“経済が失われた時代・平成” 次の時代をどう乗り切るか

平成の時代、日本は度重なる経済の危機に見舞われました。
なぜ厳しい情勢となったのか、今後の成長のカギは? 専門家の見解を交え、データから読み解きます。

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平成が始まったころはバブル経済のまっただ中で、東京株式市場の日経平均株価は、平成元年に3万8957円の最高値に。しかし、その後のバブルの崩壊やリーマンショックなどによって、長期間の低迷を余儀なくされました。

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日本経済の低迷を端的に表しているのが、国際競争力の低下です。
スイスの民間研究機関が世界各国の経済動向や政府の政策など計340の指標をもとに順位をつけた国際競争力の報告書によりますと、日本の順位は、平成元年から4年まで首位を保っていましたが、山一証券や北海道拓殖銀行が破綻した平成9年には17位と急落。以来、1桁台の順位に返り咲くことはありませんでした。

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企業にとっても、平成は厳しい時代でした。こちらは世界の企業の時価総額ランキングです。
平成元年には上位20社のうち日本企業が13社を数えました。
しかし、平成30年には上位20社に日本企業は1社もなく、トヨタ自動車が44位という状況です。

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経済情勢に詳しい第一生命経済研究所の首席エコノミスト、永濱利廣さんは平成の日本経済について、「ひと言でいうと『経済が失われた時代』」だと言います。永濱さんは、「バブル崩壊の直後に、量的緩和などの大胆な金融緩和や思い切った財政出動を実施していれば、その後の景気回復を実現できた可能性があるが、それもなされなかった結果、長期間の物価の下落=デフレを招き、景気回復が遅れてしまった。長くデフレが続いたことにより企業の投資マインドを委縮させ、経済活動が過剰に保守的になってしまった」と分析しています。
永濱さんは「その後、アベノミクスによってインフレ誘導はある程度成功したが、金融政策にはおのずと限りがあるため、今後の成長のためには一層の財政出動と、労働市場改革などの成長戦略が期待される」と話しています。

日本経済が長期にわたって低迷した平成の時代。名目GDPをみると、アメリカが28年間で3.5倍に拡大したのに対し、日本は1.6倍と伸び悩み、平成22年には成長著しい中国に抜かれ3位へと後退しています。

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こうした中で、日本は次の時代をどう乗り切ればよいのでしょうか。
永濱さんは「日本の最大の弱点である人口減少や人手不足の問題の解決が求められる」と指摘します。そのためには「これまで以上に女性や高齢者などを労働力として取り込んだり、外国人材を積極的に活用したりして、人的資源を効率的に活用することが重要だ。さらに国際的な先進性を保つためにAIやIoTに積極的に投資することが大切だ」と話しています。