)
「子どもの支援は長期的に見ることが大切です。いま子どもたちの学びを支えることが、子どもたちの自立につながります。逆にいま放置されてしまうと、将来自立できる可能性のある子が、自立できなくなってしまうかもしれない。大きな節目にいるのです」

NPOではこれまでも、生活が困窮してごはんを子どもに食べさせられない世帯や参考書代や試験代を出せない世帯を継続的に支援してきました。この年末も、経済的に厳しい家庭に米や餅などを届ける食糧支援を行う予定です。

しかし、新型コロナの影響で支援が必要な世帯は爆発的に増えてきていると渡辺さんは危機感を募らせています。

(渡辺理事長)
「現状はコロナという災害の中だと捉えています。そのコロナという災害のいちばんの被災者が子育て世帯。とくに非正規労働の子育て世帯やひとり親世帯ではないでしょうか。『自分がふがいないから』とか『自分がダメだから』と思わずに。コロナ禍という非常事態ですから、得られる支援はどんどん得て、しっかり災害から立ち上がっていってほしい。絶対に、大学に行きたい子は行ったほうがいい。自分の夢をコロナのせいで諦めてほしくない。ぜひ頑張って夢をかなえてほしいなと思います。そのためにも、NPOだけでなく、社会全体で困っている方を応援していかなくてはなりません」

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