人口減少に転じた平成 さらなる減少にどう向き合う

平成の時代、日本の人口は「転換点」を迎えました。4年前の国勢調査で大正9年の調査開始以来、初めて減少に転じたのです。
そして次の時代には、減少がより加速するとみられています。さらなる人口減少にどう向き合えばいいのでしょうか。

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5年に1度行われる国勢調査によりますと、右肩上がりだった人口は、平成22年のおよそ1億2800万人をピークに減少に転じました。

こちらの動画は、5年ごとの人口の増減率を全国の市区町村別に地図に示したものです。
北海道や東北、それに九州などでは、平成に入って間もない平成2年の調査時点ですでに人口減少が進み、その後、全国で「減少」を示す「青色」が広がっていくのがわかります。

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平成を通してみると、人口が増えたのが首都圏を中心に552の市区町村。一方、全体の68%にあたる1189の市区町村では人口が減少していました。人口が一部の都市に集中し、それ以外の地方で過疎化が進行するという「極端な二極化」が進んだのです。

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平成の時代に進んだ人口二極化について、人口問題に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子研究員は、「産業構造の変化や男女ともに大学進学率が大きく上昇したことなどによって、特に事務系の仕事に就く人が増え、それらの仕事が多い都市部に移動して働く人が増えたためだ」と分析しています。

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それではこの先、日本の人口はどうなるのか。
2045年までの人口の推計値を見てみると、日本の人口は年を追って減少幅が広がり、2045年には1億642万人まで減少するとされています。
平成27年の人口と30年後の2045年の推計人口を比べると、ごく限られた都市部を除いて、ほとんどの市区町村が「減少」。
増加する自治体が94にとどまる一方、減少する自治体は全体の94%の1588にも上ります。
次の時代は、平成の時代以上に人口減少に拍車がかかると予想されています。

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増加率と減少率がそれぞれ大きい市区町村を見ると、減少率が大きな自治体の中には、2045年には、平成27年の人口と比べて80%近く人口が減ると推計されている所もあります。つまり、平成27年時点と比べると30年後の人口は、その5分の1にまで激減するのです。

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今後、さらに人口減少が加速する状況について天野研究員は、「現状でも、人口減少が激しい過疎地域においては、後継者難などから地場産業が衰退しかねない状況であり、厳しい財政状況から自治体さえも存続の危機に立たされるリスクは高い」と指摘します。
そのうえで日本全体の人口減少を食い止めるためには「統計的にみれば未婚率が高く出生率も低い東京に若い人が集まることは次世代の人口を育むうえではかなり非効率であり、東京への若者集中が続く限り日本全体の人口は増加しない。人口の社会増と自然増が続いてきた対極の東京に解決策の手本を求めるのではなく、地方こそ特に若い女性が住みたくなるまち作りや、若い女性が働きながら子育てできる環境を作り、若い女性に選ばれる地方作りを進める必要がある」と話しています。