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象徴天皇像継承の姿勢 おことばの中にも

天皇陛下は、皇位継承後のおことばの中で、上皇さまが築かれた象徴天皇像を受け継ぐ姿勢を繰り返し示されてきました。

ことし5月1日、新たに即位した天皇陛下は即位後初めて国民を代表する人々と会う「即位後朝見の儀(そくいごちょうけんのぎ)」に臨み、天皇として初めてとなるおことばを述べられました。

この中で天皇陛下は「上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます」としたうえで、「皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励む」などと述べ、上皇さまが築かれた象徴天皇像を継承する姿勢を示されました。

同時に時代に即した平易な言葉を使い、30年前の同じ儀式で上皇さまが「身に負った大任を思い、心自ら粛然たるを覚えます」と述べられた部分では、天皇陛下は「この身に負った重責を思うと粛然たる思いがします」と述べられました。

この3日後の5月4日、即位を祝う一般参賀が皇居で行われ、天皇陛下は即位後初めて一般の人たちを前におことばを述べられました。

この中で天皇陛下は「ここに皆さんの健康と幸せを祈るとともに、わが国が諸外国と手を携えて世界の平和を求めつつ、いっそうの発展をとげることを心から願っております」と述べられました。

上皇さまがかつてご自身の即位を祝う一般参賀で述べられたのと同じように、国民の幸せと世界の平和を願われました。

5月27日、国賓として来日したアメリカのトランプ大統領夫妻を歓迎する晩さん会でのおことばには上皇さまから受け継がれた平和への思いが込められていました。

天皇陛下は「上皇陛下は天皇として御在位中、平和を心から願われ、上皇后陛下と御一緒に、戦争の犠牲者の慰霊を続けられるとともに、国際親善に努められました」と話されました。

そして、「今日の日米関係が多くの人々の犠牲と献身的な努力の上に築かれていることを常に胸に刻みつつ、両国の国民がこれからも協力の幅を一層広げながら、揺るぎない絆を更に深め、希望にあふれる将来に向けて、世界の平和と繁栄に貢献していくことを切に願っております」と述べられました。

終戦から74年を迎えた8月15日。初めて全国戦没者追悼式に臨んだ天皇陛下は上皇さまのこれまでのおことばをほぼ踏襲しておことばを述べられました。

戦没者を追悼し平和を願う結びの一文では「ここに過去を顧み、深い反省の上に立って再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と述べられました。

天皇陛下のおことばは、上皇さまの「深い反省とともに」という表現を、戦争を体験していない世代として「深い反省の上に立って」とするなど、一部の言い回しを変えただけで、上皇さまの戦争の歴史と平和への思いを受け継がれるものとなりました。

天皇陛下は災害の被災者に心を寄せ続けられてきた上皇さまの思いも受け継がれています。

9月28日、茨城県で国民体育大会の開会式に臨んだ際にはおことばの中で選手たちを励ますとともに、8月末の大雨や台風15号を念頭に、「ここ茨城県を含む各地で大きな被害が 生じたことに心を痛め、被災された方々の御苦労を案じています。復旧が1日も早く進むことを心から願っています」と述べられました。