ワクチン開発や接種
世界の状況は
(2022年)

世界の新型コロナウイルスのワクチンについて、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカなど海外製薬会社による開発・供給の状況や、世界各地での使用許可・接種の状況をまとめています。

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    米 新型コロナとインフルエンザ 両方のワクチン接種を呼びかけ(10/18)

    2022年10月18日

    新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される中、アメリカでは11月下旬の感謝祭の時期を前に両方のワクチンを接種するよう呼びかけが行われています。

    インフルエンザをめぐっては、日本とは季節が逆で、インフルエンザの流行の時期が半年ずれる南半球のオーストラリアでことし、コロナが拡大する前と同じ程度のインフルエンザの流行が起きました。

    オーストラリア保健省によりますと、2022年に入ってから10月9日までに国内で確認されたインフルエンザの感染者は22万5000人余りで、308人が死亡しました。

    保健省の記録では、2021年同じ時期の10月初旬までに確認された感染者は550人にとどまり、亡くなった人はいませんでした。

    こうした状況を踏まえ、バイデン政権で新型コロナウイルス対策調整官をつとめるアシシュ・ジャー氏は、10月、同時流行への危機感を示したうえで「インフルエンザと新型コロナの両方のワクチンを打ちに行ってほしい。皆さんがそうすれば、この冬、一日に何百人もの命が救われることになるだろう」と述べ、両方のワクチンの接種を呼びかけました。

    ニューヨーク市内では両方のワクチンを接種できるところもみられ、人々が集まる機会が増える11月下旬の感謝祭を前にワクチン接種を済ませようという人が訪れています。

    取材した薬局では、ほとんどの人がインフルエンザと新型コロナのワクチンの両方を接種し、およそ4割が同時に、残りは数週間の間隔を空けて打っているということです。

    インフルエンザの接種を受けに来た64歳の男性は「新型コロナのワクチンは1週間前に打ちました。ワクチンを打てて、すこし安心できるようになったと思います」と話していました。

    薬局のオーナーは「今、新型コロナ流行の前よりも多くの人がワクチンの接種に訪れますが、ワクチンの効果を知ったからではないか」と話していました。

    アメリカCDC=疾病対策センターは10月14日「インフルエンザの増加が多くの地域で報告されている」として、ワクチンの接種を早めに済ませるよう呼びかけています。

    CDCによりますと、コロナが本格的に流行する前の2018年から2019年にかけての流行シーズンにアメリカ国内でおよそ2900万人がインフルエンザに感染し、およそ2万8000人が亡くなったと推定されています。

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    アメリカ コロナ「BA.5」対応ワクチン 追加接種対象 5歳以上に(10/13)

    2022年10月13日

    アメリカのCDC=疾病対策センターは10月12日、新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、現在、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンについて、追加接種の対象年齢を5歳以上に引き下げると発表しました。

    新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、アメリカではオミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する成分と、従来のウイルスに対応する成分を含んだ「2価ワクチン」と呼ばれるワクチンについて、9月から、12歳以上を対象にした追加接種が始まっています。

    こうしたなかCDCは10月12日、ワクチンの対象年齢を引き下げると発表しました。

    ファイザーなどが開発したワクチンは5歳以上、モデルナが開発したワクチンは6歳以上が対象になります。

    アメリカでは現在、オミクロン株の「BA.5」が感染の主流になっていて、10月8日までの1週間に報告された感染者のうちおよそ8割が「BA.5」に感染したと推定されています。

    CDCとしてはより幅広い年齢層で追加接種を進めることで、この冬の感染拡大を防ぎたい考えです。

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    英 ファイザーなどが開発したオミクロン株対応ワクチンを承認(9/4)

    2022年9月4日

    イギリスは、アメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したオミクロン株に対応した新型コロナウイルスのワクチンを承認したと発表しました。

    イギリスの規制当局は、9月3日、ファイザーとドイツのビオンテックが開発したオミクロン株の「BA.1」と従来の新型コロナウイルスの2種類に対応する「2価ワクチン」というタイプのワクチンを12歳以上の追加接種として承認したと発表しました。

    イギリスでは8月、モデルナが開発したオミクロン株に対応する2価ワクチンも承認されています。

    ワクチンの安全性などを管理するイギリスの医薬品・医療製品規制庁は「秋の追加接種に向けて2つ目のワクチンが承認されたことをうれしく思う」などとコメントしています。

    オミクロン株に対応したワクチンをめぐっては、アメリカCDC=疾病対策センターが9月1日、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する2価ワクチンを追加接種として使用することを正式に推奨すると発表したほか、日本でも「BA.1」に対応する2価ワクチンの承認申請が出されていて、各国で秋以降の追加接種に向けた準備が進んでいます。

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    米CDC オミクロン株対応のワクチン 追加接種使用を正式に推奨(9/2)

    2022年9月2日

    アメリカCDC=疾病対策センターは9月1日、モデルナとファイザーなどがそれぞれ開発した、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチンについて、追加接種としての使用を正式に推奨すると発表しました。これによりアメリカでは、オミクロン株に対応したワクチンでの追加接種が始まることになります。

    CDCの専門家委員会は、9月1日、モデルナとファイザーなどがそれぞれ開発した、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチンを使った追加接種について議論し、賛成多数で推奨するとする意見をまとめました。

    これを受け、CDCのワレンスキー所長はこれらのワクチンを追加接種として使用することを正式に推奨すると発表しました。

    ワクチンはいずれも、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する成分と、従来の新型コロナウイルスに対応する成分の2種類を含む「2価ワクチン」と呼ばれるタイプで、モデルナのワクチンは18歳以上、ファイザーなどのワクチンは12歳以上が対象です。

    アメリカでは現在、オミクロン株の「BA.5」が感染の主流となっていて、今回の推奨でアメリカでは、そのオミクロン株に対応したワクチンの追加接種が始まることになります。

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    米FDA オミクロン株対応ワクチン 追加接種の緊急使用許可(9/1)

    2022年9月1日

    アメリカFDA=食品医薬品局は、製薬会社のモデルナと、製薬大手のファイザーなどが、それぞれ開発したオミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応するワクチンについて、追加接種に対する緊急使用の許可を出しました。

    アメリカではこの秋以降、感染が再び拡大するという懸念から、FDAが製薬会社に対し、オミクロン株に対応するワクチンの開発を推奨し、各社が相次いで緊急使用の許可を申請していました。

    これについてFDAは8月31日、モデルナのワクチンについては18歳以上、ファイザーなどのワクチンについては12歳以上の、それぞれ追加接種に対し、緊急使用の許可を出したと発表しました。

    ワクチンはいずれも、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する成分と、従来の新型コロナウイルスに対応する成分の2種類を含む「2価ワクチン」と呼ばれるタイプです。

    今後、アメリカCDC=疾病対策センターが最終的に接種を推奨すれば、オミクロン株に対応するワクチンが追加接種できるようになります。

    CDCによりますと、アメリカ国内で1日に報告される新型コロナの感染者数は8月中旬以降、平均で8万人から10万人ほどで、8月27日までの1週間では、およそ9割がBA.5に感染したと推定されています。

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    モデルナ オミクロン株対応ワクチン アメリカで緊急使用を申請(8/24)

    2022年8月24日

    アメリカの製薬会社モデルナは、新型コロナウイルスの変異ウイルスでオミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応するワクチンについて、FDA=アメリカ食品医薬品局に緊急使用の許可を求める申請を行ったと発表しました。
    製薬大手のファイザーなどもオミクロン株対応のワクチンの申請を行っていて、秋以降の接種を見据えた製薬会社の動きが相次いでいます。

    モデルナは、8月23日、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応するワクチンについて、緊急使用の許可を求める申請をFDAに対して行ったと発表しました。

    ワクチンは、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」に対応する成分と、従来の新型コロナウイルスに対応する成分の2種類を含む「2価ワクチン」と呼ばれるタイプで、18歳以上の追加接種について申請を行いました。

    モデルナは現在、ワクチンの臨床試験を進めているとしていて、FDAの許可が得られれば、9月にもワクチンを出荷できるよう、準備しているということです。

    今回のモデルナの申請は、8月22日に発表された製薬大手ファイザーなどの申請に続くもので、アメリカでは秋以降の追加接種を見据えた製薬会社の動きが相次いでいます。

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    英 オミクロン株に対応のコロナワクチンを承認 モデルナが開発(8/16)

    2022年8月16日

    イギリスは、アメリカの製薬大手モデルナが開発したオミクロン株に対応した新型コロナウイルスのワクチンを承認したと発表しました。
    現地メディアは、オミクロン株対応のワクチンが承認されたのは、世界で初めてだとしています。

    イギリスの規制当局は8月15日、モデルナが開発したオミクロン株の「BA.1」と従来の新型コロナウイルスの2種類に対応する「2価ワクチン」というタイプのワクチンを18歳以上の追加接種として承認したと発表しました。

    オミクロン株のうち感染者に占める割合が多い「BA.4」と「BA.5」に対しても良好な免疫反応を示すことが確認されたとしています。

    現地メディアは、オミクロン株対応のワクチンが承認されたのは、世界で初めてだとしています。

    ワクチンの安全性などを管理するイギリスの医薬品・医療製品規制庁は「この2価ワクチンは、ウイルスが進化し続ける中で、私たちを守る武器になる」などとコメントしています。

    モデルナは声明で「オミクロン株に対応する2価ワクチンとして初めての承認で、冬を迎えるイギリスの人々を守る上で重要な役割を果たす」としたうえでオーストラリアやカナダ、そしてEU=ヨーロッパ連合の規制当局にも承認を申請しているとしています。

    また、モデルナは8月10日、厚生労働省にこのワクチンの承認を求める申請を行っています。

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    「BA.4」「BA.5」オミクロン株対応ワクチン開発を推奨 米FDA(7/1)

    2022年7月1日

    アメリカFDA=食品医薬品局は、新型コロナウイルスワクチンを製造する製薬会社に、この秋以降の追加接種に向け、変異ウイルスのオミクロン株に対応するワクチンの開発を推奨したと発表しました。

    FDAは6月30日、この秋以降の追加接種に使われる新型コロナワクチンについて、現在のワクチンの構成に、変異ウイルスのオミクロン株に対応する成分を加えたものを開発するよう、製薬会社に推奨したと発表しました。

    新たなワクチンは、オミクロン株のうち、現在、感染者に占める割合が増えている「BA.4」と「BA.5」をもとに開発すべきだとしています。

    アメリカでは6月28日の時点で、感染者に占める「BA.4」と「BA.5」の割合は50%以上と推定されています。

    6月28日に開かれた外部の専門家委員会は、秋以降に懸念されている感染拡大に備えるため、オミクロン株に対応したワクチンの使用を賛成多数で推奨していました。

    FDAは「変異ウイルスによる重い症状を防ぐことができる、安全で効果的なワクチンを準備することが非常に重要だ」としています。

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    米 FDA専門家委員会 追加接種ワクチン オミクロン株対応を推奨(6/29)

    2022年6月29日

    アメリカFDA=食品医薬品局の専門家の委員会は、今後の追加接種に使う新型コロナウイルスのワクチンについて、変異ウイルスのオミクロン株に対応したものを使うことを賛成多数で推奨しました。

    FDAは6月28日、外部の専門家の委員会を開き、今後の新型コロナウイルスワクチンの追加接種に、現在、開発が進められているオミクロン株に対応したワクチンを使うべきかを議論しました。

    この中でFDAは、ワクチンの効果は時間の経過とともに低下するため、追加の接種によって効果を高める必要があるとしたうえで、変異ウイルスに対応したワクチンが必要になる可能性を指摘しました。

    また、ワクチンを製造しているファイザーやモデルナは、オミクロン株に対応したワクチンの追加接種でオミクロン株に対する中和抗体の値が大きく上昇するという、臨床試験の結果を報告しました。

    一方、専門家からは現在使われているワクチンの追加接種でも入院や死亡を防ぐ効果は得られるとする意見やオミクロン株の中でも、感染者に占める割合が増加している「BA.4」や「BA.5」に対応したワクチンを開発するべきだという意見が出されました。

    そして、最終的な投票の結果、今後の追加接種のワクチンには、オミクロン株に対応したものを使うことを賛成多数で推奨しました。

    これを受けてFDAは、感染者の増加が懸念される秋以降、どのワクチンを使うのか近く判断することになります。

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    新型コロナワクチン 5歳未満にも「接種推奨」と正式発表 米CDC(6/19)

    2022年6月19日

    アメリカCDC=疾病対策センターは新型コロナウイルスワクチンの接種を5歳未満にも推奨すると発表し、この年代への接種が新たに始まる見通しになりました。

    アメリカで新型コロナウイルスワクチンの対象はファイザーの「5歳以上」が最も低い年齢でしたが、FDA=アメリカ食品医薬品局が6月17日、ファイザーのワクチンを生後6か月から5歳未満に、モデルナのワクチンを生後6か月から6歳未満にも接種できるよう緊急使用の許可を出しました。

    これを受けてCDCは6月18日、この年代の子どもにワクチンの接種を推奨するかどうかを検討する専門家の委員会を開きました。

    効果や安全性の議論の結果、専門家の意見がまとまり、CDCとして正式にこの年代に対して「接種を推奨する」と発表しました。

    CDCのワレンスキー所長は声明で「新型コロナとの闘いにおいて、また重要な一歩となった。われわれは、幼い子どもへのワクチン接種を強く望んでいる親が数多くいると認識しており、きょうの決定でそれが可能になる」としています。

    CDCの推奨によって、アメリカではワクチンの対象年齢が初めて5歳未満に拡大され、近く、ファイザーで生後6か月から5歳未満に、モデルナで生後6か月から6歳未満に新たに接種が始まる見通しになりました。

    バイデン大統領「非常に大きな一歩」

    CDCの発表を受けて、バイデン大統領は6月18日、声明を発表し「新型コロナウイルスとの闘いにおいて非常に大きな一歩だ」としたうえで、近く、小児科や薬局などでワクチン接種の予約ができるようになるとの見通しを示しました。

    そして「きょうは全米の親にとって安どとお祝いの日だ。ワクチンは安全で非常に効果があり、子どもが新型ウイルスによる最悪の結末から守られるということで親に安心を与えるものになる」としています。

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    生後6か月から5歳未満への接種 “利益がリスク上回る”米 FDA(6/16)

    2022年6月16日

    FDA=アメリカ食品医薬品局の外部の専門家の委員会は6月15日、ファイザーとモデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、生後6か月から5歳未満への接種は「利益がリスクを上回る」とする結論をまとめました。FDAが緊急使用の許可を決定すれば、5歳未満が初めてワクチンの接種対象となります。

    アメリカでは現在、新型コロナウイルスワクチンの対象年齢は、ファイザーの「5歳以上」が最も低い年齢となっています。

    この対象年齢について、ファイザーは生後6か月から5歳未満に、モデルナも生後6か月から6歳未満に、それぞれ拡大するようFDAに申請していました。

    FDAは6月15日、外部の専門家の委員会を開いて検討を行い、この中で2社は、それぞれの臨床試験の結果を示したうえで、「十分な効果が得られ、健康への影響についても新たな懸念は見られなかった」などと説明しました。

    専門家からは、「子どもの重症化リスクが比較的、低い中、必要性を慎重に検討すべきだ」といった意見も出ましたが、「接種が可能になる選択肢は必要だ」として、最終的に全会一致で「接種による利益がリスクを上回る」とする結論をまとめ、FDAに対し対象年齢の拡大を推奨しました。

    ワクチンは、
    ▽ファイザーが大人の10分の1の量を3回、
    ▽モデルナが大人の4分の1の量を2回、
    それぞれ接種します。

    今回の結論を受けて、FDAが緊急使用の許可を決定すれば、アメリカでは5歳未満が初めて新型コロナウイルスワクチンの接種対象となります。

    松野官房長官「必要な手続きなされれば適切に対応」

    松野官房長官は、午後の記者会見で「5歳未満の子どもへのワクチン接種は今後、ファイザー社やモデルナ社より必要な薬事上の手続きがなされれば、厚生労働省で有効性や安全性を適切に確認するなどの対応がなされる」と述べました。

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    米の専門家委 ノババックスワクチンに “緊急使用許可を推奨”(6/8)

    2022年6月8日

    FDA=アメリカ食品医薬品局の外部の専門家の委員会は6月7日、製薬会社ノババックスの新型コロナウイルスワクチンについて「接種による利益はリスクを上回る」とする結論をまとめました。
    FDAが緊急使用の許可を決定すれば4種類目のワクチンになる見通しです。

    ノババックスの新型コロナウイルスワクチンは「組換えたんぱくワクチン」と呼ばれるワクチンで、日本ではすでに使用が承認されていますが、アメリカではまだ使用に向けた審査の段階です。

    FDAは6月7日、外部の専門家の委員会を開き、効果と安全性について詳しい検討を行いました。

    委員会では、臨床試験でワクチンを接種した人に心臓やその周りに炎症が起きる「心筋炎」や「心膜炎」の報告が6例あったことが報告されました。

    これについて会社側は、プラセボと呼ばれる偽の薬を接種した人でも心筋炎が報告されている例などをあげ「通常想定される頻度と同じ程度だ」としてワクチンが原因とは断定できず、安全性に重大な懸念はみられないとの見解を示しました。

    専門家からは今後も継続して調査が必要だという指摘が出されましたが「接種による利益はリスクを上回る」として賛成多数で、18歳以上に対しこのワクチンに緊急使用の許可を出すことを推奨しました。

    FDAが緊急使用の許可を決定すれば4種類目のワクチンになる見通しです。

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    モデルナ幹部 “オミクロン株対応ワクチン 秋にも供給したい(5/27)

    2022年5月27日

    新型コロナウイルスのmRNAワクチンを開発したアメリカの製薬会社、モデルナの幹部がNHKの単独インタビューに応じ、オミクロン株に対応したワクチンを、日本の「緊急承認」の制度を活用し、2022年秋にも供給できるようにしたいという考えを示しました。

    モデルナでCMO=最高医療責任者を務めるポール・バートン博士は、5月26日、東京都内でNHKの単独インタビューに応じました。

    この中で、バートンCMOは、オミクロン株と従来型のウイルスに対応したワクチンを開発していると説明し「データはあと2週間ほどで公開できる予定だ。効果がより高く、持続する期間は長くなり、オミクロン株にも効くという結果になると思っている」と述べました。

    そして日本への供給について「新たな『緊急承認』の制度を使うことを計画している。提出したデータを迅速に審査してもらえると考えている」と述べ、新たに設けられたワクチンなどを迅速に薬事承認できる「緊急承認」の制度を活用して、ことし秋にも供給できるようにしたいという考えを示しました。

    また、バートンCMOはmRNAの技術を生かして、欧米で報告が相次ぐサル痘のワクチンの開発を始めたことを明らかにしたほか、「日本は科学、医学の分野で世界のリーダーで、将来的に連携したい研究者が多くいる」と述べ、iPS細胞を開発した京都大学の山中伸弥教授など再生医療などで日本の研究者との連携を進める考えを示しました。

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    米ファウチ博士 “今後幅広い年代にワクチン追加接種が必要”(5/19)

    2022年5月19日

    アメリカ政府の新型コロナウイルス対策を主導してきたアンソニー・ファウチ博士は5月18日、NHKのインタビューに対し、2022年の秋以降に感染が拡大する事態に備え、より幅広い年代の人にワクチンの追加接種が必要になるという見方を示しました。

    バイデン政権の首席医療顧問として新型コロナウイルス対策に関わるファウチ博士は5月18日、NHKのインタビューに応じ「パンデミックの初期、死者が20万人に達する可能性があると警告した時には危険性を誇張していると批判されたが、誇張どころかその5倍を超える死者が出ることになってしまった」と述べ、アメリカにおける医療アクセスの格差やワクチンの接種が進まなかったことが100万人に上る死者につながったと述べました。

    一方、日本の新型コロナウイルス対策について
    ▽誰もが医療にアクセスできるシステムが整っていたことや
    ▽高いワクチンの接種率
    そして
    ▽多くの国民がマスクの着用などの対策に従ったことが
    死者数の抑制につながっていると評価しました。

    「秋以降 再び感染が拡大する可能性高い」

    そしてパンデミックの今後について「新型コロナウイルスを根絶させることはできないだろうが、社会を混乱させ生活に支障をきたすレベルでの共存を受け入れるべきではない」と述べ、ワクチンの接種や屋内でのマスクの着用など当面基本的な感染対策を続け、感染者数を抑えていく必要があると述べました。

    また複数の変異ウイルスに有効なワクチンなど次世代のワクチンの開発が進んでいるとしたうえで「2022年の秋以降、再び感染が拡大する可能性が高く、どのワクチンを追加接種に使うべきか臨床研究を進めている」として、今後より幅広い年代の人にもさらなるワクチンの追加接種が必要になるという見方を示しました。

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    岸田首相 アフリカに最大2億ドル支援表明 ワクチン生産強化へ(5/13)

    2022年5月13日

    岸田総理大臣は、新型コロナ対策に関する首脳級のオンライン会合にビデオメッセージを寄せ、途上国のワクチン生産能力の強化が重要だとして、アフリカに対し、新たに最大2億ドルの支援を行うことを表明しました。

    新型コロナ対策に関する首脳級のオンライン会合「新型コロナ・サミット」が、日本時間の5月12日夜開かれ岸田総理大臣はビデオメッセージを寄せました。

    この中で岸田総理大臣は「新型コロナがパンデミックと宣言されてから2年以上たつ今も、世界の至る所で人々の健康が脅かされ、経済社会の発展が阻まれている。このパンデミックを終えんさせよりよい健康安全保障を構築すべく、具体的な取り組みを加速させていかなければならない」と述べました。

    そして「日本は、ワクチンを分配する国際的な枠組み『COVAXファシリティ』に行う、最大5億ドルの追加支援を合わせて、およそ50億ドルの途上国支援を力強く実施していく」と述べ、引き続き、支援を行っていく考えを強調しました。

    そのうえで、岸田総理大臣は、途上国のワクチン生産能力の強化が重要だとして、アフリカに対し、JICA=国際協力機構を通じて新たに最大2億ドルの支援を行うことを表明しました。

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    モデルナ 生後6か月~6歳未満への緊急使用の許可 米FDAに申請(4/29)

    2022年4月29日

    アメリカの製薬会社モデルナは4月28日、新たに生後6か月から6歳未満の子どもを対象にした新型コロナウイルスワクチンの緊急使用の許可をFDA=アメリカ食品医薬品局に申請したと発表しました。

    モデルナは4月28日、生後6か月から6歳未満の子どもを対象にした新型コロナウイルスワクチンの臨床試験の結果、効果と安全性が確認されたとしてFDAにこの年代に対する緊急使用の許可を申請したと発表しました。

    この年代には18歳以上の大人の4分の1の量を2回、接種するとしています。

    モデルナによりますと、生後6か月から6歳未満の子どもおよそ6700人を対象にした臨床試験の結果、ワクチンを接種したあとウイルスの働きを抑える抗体の値は大人の場合と同じ程度に増加したということです。

    またオミクロン株がまん延している時に調べた感染を防ぐ効果は、生後6か月から2歳未満では51%、2歳以上から6歳未満では37%だったということです。

    安全性についても接種後の健康への影響は大人と同じ傾向がみられ、新たな懸念は示されなかったということです。

    モデルナのワクチンの接種についてはアメリカでは現在18歳以上は正式に承認され、それ以外の年代に対しても緊急使用の許可の申請が進んでいます。

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    ファイザー“追加接種対象 5~11歳にも拡大を” 米FDAに申請(4/27)

    2022年4月27日

    アメリカの製薬大手ファイザーは4月26日、新型コロナウイルスワクチンの追加の接種の対象を、5歳から11歳の子どもにも拡大するよう、FDA=アメリカ食品医薬品局に緊急使用の許可を申請しました。

    ファイザーのワクチンは、アメリカでは現在、12歳以上を対象に3回目となる追加の接種が行われていますが、ファイザーは4月26日に5歳から11歳の子どもでの追加接種の効果と安全性が確認できたとして、FDAにこの年代の子どもにも3回目の接種を可能にする緊急使用の許可を申請しました。

    ファイザーが、4月14日に発表した臨床試験の結果では、2回目の接種からおよそ6か月たった、5歳から11歳の子どもに3回目の接種を行ったところ、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値がおよそ6倍に増加したほか、オミクロン株に対しても効果を示したとしています。

    また安全性についても、新たな懸念は示されなかったということです。

    ファイザーは今後、EUの規制当局をはじめ各国でも使用の許可を求めていくとしています。

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    ワクチン4回接種の60歳以上はリスク低下 イスラエルのグループ(4/27)

    2022年4月27日

    新型コロナウイルスワクチンの接種を4回受けた60歳以上の人は、3回受けた人に比べ、入院するリスクが64%低下するという分析結果をイスラエルの研究グループが発表しました。

    イスラエルの研究グループは4月25日、イスラエルの保険制度を担う団体の1つ「クラリット」に加入する60歳以上の人を対象に、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンを4回接種した場合の効果について分析結果を発表しました。

    それによりますと3回目の接種を受けて少なくとも4か月以上たった60歳から100歳の人のうち2022年1月10日からの40日間に4回目の接種を受けた人は32万8000人余り、受けなかった人は23万4000人余りでした。

    これらの人で新型コロナウイルスに感染した人の症状の経過を比較したところ、4回目の接種を受けた人は3回接種した人に比べ入院するリスクが64%低下したほか、死亡するリスクは78%低下したということです。

    研究グループは「新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種はオミクロン株の流行中も高齢の人の入院や死亡のリスクを大幅に低下させる効果が示された」と結論づけています。

    この分析結果は4月25日付のイギリスの医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表されました。

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    新型コロナワクチン開発に貢献 ビオンテックのカリコ博士 来日(4/15)

    2022年4月15日

    新型コロナウイルスワクチンの開発に大きな貢献をしたドイツのバイオ企業、ビオンテックのカタリン・カリコ博士が来日し、4月14日、NHKの単独インタビューに応じました。
    カリコ博士はウイルスの感染拡大が続く中、今後はさまざまな変異ウイルスに対応できるワクチンが重要になるとして、次世代のワクチン開発を進めていることを明らかにしました。

    カリコ博士は人工的に作り出した遺伝物質、mRNAの医療への応用の道をひらき、ファイザーなどの新型コロナウイルスワクチンの開発に大きな貢献をしたことで世界的に知られる研究者です。

    優れた業績をあげた研究者に贈られる「日本国際賞」の授賞式のため来日していて4月14日、NHKのインタビューに応じました。

    この中でカリコ博士は、新型コロナウイルスのパンデミックについて、まだ終息の見通しはたっていないという認識を示したうえで「変異ウイルスが出現することでワクチンを接種しても再び感染してしまう。一生にわたって保護されるわけではないということがわかってきた」と述べ、これからはウイルスとどのように共存するかが大切になると指摘しました。

    またそのためには、次々と出現する変異ウイルスに対応できるワクチンの開発が重要になると指摘し「私たちは、さまざまなコロナウイルスに共通する部分を標的にしたワクチンの開発を試みており、いま動物実験を進めている。科学者として実現可能だと信じている」と述べ次世代のワクチン開発を進めていると明らかにしました。

    そして最後に、日本で科学者を目指す若い人たちにエールを送りたいと話し「自分の科学に集中すること。すべての時間を科学に費やし楽しんだとき、人々を助ける何かを作り、貢献することを目標にするべきだと気付く。私は40年間、何の賞ももらわなかったがそれでも幸せだった」と述べました。

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    クアッドの枠組みでコロナワクチン 初めてカンボジアに提供(4/13)

    2022年4月13日

    日本とアメリカ、オーストラリアそれにインドの4か国による枠組み、クアッドの取り組みの1つとして、新型コロナウイルスのワクチンが初めてカンボジアに提供されました。

    カンボジアの首都プノンペンでは4月12日、ワクチンの提供にあわせてフン・セン首相やクアッドの4か国の大使などが出席して、記念の式典が開かれました。

    この中でカンボジアに駐在するインドのコブラガディー大使は「クアッドはパートナー国にワクチンを提供し、支援することで責任を果たしていく」と述べ、インド太平洋地域でのワクチンの公平な分配に貢献する姿勢を強調しました。

    これに対しカンボジアのフン・セン首相は、4か国の取り組みに謝意を示しました。

    「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指すクアッドの4か国は2021年3月のオンライン形式の首脳会合で、協力して途上国などにワクチンを提供することで合意していて、今回はインドで製造された32万5000回分のワクチンが初めて提供されました。

    インド太平洋地域では、中国がいわゆる「ワクチン外交」を通じて影響力を強めようとしていると指摘されていて、クアッドによるワクチンの提供は、こうした動きに対抗するねらいがあるとみられます。

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    香港 ワクチン未接種高齢者の死亡リスク 2回以上接種の20倍(4/9)

    2022年4月9日

    オミクロン株の拡大で新型コロナウイルスの感染が急激に広がった香港で、ワクチンを接種をしていない60歳以上の人は2回以上接種した人に比べ死亡するリスクが20倍だったことがアメリカCDC=疾病対策センターと中国の保健当局の調査でわかりました。

    CDCと中国の保健当局は4月8日、2022年1月6日から3月21日までの間に香港での新型コロナウイルスの死者とワクチンの効果を分析した報告書を発表しました。

    この期間、香港で新型コロナウイルスに感染して死亡した人は5906人でしたが、このうちおよそ96%にあたる5655人が60歳以上でした。この年代で、ワクチンを1回も接種していない人が死亡するリスクは2回以上接種した人と比べ20倍だったということです。

    65歳以上の高齢者が人口のおよそ2割を占める香港ではオミクロン株の拡大で3月中旬には連日200人以上が死亡する事態となりました。

    香港では2021年12月23日の段階でワクチンを2回以上接種していた人の割合が
    ▼40歳代では84%、
    ▼50歳代では79%だったのに対し、
    ▼60歳以上では49%と低く、
    報告書では高齢者の接種率の低さが高い死亡率につながったと分析しています。

    CDCは分析の結果について「高齢者や、重症化リスクの高い人々でワクチン接種率を高めることの重要性を示している」とコメントしています。

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    アメリカ ファイザーとモデルナのワクチン 4回目接種許可発表(3/30)

    2022年3月30日

    アメリカのFDA=食品医薬品局は3月29日、アメリカのファイザーとモデルナの新型コロナウイルスワクチンについて、50歳以上を対象に4回目の接種を許可すると発表しました。

    ファイザーとモデルナのいわゆるmRNAワクチンは、2回の接種に加えて効果を高めるための追加の接種をすることで、オミクロン株に対しても、重症化や死亡を防ぐ効果を高い水準で維持していると考えられていますが、接種から時間がたつと、効果が低下する可能性が指摘されています。

    FDAは3月29日、両社のワクチンについて、最初の追加接種から4か月以上がたった50歳以上の人を対象に通算で4回目となる、2回目の追加接種を可能にするよう緊急使用の許可を改定したと発表しました。

    許可の理由についてFDAの専門家は「50歳以上では重症化リスクの増加につながる基礎疾患のある人が多い」としたうえで「イギリスやアジアの一部では再び感染の拡大が起きている。2回目の追加接種を可能にすることで人々がみずからを守る手段を提供するため」としています。

    このほかFDAは50歳未満でも、臓器移植を受けるなどして免疫不全の状態にある人に2回目の追加接種を許可しました。

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    モデルナ ワクチン4回目接種可能にするための許可をFDAに申請(3/18)

    2022年3月18日

    アメリカの製薬会社モデルナは3月17日、新型コロナウイルスワクチンの効果を維持するための4回目の接種について、緊急使用の許可をFDA=アメリカ食品医薬品局に申請したと発表しました。

    モデルナは3月17日、18歳以上を対象に、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種を可能にするよう、緊急使用の許可をFDAに申請したと発表しました。

    申請の理由については「高齢だったり基礎疾患があったりして、重症化リスクの高い人などへの4回目の接種を、保健当局が柔軟に判断できるようにするためだ」としています。

    モデルナやファイザーのいわゆるmRNAワクチンは、3回目の接種をすることで、オミクロン株に対しても、重症化や死亡を防ぐ効果を高い水準で維持していると考えられていますが、接種から時間がたつと効果が低下する可能性が指摘されていて、一部の国では、重症化リスクの高い人などに4回目の接種を行っています。

    ファイザーも3月15日に、65歳以上を対象にした4回目の接種の緊急使用の許可を申請していて、FDAは4月、専門家の委員会を開いて必要性や対象について検討することにしています。

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    ファイザー 65歳以上の4回目ワクチン接種 米FDAに緊急許可申請(3/16)

    2022年3月16日

    アメリカの製薬大手ファイザーは、65歳以上の高齢者に対し新型コロナウイルスワクチンの効果を維持するため、4回目の接種を可能にするよう、緊急使用の許可をFDA=アメリカ食品医薬品局に申請したと発表しました。

    ファイザーは3月15日、65歳以上の高齢者に対し新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種を可能にするよう、緊急使用の許可をFDAに申請したと発表しました。

    ファイザーによりますと、変異ウイルスのオミクロン株が流行している時期に、イスラエルで60歳以上を対象に4回目の接種の効果を分析した結果、重症化のリスクを減少する効果がみられたほか、別の研究でもウイルスの働きを弱める抗体の値が上昇する結果が得られたとして、「適切な効果を維持するために4回目の接種が必要になる場合がある」としています。

    ファイザーのワクチンは3回目の接種をすることで、オミクロン株に対しても重症化や死亡を防ぐ効果を高い水準で維持していると考えられていますが、接種から時間がたつと効果が低下する可能性が指摘されています。

    イスラエルなど一部の国では重症化リスクの高い人に対して4回目の接種を行っていますが、アメリカ政府の首席医療顧問を務めるファウチ博士は「4回目の接種については随時、データを監視し、推奨が必要かどうか判断する」として、慎重に検討していく考えを示しています。

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    米 新たなコロナ対策発表 ワクチン接種率向上や治療薬普及など(3/3)

    2022年3月3日

    アメリカ政府は3月2日、新たな新型コロナウイルス対策を発表し、治療薬の普及や変異ウイルスへの備えを進めることで、経済や社会の活動を止めずにこれまでの日常を取り戻していく方針を明確にしました。

    アメリカ政府は3月2日、新たな新型コロナウイルス対策を発表しました。

    バイデン政権で新型コロナウイルス対策調整官を務めるザイエンツ氏は会見で「新型コロナウイルスとのたたかいは新たな時を迎えた。われわれはこれまでの日常を取り戻すことを目指していく」と述べ、経済や社会の活動を止めずに日常生活を取り戻していく方針を明確にしました。

    発表された新たな対策では、子どもを含むすべての年代でのワクチンの接種率の向上やワクチンの製造規模の拡大を支援するとともに、ウイルス検査で陽性の場合はその場で無料で治療薬が手に入る仕組みを導入するとしています。

    そのうえで新たな変異ウイルスの出現を早期に検知するため、ウイルスの遺伝子を調べたり下水から感染拡大の状況を調べたりする態勢の拡充や、感染者が急速に増えた場合に医療機関の受け入れ能力を維持するための計画作りを進めるとしています。

    さらに感染が拡大しても経済活動や学校の運営に支障が出ないよう、換気設備の更新の支援や病気になったときの有給休暇制度の導入を目指すなどとしていて、今後、議会に対して実施のための予算を求めていくとしています。

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    ワクチン 時間経過で小児は感染予防効果低下か 米調査結果(3/2)

    2022年3月2日

    アメリカ・ニューヨーク州の保健当局などは、新型コロナウイルスワクチンの接種から時間がたつと、5歳から11歳の子どもでは感染を防ぐ効果が大幅に低下するとした調査結果を公開しました。

    ニューヨーク州の保健当局などの研究チームは2月28日、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した5歳から17歳の子どもに対する感染や入院を防ぐ効果を調べた結果を公開しました。

    それによりますと、感染を防ぐ効果は12歳から17歳はオミクロン株が主流となった2021年12月中旬の時点で66%、ことし1月下旬では51%と比較的小幅な低下にとどまった一方、5歳から11歳では同じ期間に68%から12%と大幅に低下したということです。

    研究チームは、5歳から11歳で感染を防ぐ効果が大幅に低下した理由について、接種するワクチンの成分の量が12歳以上の場合の3分の1と少ないことが影響している可能性があるとしています。

    また、入院を防ぐ効果は1月下旬の時点で12歳から17歳で73%、5歳から11歳で48%だったということですが、重症化する子どもの数が少ないため、正確な分析をするためにはデータが不足しているとしています。

    調査結果は第三者による検証を受ける前の段階のものですが、複数の専門家は今後、この年代の子どもに対し接種の成分の量を変更したり、追加の接種をしたりすることを検討すべきだとしています。

    CDC「入院防ぐ効果高い」引き続き接種を推奨

    アメリカCDC=疾病対策センターは3月1日、5歳から17歳の子どもについてファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果を調べた結果を発表しました。

    調査は2021年4月上旬から2022年1月下旬までにアメリカ各地の医療機関で新型コロナウイルスに感染して救急窓口で治療を受けたり入院したりしたおよそ4万人を対象に行われました。

    それによりますと2回の接種を完了した子どもでは、入院を防ぐ効果が、5歳から11歳で74%、12歳以上では接種の時期により73%から94%でした。

    CDCは「時間とともに効果が低下する傾向が見られるものの、入院を防ぐ効果は高い」として引き続きこの年代への接種を推奨しています。

    中山特任教授 効果減っても重症化防ぐ意義ある

    アメリカ・ニューヨーク州で、オミクロン株が広がった時期に5歳から11歳を対象にした新型コロナウイルスワクチンの効果が下がっていたという結果が出されたことについて、小児科の医師でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「ファイザーのワクチンは、11歳以下では12歳以上と比べて接種する量を3分の1にしている。11歳と12歳前後で体格はそれほど変わらないが、量を減らすと効果は下がり、免疫が持続する期間が短くなるのは想定されることだ」と述べました。

    その一方で、中山特任教授は「ワクチンの本来の目的は重症化を防ぐことで、入院を抑える効果は低くても50%程度と、それなりの効果が出ている。自然に感染してしまうよりもワクチンで免疫の記憶をつけたほうがいい」と述べ、接種の意義はあるとしています。

    そのうえで、子どもに接種する量をどう決めるのかは課題が残るとしていて「大人に接種する量と比べて、何を基準にどのくらい減らせばよいか検討することが必要だ。年齢だけでなく体格なども含めて考えるのか、量を減らすのはより低い年齢にするのかといったことを慎重に検討する必要がある」と話しています。

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    田辺三菱製薬 子会社が開発の新型コロナワクチン カナダで承認(2/25)

    2022年2月25日

    大阪に本社がある「田辺三菱製薬」は、カナダにある子会社が植物を使って開発した新型コロナウイルスのワクチンが現地で承認されたことを明らかにしました。

    会社は日本国内でも臨床試験を進めていて、早ければ2022年夏にも承認を求める申請を行いたいとしています。

    発表によりますと、田辺三菱製薬のカナダにある子会社「メディカゴ」がイギリスの製薬会社と共同で開発を進めてきた新型コロナのワクチンが2月24日、カナダ政府から承認されました。

    このワクチンは、成長が早いタバコ属の植物にウイルスの遺伝子を組み込み、葉の細胞からウイルスに似た形の粒子を抽出する手法で作られていて、2度から8度の温度で保存できるため、接種を行う医療機関などに運びやすいメリットがあるとしています。

    田辺三菱製薬は、日本国内でもこのワクチンの初期段階の臨床試験を進めていて、安全性などが確認できれば、海外で行われた最終段階の臨床試験の結果を加えて、早ければ2022年夏にも国内で承認を求める申請を行いたいとしています。

    新型コロナのワクチンを巡っては同じく大阪に本社がある塩野義製薬なども、実用化を目指して臨床試験を進めています。

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    WHO 途上国でワクチン製造担う技術者の研修拠点 韓国に開設へ(2/24)

    2022年2月24日

    新型コロナウイルスのワクチンの分配で、先進国と途上国の間で格差が生まれる中、WHO=世界保健機関は、途上国などでワクチンや医薬品の製造を担う技術者の研修拠点を韓国に開設すると発表し、将来のワクチン格差の解消に向けて人材の育成を進めたいとしています。

    新型コロナのワクチンをめぐっては、国内での製造能力がある先進国などで3回目の接種が進む中、途上国では1回も接種できていない人が多くいるなど、格差が広がっていて、WHOは、将来的には途上国自身が生産能力を身につけていくことが必要だとしています。

    WHOのテドロス事務局長は、2月23日の記者会見で「パンデミックの大きな教訓の一つは、低所得国と中所得国でのワクチン製造能力を早急に高める必要性だ」と述べ、さまざまなワクチンやがん治療に使う医薬品などの製造に向けて、途上国などの技術者を育成する研修拠点を韓国に開設すると発表しました。

    WHOによりますと、韓国政府から首都ソウル近郊にある研修施設の提供を受けたということで、今後、各国からの研修生を受け入れ、途上国で質の高い医薬品を製造できる人材の育成を進めたいとしています。

    WHOは2021年、新型コロナのワクチンの1つ「mRNAワクチン」の技術移転を行う拠点を南アフリカに開設するなど、途上国が医薬品の製造能力を高めるための取り組みを加速させています。

    韓国 ムン大統領「ワクチンの格差解消に寄与」

    韓国保健福祉省によりますと、2022年7月から370人の研修生を海外から受け入れ、研修を始める予定だということです。

    韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、自身のSNSにメッセージを掲載し「さまざまな国とワクチンに関する協力を強化し、世界的な危機の克服に取り組んでいることが評価された」と歓迎しました。

    そのうえで「われわれの経験とノウハウを積極的に国際社会と共有し、ワクチンの格差の解消に寄与していく」としています。

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    米 ノババックス コロナワクチンの緊急使用許可を申請(2/1)

    2022年2月1日

    アメリカの製薬会社ノババックスは、開発した新型コロナウイルスのワクチンについてFDA=アメリカ食品医薬品局に緊急使用の許可を申請しました。 認められれば、アメリカで使用できるワクチンとして4種類目となります。

    アメリカの製薬会社ノババックスは1月31日、開発した新型コロナウイルスワクチンについて、18歳以上を対象にした「緊急使用の許可」をFDAに申請したと発表しました。

    このワクチンは、「組換えたんぱくワクチン」という種類で、2度から8度という通常の冷蔵庫の温度で保存が可能なため管理しやすく、日本でも承認の申請が行われています。

    接種は、3週間の間隔を空けて2回で、アメリカなどでおよそ3万人を対象に行われた臨床試験では、発症を予防する効果が90.4%、中等症から重症を防ぐ効果は100%だったということです。

    ノババックスは、「今後も変異ウイルスへの効果の確認を続けるほか、効果を高めるための3回目の接種についても臨床試験を行っている」としています。

    FDAが緊急使用の許可を出せば、アメリカで使えるワクチンとしては、ファイザー、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンに次いで4種類目になります。

    このほか、新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては、FDAは1月31日、すでに緊急使用の許可を受けて使われているモデルナのワクチンについて、18歳以上への使用を正式に承認しました。

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    ファイザー オミクロン株対応ワクチンの臨床試験開始と発表(1/26)

    2022年1月26日

    アメリカの製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックは1月25日、変異ウイルスのオミクロン株に対応した新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を開始したと発表しました。

    ファイザーとビオンテックの発表によりますと、臨床試験は18歳から55歳のおよそ1400人を対象に行われます。

    オミクロン株に対応した新型ワクチンを
    ▽まだワクチンを接種していない人に3回、接種するほか、
    ▽すでに現在のワクチンを2回接種した人に追加で接種したり、
    ▽現在のワクチンの追加接種を終えた人に4回目として接種をしたりして、安全性や免疫の反応を調べます。

    WHO=世界保健機関の専門家は現在のワクチンには重症化や死亡を防ぐ十分な効果があり、現時点では変異ウイルスに対応したワクチンは必要ないという考えを示しています。

    ビオンテックのシャヒンCEOは「現在のワクチンはオミクロン株に対して感染や軽い症状を防ぐ効果が減少している。この臨床試験はこれまでの変異ウイルスに対するものと同じ程度の予防効果をもたらすとともに、効果の持続時間が長いワクチンを開発するためのものだ」とコメントしています。

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    オミクロン株 3回目接種で入院防ぐ効果90%に上昇 米CDC(1/23)

    2022年1月23日

    アメリカCDC=疾病対策センターは、ファイザーやモデルナの新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種によって入院を防ぐ効果がオミクロン株に対しても90%に上昇するという分析結果を公表しました。

    CDCは1月21日、ファイザーとモデルナの新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種の効果について、アメリカ各地の医療機関からのデータをもとに分析した結果を公表しました。

    それによりますと、2回目の接種から6か月以上たった場合、入院を防ぐ効果は、デルタ株が優勢だった時期に81%だった一方、オミクロン株が優勢になった時期には57%でした。

    しかし、3回目の接種のあとではデルタ株の時期は94%、オミクロン株の時期は90%に上昇したということです。

    ワクチンの追加接種を受けた人と比べ、受けていない人は入院する割合が大幅に高くなり、50歳から64歳で44倍、65歳以上で49倍になるという分析も合わせて公表しました。

    CDCのワレンスキー所長は「追加の接種を受けることで、新型コロナウイルスによる入院を防ぐ高い効果が得られると改めて示された。追加接種を受けられるのに受けていない人は一刻も早く接種してほしい」と呼びかけています。

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    アメリカ ワクチン接種対象外 4歳以下の子どもの入院率が増加(1/9)

    2022年1月9日

    新型コロナウイルスの感染者が再び急増しているアメリカで、まだワクチンの接種ができない4歳以下の子どもの入院率が増加しているとして、CDC=疾病対策センターのワレンスキー所長は、周囲の大人がワクチンを接種することで、子どもを感染や入院から守るよう呼びかけました。

    CDCのワレンスキー所長は1月7日、電話で会見し、アメリカで新型コロナウイルスの感染者が再び急増しているのに伴い「子どもの入院率がこれまでで最も高くなっている」とした上で、特にワクチン接種の対象年齢に達していない4歳以下の子どもで増加していると述べました。

    CDCの分析では、1月1日までの1週間での4歳以下の入院率は人口10万人あたり4.3人と、その前の週の2.6人から大きく増えています。

    ワレンスキー所長は「子どもを守る上で最も重要なのはワクチンだ。接種できる年齢の子どもはワクチンを接種するとともに、まだ接種できない年齢の子どもは周囲の大人がワクチンを接種することで守ってほしい」と呼びかけました。

    アメリカで新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した人は人口の62.5%と、先進国では低い水準にとどまっているほか、効果を高めるための追加接種もまだ36%の人しか終えていません。

    アメリカ政府は、ファイザーとモデルナのワクチンの3回目の接種までの間隔を5か月に短縮するほか、免疫不全の5歳から11歳の子どもにも追加接種を始めるなど対象を拡大して接種を進めようとしています。

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    アメリカFDA ファイザーのワクチン 3回目接種可能な年齢を拡大(1/4)

    2022年1月4日

    アメリカFDA=食品医薬品局は、製薬大手ファイザーの新型コロナウイルスワクチンについて、3回目の接種が可能な年齢を拡大したほか、2回目の接種との間隔を短縮しました。
    1日あたりの感染者の平均が30万人を超える中、アメリカ政府は対象の拡大などによってワクチンの追加接種を進めたい考えです。

    FDAは1月3日、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果を高めるための3回目の接種について、対象となる年齢をこれまでの16歳以上から12歳以上に拡大したと発表しました。

    また2回目の接種との間隔も、これまでの6か月から5か月に短縮しました。

    アメリカでは変異ウイルスのオミクロン株の拡大にともない感染者が急増していて、ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、1日あたりの感染者の1週間の平均は、1月2日の時点で36万3000人を超えています。

    感染者が特に多いニューヨーク州では入院する人が増加し、医療がひっ迫する懸念が高まっているほか、ニューヨーク市では公共交通機関の職員が不足してバスや地下鉄の運休が相次ぐなど市民生活にも影響が及んでいます。

    こうした中バイデン大統領は1月3日、ツイッターに「ワクチンと追加の接種を受けてほしい。それは愛国者としての責務だ」と投稿しました。

    アメリカ政府は対象の拡大や間隔の短縮によって、ワクチンの追加接種を進めたい考えです。

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    イスラエル 60歳以上など対象拡大し4回目のワクチン接種始まる(1/4)

    2022年1月4日

    新型コロナウイルスの感染者が急増している中東のイスラエルでは、60歳以上の人たちなどにも対象を拡大して4回目のワクチン接種が始まりました。

    イスラエルでは、2021年8月から3回目のワクチン接種が始まりましたが、政府は1月2日、これまで高齢者施設の入居者など、一部の人たちに限っていた4回目の接種について60歳以上の人たちや医療従事者などにも対象を拡大すると発表しました。

    これを受けてエルサレムの商業施設内に設置された接種会場には1月3日、多くの人が次々と訪れ、接種を受けていました。

    4回目の接種を受けた82歳の女性は、「感染状況が悪化していますが、趣味の水泳は続けるなど、できるだけ普通に暮らしたいので接種しました。政府や専門家が勧めているので不安はなかったです」と話していました。

    イスラエルでは、オミクロン株の感染拡大が続く中、1月2日に報告された一日当たりの新規感染者の数が6562人に上り、2021年9月以来初めて6000人を超えていて、各地で行われているPCR検査の会場にも長い列ができています。

    イスラエル政府は、感染した人のうちの半数以上を占めている30歳未満の若者へのワクチン接種を強く呼びかけるとともに、重症化のおそれがある高齢者に対しては4回目の接種を進めるなど、厳しい外出制限を設けることなく、感染対策を進めようとしています。

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