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日本独自「はやぶさ計画」のこれまで

探査機を着陸させ、表面の砂を持ち帰る「サンプルリターン」と呼ばれる探査を小惑星で実施しようという計画は、日本独自の構想として1980年代半ばから検討が始まりました。

地球に帰還した初代「はやぶさ」のカプセル(写真提供JAXA)

太陽系の起源を探ることを目的に掲げて、2003年5月、「はやぶさ」初号機が小惑星「イトカワ」を目指して打ち上げられました。

「はやぶさ」は2年余りかけて、2005年9月に「イトカワ」に到着し、2回着陸を試みました。

着陸の前後で、姿勢を制御する装置などが壊れ、燃料漏れも発生するなど相次いでトラブルに見舞われた上、地球に戻る途中にも通信電波が途切れ、4つのエンジンが停止、計画は終了したと思われました。

しかし、チームは諦めず、およそ1か月半かけて「はやぶさ」が発信する微弱な信号を受信することに成功しました。

壊れたエンジンの生き残った回路をつなぎあわせるようプログラムを送信してエンジンをひとつ復活させることができ、2010年6月に見事カプセルを地球に持ち帰りました。

カプセルに石や砂は入っていなかったものの、少なくとも800を超える「イトカワ」の微粒子が確認され、世界で初めて小惑星からの「サンプルリターン」が実現されたということです。持ち帰った微粒子は世界の研究機関に提供され、今でも分析が続けられています。

これに続く「はやぶさ2」の計画は、小惑星探査技術を確実なものとすることと、生命の起源となる水や有機物を調べることを掲げて2012年から開発が始まりました。

「はやぶさ2」の機体とエンジンは耐久性などを向上させる改良が加えられ、2014年12月にH2Aロケットで打ち上げられました。

目指したのは、小惑星「リュウグウ」です。2018年6月27日に到着し、2019年2月22日にリュウグウへの1回目のタッチダウンに成功し、表面の岩石や砂を採取したとみられます。

さらに、同じ年の7月11日には2回目のタッチダウンに成功しています。

その後も、はやぶさ2は「リュウグウ」の観測を続け、2019年11月13日に地球への帰還に向けてリュウグウを離脱。2020年12月6日にカプセルを地球に帰還させる計画です。

「はやぶさ」初号機のプロジェクトマネージャを務めたJAXAの川口淳一郎シニアフェローは、「当時、アメリカやロシアとの探査技術のギャップは大きかった。超大国のまねをせず、一線を画すプロジェクトとして 取り組んだのが『はやぶさ』計画だ。『はやぶさ2』は『はやぶさ』の2号機ではなく、ある意味本番であり、正面から科学的な成果が求められる。生命の起源はどこにあるのか、大きなヒントをつかむことが期待されている」と語りました。