温暖化・気候変動対策COP27とは?
エネルギー危機でどうなる?

世界の注目がウクライナ情勢に集まる一方で、パキスタンの大規模な洪水や、中国やヨーロッパの干ばつなど、世界各地で異常気象が相次いでいます。気温の上昇は続き、気候変動への対策は待ったなしです。そうしたなか、11月6日からエジプトで、国連の気候変動対策の会議、COP27が始まります。

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、地球規模の課題に対して、各国が足並みをそろえて一致したメッセージを出せるのか。注目が集まる今回の会議のポイントを解説します。
(ヨーロッパ総局 田村銀河)

Q.COPってどんな会議なの?

A. COPは「Conference of the Parties」の略で、日本語では「締約国会議」と訳されます。1992年に採択された国連の「気候変動枠組条約」に参加する国や地域が集まる会議のことです。

「気候変動枠組条約」は、大気中の温室効果ガスの濃度を安定させることを目指した条約で、この条約に基づき、1997年に、先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた「京都議定書」、2015年には現在の世界の気候変動対策の枠組みである「パリ協定」が採択されました。

COPは1995年から、新型コロナウイルスの影響で延期された2020年をのぞき、毎年開かれていて、今回が27回目です。

今回はエジプト東部のシャルムエルシェイクで11月6日から18日までの日程で開催され、アメリカのバイデン大統領をはじめ、およそ90の国や地域の首脳が参加する見通しです。

Q. パリ協定はどんな協定?

A.「パリ協定」は、2015年にフランスで開かれたCOP21で採択された、現在の世界の温室効果ガス削減のためのルールです。

それまでの「京都議定書」では削減の義務が課されていなかった中国などの新興国や発展途上国を含む、すべての国に温室効果ガスの削減を義務づけました。

背景には、新興国や発展途上国でも、著しい経済成長に伴って温室効果ガスの排出量が増加し、世界の排出量の多くを占めるようになっていたからです。

「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比べ2度未満に保つとともに、1.5度に抑える努力をすることを決めました。

また、各国は5年ごとに削減目標を国連に提出し、取り組みの状況を報告することが義務づけられています。

Q. 今の対策では足りないの?

A.「2度」と「1.5度」という2つの数字が出てくるパリ協定ですが、去年、イギリスで開かれたCOP26では、「1.5度に抑える努力を追求する」と、「1.5度」を強調した「グラスゴー気候合意」が採択されました。

努力目標にすぎなかった「1.5度」が事実上の共通目標に前進した形です。

最新の研究で、地球の平均気温はすでにおよそ1.1度、上昇していることや、1.5度と2度では、熱波や豪雨などの極端な気象現象が起こる頻度や強度が大きく異なることがわかってきたためです。

「グラスゴー気候合意」では、各国の現在の削減目標を2022年末までに見直したり、強化したりすることも決まりました。

ただ、10月26日に気候変動枠組条約の事務局が公表した最新の報告では、ことし9月下旬までに193の国と地域が掲げた温室効果ガスの各国の削減目標をあわせても、世界の平均気温は産業革命前と比べ、今世紀末までにおよそ2.5度上昇する見通しだとしています。

また、COP26以降に新たな削減目標を提出した国は20余りにとどまったほか、2030年の温室効果ガスの排出量は、2010年と比べて10.6%増える見込みであることも明らかになり、報告では、気候変動の最悪の影響を避けるためには現状では不十分だとして、対策の強化を訴えました。

Q. COP27 会議の焦点は?

A. 現在の世界の温室効果ガスの排出ペースでは、平均気温の上昇を1.5度に抑えることは困難です。

こうしたことから、COP27で各国は、温室効果ガス削減の目標の引き上げに向けた「作業計画」を作成する見通しです。

これはCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」に盛り込まれたもので、2020年代を「勝負の10年間」としたうえで、平均気温の上昇を1.5度に抑えることを目的に、各国の削減の取り組みを大きく前進させるための計画を議論し、COP27で決定することを目指しています。

また、気象災害で甚大な被害を受けている途上国への支援も大きなテーマです。

今年2月、世界各国の科学者でつくる国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」は、8年ぶりとなる気候変動による自然や社会への影響に関する報告書を公表しました。

報告書では、30億人以上の人たちが気候変動に対応できない、ぜい弱な状況で暮らしていると警鐘を鳴らしています。

その上で、洪水対策や農作物の高温障害対策など、気候変動による被害を最小限にする「適応」と呼ばれる取り組みを進めることで、リスクを一定程度、抑えることが可能だとも指摘しました。

こうした報告も受けて、COP27では、「適応」の取り組みを進めるのに必要な資金をどう確保するのかや、世界全体で「適応」の取り組みをどう強化し、進捗具合をどう評価するのか、などについても議論が交わされる予定です。

さらに近年、気候変動による気象災害などの被害の補償を先進国に求める声も強まっていて、COP26では、途上国から新たな資金支援の枠組みへの要求もありました。

こうした声に先進国側がどこまで歩み寄ることができるのかも、注目されます。

Q.会議へのウクライナ情勢の影響は?

A.去年、イギリスで開催されたCOP26には120以上の国や地域の首脳が参加し、「歴史的」ともされる結果を残すことができました。

しかし、ことし2月に始まった、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、国際社会が置かれた状況は大きく変わりました。

ことし8月に開かれたNPT=核拡散防止条約の再検討会議や、G20=主要20か国の環境と気候変動問題の閣僚会合など、いくつもの国際会議がウクライナ情勢の影響を受けて、成果を残せない事態となっています。

COP27でも、参加国の対立が先鋭化して議論が紛糾し、合意に至らない可能性もあるとして、交渉の行方を懸念する声もあります。

また、アメリカのバイデン大統領は中間選挙後の11日に会場に駆けつけることになっていますが、現地に参加する首脳の顔ぶれも前回ほどとはならない見通しです。

さらに、COP26では、二酸化炭素の排出が多い石炭火力発電所の段階的な削減を決めたことも注目を集めました。

しかし、ウクライナ情勢を受け、ロシア産の天然ガスの供給量が大きく減ったことで、ヨーロッパの国々などでは、「短期的」としながらも石炭への依存を高める動きも出ています。

専門家からは「かつてない逆風のなかでのCOPだ」と指摘する声も出ています。

およそ2週間にわたるCOPの交渉においては議長国の差配も重要となります。

今回の議長国エジプトは、まったなしの気候変動の影響を前に、「実践のCOPにする」と明言し、なんとか世界全体で足並みをそろえ、対策を前進させたい考えです。

これまでにない国際情勢のもとで、各国が一致することができるか、会議の行方が注目されます。

顔写真:西河 篤俊

ヨーロッパ総局記者

田村 銀河

2013年入局
津局、国際部などを経て2022年から現所属
ビッグデータを使った調査報道を手がける