急増した外国人 共生の時代へ

今後人口減少が加速する日本。新たな労働力として期待されているのが「外国人材」です。
外国人との共生をどう進めていけばよいのでしょうか。

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在留外国人統計によりますと、日本に住む外国人は年々増え続けています。
平成30年6月時点での外国人数は263万人で、京都府の人口と同じくらいです。平成の時代に日本に住む外国人の数は2倍以上に増えました。

こちらの動画は、国勢調査をもとに外国人の割合を全国の市区町村別に示したものです。
平成7年の時点では、東京や名古屋、大阪といった大都市部で、比較的外国人の割合が高くなっていました。その後、この傾向は他の地方にも拡大してきました。

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外国人の割合が高い市区町村を見ると…。
上位には農業を主な産業とする長野県川上村や、製造業が盛んな岐阜県美濃加茂市といった自治体も。大都市部だけではなく地方でも外国人の割合が高まっています。
すでに貴重な労働力として外国人が定着し始めているのです。

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なぜ外国人が増えたのでしょうか。外国人労働者に詳しい日本国際交流センター執行理事、毛受(めんじゅ)敏浩さんは、「人手不足という日本の弱点を補うため、国が外国人に門戸を開放し、多くの外国人が来日した。中短期的な滞在を想定していたが、実際には定住する外国人が増え、人々が家族を持ち、子どもを作ることでより外国人数が増えている」と分析しています。

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産業別に外国人労働者の割合を見てみると、20代と30代で最も割合が高かったのは「農業」で7.19%。次いで、「漁業」が6.14%。そして、「製造業」は4.73%。担い手や労働力が不足していると言われている分野で、外国人に頼っている現状が見えてきました。

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国籍別に見ると、平成に入って中国やブラジルの割合が徐々に増え始め、さらにベトナムやフィリピンなどの割合も徐々に高くなり、「多国籍化」が進んでいるのがわかります。なぜ多国籍化が進んでいるのか、毛受さんは「世界的なグローバル化の流れのなかで、日本も様々な国の人が来やすくなったため」とみています。

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さまざまな国から多くの外国人が労働者として定着しつつある日本。
今後、日本に定住する外国人がさらに増えると予想されています。
国が、外国人材の受け入れを拡大しようと、新たな在留資格を設ける出入国管理法の改正をしたためです。
このうち「熟練した技能」を持つと認められた外国人は、在留期間の上限がなくなり、家族の同伴も認められます。国は今後5年間で最大34万人余りの外国人労働者の受け入れを見込んでいます。

今後ますます増える外国人労働者。共生に向けた課題は何でしょうか。
毛受さんは「私たちは、もはや外国人が『地域の担い手』であると認識する必要がある。受け入れる企業も、これまでは技能実習生を『安い労働力』とみなして活用していたところもあったが、今後は日本人と同じ待遇で雇用する必要がある。そして、すでに日本に定住している外国人、特に日本で生まれ育った外国人へのケアが不十分だったが、今後、日本人と同等の教育や社会保障の整備を検討する必要がある」と話しています。