『LGBT 同性婚』 憲法24条 法の下の平等は

性の多様化が進むなか、いま、結婚のあり方が大きく問われています。同性が好きになる人や、性同一性障害の人などは「LGBT」と呼ばれ、事実上の夫婦生活を送っている人も多くいます。
しかし、日本では、同性のカップルは、法的に結婚が認められていません。
LGBTの人たちのなかには、憲法14条で定められた「法の下の平等」のもと、同性婚を認めてほしいと 訴える人がいます。

(2016年9月27日放送)

結婚できないことの不安

東京・渋谷区で2人暮らしをしている増原裕子さんと東小雪さんは、互いに女性を恋愛対象とするレズビアンです。
おととし、渋谷区から「結婚に相当する関係」と認める証明書を受け取りました。
2人は夫婦として生活を送っていますが、法律上は結婚が認められないためさまざまな不安を抱えています。
特に悩んでいるのが子どもの問題です。
人工授精で子どもを産めないかと考え、育児の本を何冊も読むなどして女性どうしで親となる場合のそれぞれの役割などを話し合っています。
しかし、仮に増原さんが出産した場合、法的には婚姻関係にないパートナーの東さんは、親とは認められません。
増原さんは「子どもが小さいときに出産したほうが死んでしまった場合でも、パートナーは親としては認められないため、子どもを育て続けられるか不安です」と話しています。

さまざまな制限も

また、結婚できないことで、さまざまな制限もあります。
夫や妻がいる場合に税金が軽減される配偶者控除が適用されなかったり、パートナーが亡くなった際に財産の相続が制限されたりします。
増原さんは「男女は法的に結婚ができるのに同性どうしが認められないのは不平等だと感じます。同性愛者が国の制度の中で考慮されているとは言えず、大きな課題だと思います」と指摘しています。

自治体の対応も限界が

自治体からも、いまの法制度では対応できないことがあるという指摘が出ています。
去年9月、都内で開かれたシンポジウムで、世田谷区の担当者は、同性どうしでは区営住宅に入居できない実情を説明しました。
世帯として入居する場合、法律上、家族関係にあることを証明する必要があるためです。
担当者は「自治体独自の取り組みには限界があるので、同性婚を法律で認めることが必要だ」と話していました。

なぜ同性婚が認められない?

なぜ、同性どうしの結婚が法律で認められていないのか。
戦前につくられた民法や戸籍法が、同性婚を想定していなかったことが背景にあります。
法律の規定では、結婚するためには「男女」が婚姻届けを出すとされているため、同性どうしの場合、婚姻届けを申請する対象とされないのです。

憲法の規定は

また、憲法にも結婚に関する規定があります。
24条には「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と書いています。
一見すると、同性どうしの結婚は認められないとも解釈できます。
しかし、研究者の解釈として多いのは、「両性」とは単に男女を指すのではなく、「結婚の意思のある個人」を指すというものです。
条文の制定過程を調べた早稲田大学法学部の棚村政行教授は「『両性の合意のみ』という趣旨は、結婚相手を親が強制的に決めたり親の承諾を必要としたりする戦前の家制度から、本人の自由意思に解放する制度へと変えるためのものだ」として、同性婚を否定したものではないと指摘しています。

法の下の平等踏まえ議論を

同性婚をめぐっては、伝統的な家族の姿が壊れるという懸念の声もあります。
一方で、海外ではおよそ50の国と地域が、同性婚を法的に認めたり、同性カップルの権利を保障する制度を設けたりしています。 性のあり方が多様化するなか、憲法が定める「法の下の平等」の精神をどう考え、実践していくのか、議論を求める声が高まっています。