世界で初めて小惑星内部の岩石の採取に成功したとみられる日本の探査機「はやぶさ2」。岩石を格納したカプセルが、日本時間の2020年12月6日午前2時28分すぎ、地球に帰還しました。はたしてカプセルの中に、生命の起源に迫るヒントは含まれているのか。そして「はやぶさ2」本体は、次の小惑星の探査に向けて再び地球を離れています。

「新しい科学がスタートする」

小惑星「リュウグウ」の砂が入ったとみられるカプセルの地球帰還に成功した「はやぶさ2」。記者会見で津田雄一プロジェクトマネージャは「新しい科学がここからスタートする」と述べました。「太陽系の成り立ち」や「生命の起源」をめぐり、新たな発見につながるか、今後の分析が注目されます。

 

JAXA会見「カプセルは完全な状態」快挙には町工場も貢献

「はやぶさ2」から切り離され、オーストラリアに着地した、小惑星「リュウグウ」の砂が入っているとみられるカプセルは、日本時間の2020年12月6日午前、現地に入っていたチームにより無事に回収されました。

JAXAは12月6日午後、記者会見を開き、カプセルは完全な状態だったことを明らかにしました。カプセルは、今後、日本に運ばれ、専用の施設でふたが開けられる予定で、太陽系の成り立ちや生命の起源に迫ることができるのか、本格的な分析に入ります。

今回の歴史的な快挙には、日本の町工場の高い技術力や強い思いも大きく貢献しています。

豪上空で火球観測 「はやぶさ2」カプセルが地球に帰還

日本時間の2020年12月6日午前2時28分すぎ、オーストラリアの上空で大きな流れ星のような火球が観測され、探査機「はやぶさ2」のカプセルの帰還が確認されました。

JAXA=宇宙航空研究開発機構の管制室では、火球が確認されると拍手をしてカプセルの帰還を喜び合いました。

また、JAXAは日本時間の12月6日午前7時半ごろ、現地・オーストラリア南部の砂漠地帯に入っているチームがカプセルの回収作業を終えたと発表しました。カプセルには小惑星の砂が入っているとみられ、現地の本部に輸送されました。

「はやぶさ2」カプセルの分離に成功

日本の探査機「はやぶさ2」は日本時間の2020年12月5日午後2時30分、地球までおよそ22万キロの位置で、カプセルを地球に向けて分離することに成功しました。

カプセルの分離が確認されると、管制室では大きな歓声があがり、ひじを突き合わせるなどして成功を喜んでいました。

このあと「はやぶさ2」は、次の小惑星に向かうためのエンジンの噴射を行い、午後4時半すぎ、軌道の変更が無事に終わったことが確認されました。