大統領の「再選率」は?

“Four more years!”「(大統領を)さらに4年!」を合言葉に、再選を目指すトランプ大統領。
ことし11月に迫ったアメリカ大統領選挙の最大の焦点は、その野望が実現するかどうかだ。

ところで、歴代大統領の「再選率」ってどれぐらいか知ってる?

目次

    現職が断然有利?

    アメリカ大統領選挙では、現職が断然有利だと言われている。

    アメリカ大統領という「世界最強」の肩書を持ち、自分を知らない人はほぼいない。
    メディアへの露出も多く、党内の指名を勝ち取らなければならない対立候補に比べて、資金集めや支持固めに早い段階から取り組むことができるからだ。

    実際、第2次世界大戦後に大統領選挙に臨んだ現職大統領10人のうち、敗れたのは3人だけ。「再選率」は70%に上る。
    その3人とは、1976年のフォード(共和党)、1980年のカーター(民主党)、そして1992年のブッシュ(父・共和党)だ(※注:フォードは1974年、ニクソンの辞任に伴って副大統領から昇格したため、1期目は選挙戦を経ていない)。
    3人が敗れた背景には、内政がうまくいかず党内の造反を許したことや、景気の冷え込みなどがあったと言われている。

    トランプ大統領の支持率は?

    では、トランプ大統領はどうだろうか?

    世論調査を専門に行うギャラップ社によると、2017年1月の就任から去年12月までのトランプ大統領の平均支持率は40%。
    これは戦後のアメリカ大統領の中では最低の数字だ。

    しかし注目すべきは、支持率の振り幅だ。
    就任以来の支持率は35%から49%の間で推移し、振り幅は14ポイントと、戦後の大統領で最も少ない。(1月末現在)
    各社の世論調査の平均値をまとめた政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によると、特におととしの春以降は40%台を維持していて、去年12月、「ウクライナ疑惑」をめぐり議会下院で弾劾訴追されたあとも大きく下がることはなかった。

    戦後の大統領13人のうち5人は支持率が20%台にまで落ち込んだことを考えると、トランプ大統領の支持率は低いながらも安定していると言え、支持基盤からの人気が根強いことが分かる。

    再選のカギは?

    トランプ大統領の再選のカギは、大きく2つある。

    1つ目は、アメリカ人の4分の1を占めるとされる「キリスト教福音派」だ。

    4年前の大統領選挙で、その8割がトランプ大統領に投票したと見られる重要な支持基盤だが、先月の弾劾訴追のあと、福音派の有力紙が大統領の罷免を求める社説を掲載するなど、一部が離反している可能性も指摘されている。
    そうした中、トランプ大統領は先月、南部フロリダ州で福音派を対象にした集会を開き、好調な経済や外交面の成果をアピールするなど、支持のつなぎ止めを図った。

    再選のもう1つのカギは、いわゆる「無党派層」だ。
    ギャラップ社によると、共和党と民主党のどちらも支持せず、政治的な関心が低いとされる無党派層は、有権者のおよそ4割に上る。
    民主党も政権奪還へ無党派層の支持獲得を目指す中、トランプ大統領は現職の強みを最大限に生かし、あらゆる機会を使ってみずからの指導力や1期目の実績を訴え、無党派層の取り込みを図るものと見られる。

    ことし11月、アメリカ大統領の「再選率」はさらに高まることになるのか、それとも…。

    (国際部記者 白井綾乃)