「必ずしも結婚する必要ない」7割近くに

ニュース画像

日本人の生活や意識の変化を探るためNHKが昭和48年(1973)から5年ごとに行っている「日本人の意識」調査。結婚することを「必ずしも必要はない」と考える人は平成の時代に増え続け、70%近くにのぼっています。

最新の調査は平成30年(2018)6月から7月にかけて、全国の16歳以上の5400人を対象に個人面接法で実施し、50.9%にあたる2751人から回答を得ました。

結婚すべきか

この中で、結婚についての考え方を尋ねたところ、「必ずしも結婚する必要はない」と答えた人の割合は68%に上りました。

「必ずしも必要はない」と答えた人の割合は、この質問を始めた平成5年(1993)は51%でしたが、それ以降増え続け、今回は前回の調査より5ポイント増加してこれまでで最も高くなりました。

一方、「人は結婚するのが当たり前だ」と答えた人の割合は、平成5年は45%でしたが年々減り続け27%でした。

ニュース画像

「年代別にみますと「必ずしも結婚する必要はない」と答えた人の割合は30代が最も高く88%に上った一方で、最も低いのは70歳以上で43%でした。

日本人の結婚観に詳しい横浜国立大学の江原由美子教授は「結婚したくない人や結婚に否定的な人がすごく増えているということではなく、いい人がいれば結婚するという考え方はまだ大多数だと思う。好きなライフスタイルをそれぞれ自由に選んでいいという考え方が広がった結果ではないか。『こういう年齢で、こういう性別で、こういう人だからこうしなきゃいけない』みたいな考え方については、人に言うのも嫌だし、自分もされたくないっていう気持ちが強くなっているのでは」と話しています。

ニュース画像

子どもをもつべきか

結婚と子どもに関する質問では「結婚しても、必ずしも子どもをもたなくてよい」と答えた人の割合は増加傾向で60%になった一方、「結婚したら、子どもをもつのが当たり前だ」と答えた人の割合は逆に減少傾向で33%になりました。

ニュース画像

女性が仕事を続けるべきか

結婚した女性が職業を持ち続けることについて「子どもが生まれても、職業を持ちつづけたほうがよい」と答えた人の割合は、調査を始めた昭和48年には20%、平成5年には37%でしたが、その後も増え続けて今回は60%に上りました。一方で、「家庭を守ることに専念した方がよい」と答えた人は8%に減少しました。

ニュース画像

江原教授は「女性が一生仕事をしたほうがいいという考え方が強まっているということを考えると、結婚しなくても生きていける、自立していけるということはかなり定着してきている。その一方で、必ずしも女性が経済的に自立できる、例えば、結婚しないで子どもを産むとか、持たなくても1人でずっと生きていくとか、そういうことが経済的に楽にやっていけるような状況があるかというとちょっと違うのではないか。男女の賃金格差など条件を整えないといけないなということをすごく感じる」と指摘しています。

女子にどこまで教育を受けさせたいか

女の子に「大学まで」の教育を受けさせたいと考える人の割合は昭和58年(1983)までは20%台にとどまっていましたが、その後、増え続けて今回は61%になり、女の子にも高い学歴を望む人が多くなっています。ただし、男の子の場合は72%が「大学まで」と考えていて、男女で今も開きがあります。

ニュース画像

国民の行動 政治への影響は

「選挙」「デモ」「世論」が「国の政治に影響を及ぼしている」と感じる人は、調査開始以降、長期的に減少しています。「選挙」と「デモ」の2つは平成20年(2008)に増加し、減少に歯止めがかかるかと思われましたが、その後はまた減少しました。「世論」については平成10年(1998)からは10%程度で大きな変化はみられません。3つの中では「選挙」が最も多くなっていますが、影響を及ぼしていると思う人は42%と半数以下にとどまっています。

ニュース画像

仕事と余暇 どちらを優先するか

仕事と余暇のどちらを優先するかについて1970年代(昭和48年と昭和53年の調査)には「余暇も時には楽しむが、仕事のほうに力を注ぐ」という「仕事優先」の考え方が最も多くなっていました。しかし、昭和63年に「仕事にも余暇にも、同じくらい力を入れる」という「仕事・余暇両立」の方が多くなり、今回の調査では「仕事・余暇両立」が「仕事優先」の2倍になりました。

ニュース画像

職場 親せき 近隣の人間関係は

職場、親せき、近隣の3つの人間関係において、「なにかにつけ相談したり、助け合えたりするようなつきあい」を望む人が長期的に減少しています。最近の5年間では、親せきでさらに減少しました。

ニュース画像