減税か増税か 米国民の選択は

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    アメリカ大統領選挙で注目されている争点の一つが「減税」かそれとも「増税」か、「税」をめぐる議論だ。

    『トランプ減税』とは

    なぜ「税」なのか?

    トランプ大統領が、みずからの最大の成果として「トランプ減税」と言われる大規模な減税をアピールしてきた経緯がある。

    アメリカの雇用を取り戻そうと法人税率を従来の35%から21%まで大幅に引き下げたもので、レーガン政権以来およそ30年ぶりの歴史的な税制改革だとしていた。

    ただ、法律の成立から2年余りがたち、アメリカのGDPの成長率は2%台と、トランプ政権の目標の3%は達成できていないうえ、貧富の格差が拡大したとして問題視する指摘もある。

    「中間層への減税」意欲示すトランプ大統領

    こうした批判にこたえ、トランプ大統領がいま意欲を示しているのが、中間所得層を対象とした減税だ。
    減税策の詳細はまだ明らかになっていないが、格差に不満を持ってきた有権者の支持を獲得するねらいがあるとみられている。

    「富裕層への増税」打ち出す民主党

    これに対して、民主党の候補が打ち出しているのが「増税」だ。
    「トランプ減税」について「超富裕層や企業のためのものだ」などとして縮小や廃止を主張している点では、中道派も左派の候補もおおむね一致している。

    このうちサンダース氏は、学生ローンの免除や国民皆保険などの実現を訴え、その財源として上位0.1%の超富裕層への増税を行い、彼らの資産を15年間で半分にまで減らすという公約を掲げている。
    こうした公約に対しては、ウォール街の金融機関の関係者らから「経済を破滅させる」という警戒の声も上がっている。

    「減税を掲げる共和党」と「増税の必要性を説く民主党」という構図は過去の選挙でもたびたびあったが、今回、その傾向が際立っているようだ。
    国民の生活に直結する「税」をめぐる議論に、さらに関心が集まりそうだ。

    (国際部記者・松尾恵輔)