大統領選挙は“マラソンレース”
アメリカの大統領選挙は、各党の候補者選びから、本選挙の投票まで、長期にわたることから、“マラソンレース”にも例えられる。
この“マラソンレース”の前半戦にあたるのが、大統領候補を絞り込むために行われる「党員集会」や「予備選挙」。民主・共和両党の大統領候補は、11月の本選挙前の夏に開かれる党全国大会で指名される。
この党大会では、各州の代議員が、候補者に投票して正式な候補を選ぶ。党大会で投票する代議員を決めるプロセスが、「党員集会」と「予備選挙」。
候補者たちは、“マラソン”の前半戦で勝たなければ、本選挙が行われる後半戦に挑むことはできない。
では、「党員集会」や「予備集会」とは、どのような仕組みなのか。
党員集会は、アメリカ民主主義の原点
「党員集会」は、党員が議論をしながら、候補者を絞り込んでいく古くからある方法。
例えば、中西部アイオワ州の民主党の党員集会に参加する党員は、地区の学校や教会といった公共の場所に集まり、各候補者の主張などについて議論したのち、支持する候補者ごとにグループを作る。
支持の数が少ないと解散していくため、支持の多い候補者のグループが、少ないグループに、候補者を替えるよう促していく。
こうした話し合いを繰り返し、候補者の順位を決めていく。
そして、最終的に、比例配分で、候補者ごとの代議員が決まる。

ただ、党員集会の進め方は、州によっても政党によっても異なる。
全米で最初に党員集会を開くのはアイオワ州で、州の法律によって定められている。党員集会は、参加しにくいことなどから実施する州が減っていて、民主党は今回の選挙では、前回より10州少ない4の州で行われる。
予備選挙は民意を直接、反映
一方、「予備選挙」は、有権者が、投票を行う方式。
民意が直接、反映されるとして現在では、多くの州で採用されている。
「予備選挙」には、政党に登録した有権者だけが投票できる方式と、無党派の有権者も投票できる方式がある。
どちらの方式を採用するのかは州によって異なる。
全米で最初に予備選挙を行うのは、東部ニューハンプシャー州で、これも州の法律によって定められている。
「予備選挙」と「党員選挙」は全米の50州と首都ワシントンの特別区、それにプエルトリコなど海外の領土や自治領で開かれ、どちらの方法で行うのかは各州しだいだ。

今回は…
共和党は、現職のトランプ大統領のほかにも候補者がいるが、西部アリゾナ州やネバダ州などでは、党員集会も予備選挙も行わない方針を固めた。
これらの州の代議員はトランプ大統領に割り当てられることになる。
(国際部記者 栄久庵耕児)