パンデミック表明から半年
致死率は? 重症化は?

2020年9月11日

“謎の新型肺炎”として始まった新型コロナウイルス。この半年で、ウイルスについて多くのことが分かってきました。

致死率や重症者の傾向は

ことし3月、新型コロナウイルスについての知見の多くは、最も早く流行が起こった中国からの報告でした。

ことし2月末、WHOと中国当局の専門家が感染が確認されたおよそ5万6000人のデータを分析しました。

この中で、特に注目を集めたデータの1つが感染者のうち亡くなる人の割合=致死率です。このとき示された全体の致死率は3.8%でした。

中でも当時、最も多くの感染者が確認されていた湖北省武漢では5.8%と高く、その他の地域では0.7%と大きな差が出ていました。

また、80歳を超えた感染者の致死率は21.9%とされ、感染者の5人に1人が亡くなっているという結果となりました。

では日本はどうなっているのでしょうか? 9月、国立感染症研究所が国内のデータを分析し、「調整致命率」として現時点のデータから分かる致死率を公表しました。

ことし5月末までの1か月間をみると「調整致命率」は全体では7.2%でした。

条件が異なるため単純に比較はできませんが、数値だけ見れば2月時点の中国・武漢よりも高くなっています。

年代別に見ていくと高齢になるほど高くなっています。

  • 60代まで 1.3%
  • 70代以上 25.5%

この傾向は2月にWHOが公表したデータと同じです。

ところが、ことし8月の1か月間のデータを分析すると致死率は大きく下がっていました。

  • 全体 0.9%
  • 60代まで 0.2%
  • 70代以上 8.1%

この致死率の大幅な低下、どのように考えればよいのでしょうか。

国立感染症研究所では、国内で流行が起きた当初は、症状の重い人の診断が優先されていたため、致死率が高くなる傾向があり、その後、検査の数が増え、軽症の人や無症状の感染者が多く診断されるようになったことで、亡くなる人の割合が下がったことが主な要因だとみています。

現時点ではウイルスの毒性が弱くなったなどの変化は確認されていないということです。

最新の分析による数値が実際の致死率に近づいてきているとみられます。

致死率の低下には治療法の改善も

致死率が下がった理由はほかにもあると考えられています。治療法の改善です。

半年前は、新型コロナウイルスは、肺炎をどう治療するか、突然呼吸不全に陥る「ARDS」と呼ばれる症状にどう対処するかがポイントとなっていました。

その後の研究で、重症化するメカニズムとして新たに注目されるようになったのが「血栓」と「サイトカインストーム」です。

新型コロナウイルスに感染すると小さな血液の塊=血栓ができやすくなり、さまざまな臓器の血管が詰まることで心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしている可能性が見えてきたのです。

また、感染によって「免疫」が暴走して自分自身の体を攻撃するのが「サイトカインストーム」です。

これまでも新しい感染症が出てくるとこのサイトカインストームが起こる可能性は指摘されていましたが、今回の新型コロナウイルスでは、このサイトカインストームで多臓器不全などになったとみられるケースが少なくないことが分かってきています。

この半年間で明らかになってきた重症化のメカニズムはすでに新しい治療法に活用され、亡くなる人を減らすことにつながったと考えられています。