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ひきこもりのサバイバルプラン 親の10か条

中高年のひきこもりの子どもを年老いた親が支える8050問題。親が亡くなった後、残された子どもが困らないために親が今から気をつけるべきこと、取るべき行動は何か。子どもと接する時の心がまえは?長年、ひきこもりの家族の支援に当たっている「働けない子どものお金を考える会」代表でファイナンシャル・プランナーの畠中 雅子さんに「ひきこもりのサバイバルプラン 親の10か条」をあげてもらいました。

ポイントは、「働くべき」「他の子と同じようになるべき」という発想を切り替えて、“親子で穏やかに暮らしていく”ことを目指してプランを立てていくことです。

1.ライフプランを立てる

自分たちが平均寿命くらいまで生きた場合、不動産や現金など、ひきこもるお子さんに「どのくらいの資産」を残せそうかを計算する。すると、不安が「見える化」し、不足額をお子さんの「就労」や「年金」などでどう補うかを考えられる。

2.住み替えを考える

家が老朽化している場合、現在の住まいに住み続けるか、転居をすべきかを検討する。
持ち家を売却し安いマンションなどに住み替えれば、差額がお子さんに残せる。

3.お子さんのライフプランを立てる

お子さんが40歳を過ぎていたら、親亡きあとのお子さんの生活設計を考える。
どのくらいの生活費が必要か、現在の支出から考えて、お金を計算しておく。
障がい年金が受給できる可能性があるお子さんは、精神科などで診断書を入手して、年金の申請を行う。それを目安に、お子さんに「残すお金」の目標が立てられる。

4.ライフラインを子ども名義にする

親が70歳以上なら、電気、ガス、水道、電話などのライフラインは、子ども名義の口座からの引き落としに変更する。すると、親が亡くなっても「生きられる環境」を確保できる。

5.お子さんに炊事方法を教える

部屋から出られるお子さんには、ご飯の炊き方など炊事方法を教える。ご飯を自分で作れると、生活コストを抑えやすくなる。

6.公的な手続きの仕方を見せる

お子さんを一緒に役所に連れて行き、健康保険や年金などの手続きを見せる。
そうすると、お子さんの1人暮らしになっても、どこに相談すればよいかが分かる。

7.介護施設を見学する

自分たちに介護が必要になった時に備えて、介護施設の見学をしておく。
そうすると、介護に使えそうな資金を見積もることができる。
また、お子さんが高齢になったときに入所できる施設かどうかも確認できる。

8.兄弟姉妹と話し合う

ひきこもるお子さんの兄弟姉妹に親亡きあとの手続きなどを頼めるのかを確認する。
頼める場合は「何をどの程度」引き受けてもらえるのかを整理する。
難しい部分は、親戚や支援団体、行政機関を頼れるように相談をしておく。

9.相続について家族と話し合う

配偶者や兄弟姉妹へ、不公平な相続を受け入れてもらえるのかを確認する。
ひきこもるお子さんが、将来的に就労できない可能性もあるため、「できるだけ多く資産を残したい」ということへの理解を求める。

10.正社員に縛られない働き方を目指す

「正社員にはなれなくても、穏やかに暮らせればいい」と受け入れる。
お子さんが正社員になれなくても、「数万円程度」を稼げれば良しとする。
それ以外は、資産や年金などを利用することで補えるように考える。