特別番組「いま あなたの不安は何ですか?」

3月16日(月)総合 午後7時30分~ 「新型コロナウイルス いま あなたの不安は何ですか?」
3月21日(土)総合 午前9時30分~ 「新型コロナウイルス 続・いま あなたの不安は何ですか?」

新型コロナウイルスに関する不安を多くの人が抱えています。「妊婦の重症化リスクは?」、「普通の風邪との見分け方は?」NHKでは3月16日(月)と21日(土)に、皆さんの疑問や不安の声に向き合う特別番組「いま あなたの不安は何ですか?」を放送しました。番組でお伝えした内容の一部です。(情報は3月16日時点となります。補足している情報もあります)

Q.
新型コロナウイルスの感染力は? 空気感染はするの?
A.

中国をはじめとする世界各国の感染の状況を分析すると、いわゆる「空気感染」は起こっていないと考えられていて、引き続き飛まつや接触が主な感染経路だと考えられています。

仮に、はしかなどと同じように空気感染すると想定すると、さらに多くの、そして大規模な感染が起こっていてもおかしくありませんが、日本国内の状況を見てもそうしたケースはありません。

ただ、国内の感染事例の分析から、新しいことも分かってきています。それは空気に動きがない、よどんだ場所で起こる感染です。これを「よどみ感染」と仮に名付けておきます。国内で起きた集団感染のほとんどが、この「よどみ感染」の可能性がありました。機密性の高い場所で、空気がよどんだ空間で起きた感染です。

逆にこうした「よどみ感染」以外では、感染は広がっても1人程度、80%は誰にも感染は広がっていませんでした。

一体なぜこうした感染が起こるのか。考えられているのは、ごく小さな飛まつを通じた感染です。およそ5㎛(マイクロメートル)程度の飛まつを「マイクロ飛まつ」と名付けます。このマイクロ飛まつが、せきやくしゃみ、それに場合によっては会話などで出てきていて、換気ができていないと、それを吸い込んで感染するのではないかということです。

実際に「マイクロ飛まつ」による「よどみ感染」が起きるのかどうかは、さらに研究が必要ですが、こうしたごく小さな飛まつによる感染は、インフルエンザでも特殊な環境では起こる可能性があると考えられてきました。今回、新型コロナウイルスでも、一定の環境が揃うとこうした感染が起こっている可能性があります。

「よどみ感染」は、その感染の広がり方を見ても、空気感染とは明らかに異なっています。ただ、従来の飛まつ感染よりも、さらに注意をして、「よどみ」を避ける必要が指摘されているのです。

なお、「エアロゾル」感染ということばが当初から指摘されていますが、エアロゾルということばは、さらに大きな飛まつまで含んだ幅広い概念であるため、区別するためにも「マイクロ飛まつ」と名付けています。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
普通の「かぜ」なのか、新型コロナウイルスに感染しているのか、どうやって判別すればいいのか?
A.

新型コロナウイルスに感染した場合の症状はさまざまで、多くの人が発熱やせき・くしゃみなどの症状を訴えていますが、こうした症状がほとんど出なかったという人もいて、一概に症状だけからは判断するのは難しいのが現状です。

一方で、重症化した人たちでは、強いだるさ(けん怠感)や胸の痛みなどの症状が出たという報告があります。また、これまで経験した普通のかぜとは明らかに違う感じがしたという声も聞かれます。

厚生労働省は、「帰国者・接触者相談センター」に相談する際の目安として、「一般の人は37.5度以上の発熱が4日間続いた場合(持病のある人は2日間)」としていますが、もし、普通のかぜと違う、強いけん怠感や胸の痛みなどがある場合は、4日間待たずにすぐセンターにご相談ください。

また、発熱しているのに4日間待たなくてはいけないの? という声もよく聞かれますが、この目安はセンターに相談する場合のものです。普通のかぜやインフルエンザが疑われる場合は、「4日間」とは関係なく、かかりつけの医療機関などに電話で相談し、適切な治療を受けてください。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
どんな人が重症化するのか?
A.

WHOと中国の共同調査によりますと、感染が確認された人の80%が軽症、13.8%が重症、6.1%が重篤となっていました。

中国の5万5924人の感染者を調査したところ、死亡したのは2114人で、全体の致死率は3.8%でした。

特徴としては、80歳を超えた感染者の致死率が21.9%と高くなっていました。

また、基礎疾患、持病のある人の致死率が高く、次のようになっています。

  • 心臓や血管などの循環器の病気がある人は13.2%
  • 糖尿病が9.2%
  • 高血圧が8.4%
  • 慢性の呼吸器の病気が8.0%
  • がんが7.6%

逆に子どもの感染例は少なく、症状も比較的軽いということで、19歳未満の感染者は全体の2.4%にとどまっていて、重症化したのはごくわずかでした。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
妊婦は重症になるリスクが高いのか?
A.

これまでのところ、妊婦が特に重症化のリスクが高いというデータは出ていません。これまで147人の感染した妊婦の調査では、8%が重症、1%が重篤となっています。

ただ、妊婦はもともと免疫が下がった状態にあることや、一般的に肺炎になった場合に重篤化しやすいということも知られています。

妊娠している人、妊娠を希望する人やその家族など周囲の人は、念のため予防対策を徹底する必要があります。

また、子どもについては、新生児も含めてこれまで中国で感染例が報告されていますが、重篤化したケースはごくわずかで、特に19歳未満では死亡したケースはほとんどありません。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
新型コロナウイルスとの闘いは、いつまで続くのか?
A.

しばらく我慢の時期で、長期戦を覚悟しておいたほうがいいと思います。

日本国内では、いま、各都道府県から感染者の報告が増えています。「集団感染」も、さまざまなところから報告されています。感染した人どうしの関係が追えているケースもたくさんありますが、実は追えていないケースもかなり出てきています。

一方、諸外国では、イタリアなどで感染のレベルがかなり高まっています。

こうした中、日本でも、先日の北海道がそうであったように、感染のスピードがふっと上がってしまうことが可能性としてはあります。

もちろんそうなれば、かなり強い対策を打って、一度は上がったものを下げるということは可能だと思います。

しかし、外国で感染が広がっている状況もある中、国内の感染を完全にゼロにすることはできません。

新たな感染者数がいったん減ったとしても、少し時期がたつと、また新たな感染者数の増加が起きる、ということが、繰り返される可能性がかなりありますので、この1~2か月で終息ということは考えられません。

しばらく我慢の時期、長期戦を覚悟しておいたほうがいいと思います。

(政府の専門家会議 尾身茂副座長)

Q.
ワクチンの開発状況は?
A.

現在、世界中でワクチンの開発が進められています。

mRNAを用いた物やDNAを用いたワクチン、遺伝子組み換えたんぱく質を用いたもの最新の技術が使われていて、すでに臨床試験を始めているものもあります。

また、従来、SARS用に研究が進められていたワクチンを活用できるのではという見方もあります。

こうしたことから従来のワクチン開発より、さらに短い期間でワクチンが実用化される可能性があります。

一方で、ワクチンは安全性が重要です。思わぬ副作用が出ないよう、慎重な治験が行われることになっていて、実際にワクチンが利用できるのは来年以降になる見通しです。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
マスクの生産体制はどうなっている? 不足はいつ解消する?
A.

残念ながら、マスクの品薄の状態はしばらく続きそうです。

国内のメーカーは24時間体制で通常の3倍の量を生産しています。輸入も増やしています。国は、国産・輸入あわせて月間6億枚を供給できるメドついたとしています。これで2月と比べて1億枚以上を上積みしています。それでも、需要が供給を大幅に上回っている状態です。

医療や介護の現場での不足に対しては、国が備蓄マスク(250万枚)を放出し、各都道府県を通じて配布を開始しています。とはいえ、まだ十分に行き渡ってはいないため、政府はさらに1500万枚を確保し、追加で配布する予定です。

(経済部デスク 横山善一)

Q.
マスクのネット上の取引は、いまどうなっている?
A.

マスクのネット上の取引については、3月15日から法律に基づいて転売が禁止されました。ネット上でのオークションサイト、フリマアプリでの個人間の取引も対象になっています。

こうした措置は、マスクの買い占めが品薄に拍車をかけているという指摘を受けて行われたもので、仕入れた価格より高値で売ることが禁止されています。マスクをほかの商品とあわせて売る「抱き合わせ販売」も禁止されています。違反した場合は、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられます。

ネットでの転売については、経済産業省や厚生労働省がサイトを運営する企業から情報提供を受けて、警察が摘発を担うことになっています。

ただ、ネット上では、実態としてマスクを販売しているのに、ほかの商品に見せかけて出品するケースも出てきているようです。詐欺にあうおそれもありますので、注意が必要です。

(経済部デスク 横山善一)

Q.
消毒用アルコールの生産体制はどうなっている?
A.

マスクと同じように、急激に需要が増えて、供給が追い付いていないのが実情です。

生産量は先月(2月)には、去年の1か月平均と比べて、1.8倍に増えてはいます。それでも足りないため、国は増産するメーカーに補助金を出して、増産を促しています。

消毒用アルコールも、より必要性が高い「医療・介護」の分野にできるだけ行き渡るようにすることが重要です。

(経済部デスク 横山善一)

Q.
新型コロナウイルスの影響で収入が減った場合、支援を受けられるのか? 相談先は?
A.

新型コロナウイルスの影響で仕事を休むことになった場合は、「雇用調整助成金」という制度が使える可能性があります。

この制度は、企業が従業員を解雇せずに、休業させて雇用調整し、休業手当等を支払った場合、その手当の一部(中小企業の場合:3分の2)を国が補助するものです。

企業への支援制度ですが、従業員にとっては休業手当が支払われることにつながります。パートなど非正規の従業員の方も、雇用保険に加入していれば対象となります。問い合わせ先は、各都道府県の労働局となります。

さらに、個人向けに、新たな支援策も設けられました。「緊急小口資金の特例」です。これは収入減少で一時的に生活のための資金が必要な場合、国から無利子でお金を借りることができるというものです。

原則、1世帯あたり10万円。学校等の休業が伴う場合は、20万円借りられます。相談や申し込みは、各市町村にある社会福祉協議会となります。(3月19日追記:「緊急小口資金等の特例」は3月19日にさらなる拡充が発表され、上限額が、学校の休校等に関わらず20万円になりました。)

フリーランスを対象にした支援策も設けられました。政府系金融機関から実質的に無利子・無担保で運転資金などを借りることができるというものです。この融資の上限はフリーランスの場合、3000万円となります。問い合わせ先は、各都道府県にある日本政策金融公庫などになります。

(経済部デスク 横山善一)

Q.
内定が取り消しになった場合、どうすればいいのか?
A.

学生側に落ち度がないのに、むやみに内定を取り消すことは、本来は認めらません。場合によっては、内定取り消しが無効になることや、企業側から補償が支払われることもあります。まずは在籍している大学の就職課やキャリアセンター、各地のハローワークに相談していただければと思います。

実際に内定が取り消された場合でも、社会全体で見れば、採用意欲が高い企業はたくさんあります。この春に入社する新入社員を募集している会社もまだあります。

(経済部デスク 横山善一)

Q.
株価はどうなる? リーマンショックの再来か?
A.

人やモノの動きが停滞し、すでに幅広い分野でたくさんの人が影響を受けています。2008年のリーマンショックの時は株価が急落し、日本を含めて世界的に景気が悪化しました。この時は、金融危機=金融機関の破綻が発端で、いわゆる貸し渋りが相次いで、おカネの流れが目詰まりしてしまいました。回復にも非常に長い時間がかかりました。それに比べて今回は、現時点では金融機関の破綻が相次ぐように状況ではありません。

ですから、感染拡大が終息すれば、人もモノも動き出します。一旦動き始めれば、潤沢なおカネの流れを追い風にすることができるはずです。

ただし、感染拡大が長引くと、倒産や失業が増えてしまい、それが金融不安にもつながり、立ち直りに時間がかかってしまうことになります。

そうならないようにするため、3月16日、日銀が追加の金融緩和を決めたほか、政府も経済対策の検討を始めています。今後打ち出される対策が極めて重要になります。

Q.
満員電車で感染することは? 注意点は?
A.

新型コロナウイルスの感染が起きるリスクが高いと考えられるのは、人混み、換気のない閉鎖空間、おしゃべりです。満員電車ではあまりおしゃべりはしないでしょうから、その点では少しリスクは下がります。また、駅に着く度にドアが開きますので、ある程度の換気もなされているとも考えられます。

ただし、注意すべき点としては、混雑した車内でおしゃべりしないこと。また、吊革や手すりなど不特定多数の人が触れる場所に触ったときは、電車を降りたあと、石けんでよく手を洗うか、アルコールなどで手を消毒していただきたいと思います。

(東北医科薬科大学 賀来満夫特任教授)

Q.
風通しのよいオープンスペースの利用まで制限しなくてはならないの?
A.

屋外は、風が吹くなどして空気が常に流れており、密閉空間ではないので、環境としては感染リスクは高くないと思います。

ただ、屋外でも人と人が近い距離でおしゃべりをするような状況では、若干リスクが上がるかと思われます。そうでなければ、過度に心配する必要はないかと思います。

また、お花見などでみんなで集まってお弁当を食べるようなときは、お互いに少し距離をとること。また、具合が悪い方は参加しないということでかなりリスクは減らせると思います。

(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネージャー 坂本史衣さん)

Q.
バラ売りの野菜を生で食べて大丈夫なのか?
A.

食品から新型コロナウイルスに感染するということは、いまのところは考えにくいと言われています。

中国では、市場で何らかの動物を介して感染したかもしれないという仮説がありますが、実際にそこで買ったものを食べて、という経路では感染していません。

ですので、スーパーで売っている、ふつうに衛生管理された食品を食べることに、あまり心配はしなくていいと思います。いつもどおり洗って食べるということでいいと思います。

(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネージャー 坂本史衣さん)

Q.
プールやお風呂で感染する可能性は?
A.

プールもお風呂も、水から感染するということは、あまり考えなくていいと思います。

もし水の中にウイルスが混入していたとしても、密度が薄まってしまいますので、プールで泳ぐこと、お風呂に入ること自体は心配しなくていいと思います。

ただ、施設のロッカールームなどで、不特定多数の方がよくさわるような場所に触れた場合は、その手で顔や口・鼻・目などに触れないようにし、手をよく洗うことが大事です。

(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネージャー 坂本史衣さん)

Q.
温泉や旅行に出かけるのは大丈夫?
A.

多くの方が心配されていることのひとつは、新幹線や飛行機などの移動手段だと思います。

車内や機内は、たしかに屋外よりは空気が流れにくいことは考えられますが、その中でたくさんの人が騒いでいるかというとそうではないと思います。静かに乗っていて、ある程度、人と人との距離もある状況であれば、飛行機や新幹線の中で感染してしまうことは、あまり過度に心配しなくていいと思います。

ただ、旅行自体は大丈夫でも、旅行先などで、密閉空間の中で宴会が行われるなど、集団感染のリスクが高いとされる状況になる可能性があります。そういう状況にならないように注意が必要です。

(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネージャー 坂本史衣さん / 科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
歯医者さんで感染する心配は?
A.

日本歯科医師会に確認したところ、発熱やせきなどの症状のない人については、歯科医院ではさまざまな感染防御の対策をしているので、通常どおりに受診をしてほしいということです。

症状がある人については、基本的には受診を控えてもらうことになるかもしれません。

ただ、歯科の分野でも、緊急に治療が必要なケースや、中には放置しておくと命に関わるようなケースもあるので、まずはかかりつけの医師に相談をしてほしいということです。

(科学文化部デスク 藤原淳登)

Q.
スマートフォンは家でも外でも使うが、どう消毒をすればよいか?
A.

消毒用のアルコールがない場合は、家庭用の中性洗剤5ccから10ccくらいを1リットルの水で薄め、その水につけた布巾を固く絞って拭く、ということで良いと思います。

(聖路加国際病院 QIセンター感染管理室 マネージャー 坂本史衣さん)