クローズアップ現代+

「“バイトテロ”の深層 ~なぜ無くならない?不適切動画~」

放送:2月14日(木) 午後10時〜

再放送:2月16日(土) 午前1時10分~

ファミレスや回転寿司、コンビニ。大手チェーンのアルバイトが悪ふざけをした動画が拡散され、炎上する事態が頻発した。くら寿司はアルバイトを訴え、高額の賠償を求める構えだ。一方、企業側の体制を問う声も上がっている。外食やコンビニの従業員のうち非正規が占める割合は多くの場合8割を突破。品質や衛生を管理する現場に正社員不在のケースも少なくなく、低賃金で働いているアルバイトに過度な責任を求めるべきではないという意見だ。「若者の愚行」で済まされなくなっている問題をどうすれば無くせるのか、番組ではアルバイトと経営者、双方の立場の立体的な議論から考える。

ネット動画 炎上しないために?(番組関連動画)

なぜ無くならない不適切動画

バイトテロ 不適切動画

商品のおでんを口に入れてはき出す。食材の魚を一度ゴミ箱に投げ捨てて拾い上げる。いずれも、アルバイト従業員による不適切な行動で、SNSに動画が投稿され、瞬く間に広がりました。なぜ、こうした行為が無くならないのか、取材を進めると、意外な実態も見えてきました。

アルバイト従業員による不適切な行動は、時に、被害を受けた店舗が休業や閉鎖をせざるをえなくなるなど、企業に与える影響の大きさから、ネット上では“バイトテロ”とも呼ばれています。今回、問題となった大手のコンビニエンスストアや回転寿司チェーンなどでも、従業員を退職などの処分にするとともにホームページなどで謝罪する事態となりました。

こうした“バイトテロ”が相次いで、注目されたのは過去にもありました。6年前の2013年、飲食店などでアルバイトが冷蔵庫に入り込んだ様子を撮影してSNSに投稿するといった事案が相次ぎ、大きな社会問題になりました。

取材を進めると、今回は、当時とは違った特徴も見えてきました。その1つは投稿先として使われたSNSの変化です。
以前は、ツイッターに静止画で投稿されるケースが多かったのですが、今回は、若者に人気のインスタグラムに動画が投稿されていました。特に、投稿した動画が24時間で自動的に消える「ストーリーズ」という機能が使われていて、動画というインパクトの強さもあり、瞬く間にSNSなどで拡散していきました。拡散される過程を見てみると。ある動画は、このストーリーズで自動的に消える前に、何者かにコピーされていました。

そして、そのコピー動画が、さらに複数のアカウントでコピーされ、それぞれのアカウントから、SNSに発信されていました。動画を拡散させたいくつかのアカウントを分析すると、中には、こうした動画を投稿するために新たに作られたと見られるものも複数、存在することがわかりました。この動画の投稿が、初めての投稿であるケースがあったのです。炎上を目的にして投稿する人たちが、複数関わっていた可能性があります。一度、拡散が始まると、これまで以上に終息させることが困難になったことで、企業側が受けるダメージも深刻なものになっています。

こうした状況を踏まえて、今回、被害を受けた企業では、従業員に対して法的措置の検討を始めた企業も出ています。このうち、回転寿司チェーンの「くら寿司」は2月8日、ホームページ上に掲載した文書で、「多発する飲食店での不適切行動とその様子を撮影したSNSの投稿に対し、当社が一石を投じ、全国で起こる同様の事件の再発防止につなげ、抑止力とする」として、従業員に対し、刑事・民事での法的措置の準備に入ったことを明らかにしました。こうした動きは、「当然の対応」だとする意見がある一方で、「アルバイトに対して、過度の責任を求めるのはやりすぎだ」といった意見も出て、議論を呼んでいます。

実際に法的責任は問えるのか?また、賠償金はいくらになるのか?複数の弁護士に取材したところ、刑事・民事ともに責任が問われる可能性があると指摘しました。民事では過去にも、倒産した飲食店が従業員に賠償を求め、和解金が支払われたケースがあります。今回も企業側が訴えて、損害との因果関係が認められれば、賠償が命じられることになります。賠償の金額に関しては、損害の程度によって変わるため、一概には言えないものの、数百万円単位の賠償になるのではないかという意見が多数を占めました。また、刑事事件では威力業務妨害や偽計業務妨害、あるいは器物損壊などの罪に問われる可能性があるということです。こうした法的責任の追及は「一定の抑止効果が期待できる」という意見の一方で、問題の本質は、従業員のモラルにあるという指摘や、アルバイトだけで仕事をさせ、現場を管理をする人間が不在であるといった労働環境が影響しているとった指摘もあります。

“不適切動画”を減らしていくためにどうすればいいのか、さまざまな観点からの議論の深まりが求められます。

NHKでは、従業員が不適切な動画を投稿した企業7社に、アンケートで見解を聞きました。以下に、回答した6社のアンケート結果の全文を掲載しています。