新型コロナウイルス・
変異ウイルスの特徴は?

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    「川崎病」のような症状出た子ども 新型コロナ関連で複数報告(2/25)

    2021年2月25日

    新型コロナウイルスに関連して、全身の血管に炎症が起きる「川崎病」のような症状が出た子どもが国内で複数、報告されていたことがわかりました。いずれも回復しているということで、日本小児科学会などでは「過度の心配は必要ないものの子どもが感染した場合などは数週間は注意してほしい」と呼びかけています。

    これは日本小児科学会が学会のウェブサイトに日本川崎病学会と共同の文書を掲載して明らかにしました。

    それによりますと、これまでに数は少ないものの国内で新型コロナウイルスに関連して「川崎病」に似た症状などが出た子どもが複数、報告されているということです。

    これらの症例は川崎病とは違い欧米で新型コロナウイルスが広がったあとに相次いで報告された「小児多系統炎症性症候群」とみられ、下痢や発熱、それに発疹などの症状が特徴だということです。

    いずれも治療によって回復したということです。

    学会の関係者などによりますと、症状が出た子どもは新型コロナウイルスに感染していたか、濃厚接触者だったとみられるということで、学会で詳しく調べているということです。

    2つの学会では、過度な心配は不要だとしたうえで、子どもが新型コロナウイルスに感染した場合や家族などに感染者がいる場合は、数週間は子どもの下痢や発熱、発疹などの症状に注意してほしいと呼びかけています。

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    WHO 新型コロナ変異ウイルスは「100超の国や地域に拡大」(2/24)

    2021年2月24日

    WHO=世界保健機関は、新型コロナウイルスの感染が新たに確認された人の数は、世界全体で引き続き減少傾向にある一方、変異ウイルスは100を超える国や地域に拡大しているとする報告書を2月23日に公表しました。

    報告書によりますと、2月15日から21日までの1週間に報告された感染者の数は世界全体で245万7026人と前の週に比べて11%減り、6週連続で前の週を下回りました。

    新たな感染者の数が1週間の合計で最も多かったのは、
    ▽アメリカで48万467人と前の週に比べて29%の減少、
    ▽次いでブラジルで31万6221人と1%の減少となりました。

    1週間の新たな感染者数はヨーロッパ全体でも前の週に比べて減少となりましたが、フランスでは13万1179人と前の週に比べて3%増えました。

    また世界全体で、この1週間に亡くなった人の数は6万6359人と前の週に比べて20%減り、3週連続で前の週を下回りました。

    一方、変異ウイルスの報告があった国や地域の数は、
    ▽イギリスで最初に確認された変異ウイルスでは、前の週に比べて7つ増え101
    ▽南アフリカで最初に確認された別の変異ウイルスでは、前の週に比べて5つ増え51
    ▽ブラジルや日本で確認された別の変異ウイルスでは、前の週に比べて8つ増え29となりました。

    WHOは、感染対策によって新たな感染者数は引き続き減少傾向にある一方、変異ウイルスの拡大は続いているとして警戒を続けるよう呼びかけています。

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    変異ウイルス 全国で5人感染確認 海外滞在歴なし 大阪府でも初(2/22)

    2021年2月22日

    イギリスで感染が広がっている変異した新型コロナウイルスに、海外で滞在歴のない全国の男女5人が感染していたことが新たにわかりました。大阪府では初めて感染が確認されています。

    厚生労働省によりますと、変異ウイルスへの感染が新たに確認されたのは、▽大阪府の10代の男性2人と40代の女性1人、それに▽京都府の年代が公表されていない男女2人です。

    大阪府で検疫の検査以外で変異ウイルスの感染が確認されたのは初めてで3人は濃厚接触者だということです。

    5人とも海外での滞在歴はなく、厚生労働省が感染経路を調べています。

    これで国内で変異ウイルスへの感染が確認されたのは、空港の検疫も含めて合わせて178人となりました。

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    WHO コロナのウイルス発生源 “より詳しい分析・研究が必要”(2/13)

    2021年2月13日

    WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、新型コロナウイルスの発生源などの解明に向けて中国・武漢で行った調査について「すべての仮説に答えはまだ出ていない」と述べ、より詳しい分析や研究が必要だという考えを示しました。

    日本を含む各国の専門家で作るWHOの調査チームは、1月29日から2月10日まで調査のために武漢を訪れ、感染拡大の初期に多くの患者が確認された海鮮市場やコウモリのコロナウイルスの研究で知られ、アメリカのトランプ前政権がウイルスが流出した可能性があると主張していた「武漢ウイルス研究所」などを視察しました。

    WHOのテドロス事務局長は、2月12日の定例の記者会見で、調査チームが現在、調査の結果をまとめているとしたうえで、来週には概要を発表したいと述べました。

    一方で、テドロス事務局長は「発生源に関するすべての仮説に答えはまだ出ていない」と述べ、より詳しい分析や研究が必要だという考えを示しました。

    会見には、調査チームを率いるWHOのベンエンバレク氏も出席し、「2019年12月に海鮮市場で何が起きていたのかなど、より理解を深めることができた」と述べて、成果を強調する一方、「ウイルスの発生源を特定するにはまだ程遠い」と述べました。

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    “変異ウイルス3種類の感染 世界で拡大” WHOが報告書(2/11)

    2021年2月11日

    WHO=世界保健機関はイギリスで確認された変異した新型コロナウイルスなど3種類の変異ウイルスの感染が世界で拡大し、ウイルスを攻撃する抗体から逃れる変異も共通して確認されるようになっているとして、感染対策を徹底することが重要だとする報告書を公表しました。

    報告書によりますと、イギリスで最初に報告された変異ウイルスは2月9日の時点で、先週に比べて8か国多い83の国や地域で確認されたということです。

    また南アフリカで最初に報告された別の変異ウイルスも先週に比べて3か国多い37の国や地域で、ブラジルや日本で報告された別の変異ウイルスも先週に比べて4か国多い14の国や地域でそれぞれ確認されたということです。

    さらにウイルスを攻撃する抗体から逃れる「逃避変異」と呼ばれる変異が、南アフリカの変異ウイルスとブラジルの変異ウイルスに続いて、イギリスの変異ウイルスでも確認されるようになっていると指摘しています。

    この変異はワクチンの効果に影響を与えるおそれがあることから、報告書はワクチンへの影響などを調べるとともに、感染対策を徹底することが重要だとしています。

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    変異ウイルス “市中拡大見られずも監視続ける必要”(2/10)

    2021年2月10日

    感染力が高いとされる変異した新型コロナウイルス。クラスターとみられる感染が新たに確認されています。

    2月9日、イギリスと南アフリカで感染が広がっている変異した新型コロナウイルスに、全国で合わせて13人が感染していたことがわかりました。

    このうち9つの県に住む20代から50代の11人は、いずれも同じ施設を利用した職場の関係者で、海外に滞在歴はないということです。

    このほか、神奈川県では海外に滞在歴がない40代と50代の男女から南アフリカで感染が広がっている変異ウイルスが検出されました。

    変異ウイルスは、2月10日までに、空港の検疫で43例、検疫以外では65例の合わせて108例見つかっていて国内で感染が拡大することが懸念されています。

    変異ウイルスとは

    多くのウイルスは、感染を繰り返すうちに遺伝情報にごく小さな変異が起こります。新型コロナウイルスでは、2週間に1か所ほどのペースで小さな変異が起こることがこれまでの研究で分かっています。

    ただ、こうした変異はほとんどの場合、ウイルスの性質には影響がありません。

    しかし、▼イギリスで確認された変異ウイルスと▼南アフリカで広がった変異ウイルス、それに▼ブラジルから見つかった変異ウイルスはいずれも変異によってウイルスの性質が変化していると考えられています。

    この3つに共通しているのは新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際の足場となる「スパイクたんぱく質」の遺伝情報に「N501Y」と呼ばれる変異が起こり、アミノ酸が変化していることです。

    イギリスからの報告ではこの変化によって感染のしやすさが最大70%程度高くなっているおそれがあるとされています。

    また、最近、注目されているのはこれとは別の変異です。

    ▼南アフリカで見つかった変異ウイルスと▼ブラジルから見つかった変異ウイルスでは、「E484K」と呼ばれる変異が確認されています。

    この「E484K」の変異があるとウイルスが抗体の攻撃から逃れやすくなると考えられていて、細胞を使った実験でも抗体の効果が弱まったという報告があります。

    こうしたことから、▼現在、使われているワクチンの効果に影響が出ないかや▼1度感染した人が再び感染するおそれがあるのではないかなどの懸念が出てきています。

    ヒトの免疫は抗体だけで決まるわけではない上にワクチンの効果は発症を抑えるだけで無く、重症化を防ぐことも期待されていることなどから影響については、現在、詳しい調査や研究が進められています。

    変異ウイルス検出の流れ

    変異ウイルスの検出は、国立感染症研究所でウイルスの遺伝子をすべて解読する方法で行われていましたが、国立感染症研究所はPCR検査で変異ウイルスを特異的に迅速に検出する手法を開発し、いまでは各地の地方衛生研究所でこの手法での検査が行われるようになってきています。

    各地の地方衛生研究所では、通常の検査で新型コロナウイルスの陽性が確認された検体のうち、一定の割合を抽出して変異ウイルスを迅速に検出するためのPCR検査を行っていて、変異ウイルスの可能性があることが分かった場合には、検体を国立感染症研究所に送って確定させる流れになっています。

    こうした中で、東京都では1月29日までにPCR検査などで新型コロナウイルスの感染が確認された1710人分の検体について調べた結果、変異ウイルスが検出されたのは2人分の検体で、一部にとどまり感染の主流にはなっていないと見られます。

    専門家“市中での広がりは見られない 一方で監視を続ける必要”

    国立感染症研究所の脇田隆字所長は2月9日夜の記者会見で、「いま変異株が各地で検出されているが、ほとんどのケースで感染の経路は追えている。変異株に感染した人とつながりがない状況で、市中で変異株に感染するという状況にはないと考えている」と話し、現時点では市中での広がりは見られないという見解を示す一方、感染が拡大するおそれはあり、監視を続ける必要があるとしています。

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    新型コロナ 抗体保有の割合 5都府県すべてで1%下回る(2/5)

    2021年2月5日

    新型コロナウイルスに感染して抗体を保有している人の割合について厚生労働省が、2020年12月に東京都や大阪府など5つの都府県で調査した結果、いずれも1%を下回ったことが分かりました。厚生労働省は「大半の人はまだ抗体を保有しておらず、引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

    新型コロナウイルスに感染すると「抗体」と呼ばれるたんぱく質が体内で作られるため血液を検査することで過去に感染していたかどうか調べることができます。

    厚生労働省は、感染の広がりを判断する目安にしようと、2020年6月に東京都と大阪府、宮城県で抗体検査を実施し、2021年2月5日、愛知県と福岡県を加えた2回目の検査の結果を公表しました。

    調査は、2020年12月14日から25日にかけて希望者から無作為に抽出した20歳以上の男女など合わせておよそ1万5000人を対象に行われ、抗体を保有していた人の割合は
    ▼東京都が0.91%、
    ▼大阪府は0.58%、
    ▼愛知県は0.54%、
    ▼福岡県は0.19%、
    ▼宮城県は0.14%でした。

    このうち東京都は、今回から希望者を募ったうえで調査をした結果、前回を0.81ポイント上回りました。

    また、前回と同じ方法で調査した
    ▼大阪府が0.41ポイント、
    ▼宮城県は0.11ポイントそれぞれ増加しましたが、
    調査が行われた5都府県すべてで依然として1%を下回っています。

    厚生労働省は「大半の人が抗体を保有していないことが明らかになった。感染した人でも抗体がなくなっている可能性もあり、引き続き感染対策を徹底してほしい」としています。

    田村厚労相“『集団免疫がある』という話では全然ない”

    田村厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「自治体ごとに、かなりばらつきが出ているが、いずれの自治体も抗体保有率は1%足らずなので『多くの人が新型コロナウイルスにかかり、集団免疫がある』という話では全然ない。引き続き感染防止に向けて、各地でそれぞれの人たちが努力してもらわないといけない」と述べました。

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    英国の変異ウイルス 69の国・地域で確認 WHO公表(1/28)

    2021年1月28日

    イギリスで最初に確認された新型コロナウイルスの変異ウイルスは、これまでに世界の69の国や地域で確認されているほか、南アフリカと南米のブラジルでそれぞれ確認された別の2つの変異ウイルスも確認が相次いでいるとする報告書を、WHO=世界保健機関が公表しました。

    報告書によりますと、イギリスで最初に確認された変異ウイルスは、今月25日の時点で、日本を含むアジアや欧米、それに中東など世界の合わせて69の国や地域で確認されているということです。

    また、南アフリカで確認された別の変異ウイルスは、日本や中国、オーストラリア、イギリス、フランス、カナダなど25の国や地域で確認されているほか、6つの国や地域で確認中だということです。

    さらに、日本やブラジルで確認された、これら2つとは別の変異ウイルスは、アメリカやイギリス、イタリアなど8つの国や地域で確認されているということです。

    ワクチンの効果などに関する研究は各国で進められている最中で、WHOは、手洗いや人混みを避けること、それにマスクの着用などの対応や、国や地域で取り組む感染対策の徹底が重要だと指摘しています。

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    変異ウイルス 最新情報は?WHO担当者に聞く(1/22)

    2021年1月22日

    イギリスで最初に確認され、1月17日時点で日本も含めて58の国と地域で確認されている新型コロナウイルスの変異ウイルス。従来のウイルスとの違いは?ワクチンは効くのか?
    WHO=世界保健機関のヨーロッパ地域事務局で変異ウイルスの対応にあたっているリチャード・ペボディ博士に話を聞きました。
    (欧州総局記者 古山彰子)

    北欧のデンマークにあるWHOヨーロッパ地域事務局で変異ウイルスの対応にあたっているリチャード・ペボディ博士は、イングランド公衆衛生庁に勤めたあと、2019年からWHOヨーロッパ地域事務局で、高脅威病原体(high threat pathogen)、危険性の高い病原体の対応にあたるチームリーダーを務めています。

    今わかっていることは

    (記者)
    WHOでは、変異ウイルスについて、これまで何がわかっていて、何がわかっていないんでしょうか?1月15日時点の最新の情報を教えてください。

    (ペボディ博士)
    世界では今、複数の変異ウイルスが確認されています。ここでは、変異ウイルスとして世界でいちばん初めにイギリスで検出され、今は世界各地で確認されている変異ウイルスについて話します。

    イギリスがこのウイルスを、去年12月に世界で初めて検出しました。それなので、私たちはまだどんな懸念があるのか日々学んでいるところです。

    今すでにわかっていることは、この変異ウイルスは従来のウイルスに比べて速く感染が広がるという証拠が集まっていることです。

    イギリスでは去年12月の数週間で感染が見られるようになり、1月には変異ウイルスの感染者の方が多くなりました。

    症状の重さについては、つまり、入院したり死亡したりする可能性については、従来のウイルスとの違いが見られません。可能性が高いこともなければ、低いこともないんです。

    イギリスでは感染者自体が増えているので、より多くの人が入院し、死者も増えています。

    (ペボディ博士)
    南アフリカで検出された変異ウイルスは、イギリスとは異なるものです。

    ただ、イギリスでも、南アフリカで検出された変異ウイルスが確認されています。確認されたのはとりわけ、南アフリカから旅行してきた人と関係のある人たちからです。

    日本について言えば、南アメリカから来たであろうウイルスが見つかっています。

    これらのウイルスはすでに世界の複数の場所で確認されていますし、とても簡単に、速く感染が広がります。すべての国は、速やかに措置をとれるようにウイルスをいち早く検出できるシステムを持ち続け、感染を抑えていかなければなりません。

    これまでに変異ウイルスを検出し報告した国々は、高度な監視システムを持ち、ウイルスを検出できているのです。きちんと報告し、正しいことをしているのです。

    ほかの変異ウイルスもすでに広がっているのに私たちが気付いていないだけ、ということは、十分あり得ますし、そうなんだと思います。

    予防対策は

    (記者)
    変異ウイルスに感染しないためにはどのような対策が必要ですか?。

    (ペボディ博士)
    従来のウイルス対策と同じで、その対策が、これまで以上に大切になってきています。

    人との間に距離をとること、マスクを着けること、手を洗うこと、これらの対策すべてが、変異ウイルスであっても従来のウイルスであっても、感染が広がるのを防ぐことにつながります。

    感染が広がりやすくなっているということはつまり、これらの対策を一段と徹底しなければいけないということです。とても大切なことです。

    各国は、感染状況に応じて措置をとる必要がありますし、感染状況が深刻な国では、より強化された対策が必要です。

    (記者)
    必要以上に心配する前に、手洗いなど、できることをすべきということですね。

    (ペボディ博士)
    WHOや各国がすべきたとこれまで言ってきた対策を続けるべきです。手をしっかりと洗うこと、人と接するときはマスクをすること、人との間に距離を取ること。これらすべてが、ウイルスが広がる可能性を少なくするのに、大切なんです。

    体調が悪くなったら、家で過ごすこと。感染した疑いのある人は検査を受けること。もし感染が確認されたら、隔離すること、変異ウイルスであっても従来のウイルスであっても、これらすべてが大切なんです。

    ワクチンの効果への影響は

    (記者)
    ワクチンは、変異ウイルスにも効果がありますか?。

    (ペボディ博士)
    それに関するデータはまだ見ていません。データを待っているところです。ワクチンが、変異ウイルスにも効果があるかどうか、効果があったとしてもより限定的な効果になるのか、今まさに研究が進められています。

    まだ研究の途中ですが、感触としては、少なくとも現段階で理論上は、ワクチンが変異ウイルスに効かないという根拠はありません。研究結果を見なければいけませんが、従来のウイルスに対しては、臨床試験の結果を見るとワクチンは効果があるので、ほかのどんな変異ウイルスに対しても予防の効果があると予想しています。

    それでもやはり、研究結果を見て、本当に効果があるのか、確認しなければならないので、もう少し待ってみましょう。

    (記者)
    各国は今の段階では、ワクチンの接種計画を変える必要がないということですね。

    (ペボディ博士)
    もちろんです。変異ウイルスが検出されたからと言って、今のワクチン接種計画を変える必要は全くありません。

    年齢による感染のしやすさは

    (記者)
    変異ウイルスは、若い人が感染しやすいという情報もありますが?。

    (ペボディ博士)
    大切な質問ですね。少なくともイギリスの証拠からすれば、今のところ、すべての年齢層で感染が広がりやすいです。若い人も、大人もです。年齢によって、感染しやすい、しにくいということはなく、すべての人が感染しやすいんです。

    だから、これまでの対策の内容を変えるのではなくて、今までの対策を強化する必要があるんです。

    休校という措置もありますね。今の対策のレベルでは感染を抑えきれていないのであれば、休校の措置を取るという方法もあるんです。でも大切なのは、子どものほうが感染しやすいという根拠はないということ。子どもも大人も同じです。

    これからワクチン接種を始める国へ

    (記者)
    日本のように、まだワクチン接種が始まっていない国に対して、アドバイスはありますか。

    (ペボディ博士)
    変異ウイルスに関係なく、ワクチン接種はとても大切です。ワクチン接種は、重症化するリスクのある人たちを守る重要な追加的な要素ですね。だからこそ、各国でワクチン接種が始まっているわけです。

    今、各国では、感染すると重症化しやすい人、死に至るリスクの高い人たち、特にお年寄りや高齢者施設の人たちを中心に接種を始めています。そして、医療従事者に対しても始まっています。彼らを守り、保健システムをもたせるために。各国は、誰を優先すべきなのか、見極め、接種を進めていく必要があると考えています。

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    米ファウチ博士 “変異ウイルスにワクチン 一定程度の有効性”(1/22)

    2021年1月22日

    アメリカ政府の新型コロナウイルス対策に関わるファウチ博士は、1月21日に開かれた記者会見で、イギリスなどで見つかっている変異したウイルスに対して、ワクチンの有効性は一定程度保たれているとの見方を示したうえで、ワクチン接種のペースを速めることが重要だと訴えました。

    アメリカのバイデン政権で首席医療顧問として新型コロナウイルス対策に関わるアンソニー・ファウチ博士は1月21日、バイデン大統領就任後、初めての記者会見を開きました。

    ファウチ博士はまず、アメリカの感染の状況について「増加のペースが緩んでいるようにも見えるが注意深く見守る必要がある」と述べ、深刻な状態が続いているという認識を示しました。

    そして、イギリスや南アフリカなどで見つかっている変異したウイルスが、ワクチンの有効性に与える影響について、「初期の研究結果を見るかぎり、有効性に変化はあるかもしれないが、なくなるわけではない」と述べ、一定程度の有効性が保たれているとの見方を示しました。

    そのうえで、ファウチ博士は「ワクチンの有効性を保つためには、ワクチンを可能なかぎり多くの人に接種して感染の拡大を抑制し、ウイルスを変異させないことが重要だ」とワクチン接種のペースを速めるよう訴えました。

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    変異ウイルス 静岡「緊急警報」 国内・国外の感染は? 対策は?(1/19)

    2021年1月19日

    イギリスで感染が広がる変異した新型コロナウイルスをめぐり、静岡県で海外の渡航歴がなく感染者との接触も確認されていない男女3人の感染が確認されたことを受けて、静岡県の川勝知事は臨時の会見を行って県独自の「感染拡大緊急警報」を発令し、対策の徹底を強く呼びかけました。
    変異したウイルスの国内・国外での感染の広がりや、対策の現状などをまとめました。

    静岡県では1月18日、20代の女性とその濃厚接触者の40代の女性、それに60代の男性の3人が変異ウイルスに感染したことが確認されました。

    変異したウイルスをめぐり、海外の渡航歴がなく感染経路が分からないケースは国内で初めてです。

    川勝知事は1月19日午後、臨時の会見を行い、県民にさらなる感染防止対策を求める県独自の「感染拡大緊急警報」を発令しました。

    そして「英国の事例では感染力が高いと報告され、日本でも感染が爆発的に増加すると医療提供体制が崩壊し救える命が救えなくなる可能性がある」と強い危機感を示したうえで「これまで以上に県民一人一人に感染防止対策を徹底してもらい、医療提供体制をさらに強化する必要がある」と述べました。

    そのうえで具体的な対策として
    ▽3密を避けるなど基本的な感染防止対策の徹底や、
    ▽県境を越えた移動を自粛し県内でも不要不急の外出を控えること、
    そして、
    ▽必ずマスクを着用し、家族以外との会食は行わないよう呼びかけました。

    一方、変異ウイルスであっても基本的な対策は変わらないとして、飲食店などへの時短要請や特別な行動制限を行う必要はないと説明しました。

    さらに1人 変異ウイルス感染か

    また、静岡県によりますと変異した新型コロナウイルスへの感染が確認された60代の男性の濃厚接触者について、国立感染症研究所が変異ウイルスに感染しているかどうかPCR検査を行ったところ1月19日に陽性と判定されたということです。

    この濃厚接触者の検体は今後、結果を確定するために遺伝子を解析する検査が行われますが、県はPCR検査の精度は高く変異ウイルスへの感染が確定する可能性が高いとしています。

    この濃厚接触者は、すでに感染が確認されている男性以外とは濃厚接触をしていないということです。

    また、県は国立感染症研究所に3人の感染が確認された地域から32の検体を提供しPCR検査が行われていますが、この濃厚接触者を除く31の検体の変異ウイルスへの感染はありませんでした。

    国内で感染確認は47人

    イギリスなどで広がっている変異ウイルスは、表面にある「スパイク」と呼ばれる突起の部分が感染しやすい形に変わっていて感染力が高いとされます。

    こうした変異ウイルスへの感染が国内で確認されたのは1月19日までで47人となっています。

    ウイルスのタイプ別に見ると、
    ▽イギリスで最初に報告されたタイプの変異ウイルスに感染していたのは38人、
    ▽南アフリカで報告されたタイプの変異ウイルスに感染していたのは5人、
    ▽そして、これらのものとは異なる変異ウイルスへの感染がブラジルに滞在歴のある4人で確認されています。

    また、47人のうち、
    ▽およそ4分の3にあたる36人は、イギリスや南アフリカ、そしてブラジルなど海外から日本に到着した際に空港検疫で感染が確認されています。

    ▽8人は、海外に滞在歴がある人やその濃厚接触者です。

    ▽海外に滞在歴がなく感染者との接触も確認されていない人で変異ウイルスへの感染が確認されたのは、1月18日に発表された静岡県の男女3人が初めてです。

    これについて国立感染症研究所の脇田隆字所長は1月18日の会見で、変異ウイルスが発見された地域で陽性者の検体の調査を行っているとしたうえで「この地域で流行の主流になっているウイルスが、変異したウイルスに置き換わっている状況ではないと思う」と説明しています。

    58の国と地域で確認

    新型コロナウイルスは2週間に1度ほどの頻度で変異を繰り返していて、通常は遺伝子の一部が変異してもウイルスの特徴や性質に大きな変化が起きることはありませんが、感染力に関わる部分に変異が起きているため、監視が強められている変異ウイルスは主に3種類あります。

    いずれも「N501Y」と呼ばれる変異があり、このうちの1つが今回、静岡県で確認されたのと同じタイプのウイルスです。

    このウイルスはイギリスで2020年9月に出現し感染力が高いとされていて、WHO=世界保健機関によりますと1月17日の時点で58の国と地域で確認されているということです。

    また、同じ箇所が変異している別のタイプのウイルスが南アフリカで確認されたほか、日本の空港検疫でブラジルから到着した人からも同様のウイルスが確認されています。

    データベースに登録増える

    世界各地の研究機関で解析したウイルスを登録するデータベース「Nextstrain」には、2019年12月から今月までに登録されたウイルスのうち、およそ3900の遺伝子の情報がまとめて公開されています。

    この中では3種類の変異ウイルスの登録は去年秋ごろから増え始め、1月15日の時点では表にまとめられたうちの33%に上っています。

    この割合は市中での感染状況を示すものではありませんが、世界中で監視体制が強められる中で変異ウイルスの登録が増えてきています。

    WHOはウイルスを解析できる能力を拡大し、情報を国際的に公開することが重要だとしていて、今回見つかっている変異によって感染力や重症度にどういった変化が出るかやワクチンや治療などに与える影響について世界各国で研究が進められています。

    感染力や重症化は?【1. 英のタイプ】

    イギリスで広がっている変異した新型コロナウイルスについては、これまでの研究で感染しやすくなっている可能性があることが分かっています。

    国立感染症研究所によりますと、ECDC=ヨーロッパ疾病予防管理センターなどの報告では、これまでのデータの分析からイギリスの変異ウイルスは1人が何人に感染させるかを示す「再生産数」と呼ばれる数値が0.4以上増加し、感染のしやすさが最大70%程度増加している可能性があるということです。

    感染した際の症状の重さについてこれまでより重症化しやすいというデータはないということです。

    ただ、イギリスで変異ウイルスに感染した人の多くが重症化のリスクが低い60歳未満だということで、評価には注意が必要だとしています。

    感染力や重症化は?【2. 南アなどのタイプ】

    南アフリカで確認されているウイルスやブラジルから日本に入国した人から見つかった変異ウイルスは、それぞれイギリスとは違うウイルスです。

    ただ、いずれの変異ウイルスも、ウイルスが細胞に感染する際に働く「スパイクたんぱく質」というたんぱく質の遺伝子に「N501Y」と呼ばれる共通の変異が起こっています。

    イギリスで見つかったウイルス以外は感染しやすくなっているかどうかなど、まだ分かっていません。

    ワクチンの効果は

    変異したウイルスに対してワクチンの効果があるかについても詳しいことは分かっていませんが、厚生労働省によりますと、ウイルスが多少変化してもワクチンの効果がなくなるわけではないとしています。

    これについて、アメリカの製薬大手、ファイザーなどのグループが実験を行っています。

    グループでは、イギリスや南アフリカで見つかった変異ウイルスと同じ変異を持つウイルスを人工的に作り出し、ファイザーのワクチンを接種した人の血液と反応するかを調べました。

    その結果、血液の中の抗体が変異ウイルスを攻撃することが確認されたということです。

    ファイザーでは、変異したウイルスに対するワクチンの有効性については、引き続き調べる必要があるとしています。

    専門家「第3波 より長期化のおそれも」

    海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎教授は「イギリスなどで広がる変異したウイルスは、感染力がこれまでのものより高いとされている。まだ情報が限られていて分かっていないことも多いが、仮に変異ウイルスが国内で広がってしまえば、現在の感染の第3波がより長期にわたってしまうおそれがある」と指摘しました。

    そのうえで「水際での対策は、ウイルスの侵入を遅らせたり、入ってくる数を減らしたりする効果を目的にしたもので、ウイルスの流入を完全に防ぐことはできない。国や自治体は、市中で変異ウイルスに感染した人の感染源を詳しく調べるとともに、国内で変異ウイルスの感染がないか調べるモニター調査をより強化する必要がある。私たちが取るべき感染予防策はこれまでと同じだが、感染力の高さを考えればこれまで以上に対策を心がけることが必要で、特に緊急事態宣言の対象の地域では、不要不急の外出などは控えてもらいたい」と話しています。

    迅速な検出手法 開発も

    イギリスや南アフリカなどで確認されている変異した新型コロナウイルスの監視体制を強化するため、国立感染症研究所などでは従来のPCR検査を活用して変異ウイルスを迅速に検出する手法を開発しています。

    変異したウイルスを見つけ出すには、これまで特殊な装置を使ってすべての遺伝情報を詳細に解析する必要がありますが、
    ▽ウイルスの量が少ないと調べることができないことや、
    ▽結果が出るまでに時間がかかることが課題となっていました。

    国立感染症研究所が新たに開発した手法は、PCR検査の技術を使ってウイルスの遺伝子にいま問題となっている「N501Y」と呼ばれる変異が起こっているかどうかを直接、検出できるものです。

    これまでは半日以上かかっていた検査が数時間でできるうえに、通常のPCR検査の機器を活用することができるということです。

    この検査ではイギリスで確認された変異ウイルスか南アフリカで確認されたものかなどを詳細に区別することはできないということですが、国立感染症研究所では、大量のサンプルを迅速に調べることができるため実用化されれば監視体制の強化に役立つとしています。

    田村厚労相 “専門組織立ち上げ流行防ぐ”

    田村厚生労働大臣は専門の組織を立ち上げて健康観察や行動確認を強化し、国内での流行を防ぎたいという考えを強調しました。

    政府の水際対策では、原則として外国人の入国を全面的に制限していますが、日本人の帰国者や在留資格のある外国人の再入国などは引き続き認められ、入国時に自宅や宿泊施設での14日間の待機を求めています。

    こうした中、田村厚生労働大臣は東京都内で記者団に対し「変異ウイルスが流行している地域から入国する人に対しては、国が直営する『フォローアップセンター』を作り1日1回、無料通信アプリのLINEや電話などで健康確認をすることを考えている」と述べ、変異したウイルスが流行しているイギリスや南アフリカからの入国者について、専門の組織を立ち上げて健康観察や行動確認を強化する考えを示しました。

    そのうえで「国内で感染が広がっていくことに対する国民の大変な心配があるので、変異ウイルスの感染流行が見られる場合は対象エリアも随時、広げていきたい」と述べ、変異したウイルスの国内での流行を防ぎたいという考えを強調しました。

    加藤官房長官「他地域も監視体制を強化」

    加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で、変異した新型コロナウイルスの監視体制について「厚生労働省が国立感染症研究所や自治体と連携し、今回、変異株が報告された静岡県の直近の検体を提出するよう協力を要請し優先的に解析を行うなどの強化を図っている」と述べました。

    そのうえで「他の地域についても、ゲノム解析能力のキャパシティー、静岡県の解析の結果を踏まえつつ監視体制を強化する方向で国立感染症研究所で検討している」と述べました。

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    新型コロナ変異ウイルス WHO担当者「感染スピード速い」(1/19)

    2021年1月19日

    イギリスで感染が広がる変異した新型コロナウイルスについて、WHO=世界保健機関の専門家は従来のウイルスより感染拡大のスピードが速いと指摘する一方、重症化や死亡のおそれについては従来のものと大きな違いはないという見方を示しています。

    WHOのヨーロッパ地域事務局で変異ウイルスの対応にあたっているリチャード・ペボディ博士はNHKのインタビューでイギリスで感染が広がる変異した新型コロナウイルスについて「従来のウイルスに比べ速いスピードで感染が広がるという証拠が集まっている。イギリスでは去年12月の数週間で感染が見られるようになり、今月は変異ウイルスの感染者のほうが多くなった」と述べました。

    一方で「入院したり死亡したりする可能性については、従来のウイルスと違いが見られない」としています。

    さらに変異ウイルスに各国で開発されたワクチンが有効かどうかについては「変異ウイルスに対してより限定的な効果しかないのか複数の研究が進められているが、少なくとも現段階では理論上は変異ウイルスに効かないという根拠はない」と話したうえで、これまでどおり手洗いやマスクの着用、3密の回避などの対策の徹底を呼びかけました。

    WHOによりますとイギリスで感染が広がる変異ウイルスは17日の時点で58の国と地域で確認されているということです。

    米 発生源の調査巡り中国側に情報開示求める

    1月18日から始まったWHO=世界保健機関の執行理事会では、WHOの国際的な調査チームが進めている新型コロナウイルスの発生源などの調査を巡り、アメリカが中国に情報開示を求めたのに対し、中国側がこれに反論する一幕がありました。

    このなかでアメリカの代表は調査チームが中国湖北省の武漢で進めている調査に関して「調査は中国側から新型ウイルスに関する遺伝子配列や武漢でこれまでにとったサンプルなど、すべての情報が提供されることでのみ、成功する」と述べ、中国側にすべての情報を開示するよう求めました。

    これに対して中国の代表は「中国は常にタイムリーに情報を公開し、透明性と責任感を持って対応にあたってきた。ウイルスの発生源の調査には調整と協力が必要であり、政治的な圧力をかけるのはやめるべきだ」と反論し、情報は開示していると主張しました。

    WHOの調査に関してはアメリカのポンペイオ国務長官が1月15日、武漢にある「中国科学院武漢ウイルス研究所」に言及した上で「WHOの報告が信用されるためには、ウイルスのサンプルや内部告発者などに制限なくアクセスできることが重要だ」と述べて徹底した調査を求めています。

    英 感染確認は減少傾向も入院患者は最多に “30秒に1人入院”

    変異した新型コロナウイルスの感染が広がるイギリスでは、1日に新たに確認される感染者は減少傾向にあるものの、入院患者はこれまでで最も多くなっていて、医療体制がひっ迫する深刻な状況が続いています。

    イギリスでは感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染が広がり、外出が厳しく制限されるとともに、飲食店と生活必需品を扱う店以外の小売店は原則として営業が禁止されています。

    感染は2020年12月から急速に拡大し、1月1日に新たに確認される感染者が6万人を超える日もありましたがここ数日は5万人を下回っています。

    ただ入院患者は増えていて、最新の発表で3万7475人とこれまでで最も多くなり、政府は30秒に1人の割合で入院しているとしています。

    ジョンソン首相は1月18日、メディアの取材に対し「われわれはまだ危機を脱してはいない。医療体制はひっ迫していて、感染者はいまだに増えている」と話し、厳しい外出制限などの対策を徹底するよう強く呼びかけました。

    一方、ハンコック保健相は記者会見で、これまでに400万人余りがワクチンの1回目の接種を受けたと明らかにしました。

    イギリスでは70歳以上の高齢者や医療従事者など優先される1500万人への2月15日までのワクチンの接種を目標にしていて、これらの人たちへの接種を急いでいます。

    米でも「3月までに変異ウイルスが感染の主流となる可能性」

    イギリスで感染が広がる変異したウイルスはアメリカでは現段階で急速な感染拡大は確認されていませんが、アメリカCDC=疾病対策センターは3月までに感染の主流となる可能性があると推測しています。

    アメリカではこれまでに変異ウイルスの感染が14の州で合わせて88例報告されていて、渡航歴のない人の感染も確認されています。

    CDCは1月15日に発表した報告書で、現段階で変異ウイルスへの感染は全米の新型コロナウイルスの感染例の0.5%以下と見積もっています。

    ただ変異ウイルスはこれまでのウイルスに比べて感染拡大のスピードが速いため、CDCではアメリカでも3月までに感染の主流となる可能性があると推測しています。

    CDCは感染拡大を抑えるためにはこれまで以上にマスクの着用や他人との接触を避けるといった感染対策を徹底することに加え、ワクチンの接種を迅速に進める必要があるとしています。

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    米国で流行のウイルス 国内患者から発見 慶応大学調査(1/12)

    2021年1月12日

    新型コロナウイルスの遺伝子を解析している慶応大学のグループの調査で、現在、日本で流行しているのとは異なる系統のウイルスが、国内の患者から見つかっていたことがわかりました。
    イギリスなどで広がっている変異したウイルスに対して日本では水際対策を強化していますが、グループでは、新しいウイルスが持ち込まれるリスクがあることが改めて確認されたとしています。

    調査を行っているのは慶応大学医学部の小崎健次郎教授らのグループです。

    グループでは全国13か所の病院で検査を受けた患者から集められた新型コロナウイルスの遺伝子を詳しく調べています。

    その結果、2020年11月、関東地方の病院で感染が確認された患者から、アメリカの西海岸などで流行している「20C」と呼ばれる系統の新型コロナウイルスが検出されたということです。

    検出されたウイルスは感染力などの性質が変化しているという報告はないということで、グループではこの患者に海外への渡航歴が無いことなどから市中で感染した可能性があるとしています。

    国内では、2020年の第1波の後に残った2つの系統のウイルスが流行の主流となっていて、これとは違う「20C」の系統は去年5月以降、検疫以外では見つかっていないということです。

    新型コロナウイルスをめぐっては、イギリスや南アフリカなどで見つかった感染力が強いとされる変異したウイルスに対し、水際対策が強化されていますが、グループでは海外から新しいウイルスが持ち込まれるリスクがあることが改めて確認されたとしています。

    小崎教授は「遺伝子の解析から、これまでの水際対策はうまくいっていたとみられるが、海外からウイルスが入ってきているのも事実だ。全国的にウイルスの遺伝子の解析を進めて今後の状況を的確かつ迅速に把握する必要がある」と話しています。

    これまで見つかった変異ウイルス

    ウイルスの遺伝子は小さな変異を繰り返していて、多くの場合はウイルスの性質が変化することはありません。

    一方で、新型コロナウイルスでは、ウイルスの性質に影響を与える可能性がある3つのタイプの変異ウイルスが確認されています。

    1つは、2020年、イギリスで確認された変異ウイルスで、感染のしやすさが最大70%程度増加している可能性が指摘されています。

    症状の重さやワクチンが十分に効くかなどについては、現在調査が進められています。

    WHOによりますと、1月5日現在、日本を含む世界の40の国や地域の空港検疫などでこの変異ウイルスが検出されているということです。

    もう一つは南アフリカで確認された変異ウイルスで、遺伝子にイギリスで見つかったものと同じ変異があることが分かっていますが、異なる系統だということです。

    症状の重さや感染のしやすさなどについては現在調査が行われています。

    WHOによりますと1月5日現在で、南アフリカ以外に日本を含む6つの国や地域の空港検疫などで検出されているということです。

    そして、1月はじめ、日本の空港検疫で、ブラジルから到着した人からイギリスや南アフリカとは異なる変異ウイルスが検出されました。

    ブラジル保健省が日本政府に対し、4人のブラジル国内での移動経路などの情報を求め、調査を行っているということです。

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    新型コロナ 感染後の免疫 8か月間は持続 米研究グループが発表(1/9)

    2021年1月9日

    新型コロナウイルスに感染するとヒトの体内でできる免疫は8か月間は続くとする研究成果をアメリカの研究グループがまとめ、有力な科学雑誌サイエンスに論文が掲載されました。

    アメリカのラホヤ免疫研究所などの研究グループによりますと、感染した19歳から81歳の男女188人の血液を調べた結果、新型コロナウイルスを攻撃する「抗体」は、発症の20日後から8か月後まで安定して検出されたということです。

    また、この特定の「抗体」を作り出すメモリーB細胞と呼ばれる細胞は、発症してから4か月後から5か月後まで緩やかに増える傾向がみられたとしています。

    さらに、この細胞などを活性化させる「司令官」役の別の細胞や、新型コロナウイルスに侵入された細胞を破壊する細胞も、時間の経過とともに減少するものの多くの人で6か月以上は安定して存在することが明らかになったということです。

    一度感染して体内でできる免疫が次のウイルスの侵入に備える働きは「免疫記憶」と呼ばれますが、新型コロナウイルスの場合、確認から1年ほどしかたっていないため、「免疫記憶」がどの程度続くのか詳しいことはわかっていませんでした。

    ラホヤ免疫研究所のシェーン・クロッティ教授は「今回の結果から、感染者の多くは再び感染してもある程度長い期間、重症化することから守られる可能性が示された」としたうえで、今後、ワクチンでも同じようなことがおきるのか研究する必要があるとしています。

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    コロナ感染後 自宅で体調急変などして死亡 全国で122人 警察庁(2021/1/6)

    2021年1月6日

    新型コロナウイルスに感染したあと、自宅で体調が急に悪化するなどして亡くなった人が全国で少なくとも122人に上ることがわかりました。特に、12月以降容体が急変するケースが相次いでいて、専門家は「症状に応じてすみやかに病院で治療を受けられる体制作りが必要だ」と指摘しています。

    全国の警察は、医療機関以外で亡くなった人などについて、詳しい死因を調べるため検視や解剖を行っています。

    警察庁によりますと、新型コロナウイルスに感染したあと自宅で体調が急に悪化するなどして亡くなった人が、わかっているだけでこれまでに122人に上ることがわかりました。

    特に、12月は56人と急増し、このうち50人は自宅や宿泊施設で療養するなどしていて死亡したということです。

    また、体調が悪くても医療機関を受診するまでに時間がかかり亡くなった後に感染が判明するケースもあるということです。

    日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博 教授は「一見すると軽症であっても、突然、容体が悪化する事例もある。感染者の健康状態を定期的に把握し、急変した場合にはすみやかに医療機関で治療が受けられる体制作りが必要だ」と話しています。

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    新型コロナ“後遺症” けん怠感や脱毛などに悩む人 受診相次ぐ(2020/12/28)

    2020年12月28日

    東京・渋谷区にある診療所では、けん怠感や息苦しさ、それに味を感じない味覚障害といった新型コロナウイルスの“後遺症”とされる症状に悩む人の受診が相次ぎ、年末年始もオンライン診療で対応することにしています。

    東京・渋谷区にある「ヒラハタクリニック」は、ことし3月以降、新型コロナの“後遺症”とされる症状に悩む人たちの診療を行っていて、受診した患者はこれまでに500人に上るということです。

    院長によりますと、患者は新型コロナに感染したものの、症状が軽い「軽症」とされ、宿泊施設で療養したあとに“後遺症”とされる症状を訴える人が多いということです。

    このうち症状を詳しく分析できた378人について、訴えている症状としては、複数回答で、けん怠感が97%、気分の落ち込みが86%、息苦しさが73%、脱毛が52%、味を感じない味覚障害が27%となっています。

    また、患者のうち114人は、1週間のうち半分以上を自宅で休むという寝たきりに近い状態になっているということです。

    この診療所では、“第3波”とされる感染拡大で、11月以降、全国から“後遺症”の訴えが相次ぎ、多い時は1日におよそ60人の予約があり、夜遅くまでオンラインや電話で診療しているということです。

    地方の診療所では「後遺症は診られない」と言われ、この診療所にたどりついた人もいて、年末年始もオンライン診療で対応することにしています。

    平畑光一院長は「ホテル療養の間はだるさに気が付かないが、療養が終わった後、いざ会社に行く、学校に行くとなった時に強いけん怠感に気付く。呼吸がしづらいとか、どうきが強いとか、嗅覚、味覚障害とか、多様な症状を一度に訴える人が多いです。後遺症があってつらいことを誰も知らない、みんな自分のことを怠け者だと言うなど、見放された気分になり、孤独感が強くなる。ただ、調子が悪い時には無理に動かないなど、しっかりと対応すれば改善していくので、後遺症を診てくれる診療所が増えてくれたらと思います」と話していました。

    “後遺症”続く女子高校生「きつくてつらい」

    新型コロナウイルスに感染した女子高校生は、ホテルでの療養を終えて自宅に戻ってから、けん怠感や息苦しさを感じるようになったといいます。

    都内の女子高校生は、ことし10月に新型コロナに感染していることがわかり、一時は発熱がありましたが、入院の必要はないとしてホテルで療養して過ごしました。

    療養中はほとんど部屋で過ごし、母親や友人とLINEでやり取りをするなど、変わった様子はありませんでした。

    しかし、ホテルの療養を終え自宅に戻った際、異変を感じたといいます。

    女子高校生は「ホテルの外に出て、久しぶりに空を見てうれしかったです。でも、帰りにタクシーを降りて家まで1分くらい歩いたらすごく疲れて、あれ?って思いました。ただ療養で体力が落ちているだけかと思っていました」と話します。

    その後、学校に通いましたが、徐々にけん怠感や息苦しさが強くなっていき、もともと、ぜんそくがあったことからかかりつけ医の元にも行きましたが、ぜんそくではないと言われ、ようやく渋谷にある診療所で新型コロナの“後遺症”だと診断されたということです。

    女子高校生は「ただの体調不良でテストを休んだりしたらよくないと思って頑張っていたんですけど…。途中から一気に具合が悪くなって息がすごい苦しくなったり、座っているだけではぁはぁしたりとか。苦しいのがちょっとではなく、走ったあとの苦しさがずっと続くような感じで、きつくて、つらかったです」と症状の深刻さを明かしました。

    そのうえで「後遺症のせいで進級とか卒業とか、会社にも行けなくなって大変なので、新型コロナだけではなく、後遺症にも対応してもらえるとありがたいし、多くの人に知ってもらいたいです」と話していました。

    また、娘とともに感染した母親は「療養したらそれで終わりだと思っていたので、まさか後遺症があるとは思わなかったです。思った以上に怖い病気だと思います。療養施設を出る時は後遺症があるかもという説明もなかったし、自分の気のせいじゃないか、そう思って頑張る人がたくさんいるのではないかと思います」と話していました。

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    コロナ変異ウイルス 国内で初確認 英国からの帰国者5人(12/25)

    2020年12月25日

    田村厚生労働大臣は、12月25日午後9時すぎから記者会見し、イギリスから帰国した5人から変異した新型コロナウイルスへの感染が確認されたと発表しました。変異したウイルスへの感染者が国内で確認されたのは初めてです。

    5人はイギリスから帰国

    5人は、12月中旬から下旬にイギリスから帰国し、空港の検疫で新型コロナウイルスの陽性が確認されたため、国立感染症研究所で検体を解析した結果、変異した新型コロナウイルスが確認されたということです。

    ▽2人は12月18日と20日に羽田空港に帰国し、▽3人は12月21日に関西空港に帰国したということです。

    年齢は、10歳未満から60代までの男女で、帰国した際に、4人は症状がなく60代の男性がけん怠感を訴えていたということです。

    5人について田村大臣は「空港検疫で陽性が確認されたので国内に到着したあと、ほかの人に感染するような形で接触があったことは考えられないだろう」と述べました。

    26日以降の帰国者への対応は

    また、26日以降、イギリスと南アフリカから帰国する人への対応について「3日間、ホテルで滞在してもらい、その後検査を行って陰性ならば公共交通機関を使わない形で、自宅などに戻ってもらう。帰国してから14日間は自宅に待機してもらい、その間、健康フォローアップを実施するよう準備に入っている。国内で感染者が拡大する可能性をなるべくなくしていくことに、万全を期す」と述べました。

    イギリスで感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスが広がっていることを受けて、政府は、12月24日から、当分の間、イギリスからの新規の入国を拒否するなど、入国制限を強化していました。

    変異したウイルスとは 国立感染研の情報

    イギリスを中心に感染が広がっている変異したウイルスについて、国立感染症研究所は12月22日の時点での情報をまとめて公表しています。

    それによりますと変異株ではウイルスが細胞に感染する際の足場となる「スパイクたんぱく質」と呼ばれる部分の遺伝子に9つの変異があるということです。

    ウイルスの特徴としては、イギリスの解析でこれまでのウイルスよりも最大で70%、感染しやすくなっている可能性があるということです。

    症状への影響については、現時点で、この変異株に関係した重症化のデータはないものの、変異したウイルスへの感染が確認された人の大部分が重症化の可能性が低い60歳未満のため評価には注意が必要だということです。ワクチンの有効性への影響は現時点では不明だとしています。

    北里大学 中山特任教授「水際でせき止めるのは難しい」

    ウイルスに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は、変異した新型コロナウイルスが国内で確認されたことについて「人の動きがある以上、イギリスで流行しているウイルスが国内で見つかることはおかしくない。全員、症状が出るわけではないので、水際でせき止めるのは難しい。春に流行した際も気がつかないうちにヨーロッパで流行していたウイルスが国内に入り込んでいて、気付いたときにはもう遅かった。それと同じようなことが今回も起きている可能性がある」と指摘しました。

    また、変異したウイルスについては「まだ、分かっていないことも多いが、さまざまな報告をみると感染する力が高くなっているようだ。このウイルスで症状に違いがあるかどうかは分かっていないが、感染者数が増えれば、その分、重症の患者も増える可能性がある」と話していました。

    そして、中山特任教授は、気がついたときには、変異したウイルスがすでにまん延していることもありえるとした上で「これから年末年始で集まる機会があるかもしれないが、『密』にならないようにして、外出を控えるなど、いままで以上に自粛の意識を持ってほしい」と話していました。

    国立感染研 脇田所長「国内で流行 拡大でない」

    イギリスで広がっている変異した新型コロナウイルスに男女5人が感染していることが確認されたことについて、国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「イギリスで流行が拡大している変異ウイルスが検疫で確認されたということで、真の意味で国内に侵入して流行が拡大しているわけではないと受け止めている」。

    「この変異株は、感染力が70%増加しているという情報もあり、国内で拡大するといまの流行をかなり広げてしまう。ただ、病原性やワクチンが有効かどうかについてはまだわからず、今後、ウイルスの分析をしっかり行う必要がある。現在の段階では国内に入れない対策が非常に重要になってくる」と話しました。

    その上で、「変異したウイルスは国内に入り込んだり、発生したりする可能性もある。マスク着用のほか、手洗い、人と人との距離をとる、3密を避ける、そして飲酒を伴う懇親会など感染リスクの高い『5つの場面』を避けるといった基本的な感染対策を徹底し、リスクのある行動を避けてもらう対策はこれまでと変わらない」と述べ引き続き、基本的な感染対策を取る必要性を強調しました。

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    コロナ 変異ウイルス 症状は? 予防法は? 専門家の見解(12/25)

    2020年12月25日

    イギリスでは変異した新型コロナウイルスの感染が拡大し、WHO=世界保健機関によりますと、24日現在でデンマークやオランダなどでも確認されています。
    変異ウイルスはどうやって見つかった?症状は?予防法は?
    WHOが23日に行った、専門家とのオンライン会見のポイントをまとめました。

    変異ウイルスはどうやって見つかった?

    写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏

    私たち「イギリス 新型コロナウイルス感染症 ゲノムコンソーシアム」は、新型コロナウイルスの変異などを監視していて、検査のために採取された検体に含まれるウイルスの遺伝情報の配列を調べています。

    私たちは、世界で共有されている新型コロナウイルスの配列のデータベースの半数余りにあたる、15万件ほどの解析を行ってきました。

    これはイギリス国内の感染者全体の7~8%にあたる量です。

    多くは全国から無作為に集められ、私たちは1日単位、1週間単位で、イギリスのどの地域で、どのようなウイルスの変異が起きているか監視しています。

    そうした中、問題となっているある特定の変異ウイルスが、イングランドの南東部とロンドンで極めて急速に拡大していることがわかってきました。

    以前からある新型コロナウイルスよりもとても早いスピードで感染が広がるので、国内だけでなく、国際的にも関心を集めるようになりました。

    予防措置はどう取る?

    写真・WHOで検査担当フランク・コーニングス氏

    大切なことは、ウイルスに変異はあるものの、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)であることに変わりはなく、これまでの対策は有効で、実施し続けるべきだということです。

    この1年間に皆さんがやってきたこと、検査、隔離、治療、追跡、手を清潔に保つことや人と人とが距離を取ること、室内の換気をよくすること、特に今、休暇期間に家族で集まるときには窓を開けて、新鮮な空気を取り込むことがとても大切です。

    必要な時にはマスクをつけることももちろん大切です。

    このような対策を取り始めてもう何か月もたち、まもなく1年になろうとしますし、簡単ではないのはわかっています。

    しかし、特に休暇期間にはこうした対策を続ける必要があるんです。

    みんなで一緒にやる必要があります。

    一般的に言えば、変異したウイルスにもこれまでと同じ検査方法が使えます。

    一部の検査方法はもはや使えないという情報もありますが、そうした検査にはウイルスを検知するためのいくつかのバックアップ用の仕組みがあります。

    抗原検査や短時間で診断するための検査も変異ウイルスに有効です。

    これまでの新型コロナウイルスとの症状の違いは?

    ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏

    今のところ、すでに感染が世界に広がっている新型コロナウイルスと比べ、症状に違いはありません。

    症状が違うという科学的な証拠はないんです。

    今、詳細な質のよいデータを集めているところで、少し時間がかかります。

    ワクチンの効果に影響は?

    ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏

    いいえ。

    ワクチンの接種計画は、すでに予定されていたとおり実施されています。

    変更する予定はありません。

    免疫学的にみて、変異ウイルスが異なる振るまいをしているという証拠はありません。

    ですので、ワクチンは問題なく機能すると思います。

    イギリスではすでにワクチンの接種を始めたので、注意深く状況を見ていますが、今のところ、問題があるという兆候はなく、従来のウイルスと異なる振るまいをしているということもありません。

    何も心配することはなく、ワクチンの接種はうまくいくと思っています。

    子どものほうが感染しやすいのか?

    ユニバーシティーカレッジロンドン ウイルス学教授 ジュディー・ブルーアー氏

    そういうデータは見ていません。

    子どものほうが感染しやすいのではないかといううわさがありますね。

    ただ、どういうデータに基づいてそう言われているのかわかりません。

    子どもたちは学校に行きますので、そこで感染することはあります。

    しかしそれは、人とのかかわりが増えたから感染しやすくなったというだけで、ウイルスの感染力とは関係がありません。

    より慎重な、疫学的な調査が必要であり、それはすでにイギリスで始められていることです。

    ウイルスの変異はどのように起きるのか?

    写真・WHOで検査担当フランク・コーニングス氏

    はい。

    とても大切な質問ですね。

    変異というと、非常に恐ろしく、パニックを起こしがちです。

    でも実際にはウイルスが変異することはとても普通のことです。

    ウイルスは自己複製します。

    つまり、みずからのコピーを作るんです。

    そこでいつも少し変異が起きます。

    コピーの作り方はとても雑で、その過程でエラーが起きるんです。

    皆さんが字を書くときに「書き間違い」をするような感じです。

    それがウイルスの世界では変異(mutation)と呼ばれ、変異したウイルスは変異株(variant)と呼ばれるんです。

    ほとんどの場合、これらの変異は、感染力などに影響はありませんが、時折、科学者のことばで言うと、元のウイルスよりも環境に適したウイルスになります。

    その場合、特定の環境でより支配的なウイルスになってしまいます。

    変異ウイルスについてわかっていることは?

    写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏

    より速いスピードで感染するようにみえます。
    確実ではありませんが、各地で確認された変異ウイルスの感染のスピードはとても速いです。

    より重症化しやすいのかというと、今のところ、その根拠はありません。
    今後数週間かけてデータを集め、根拠を示さなければいけません。

    ワクチンの効果への影響、これはさきほどブルーアー氏が説明しましたね。

    どう備えればいいのか?

    写真・イギリスのウェルカムサンガー研究所(Wellcome Sanger Institute)ジェフリー・バレット氏

    マスクの使用や人との間に距離を取ること、長時間室内で人と集まるのを避けること。

    これは、イギリスだけでなく、全世界の誰に対しても言えることです。

    1つ言えるのは、イギリスではこれだけ、変異ウイルスが見つかっているわけですから、ほかの国でもすでに広がっていることは十分にありうるでしょう。

    過去数日間にいくつかの例が確認されましたが、今後さらに確認される国は増えるでしょう。

    ですので理想的には、世界中のすべての人が、この12か月間実施してきた対策を続けることです。

    今後数週間、数か月間で、より詳細なデータが明らかになり、この変異ウイルスに対してより詳しい答えができるでしょう。

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    新型コロナ 変異ウイルス 専門家「日本にも入る前提で対策を」(12/21)

    2020年12月21日

    イギリスで、感染力が強いとされる変異した新型コロナウイルスの感染が広がっていることを受けて、ヨーロッパをはじめ、世界各国でイギリスからの旅客機の受け入れを停止するなど、影響がさらに広がっています。国立感染症研究所によりますと、日本国内ではこれまでのところ確認されていないということですが、専門家は「いずれ国内に入ってくる前提で対策を考える必要がある」と話しています。

    イギリスでは、首都ロンドンを含む南東部で変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、12月20日から急きょ、この地域での外出制限など、厳しい感染対策が導入されました。

    これを受けてヨーロッパでは、ドイツやイタリア、それにオランダなど各国がイギリスからの旅客機の受け入れを停止する措置を決めたほか、フランスやベルギーはこれに加えて鉄道やフェリーの受け入れも停止するとしています。

    また、EU=ヨーロッパ連合は、12月21日に専門家の会合を緊急に開き、現状の分析や今後の対応を協議することにしています。

    このほかヨーロッパ以外でも対応が相次いでいて、イランがイギリスへの国際線を2週間停止することにしたほか、ロイター通信によりますと、南米のアルゼンチンとチリも、イギリスとの間の国際線を停止すると発表しています。

    また香港は、12月22日から当面、14日以内にイギリスに2時間以上、滞在したことのある人を対象に香港に入ることを禁止することになりました。

    さらにインド政府も12月21日、イギリスとの間を結ぶ国際線の運航を12月22日から12月31日まで停止すると発表しました。

    一方、ドイツで感染対策を担うシュパーン保健相は変異したウイルスについて専門家らと協議したとしたうえで「ワクチンに与える影響は何もない」と述べました。

    変異のウイルス 日本国内で確認されず

    新型コロナウイルスの遺伝子を分析している国立感染症研究所によりますと、これまでのところ国内ではイギリスで報告されている変異したウイルスは、確認されていないということです。

    デンマーク オランダ オーストラリアでも確認

    WHO=世界保健機関で新型コロナウイルス対応の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は12月20日、イギリスの公共放送BBCの番組に出演し、変異した同じウイルスがイギリスのほか、デンマーク、オランダ、それにオーストラリアでも確認されたことを明らかにしました。

    そのうえでバンケルコフ氏は「ウイルスの変異自体は常に起きうる。大切なのは今回の変異で何が起きるのか、理解することだ」と述べ、変異したウイルスの特性を見極める必要があるという考えを示しました。

    また、イタリア政府は12月20日、イギリスからの旅客機の受け入れを禁止し、過去14日間にイギリスに滞在した旅行客の入国も禁じると発表しました。

    すでにイギリスからイタリアに入国した人に検査を呼びかけていて、これまでに1人が変異した新型コロナウイルスに感染していることを確認したということで、隔離を行うとともに家族など濃厚接触者の調査を行っているとしています。

    専門家「いずれ国内に入る前提で対策を」

    イギリスで変異した新型コロナウイルスが報告されていることについて、日本ウイルス学会理事長で大阪大学の松浦善治教授は「イギリスの論文を確認したが、ウイルスが感染するときの足がかりになる『スパイクたんぱく質』に変異が見つかっている。新型コロナウイルスのようなRNAウイルスは次々に変異するのが特徴で、変異して感染性が強くなったウイルスが増えるというのはよくあることだ」と指摘しています。

    一方で、今回の変異が 症状の重さや、ワクチンの効果に何らかの影響を及ぼすことを示すデータは今のところないということで、松浦教授は「現在、開発されているワクチンで防ぐことができないなら問題だが、その点はすぐに研究が行われるだろう。また、毒性が強くなったかどうかもまだよく分かっていない。すぐに慌てるのではなく、慎重に様子を見たほうがいいと思う」と話しています。

    また「こうした変異は、これからもどんどん出てくるだろう。イギリスは変異したウイルスが見つかったことで、慎重を期してロックダウンを選んだのではないだろうか。日本でも、いずれ国内に入ってくるという前提で対策を考えておく必要がある」と話していました。

    ウイルスの変異とは

    新型コロナウイルスはヒトに感染すると、ヒトの細胞の中で遺伝子のRNAを次々とコピーすることで数を増やしていきます。

    この時、まれにコピーした遺伝情報にミスが起きてしまい、突然、RNAの配列の一部が欠けたり、入れ代わったりすることがあり、これを「変異」といいます。

    国立感染症研究所によりますと、新型コロナウイルスでは、こうした変異は2週間に1度くらいの頻度で起きているとみられ、これまで日本で見つかっているウイルスでもいくつも変異が起きていることが確認されているということです。

    通常、遺伝子の一部が変異してもウイルスの特徴や性質に大きな変化が起きることはありません。

    ただ、偶然、遺伝子の中で、ウイルスの性質に関わる場所に変異が起きたり、たくさんの変異が積み重なったりすると、
    ▽感染しやすくなったり、
    ▽症状が重くなったりすることがあるということです。

    これまでの研究では、新型コロナウイルスが細胞に入り込む際の足がかりとなるウイルスの表面にある突起「スパイクたんぱく質」の性質が感染力に影響するとされていて、このたんぱく質を作り出す遺伝子に変異が起きると、感染力も変わるおそれがあるということです。

    東京大学医科学研究所などのグループが先月、発表した研究では、
    ▽中国 武漢で報告された新型コロナウイルスと
    ▽現在、世界中で広がっているヨーロッパ系統のウイルスでは「スパイクたんぱく質」の遺伝子の一部が異なっていて、ハムスターを使った実験ではヨーロッパ系統のほうが飛まつ感染しやすい性質があったということです

    ただ、この実験では症状の重さや抗体への反応などには変化は見られませんでした。

    新型コロナウイルスの世界的な感染拡大でウイルスがヒトに感染して増殖する機会が増えれば、遺伝子に変異が起こるリスクも高まると考えられていて、各国の研究機関がウイルスの遺伝情報を解析するなどして警戒しています。

    日本とイギリスの往来 現状は

    政府は現在、イギリスを入国拒否の対象国としていることから特段の事情がないかぎり、新規の入国は認めていません。

    イギリスからの入国が認められるケースは、
    ▽日本人と、中長期の在留資格を持つ外国人で、ウイルス検査や14日間の自宅などでの待機が求められます。

    また、
    ▽日本に住んでいる日本人や外国人がイギリスに7日間以内の短期出張をした場合は、帰国や入国の際、一定の条件のもと14日間の待機は免除されます。

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    ロンドンなど外出制限へ “変異ウイルスで感染急拡大”(12/20)

    2020年12月20日

    イギリスのジョンソン首相は、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しているとして、ロンドンを含むイングランドの南東部を対象に、外出制限などの厳しい措置を12月20日から再び導入することを明らかにしました。ジョンソン首相は「急拡大は変異したウイルスによって起きているとみられる」としています。

    イギリスでは、ロンドンを含むイングランドの南東部で感染が急速に拡大していて、ハンコック保健相は12月14日、「変異したウイルスを確認した」と発表しています。

    ジョンソン首相は、12月19日、急きょ記者会見を開き、感染の拡大を抑えるため、ロンドンを含む南東部では、正当な理由がない限り外出を控えるよう求めることや、生活必需品を販売する店を除いて、小売店は一部のサービスを除いて営業を行わないことなど、11月に実施したのと同様の厳しい措置を12月20日から再び導入することを明らかにしました。

    ジョンソン首相は「急拡大は変異したウイルスによって起きているとみられる。多くの不確定要素はあるが、従来よりも最大70%感染しやすいようだ」と述べました。

    一方で、変異したウイルスによって症状がより重くなったり、ワクチンが効きにくくなったりすることを示す証拠はないとしています。

    イングランドでは、12月23日から5日間規制を緩和して、3世帯までであれば集まってクリスマスを過ごすことを認める予定でしたが、南東部では規制の緩和が見送られることになり、ほかの地域でもクリスマスの1日のみに限定するとしました。

    ジョンソン首相は「誰もが失望することはわかっている。首相としてほかに道はない」と述べ、理解を求めました。

    クリスマス直前の決定に、野党などからは遅すぎるという声もあがっています。

    イギリスでは、西部ウェールズでも変異したウイルスによる感染が拡大していて、同様の措置を12月20日から導入するなど、規制の強化が広がっています。

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    新型コロナ感染での嗅覚障害 大規模実態調査へ 厚労省研究班(12/4)

    2020年12月4日

    新型コロナウイルスに感染することで臭いを感じなくなる嗅覚障害について、症状の広がりや原因などを調べるため、厚生労働省の研究班が、12月から大規模な実態調査を始めることになりました。

    調査を行うのは、金沢医科大学の三輪高喜主任教授らで作る厚生労働省の研究班です。

    新型コロナウイルスでは、症状の1つとして臭いを感じなくなる嗅覚障害が報告されていますが、国内では、これまで詳しい調査は行われていませんでした。

    研究班では、新型コロナウイルスによる嗅覚障害の実態を把握するため、全国の医療機関などで療養中の感染者1000人以上を対象に、嗅覚の機能を評価する検査キットを使って、嗅覚の状態がどう変化するかなどを調べるということです。

    さらに、長期間にわたって嗅覚障害などが続くことのストレスなど、精神的な影響についても調査するということです。

    新型コロナウイルスによる嗅覚障害の原因としては、通常のかぜでもみられる鼻の粘膜の炎症だけでなく、嗅覚に関わる細胞や臭いを認識する脳の一部が炎症を起こすことなども指摘されています。

    研究班では、来年3月をめどに調査結果をまとめ、原因の解明や治療法の開発につなげたいとしています。

    研究班の代表を務める金沢医科大学の三輪高喜主任教授は「今回の調査で、どれくらいの患者に後遺症が残るのかや、どれくらい長引くのかなどが詳細に把握できるようになると考えられる。患者は、治らないのではないかという不安を感じていると思うが、有効な治療法を見つけ出し、不安を解消するきっかけにしていきたい」と話しています。

    臭いしない生活に悩む患者

    新型コロナウイルスに感染した際の症状は比較的軽くても、後遺症が続く人は多くいます。

    このうち、臭いを感じなくなる嗅覚障害が続く人の中には、味も感じにくくなり、生活の質が下がり、精神的に落ち込んでいる人もいます。

    ことし8月に新型コロナウイルスに感染した50代の女性は、鼻水と発熱のあと、2、3日たって臭いがしなくなりました。

    当時は、軽症と診断されて1週間入院し、その後、検査で陰性になりましたが、4か月近くたった今も、臭いの感覚が戻っていません。

    女性は、自宅近くにある耳鼻科を受診したあと、東京都内の大学病院に通うようになりましたが、臭いは元に戻らず、精神的に不安定な状態が続き、耳鳴りがしたり、眠れなくなったりしたため、心療内科も受診するようになりました。

    女性は、夫と子どもの支えで、徐々に精神的には落ち着いてきましたが、食事を楽しめないため、一時、体重が10キロほど減ったといいます。

    女性は「かかった当時は軽症という診断で、いつか治ると思っていたので、それが心療内科に通うまでに追い詰められるとは思ってもいなかった。絶対に甘く見てはいけない病気だ」と話しています。

    また、新型コロナウイルスに感染して回復したあと、4か月近くたっても嗅覚障害が続く20代の男性は、後遺症のため、本格的に仕事に復帰できず、自宅での療養生活を続けています。

    男性は、7月下旬に感染した際には、発熱やせき、それにだるさがありましたが、新型コロナウイルスの症状としては軽症とされ、2週間余りにわたって、ホテルで療養しました。

    しかし、しばらくして臭いの感覚がないことに気付き、検査で陰性となったあとも、嗅覚障害が続いています。

    今でも、味は少し分かるものの、臭いの感覚は、ほとんど戻っておらず、街を歩いていても、大好きな焼き鳥やコーヒーの臭いがわからず、「人生の楽しみを奪われた」と寂しい気持ちになるといいます。

    男性は、ことし4月から、東京都内の会社で働き始めたばかりで、ホテルでの療養を終えたあと、9月以降、徐々に職場への出勤回数を増やして復帰を目指していましたが、嗅覚障害に加え、全身のけん怠感や息苦しさも思うように改善せず、今月から、再び自宅での療養を余儀なくされているといいます。

    男性は「発症してから1、2か月くらいで治ると思ってたので、気持ちの整理が追いつかず、心身ともに追い込まれた。自分の体の状態をしっかり受け止めて、治療に専念していきたい。コロナによって人生が変わってしまうので、しっかり予防をしてもらいたいです」と話していました。

    後遺症の患者を診る診療所では

    東京 渋谷区にある診療所では、新型コロナウイルスの後遺症に悩む患者を対象に診療を行っています。

    診療所では、ことし3月、後遺症に悩む患者を診察したのをきっかけに、こうした患者の診療を受け付けていて、1日に50人ほどの患者が訪れたこともあるなど、受診した患者は、これまでに400人を超えるということです。

    平畑光一院長によりますと、先月以降に後遺症と診断した患者181人のうち、男性は75人、女性は106人いて、年代別では、10歳未満が2人、10代が10人、20代が30人、30代が47人、40代が60人、50代が24人、60代が8人で、感染した場合の症状が比較的軽いとされる若い世代の人たちも、多く受診しているということです。

    患者が訴えている症状で最も多いのは、けん怠感で95.6%、次いで気分の落ち込みが84.7%、思考力の低下が83.5%だということです。

    また、息苦しさを訴えたのは70.1%、脱毛が48.8%、臭いがしない嗅覚障害が32.8%、味を感じない味覚障害が21.9%などとしています。

    診療所を受診した20代の男性は、7月に新型コロナウイルスに感染した際の症状は、発熱やせきなどで比較的軽かったものの、回復して4か月近くたっても、全身のだるさや息苦しさ、嗅覚障害などの症状が続いているということです。

    男性は、院長に症状を詳しく訴え、嗅覚障害を改善するため、食事や栄養の点で気をつけることについて指導を受けていました。

    平畑院長は「新型コロナそのものの症状は軽症でも、後遺症が長く続く人はいる。後遺症はいつ治るのかという不安感を抱きやすく、特に嗅覚障害は、食事の楽しみがなくなるなど生活の質が落ちるため、精神的に落ち込みやすい。とにかく医療関係者が丁寧に話を聞いて、患者に寄り添いながら治療を進めることが大事だ」と話しています。

    4か月後に27%で後遺症

    新型コロナウイルスに感染したあと、回復した人について国立国際医療研究センターが追跡調査した研究では、発症から4か月ほどたった段階で、聞き取りができた63人中、およそ27%に当たる17人になんらかの後遺症があったということです。

    複数の症状があった人もいますが、具体的な症状としては、
    ▽息切れがあったのが7人でおよそ11%、
    ▽けん怠感と嗅覚の異常がそれぞれ6人でおよそ10%、
    ▽せきが4人でおよそ6%、
    ▽味覚障害が1人でおよそ2%でした。

    さらに、追加で調査できた58人のうち、ほぼ4分の1に当たる男性9人、女性5人の合わせて14人は、発症から2か月ほどのちに、脱毛症になったということです。

    嗅覚障害仕組み どこまで解明

    新型コロナウイルスに感染したときの嗅覚障害は、どのような仕組みで起きるのか、はっきりした原因はまだ分かっていません。

    新型コロナウイルスに感染して起こる嗅覚障害は、これまでの海外での研究では、調査によってばらつきがあるものの、感染した人の4割から8割に上ると報告されていて、男性よりも女性で多く、アジアよりも欧米で多いということです。

    また、症状が出た人の6割から8割は2週間ほどで治る一方で、1か月以上症状が続く人も1割から2割いるとされています。

    一方、国内については、国立国際医療研究センターなどの調査で、感染者の15.1%で症状が報告されていますが、詳しい実態はまだ分かっていません。

    また、原因についても、詳しくは分かっていません。

    研究班のメンバーの1人で嗅覚の問題に詳しい、東京大学医学部附属病院の上羽瑠美特任講師によりますと、嗅覚障害は、新型コロナウイルスだけでなく、通常のかぜなどでも起きることがあるということです。

    仕組みとしては、鼻の粘膜の炎症が原因となる場合や、臭いを感じ取る神経で炎症が起きる場合、それに、嗅球という臭いの情報を処理する脳の一部で炎症が起きる場合などがあるということです。

    新型コロナウイルスによる嗅覚障害でも、こうした仕組みがあるとみられています。

    上羽特任講師らの研究では、ヒトの鼻の粘膜に新型コロナウイルスが感染する際の足場となる「ACE2」というたんぱく質が存在していることや、鼻の粘膜からウイルスが細胞に入り込むことが確認されているということです。

    上羽特任講師は「嗅覚は人間の五感の一つで、欠けてしまうと、QOL=生活の質が阻害される重要な問題だ。今後、新型コロナウイルスが感染して症状を引き起こす機序をさらに細かく研究し、治療のターゲットを見つけていきたい」と話しています。

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    新型コロナ感染防ぐ「抗体」 感染から半年後 98%の人に残る(12/2)

    2020年12月2日

    新型コロナウイルスへの感染を防ぐ「抗体」について新たな調査結果がまとまりました。 横浜市立大学などの研究グループは、新型コロナウイルスに感染しその後、回復した人を調査した結果、98%の人は半年後も感染を防ぐ抗体が体内に残っていることがわかったと発表しました。 少なくとも半年間は再感染のリスクが低下するほか、開発中のワクチンにも期待が持てる結果が出たとしています。

    「抗体」はウイルスに感染した人の体内にできるたんぱく質で、このうち「中和抗体」と呼ばれるものは、ウイルスの働きを抑え感染を防ぐ力があるとされています。

    横浜市立大学などの研究グループは、2020年2月から5月に新型コロナウイルスに感染し、その後、回復した20代から70代の合わせて376人について、体内で「中和抗体」がどこまで残っているかを調査しました。

    感染から半年後の血液を分析した結果、
    ▽無症状や軽症者は97%、
    ▽中等症や重症者は100%、
    ▽全体にすると98%の人が、体内に中和抗体が持続していることがわかりました。

    さらに、重症の人ほど中和抗体の強さが大きくなる傾向があったということです。

    こうしたことから研究グループでは、少なくとも半年間は再感染のリスクが低下することがわかったほか、体内で抗体を作る開発中の「ワクチン」についても、期待が持てる結果が出たとしています。

    数百人規模の回復者を対象に感染から半年後の中和抗体を調べる調査は国内では初めてだということで、研究グループは今後、1年たった時点で抗体がどこまで持続しているかなど、さらに調査を進めることにしています。

    研究グループのメンバーで横浜市立大学データサイエンス研究科の山中竹春教授は12月2日の会見で「重症者ほど再感染のリスクは低いことが明らかになり、病気の実態に一歩迫れたと思う。ただ、中和抗体があるからといって感染の可能性が無くなったわけではないので、回復した人も3密を避けるなどの感染予防が必要だ」と話しています。

    「中和抗体」とは

    「中和抗体」とはどのようなものなのか。

    新型コロナウイルスは人の体に入り込むと、細胞の表面にある「受容体」と呼ばれる突起に結合し、細胞の中に侵入します。

    中和抗体はウイルスの周りに取りついて、細胞の受容体と結合するのを防ぎます。

    しかし、体内で作られる抗体は中和抗体1種類だけではありません。

    ウイルスにくっつくだけで、侵入を防ぐ働きをしないものもあります。

    研究グループのメンバーで横浜市立大学データサイエンス研究科の山中竹春教授によりますと、民間の機関で行われている「抗体検査」は、あくまで感染歴を調べるもので、必ずしも中和抗体を調べるものではないということです。

    このため、山中教授は抗体があるからといって免疫機能があるとは限らないうえ、測る抗体の種類によって保有率も変わりうるため、どの抗体を測っているかが重要で、やみくもに抗体検査を受けるべきではないと指摘しています。

    調査に協力した人は

    「次に感染したら命を落とすかもしれない」。

    新型コロナウイルスから回復した人の中には、再感染への強い不安を抱えながら生活している人もいます。

    都内に住む65歳の男性は2020年4月に感染が確認され、一時は人工心肺装置=ECMOをつけるなど命の危機に直面しました。

    その後の治療で症状は徐々に改善し5月に退院できましたが、高齢のため、再感染への強い不安を感じていました。

    男性は主治医から今回の調査の件を聞いて協力することを決め、感染からおよそ半年たった9月にクリニックで採血を受けました。

    そして11月、男性の自宅に調査結果が届きました。

    感染を防ぐ力があるとされる「中和抗体」は陽性。 その強さを示す数値は、386でした。

    中和抗体の持続が一定程度、認められるラインは50とされていて、それを大きく上回っていました。

    この結果「再感染の可能性は低いと考えられる」と記されていました。

    男性は「助けてもらった命なのでウイルスの解明に役立ちたいと思い協力しましたが、現時点では再感染のリスクが低いことがわかって安心しました。ただ、抗体がいつまで持続するかわからないので、今後も感染防止に努めたい」と話しています。

    研究グループ「再感染リスク低いが対策は必要」

    今回の調査結果について、研究グループのメンバーで横浜市立大学データサイエンス研究科の山中竹春教授は「今回調査した回復者のほとんどで半年後も中和抗体が残っているということは、免疫機能が発揮していることを意味し、抗体を持っていない人に比べ再感染のリスクは低くなると考えられる。ただ、感染の可能性がゼロになるわけではないので、3密を避けたり、マスクをしたりするなどの予防対策は必要だ」と話しています。

    また、ワクチンとの関わりについては「自然に感染した人の免疫とワクチンの免疫は同じではないので結論づけることはできないが、自然に感染した人の免疫が半年間残るのであれば、ワクチンもうまく設計すれば期待が持てるのではないか」と話しています。

    抗体の持続期間 各国の研究は

    新型コロナウイルスに感染したあと、体内で作られ感染を防ぐとされる抗体はどの程度の期間持続するのか。

    再び感染するおそれがあるのかや、ワクチンの効果とも関わることもあり各国で研究が行われていますが、数か月間持続するという研究がある一方、数か月で減ってしまうとする研究も出されていて結論は出ていません。

    抗体の量の変化について、最初に注目されたのは中国の重慶医科大学などのグループが、2020年6月、医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表した研究で、4月上旬までに感染して症状が出た患者37人と症状が出なかった患者37人について抗体の量の変化を調べたところ、ウイルスの働きを抑える「中和抗体」の量は、退院からおよそ2か月の時点で
    ▽無症状の人のうちの81.1%、
    ▽症状が出た人でも62.2%で減っていたとしています。

    抗体が減ったという報告は最近も続いていて、10月、イギリスのロンドン大学キングスカレッジなどのグループが発表した65人の患者の抗体の変化を調べた研究では、発症から3週間ほどの時点でおよそ60%の人が強力な中和抗体を持っていましたが、発症からおよそ2か月たった時点では16.7%に減り、軽症の患者の中には抗体を検出できなくなった人もいたとしています。

    また「インペリアル・カレッジ・ロンドン」のグループは、10月、イギリスの36万5000人以上を対象に血液中に抗体があるかどうか変化を調べた大規模調査の結果を発表し、抗体があった人の割合は、6月の6.0%から3か月後の9月には4.4%に減少していたということです。

    一方、抗体が一定期間、持続することを示した研究もあります。

    アメリカのマサチューセッツ総合病院などのグループは2020年10月、重症の患者など343人の抗体の量を調べたところ、中和抗体と同様の変化を示すとされる「IgG抗体」の減少はゆるやかで、特に、発症から75日の時点ではほとんど減っていなかったと報告しています。

    また、アメリカのマウントサイナイ医科大学などのグループも10月、軽症から中程度の症状の患者およそ3万人を対象に抗体の量を調べたところ、中和抗体の強さは5か月にわたって持続していたと報告しています。

    専門家「評価方法の確立必要」

    新型コロナウイルスに対する中和抗体の持続期間について、ウイルスの感染制御が専門の、北里大学の中山哲夫特任教授は「多くの国の研究機関から論文が出ているが、どのくらい持続するのかという点については、まだコンセンサスが得られていない。測定方法も統一されておらず、方法によって結果に幅が出てしまうため、標準的な測定法を定めて、評価方法を確立する必要があるのではないか」と話しています。

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    世界の感染者 11%が未成年 長期の影響を指摘 ユニセフ報告書(11/19)

    2020年11月19日

    ユニセフ=国連児童基金は、世界の新型コロナウイルスの感染者のうち11%が未成年だとする報告書を発表し、感染拡大が長引く中、健康面や教育面で子どもたちに長期にわたる影響を及ぼしていると指摘しています。

    ユニセフは、11月20日の「世界子どもの日」を前に新型コロナウイルスによる子どもたちへの影響について報告書を発表しました。

    それによりますと、11月3日の時点で年齢別のデータがある日本を含む87の国や地域では、感染者のうち11%が子どもを含む未成年だということです。

    ユニセフでは、感染拡大が長引くにつれ、子どもたちにさまざまな影響が出ていると指摘しています。

    このうち健康面では、定期予防接種を受ける子どもが減ったり、休校で給食が食べられない子どもが増加したりしているということです。

    また教育面でも、休校で2020年4月のピーク時には15億人以上の子どもたちが、また11月も5億7000万人を超える子どもたちが影響を受けているとしています。

    ユニセフは「新型コロナウイルスの危機が長引けば長引くほど、子どもたちの教育や健康、栄養、福祉への影響は大きくなる。世代全体の未来が危険にさらされている」と警鐘を鳴らしています。

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    新型コロナ なぜ北海道で感染増加?気温と湿度の関係か(11/6)

    2020年11月6日

    北海道では、新型コロナウイルスの新規感染者数が2日続けて100人を超えるなど、他の地域より急速に感染が拡大しています。
    一方、東京でも2日連続で感染確認が200人を超えるなど感染の拡大が懸念されています。
    本格的な冬を迎えるにあたり、専門家は今後、全国でも同様に感染が拡大するおそれもあるとして、改めてこまめに換気を行うなど感染対策の徹底を呼びかけています。

    短期間に感染者急増

    北海道では、緊急事態宣言が解除された5月25日以降、1日に確認される感染者数は、10月初めまでは20人から30人前後で推移していましたが、10月23日には、緊急事態宣言が出されていた4月より多い、51人の感染が確認されました。

    それから2週間余りたった11月2日には、ほぼ2倍の96人と短期間で急増し、5日に初めて100人を超えました。

    一方、東京都でも11月6日、新たに242人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。1日の感染確認が200人を超えるのは2日連続です。

    感染症の流行 気温と湿度の関係か

    インフルエンザなどの呼吸器の感染症は冬場に流行することが知られていますが、新型コロナウイルスについても、気温や湿度が下がる冬場にさらに流行しやすくなる可能性が指摘されています。

    新型コロナウイルスと気温や湿度との関係については、これまでにも研究結果が報告されていて、たとえば、アメリカのメリーランド大学などのグループは、2020年3月上旬までの世界の50都市について、気温や湿度と新型コロナウイルスの流行の関係を分析したところ、感染者が多かったのは平均気温が5℃から11℃で比較的、湿度が低い地域に集中していたとしています。

    その一方で、ブラジルの大学のグループが、各国から発表された新型コロナウイルスと気温や湿度についての17の研究を集めて詳しく解析したところ、寒くて乾燥した状態はウイルスの拡散を促す要因とみられるとしたものの、それだけでは感染の広がりをすべて説明できるわけではないと結論づけています。

    新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会の尾身茂会長は、北海道などでクラスターの発生が相次いでいることについて、気温が下がってきて、屋内で過ごす機会が増え、『3密』の環境にいることが多くなっていることや、換気をしづらくなっていることが影響していると指摘しています。

    北海道は、2月下旬に独自の緊急事態宣言を出すに至るなど、これまでも全国のほかの地域に先行して感染が広がる傾向が見られました。

    専門家「北海道は今が正念場」

    北海道で感染が急速に拡大していることについて、日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「11月5日初めて新規感染者が100人を超えたが、現在明らかになっている感染者は1週間ほど前に感染した人たちだと考えられ、今後1週間ほどはさらに増えるおそれもある。適切に対処しなければ今後さらに感染が拡大し、医療崩壊が現実味を帯びてくるおそれもあるため、北海道は今が正念場だと考えられる」と指摘しています。

    急増の原因については「寒くなって室内にいることが増えて『3密』の環境で過ごすことが多くなったことや、感染が続く状況に慣れて気が緩んでいることなど、いくつかの理由が考えられる。また、インフルエンザや通常のかぜのコロナウイルスは気温が低いと流行するが、新型コロナウイルスについても同様だとする研究もあり、冬場に感染が広がりやすいと考えて改めて対策を意識する必要がある」としています。

    そのうえで、舘田教授は「北海道以外で、今は感染状況が落ち着いている地域でも、寒くなるにつれて感染が拡大する可能性を考えておかなければならない。改めて『3密』を避けることや、手洗いやマスクの着用を徹底すること、それに、一定の時間ごとの換気も重要だ。ただ、寒冷な地域では頻繁な換気が実際には難しいこともあるため、さまざまな対策をうまく組み合わせて柔軟に対応してほしい」と話しています。

    冬場の換気 室温下げない方法は

    寒い中でなるべく室温を下げずに換気するにはどうすればいいのか。

    厚生労働省の機関で換気の方法について提言を策定してきた北海道大学の林基哉教授に聞きました。

    “廊下などを活用 2段階方式の換気を”

    換気する際に、学校の教室や自宅の寝室などの生活空間に直接冷たい空気が流れ込むと寒さをより感じてしまいます。
    まず、廊下や使わない部屋に外の空気を取り入れ建物全体の温度で外気を暖めたあとに、部屋の窓や扉を開けて生活空間の空気と入れ替える「2段階方式」をとることで、寒さを和らげることができます。

    “窓を少し開けて常時換気を”

    真冬の寒い時期や雪が降る状況で、1時間に2回、窓を全開にして換気すると室温が急激に下がってしまいます。

    暖房をつけながら、窓を少し開けて、常時換気しておくことで、室温を保ちながら換気することができます。

    また、24時間の自動換気システムがある建物では、窓を開けずに建物内の空気を入れ替えることができるので有効です。

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    症状報告100種類以上に 約20万本の新型コロナ論文 NHKがAI分析(11/6)

    2020年11月6日

    世界中の新型コロナウイルスに関係する論文およそ20万本をNHKがAI=人工知能を使って分析したところ、新型コロナウイルスの感染で、これまでに合わせて100種類以上の症状が報告されていることが分かりました。

    NHKは11月初めまでに世界中で公表された新型コロナウイルスに関連する英語の論文およそ20万本をAIに学習させて分析するプロジェクトを進めてきました。

    その結果、新型コロナウイルスに感染した際の症状は、少なくとも116種類が報告されていることが分かりました。

    当初から言われていた肺炎や発熱、せきなどの症状にとどまらず、全身でさまざまな症状が報告されていて、中でも論文での報告が多かったのが脳や神経に関する症状でした。

    具体的には、嗅覚や味覚の障害をはじめ、めまいや不眠、記憶障害、それに幻覚に至るまで、症状の数は少なくとも30種類余りにのぼっていました。

    新型コロナウイルスは治ってからもさまざまな後遺症が残ることも報告されていて、こうした多様な症状の解明を進めることが治療法の開発につながると期待されています。

    詳しくは、11月8日午後9時から放送のNHKスペシャル「新型コロナ 全論文解読~AIで迫るいま知りたいこと~」でお伝えします。

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    新型コロナ 冬場に流行広がるか 気温や湿度が下がるとどうなる(11/4)

    2020年11月4日

    冬場に新型コロナウイルスの流行がどうなるのか。気温や湿度が流行に関連する可能性があるとする研究結果が出ています。

    インフルエンザなど一般的な呼吸器の感染症は冬場に流行することから、新型コロナウイルスについても気温や湿度が下がる冬場にさらに流行しやすくなる可能性が指摘されています。

    北半球では本格的な冬を迎えるのはこれからですが、すでに新型コロナウイルスと気温や湿度との関係について調べた研究結果が複数、報告されています。

    このうち、アメリカのメリーランド大学などのグループは2020年3月上旬までの世界の50都市について、気温や湿度と新型コロナウイルスの流行の関係を分析しました。

    その結果、感染者が多かったのは平均気温が5℃から11℃で比較的、湿度が低い地域に集中していたということです。

    また、北京大学のグループは3月27日までのデータから気温が1度上がると新たな感染者がおよそ3%少なくなるという解析結果を発表しています。

    ブラジルの大学のグループは、各国から発表された新型コロナウイルスと気温や湿度についての17の研究を集め、詳しく解析しました。

    結果は、寒くて乾燥した状態はウイルスの拡散を促す要因とみられるとしたものの、それだけでは感染の広がりをすべて説明できるわけではないと結論づけています。

    一方、アメリカのテキサス大学のグループはアメリカ国内の都市について2020年の8月中旬までのデータを使って分析した結果、気温などの気候の影響は確認できず、人の移動や人口、それに都市部の人口密度などが感染の広がりに関係していると考えられると報告しています。

    ただ、北半球が冬に向かっていく中で流行がどう推移するかについてはまだ、実際のデータがほとんどないことから、引き続き慎重に見ていく必要があります。

    専門家「かぜのコロナウイルスは冬場に流行 抑制は可能」

    日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は、「通常のかぜのコロナウイルスは冬場に流行するため、新型コロナウイルスが似た性質を持っていてもおかしくはない。ウイルスの性質以外にも冬は寒いので窓を開けなくなって『3密』の環境が増えたり、のどや鼻の粘膜が乾燥して免疫力が落ちたりすることで感染しやすくなることも考えられる。ただ、冬場の気候は感染の拡大につながる要因だったとしても、『3密』を避けて手洗いやマスクの着用を徹底すれば、ある程度の抑制は可能だと考えられる。冬に向けてしっかりと対策を意識して生活してほしい」と話しています。

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    新型コロナの「10の知識」公表へ 最新情報まとめる 厚労省(10/30)

    2020年10月30日

    厚生労働省は新型コロナウイルスの特徴や治療などに関する最新の情報をまとめ、近く「10の知識」として公表する方針で、10月28日、案を取りまとめました。

    1.診断数は

    国内では27日の時点で、人口の0.08%に当たるおよそ9万6000人が感染していると診断されています。

    20代が最も多く、20代の人口の0.2%に相当しているということです。

    2.重症化・死亡の割合は

    新型コロナウイルスに感染していると診断された人のうち、重症化したり、死亡したりする割合は高齢者で高く、若者は低い傾向があります。

    6月から8月までのデータを分析すると、重症化する人は、50代以下が0.3%だったのに対し、60代以上は8.5%でした。

    死亡した人は、50代以下が0.06%、60代以上が5.7%です。

    また、重症化したり、死亡したりする割合は以前より低くなっています。1月から4月と、6月から8月を比べると、重症化した人は9.8%から1.62%に、死亡した人は5.62%から0.96%に低下しています。

    3.重症化しやすい人は

    重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある人たちです。

    年代別の重症化率は、30代の人を基準にすると
    ▽10歳未満が0.5倍
    ▽10代が0.2倍
    ▽20代は0.3倍
    ▽40代では4倍
    ▽50代は10倍
    ▽60代は25倍
    ▽70代が47倍
    ▽80代が71倍
    ▽90代以上が78倍となっています。

    また、重症化しやすいのは
    ▽慢性閉塞性肺疾患
    ▽慢性腎臓病
    ▽糖尿病
    ▽高血圧
    ▽心血管疾患
    ▽肥満の6つの基礎疾患を持つ人です。

    妊娠中の女性や喫煙者なども重症化しやすいかは明らかでないものの注意が必要だとしています。

    4.海外に比べて診断数は

    日本の人口当たりの感染者数と死者数は、全世界の平均や主要国と比べて低い水準で推移しています。

    5.感染させる期間は

    新型コロナウイルスに感染した人は発症の2日前から、ほかの人に感染させてしまう可能性があるとされています。

    発症後も7日から10日程度は感染させる可能性があるということです。

    特に、発症の直前と直後はウイルスの排出量が多くなると考えられています。

    このため、感染している人は、症状がなくても不要不急の外出を控えるなど、感染防止に努める必要があるとしています。

    6.感染を広げる割合は

    感染していると診断された人のうち、ほかの人に感染させているのは2割以下と考えられています。

    このため、1人の感染者が何人もの人を感染させなければ、流行を抑えることができるとして、人と接するときはマスクを着用し、体調が悪い場合は不要不急の外出を控えることなどが大切だとしています。

    7.感染を広げないために

    新型コロナウイルスは主に飛沫感染や接触感染によって感染し、特に「3密」の環境で感染リスクが高まります。

    感染リスクが特に高い場面として
    ▽飲酒をともなう懇親会
    ▽大人数や長時間におよぶ飲食 マスクなしでの会話
    ▽狭い空間での共同生活に加え
    ▽居場所を切り替えた際の休憩室や喫煙所、更衣室などを挙げています。

    8.検査の種類は

    検査にはPCR検査や抗原定量検査、簡易キットを使う抗原定性検査など、ウイルスが体内に存在し、感染しているかを調べる検査があります。

    検査の種類に応じて鼻の奥の拭い液だけでなく、だ液や鼻の入り口の拭い液を検体に使うこともできます。

    また、抗体検査は、過去に感染したことがあるかを調べるためのもので、検査を受ける時点で感染しているかを調べる目的には使えません。

    9.治療はどのように

    軽症の場合は、経過観察のみで自然に回復することが多く、必要な場合に解熱薬などで症状を抑える「対症療法」が行われます。

    呼吸が十分にできない人には「レムデシビル」などの国内で承認を受けた抗ウイルス薬を投与し、改善しない場合は人工呼吸器などによる集中治療を行うことがあります。

    こうした治療法が確立されたことなどによって、医療機関に入院した人が死亡する割合も低くなっているということです。

    6月6日以降で、入院時に重症だった人が死亡した割合は
    ▽40代までが0%
    ▽50代から60代が1.4%
    ▽70代以上が20.8%で、全年齢では10.1%となっています。

    10.ワクチンの実用化は

    ワクチンの早期の実用化を目指して、国内・海外で多数の研究が行われていて、すでに臨床試験に入っているものもあります。

    一方で、開発中のワクチンが実際に発症や重症化を予防できるかなどは、まだ分かっていないということです。

    また、一般的にワクチンを接種すると、副作用による健康被害が極めてまれですが発生します。

    このため、現在、開発が進められている新型コロナウイルスのワクチンの副作用についても、確認を進めているということです。

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    新型コロナ後遺症 脱毛症や4か月たっても嗅覚の異常も(10/23)

    2020年10月23日

    新型コロナウイルスから回復した人について、国立国際医療研究センターが追跡調査したところ、退院後に髪の毛が抜ける脱毛症になった人や、4か月たっても、息切れや匂いが感じられない嗅覚の異常などがあった人がいたことが分かりました。研究グループは調査を続け、後遺症が出るリスクの要因を明らかにしたいとしています。

    国立国際医療研究センターは、新型コロナウイルスで入院し、2020年2月から6月までに退院した人に、その後、聞き取りを行い後遺症の有無を調べました。

    それによりますと、聞き取りができたのは63人で、平均年齢は48.1歳、複数の人に共通の症状があり、発症からおよそ4か月たった段階で、▽息切れがあったのは7人で、率にして、およそ11%、▽けん怠感と▽嗅覚の異常がそれぞれ6人で、およそ10%、▽せきが4人で、およそ6%、▽味覚障害が1人で、およそ2%でした。

    さらに、この中で追加で調査できた58人のうち、ほぼ4分の1にあたる男性9人、女性5人のあわせて14人は、発症から2か月ほどのちに脱毛症になったということです。

    このうち5人は、おおむね2か月半で治りましたが、残りの9人は、調査の時点で脱毛症になってからの期間が短かったこともあり、治っていなかったということです。

    脱毛症は、エボラ出血熱やデング熱から回復したあとでも報告されているということですが、研究を行った森岡慎一郎医師は、「治療が長引いたことによる心理的なストレスが引き金になった可能性もある。今後も調査を続け、後遺症が出るリスクの要因を明らかにしていきたい」と話しています。

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    マスクでウイルス拡散抑え吸い込み減らす効果 東京大など確認(10/22)

    2020年10月22日

    新型コロナウイルス対策としてマスクを着用すると、ウイルスの拡散を抑える効果と吸い込むウイルスを減らす効果の両方の効果があることを、東京大学医科学研究所などのグループが実際のウイルスを使った実験で確認したと発表しました。

    これは東京大学医科学研究所の河岡義裕教授と植木紘史特任助教らのグループが発表しました。

    グループでは、ウイルスが漏れ出さない特殊な実験室に、新型コロナウイルスを含んだ飛まつを出すマネキンと呼吸を再現して空気を吸い込むマネキンを向かい合わせに設置し、マスクの効果を調べました。

    その結果、吸い込む側にだけマスクを着けた場合、吸い込んだウイルスの量は布マスクでは17%減り、一般的なサージカルマスクでは47%減ったということです。

    「N95」と呼ばれる医療用マスクを隙間無く着けた場合は79%減っていました。

    飛まつを出す側にだけマスクを着けた場合は、向かいのマネキンが吸い込んだウイルスの量は布マスクとサージカルマスクのいずれでも70%以上減っていました。

    一方で、両方がマスクを着けた場合も効果はみられましたが、ウイルスの吸い込みを完全に防ぐことはできなかったということです。

    河岡教授は「これまで実際のウイルスを使ってマスクの効果が検証されたことはない。マスクをきちんと着用することが重要だと分かった。ただ、マスクをしても完全にウイルスを防ぐわけではないので、マスクを過信しないことも大切だ」と話しています。

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    皮膚付着の場合 “感染力9時間続く” 新型コロナ 京都府立医大(10/19)

    2020年10月19日

    新型コロナウイルスがヒトの皮膚に付着した場合、感染力がある状態がおよそ9時間にわたって続き、インフルエンザウイルスのおよそ5倍長い時間だったとする研究成果を、京都府立医科大学のグループが発表しました。

    京都府立医科大学の廣瀬亮平助教らのグループは、ヒトの手などに着いた新型コロナウイルスがどれくらい感染力がある状態が続くのか調べるため、亡くなったヒトから提供された皮膚に新型コロナウイルスとA型インフルエンザウイルスをそれぞれおよそ10万個付着させて違いを比べました。

    その結果、新型コロナウイルスは活性化した状態がおよそ9時間にわたって続き、1時間50分ほどだったインフルエンザウイルスに比べて、5倍長い時間感染力を保ち続けることが分かったということです。

    一方、アルコール消毒の効果を調べるために新型コロナウイルスを付着させた皮膚を濃度80%のエタノールに15秒間浸したところ、ウイルスはほとんど検出されなかったということです。

    廣瀬助教は「感染防止をするためには、インフルエンザウイルスよりも消毒などの対策が重要だ。また手指のアルコール消毒の効果があることが実験でも確認できた」と話しています。

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    「紙幣の表面で28日間 感染力ある状態でウイルス存在」豪機関(10/12)

    2020年10月12日

    オーストラリア政府の研究機関は、温度が20度で暗い所にあるなど一定の限られた条件のもとでは、新型コロナウイルスは紙幣やガラスなどの表面で少なくとも28日間、感染力のある状態で存在するとする研究結果を発表しました。この研究機関は、手洗いなどの徹底が重要だと指摘しています。

    CSIRO=オーストラリア連邦科学産業研究機構は、一般的な物の表面に付いた新型コロナウイルスが、湿度50%の暗い環境でどれくらいの期間、残るのか実験で調べました。

    その結果、温度が20度の場合、紙幣やガラスの表面では少なくとも28日間、ウイルスが感染力のある状態で存在することがわかったということです。

    また温度が30度の場合は、紙幣では21日間、ステンレスやガラスでは7日間、綿では3日間、感染力のある状態でウイルスが存在したということです。

    一方、温度を40度に上げると、綿では16時間未満で感染力のあるウイルスは検出されなくなり、紙幣やガラスなどでも検出される期間は24時間になったということです。

    ウイルスが感染力のある状態を維持する期間について、WHO=世界保健機関は、プラスチックやステンレスの表面では最大72時間、銅では4時間未満、ボール紙では24時間未満と、今回の研究結果と異なる見解を示していますが、CSIROは、「今回は紫外線や日光の影響を除き、気温と湿度を制御した条件での結果で、気温が低いほど長く存在し続けることがわかった」としています。

    CSIROは、手洗いのほか、ガラスなどの表面を清潔に保つといった対策が重要だと指摘しています。

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    新型コロナ 感染のしやすさに「年齢差なし」北海道大学研究(10/6)

    2020年10月6日

    高齢者が新型コロナウイルスに感染した場合、若者に比べて、重症化したり死亡したりする割合が高いことが分かっていますが、感染のしやすさそのものは年齢によって違いはなく、高齢者は感染したあとに症状が進みやすいと考えられることが、北海道大学の研究グループの分析で分かりました。

    北海道大学人獣共通感染症リサーチセンターの大森亮介准教授などの研究グループは、日本とイタリア、それにスペインについて、2020年5月までに新型コロナウイルスに感染した人のうち、死亡した人の割合を分析しました。

    その結果、3つの国では流行の規模が大きく異なっていましたが、年齢別に見た死亡者の割合はほぼ同じで、いずれの国でも高齢の人ほど死亡する割合が高い傾向が見られました。

    この原因を探ろうと、年齢ごとに人と接触する頻度などを考慮してデータ分析を行ったところ、感染しやすいかどうかは年齢によって違いはなく、高齢者は感染したあとに症状が進みやすいと推測されることが分かったということです。

    大森准教授は、「若者が感染しにくいとは考えられず、年齢を問わず感染を防ぐ対策をしっかりとることが重要だ。高齢者については、感染したあとの処置を適切に行う必要がある」と指摘しています。

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    “新型コロナは高温多湿に弱い”根拠なし 政府分科会 尾身会長(8/26)

    2020年8月26日

    新型コロナウイルスが高温多湿の環境に弱いという見方について、政府の分科会の尾身茂会長は、可能性は否定できないものの根拠はないとして、引き続き感染拡大に警戒する必要があるという見解を示しました。

    新型コロナウイルス対策などをめぐって開かれた衆議院内閣委員会の閉会中審査で、政府の分科会の尾身茂会長は、ウイルスが高温多湿の環境に弱いという見方について「高温多湿という要素が一定程度影響している可能性は否定できないが、今のところ正式なエビデンスはない」と述べ、引き続き感染拡大に警戒する必要があるという見解を示しました。

    そして、尾身氏は、感染状況が下降傾向にあるとみられる要因について、個人的な見解だとしたうえで、自治体の協力で東京の接待を伴う飲食店などの感染が下火になったことや、都道府県知事がリーダーシップを発揮して対策を講じたこと、それに、移動を控えるなど国民が協力したことの3点を挙げました。

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    新型コロナ 回復の4か月後に再感染のケース 香港大学が発表(8/25)

    2020年8月25日

    新型コロナウイルスに感染し、回復したあとに再び感染したケースが世界で初めて確認されたと、香港大学の研究グループが発表しました。研究グループは、感染したことがある人もマスクの着用といった感染防止策だけでなくワクチンの接種も考慮すべきだと指摘しています。

    香港大学の研究グループは8月24日、2020年3月下旬に新型コロナウイルスに感染して回復した33歳の香港の男性について、4か月余りたった今月、2度目の感染が確認されたと発表しました。

    研究グループや衛生当局によりますと、男性は1度目に感染が確認された際は病院で2週間余り治療を受け、その後検査で陰性となり、退院しました。

    そして、8月6日から15日にかけてイギリスとスペインを旅行し香港に戻った際、空港での検査で感染が確認されたということです。

    男性に目立った症状はなく、8月21日には病院を退院したということです。

    1度目と2度目ではウイルスの遺伝子の配列が一部で異なるということで、研究グループは、同一人物で2度感染が確認されたケースは、世界で初めてだとしています。

    研究グループは、感染後に体内で作られた抗体が減って、数か月後には通常のかぜのように再び感染するおそれがあることを示すものだとして、感染したことがある人もマスクの着用や人と距離を置くなどの感染防止策だけでなくワクチンの接種も考慮すべきだと指摘しています。

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    若い世代 “入院後の重症化 大人と同程度” 米CDC(8/14)

    2020年8月14日

    新型コロナウイルスの患者のうち、18歳未満の比較的若い世代は、18歳以上の世代に比べて入院が必要になる割合は大幅に低いものの、入院後に症状が重くなる割合は大人と同程度であることが、アメリカCDC=疾病対策センターなどの分析でわかりました。CDCは「託児所や学校など、子どもが集まるところでの感染対策が重要だ」としています。

    CDCは、全米の14の州の保健当局と協力して、3月1日から7月25日にかけて、新型コロナウイルスで入院した若い世代の患者の特徴を調べました。

    その結果、この間の18歳未満の入院患者は576人、人口10万人当たりで8人と、18歳以上の164.5人に比べて大幅に低い割合であることがわかりました。

    18歳未満の入院患者の内訳は、12歳から17歳が41.8%、生後3か月未満が18.8%、5歳から11歳が16.8%でした。

    また、健康上の問題のうち、最も多かったのは肥満で、次がぜんそくなど肺の病気でした。

    一方、その後、ICU=集中治療室で手当てを受けた人の割合は33.2%と、18歳以上の入院患者の32%と同程度であることもわかりました。

    今回の分析で、死亡した18歳未満の入院患者は1人でした。

    CDCは「比較的若い世代で入院が必要になる患者の割合は、大人に比べて低いものの、重症化する危険性はある。託児所や学校など、子どもが集まるところでの感染対策が重要だ」としています。

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    WHO 食品からのコロナ感染は「証拠なし」(8/14)

    2020年8月14日

    WHO=世界保健機関は、中国がブラジルから輸入した冷凍の鶏肉から新型コロナウイルスが検出されたと発表したことについて、「状況を追跡するが、食品の生産や流通の過程がウイルスの感染に関わりがあるという証拠はない」という認識を示しました。

    WHOは8月13日、スイス・ジュネーブの本部で定例の記者会見を開きました。

    この中で、新型コロナウイルス対応の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は中国がブラジルから輸入した冷凍の鶏肉から新型コロナウイルスが検出されたと発表したことについて、「発表を把握している。中国は食品の包装を数十万件検査したが、見つかったウイルスの数は極めて少なかった」と述べました。

    そのうえで、たとえ食肉にウイルスが付着していても、調理すれば死滅するという認識を示しました。

    また、WHOで危機対応を統括するライアン氏は、「状況を追跡するが、食品の生産や流通の過程がウイルスの感染に関わりがあるという証拠はない」と述べました。

    このほか、ロシア政府が8月11日に正式に承認した新型コロナウイルスのワクチンの信頼性についてWHOのエイルワード事務局長補は、「現段階で判断できる十分な情報を持ち合わせていない。追加の情報を得るため、ロシアの当局と連絡を取り合っている」と述べるにとどめました。

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    「抗体」に新型コロナウイルスの感染防ぐ能力を確認 厚労省(7/14)

    2020年7月14日

    厚生労働省が実施した新型コロナウイルスの抗体検査で、検出された抗体を調べた結果、ウイルスの感染を防ぐ能力があることがわかりました。厚生労働省の研究班は今後、この能力が体内でどこまで持続するかなどを調べることにしています。

    抗体検査は、ウイルスなどに感染すると体内でつくられる、「抗体」と呼ばれるたんぱく質が血液中にあるかを分析し、過去に感染したことがあるかどうかを調べるものです。

    厚生労働省は6月、合わせて7950人を対象に抗体検査を実施し、抗体を保有していることが確認された人の割合は、東京で0.1%大阪で0.17%宮城で0.03%となりました。

    さらに国立感染症研究所が検出された「抗体」にウイルスの感染を防ぐ能力があるかどうかを調べたところ、感染を防ぐ「中和活性」と呼ばれる能力が確認されました。

    今回、厚生労働省が実施した抗体検査では、2つの会社が製造する試薬が使われていて、どちらも陽性となった人の抗体には感染を防ぐ「中和活性」が確認されましたが、どちらか一方でしか陽性とならなかった人からは、確認されなかったということです。

    国内で、「抗体」に感染を防ぐ能力があることが確認されたのは初めてで、厚生労働省の研究班は今後、この能力が体内でどれくらいの期間持続するかなどを分析することにしています。

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    コロナ陰性後も続く“後遺症” 実態調査へ 日本呼吸器学会(7/2)

    2020年7月2日

    新型コロナウイルスに感染し陰性になって退院したあとも続く発熱や息苦しさなどの症状。こうした症状を訴える人が相次ぐ中、日本呼吸器学会は肺機能の低下を中心に陰性後も続くさまざまな症状について実態調査を進めることになりました。

    新型コロナウイルスの感染者をめぐっては、陰性になって退院したあとも、数か月にわたって発熱やけん怠感が続いたり、呼吸機能や運動能力の低下で日常生活に支障が出たりする人が多くいることが国内外で明らかになっています。

    また、新型コロナウイルス感染症は国の指定感染症になっているため、入院などでかかる医療費は全額、公費で負担されますが、陰性になり退院したあとの医療費の一部は自己負担となっていて、後遺症とみられる症状への理解や支援を求める声も相次いでいます。

    こうした中、日本呼吸器学会は肺機能の低下を中心に、陰性後も続くさまざまな症状について実態調査を進めることになりました。調査は早ければ8月にも始まる見通しで、学会の医師が所属している全国の医療機関に協力してもらい新型コロナウイルスの感染者の症例をもとに調査や研究を進めるということです。

    日本呼吸器学会の横山彰仁理事長は「陰性になっても肺機能などが元に戻らない人が海外で多く報告され、日本でも同じような事例があることが分かっているが、感染者のうちどのくらいの人に後遺症が出るのかなど詳しい実態はまだ分かっていない。症例のデータを集めて調査し今後の対応に生かしていきたい」と話しています。

    症状続く大学生は…

    新型コロナウイルスに感染した21歳の男子大学生は、陰性になったあとも2か月近くにわたって発熱や息苦しさなどの症状が続き通っていた大学の休学を余儀なくされています。

    「社会復帰できると思った…」退院後2か月近く続く症状

    大学生が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたのは4月7日。それから3週間、自宅で療養を続けましたが、40度を超える発熱が続いたことなどから、4月29日に入院しました。10日後の5月9日、PCR検査で2度陰性が確認されたため退院。

    しかし、退院後も、37度5分前後の発熱やけん怠感のほか、息切れや嗅覚障害などの症状が2か月近く続いていて、5月中旬には脱水症状になって意識を失いおよそ1週間、入院したといいます。

    大学生は「PCR検査で陰性になりましたが、発熱や頭痛のほか味覚や嗅覚も元に戻っていなかったので、『これで本当に陰性なのかな』と不安でした。陰性になって点滴を外して、『家に帰って普通の生活をしてください』って言われてもけん怠感からずっと家で寝ているような状態で外出する気力もありません。コロナにかかる前は若者だとすぐに治って社会復帰できると思っていましたが全然そんなことはありませんでした」と話しました。

    9月まで休学

    陰性後も発熱などの症状に苦しむ大学生。外出もできない状況が続き、迷った末に通っていた大学を2020年9月まで休学することを決断しました。大学には医師の診断書とともに休学届を提出しましたが、大学側からは休学期間中であっても原則として学費を支払う必要があると説明されたといいます。

    大学生は「いまは数分間勉強しただけでも疲れてしまうような状況なので何時間も授業を受けるのは難しいと考えました。休学はギリギリまで迷いましたが、たとえ、オンライン授業であっても授業を受けるのは難しいので休学せざるをえない状況でした。半年で治るのかもまだ分からない未知のウイルスで、いつ復帰できるかもわからず、友人よりも卒業が遅れてしまうのでとても不安です」と話しています。

    のしかかる医療費

    大学生は、陰性後も続く症状の治療のため今も定期的に病院に通い3種類の薬を処方してもらっています。新型コロナウイルスは国の指定感染症になっているため陰性となり、退院の基準を満たすまでの医療費は、全額、公費で負担されますが、その後の医療費の一部は自己負担となります。

    大学生は陰性後に1週間入院し、その後も定期的に通院しているためこれまでに支払った医療費は合わせて12万円に上っているといいます。

    大学生は「今も2週間に1度、通院していますが、1回当たりの医療費が5、6000円かかるほか、電車での移動もしんどいのでタクシー代もかかってしまいます。アルバイトもできず、学生には到底払えないので親に頼っている状況ですが、いつまで続くかわからず、経済的な面も不安です。陰性になっても症状は変わらないのに医療費が自己負担になるのはおかしいと感じています」と話していました。

    SNSにも投稿相次ぐ

    SNS上には、新型コロナウイルスに感染し、陰性になったあとも後遺症とみられる症状に苦しむ人たちの投稿が相次いでいます。

    「コロナ後遺症ですが、あります。発熱、息苦しさ、頭痛など。自分も微熱が60日続いています」
    「耳鼻科に行ってきました。やはり情報が少なく、コレと言った治療がないので、感冒後嗅覚障害と同じ対応しかないとのこと。長期戦だ~」
    「めまいが治らん。薬飲んでるのに治らん。耳鳴りも治らん。これ、本気で後遺症なんじゃないかという気がしてきた」

    また、退院後の医療費が一部、自己負担となっていることについても投稿が相次いでいます。

    「陰性後も体調不良続くことがあるなんて知らなかった。陽性時は指定感染症で入院費全額免除だが、陰性後の入院は自己負担ということを知らなかった」
    「今後全部有料でしかも高いのも気になる。後遺症があるうちはせめてお手ごろ価格で経過観察してほしい…変わったのは陰性ってだけだからなぁ」

    そして後遺症とみられる症状に苦しむ人たちが相次いでいること対する驚きの投稿もあります。

    「感染者の人達のお話を聞くまでは全く知りませんでした。後遺症に備えて通院特約付けようかと思っています」
    「後遺症の苦しみや治療方針など全く知らないから詳しく書いてもらって改めて気をつけようと思いました」

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    WHO「空気感染の可能性除外できない」(7/8)

    2020年7月8日

    新型コロナウイルスについて、科学者のグループが飛沫感染で想定されるよりも遠くまで到達すると指摘していることについて、WHO=世界保健機関は「可能性は除外できない」として、新たな証拠に基づいて柔軟に今後の対応を検討していく考えを示しました。

    新型コロナウイルスの感染経路について7月6日、世界32か国の239人の科学者らが声明を発表し、せきやくしゃみで飛び散る「飛沫」による感染だけでなく、さらに細かい粒になって遠くまで到達して感染する可能性を指摘しました。

    声明ではこの感染経路を「空気感染」と呼び、WHOや各国の保健当局などに対して換気の悪い場所や、人が密集した場所での感染リスクが高いとして、これまでの対策を見直すよう求めています。

    これについてWHOの感染予防の技術責任者、アレグランジ氏は7月7日、「混み合った場所や閉ざされた場所、換気が十分にできていない場所では、そうした『空気感染』の可能性は除外できない」と述べました。

    そのうえで、新型コロナウイルス対応の技術責任者のバンケルコフ氏は、ウイルスの感染のしかたについて今後数日中にWHOとしての現在の見解を公開すると述べました。

    WHOはこれまで、新型コロナウイルスはせきやくしゃみ、会話などで飛沫で感染するため、少なくとも1メートルは人との間に距離を取る必要があるとする一方で、飛沫は比較的重く、遠くまでは飛ばないとしてきましたが、新たな証拠に基づいて柔軟に今後の対応を検討していく考えです。

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    全身の血管の炎症 コロナ若い世代調査「川崎病と異なる」米CDC(6/30)

    2020年6月30日

    アメリカで、新型コロナウイルスの感染が疑われ、全身の血管に炎症が起きる「川崎病」に似た症状を示した若い世代の患者およそ200人を詳しく調べたところ、心臓や血管などに炎症は起きていたものの、「川崎病」とは異なるとみられるとする分析結果を、アメリカのCDC=疾病対策センターなどの研究グループがまとめました。

    研究グループは、3月15日から5月20日までに、アメリカの26の州の医療機関に入院した、0歳から21歳までの重症患者186人の症状を調べ、その結果をアメリカの医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表しました。

    それによりますと、患者は肺炎などの症状に加えて、80%が心臓や周囲の血管に炎症、59%が皮膚に発疹があり、全身の血管に炎症が起きる「川崎病」に似た症状を示すケースが多かったものの、ショック症状を起こして血圧を上げる治療などが必要になったケースが50%に上るなど、「川崎病」とは性質が異なるとみられるということです。

    欧米では、新型コロナウイルスの感染が拡大したあと、「川崎病」に似た症状を示す子どもの患者の報告が相次ぎ、関連を指摘する声が出ていました。

    研究グループは、「川崎病」ではなくても、新型コロナウイルスは若い世代でも症状が重くなる場合があり、症状が進行するまで数週間かかることもあるとしています。

    CDCは、子どもなど若い世代で感染が疑われる場合には、健康状態を注意深く観察する必要があるとしています。

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    「次亜塩素酸水 一定濃度以上 十分な量使用で効果」経産省など(6/26)

    2020年6月26日

    新型コロナウイルスに対する効果の検証が続いていた「次亜塩素酸水」について、経済産業省などはアルコールのように少量をかけるだけでは効かず、一定の濃度以上のものを十分な量使った場合に効果があるなどという使用上の注意点を公表しました。また、空間に噴霧すると人が吸入してしまうおそれがあるとして、注意を呼びかけています。

    経済産業省や厚生労働省、消費者庁は6月26日、新型コロナウイルスに対する効果の検証が続いていた「次亜塩素酸水」についての使用上の注意点などを公表しました。

    NITE=製品評価技術基盤機構などが実験を行って検証した結果、「次亜塩素酸水」は塩素の濃度が一定以上あり、十分な量がある場合、手あかや油脂などの汚れが少ない場合に、新型コロナウイルスに対して効果が見られたということです。

    ただ、使う量をおよそ半分にすると効果が10分の1から1000分の1に弱まるという実験結果もあったということです。

    このため、経済産業省などが示した使用上の注意点では、アルコールのように少量をかけるだけでは、新型コロナウイルスに対し効果がないとして、拭き掃除に使用する場合は、目に見える汚れをあらかじめしっかり落としたうえ、有効塩素濃度が80ppm以上のもので表面をヒタヒタにぬらし、20秒以上置いてから拭き取って使用すべきだとしています。

    また、流水で掛け流して使う場合は同じく汚れをしっかり落としたうえで有効塩素濃度が35ppm以上のものを使って表面に残らないよう拭き取ることとしました。

    一方、人がいる場所で空間に噴霧すると、吸入してしまうおそれがあるとして、人が吸入しないよう注意を呼びかけるとともに、空気中のウイルス対策には、消毒剤の噴霧ではなく、換気が有効だとしました。

    特に人体に付着したウイルスの除去や感染予防を目的とする場合には、医薬品、または医薬部外品としての承認が必要ですが、現時点で、空間噴霧用の消毒剤として承認が得られた製品はない、ということです。

    経済産業省などは、今回の検証の結果や、新型コロナウイルス対策に有効とされる家庭用洗剤などの使用方法をホームページで詳しく紹介しています。

    経産省「使用の際には示した方法で対策を」

    経済産業省の担当者は「次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに対して、少量で使うなどアルコールと同じ使い方では十分な効果が無い。効果があると期待して使っていたのに、感染が広がってしまうという事態を避けるためにも使用の際には今回示した方法でしっかりと対策してもらいたい」と話しています。

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    感染後の抗体 数か月後に減少 中国研究グループ(6/19)

    2020年6月19日

    新型コロナウイルスに感染したあとに体内で作られる抗体が感染から数か月後には減り始めたとする研究結果を中国の研究グループが発表しました。感染を経験した人は再び感染しにくいという考えに基づいた対応を取ることには、リスクがある可能性があるとしています。

    中国の重慶医科大学などの研究グループは、2020年4月上旬までに重慶で新型コロナウイルスに感染して症状が出なかった8歳から75歳までの男女の患者37人と、症状が出た37人について、抗体の量の変化などを比較した研究結果を医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。

    それによりますと、感染後しばらくして作られる「IgG」抗体は当初、80%以上の人で検出されましたが、退院からおよそ2か月後に調べると、この抗体が検出された人のうち、無症状の人の93.3%、症状があった人の96.8%で減少したことがわかりました。

    減少した割合は半数の人で70%を超えていたということです。

    また、ウイルスの働きを抑える「中和抗体」の量は無症状の人の81.1%、症状があった人では62.2%で減っていました。

    研究グループは無症状の人のほうが免疫の反応が弱いとしています。

    抗体は感染から2か月から3か月ほどで減り始めているとしていて、感染を経験した人は再び感染しにくいという考えに基づいて、感染した人に「免疫パスポート」を出して活動範囲を広げる欧米での動きについて、研究グループはリスクがある可能性があるとしています。

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    退院後 日常生活に支障がある人も(6/11)

    2020年6月11日

    新型コロナウイルスに感染し、陰性となって退院したあとも呼吸機能や運動能力が低下するなど、日常生活に支障を抱えている人たちがいることがわかりました。治療に当たる病院からは「退院後にも、さまざまな影を落とすことを知ってもらい、サポートの輪を広げてもらいたい」といった声があがっています。

    NHKは新型コロナウイルスに感染した人の治療後の状態について把握しようと、東京都内の感染症指定医療機関と大学病院を対象にアンケートを行い「感染者の受け入れがない」という病院を除く46か所のうち、18か所から回答を得ました。

    それによりますと、5月末までに18の病院で合わせておよそ1370人が陰性となって退院したり、症状が改善して転院したりしていますが、その時点で日常生活に何らかの支障がある状態だった人が少なくとも98人いることが分かりました。

    退院するなどした人のおよそ7%に当たります。

    具体的には、ウイルスによる肺炎の後遺症などで呼吸機能が低下した人が47人いて、このうち6人は自宅で酸素を吸入する装置を使わざるをえなくなったということです。

    また、長期間、入院したことによる筋力や運動能力の低下が46人、高齢などで認知機能が低下した人も27人いました。

    ほかに、嗅覚異常や高次脳機能障害とみられるケースもあるということです。

    こうした支障が残った人の多くは、重症化したため人工呼吸器や「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置による治療などを受けていました。

    アンケートでは、新型コロナウイルスの治療や、退院後のフォローなどについても自由記述で尋ねたところ「リハビリのため転院させようとしても、新型コロナウイルスを理由に受け入れ先がなかなか見つからない」という課題をあげた病院が複数ありました。

    また「陰性となっても介護度が上がっており“社会的入院”となって、病床を圧迫する場合がある。高齢者問題を見据えた出口戦略が必要だ」という指摘や「退院後にも、さまざまな影を落とすことを知ってもらい、サポートの輪を広げてもらいたい」という声もありました。

    「自宅でも酸素吸入」

    東京 世田谷区の自衛隊中央病院では5月末までに、およそ250人が退院したり転院したりしましたが、このうち4人が呼吸機能が低下し、自宅でも酸素を吸入する装置を使うようになったということです。

    治療に当たった呼吸器内科の河野修一医師によりますと、ウイルスが肺に入ると肺胞の内側の壁などが損傷し、次第に壁が厚くなってかたくなる「線維化」という状態を引き起こす場合があります。

    新型コロナウイルス特有の症状ではありませんが、肺が線維化すると、体内に取り入れられる酸素の量が少なくなり息苦しくなります。

    この線維化が起きた4人の患者は、陰性となって退院後も、自宅などで酸素を吸入する装置を使わざるをえなくなったということです。

    河野医師は「新型コロナウイルスに感染し、呼吸機能が低下した人の肺は、今後どういう経過をたどってくのか、データが無いので今は全くわからない。それが、この病気の恐ろしさであり、これからも感染予防を徹底してほしい」と話しています。

    一時重症化した医師「以前のように働けない」

    新型コロナウイルスに感染した40代の医師は、陰性になって2か月以上たった今も、肺の「線維化」によって呼吸機能が低下し、以前のように働けない状態が続いています。

    男性は、勤務先の病院で感染者の治療に当たっていました。

    自身の感染が確認されたのは、2020年3月。

    発熱やけん怠感が続き、PCR検査を受けた結果、陽性と分かり緊急入院しました。

    そのときの状態について男性は「レントゲンを撮ったら、肺が真っ白のすりガラス状になっていて、本当にこれが自分の肺なのかと思った。死ぬかもしれないと覚悟し、妻に『子どもたちを頼む』と電話で伝えた」と話します。

    その後、急速に症状が悪化し、肺の機能を一時的に代行する人工心肺装置「ECMO」が装着されました。

    血栓症やカテーテルによる感染症も引き起こしましたが、およそ3週間後に意識が戻り、4月に陰性が確認されました。

    直後は全身の筋力が弱っていて、歩くことや食べること、文字を書くこともできない状態でしたが、リハビリの結果、運動機能は徐々に回復。

    一方で、呼吸機能は2か月以上たった今も、元に戻っていません。

    肺が「線維化」の状態にあると診断されました。

    男性は、6月から仕事に復帰しましたが、階段を上ったり長時間歩いたりすることがままならず、急患の対応で走ることや心臓マッサージを行えないなど、以前のように働けない状態が続いていると言います。

    男性は呼吸機能の回復に効果的だと言われている腹式呼吸を意識したり、朝晩30分ほどのウォーキングやラジオ体操をしたりして、自分なりのリハビリを行っています。

    男性は「この息苦しい状態が半年なのか、1年なのか、それとも一生続くのか分からないのでとても不安だ。この病気は陰性になっておしまいではない。その後も、こうして後遺症に苦しめられている人もいることを知ってほしい」と話しています。

    高齢者 1か月間の入院で「自分の名前が答えられず」

    関東地方に住む89歳の男性は2020年4月、新型コロナウイルスに感染し、およそ1か月間入院しました。

    感染する前の男性は、往復10キロの散歩を毎日欠かさないほど元気でしたが、担当した医師によりますと入院中は連日、高熱が出て投薬や点滴での治療を受けていたということです。

    ベッドから全く動けない状態が1か月続いた結果、認知機能や運動機能が低下。

    5月2日に陰性が確認されましたが、自分の名前すら答えられなくなり、歩くことも、一人で食事をすることもできなくなったといいます。

    その後、男性は転院してリハビリを続け、低下した機能は回復してきましたが、今も歩行器や食事やトイレの際の介助が必要です。

    リハビリを行っている病院の医師は「ほかの病気と圧倒的に違うのは、新型コロナウイルスに感染していることで普通の入院で行えるようなリハビリを、最初から行うのが難しいということだ。介入できないことで、高齢者は運動能力や認知機能の低下が一気に進む」と話しています。

    男性はリハビリが進み退院を促されましたが、家族はいずれも仕事があるため、自宅で男性を介護するのは難しいと考えています。

    受け入れてくれる施設を探しましたが、新型コロナウイルスに感染していたことを伝えると断られ、5か所目でようやく見つかったということです。

    男性の娘は「新型コロナウイルスに感染して、一時は死を覚悟した。回復してうれしかったが、陰性が確認されてやっと会えたと思ったら寝たきり状態になっていた。父にとっても、家族にとっても、元の生活に戻るのは難しく悩んでいる」と話しています。

    50代の男性 退院後に「高次脳機能障害」と診断

    東京 中央区の聖路加国際病院では、5月末までに退院した67人のうち、7人が日常生活に支障のある状態だったということです。

    7人とも筋力や運動能力が低下、合わせて認知機能が低下したり、呼吸機能が低下したりした人も、それぞれ5人いました。

    さらに、退院後に「高次脳機能障害」と診断されたケースもあると言います。

    治療に当たった呼吸器内科の仁多寅彦医師によりますと、高次脳機能障害と診断されたのは50代の男性です。

    人工心肺装置ECMOを装着し、一時、心肺停止となるなど非常に危険な状態でしたが、なんとか回復し、4月上旬に陰性となりました。

    しかし退院後、人の名前や、よく行く地名を間違えるようになったほか、家族や医療スタッフとの会話が、かみ合わない傾向がみられました。

    このため頭部のMRI検査を行ったところ、大脳皮質に複数の出血が見つかりました。

    仁多医師によりますと、新型コロナウイルスに感染し重症化すると、血栓ができやすいと指摘されているほか、ECMOの装着など治療の過程でも血栓ができやすいため、血液が固まるのを防ぐ治療が合わせて行われます。

    一方で、血が固まるのを防ぐ薬などによって、体内で出血しやすい状態になるということで、大脳皮質の出血はこうした経緯で起きた可能性が考えられるということです。

    男性は仕事への復帰を諦め、リハビリを続けているということです。

    仁多医師は「新型コロナウイルスの感染が広がり始めたころは救命だけに専念していたが、後遺症にも気をつけなければいけないと感じている。肺だけでなく全身に症状が出ることが分かってきているので、陰性になって終わりではなく、元の生活に戻れるまでが新型コロナウイルスの治療だととらえなければならない」と話しています。

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    飛まつの広がり スーパーコンピューター「富岳」が予測(6/5)

    2020年6月5日

    新型コロナウイルスの感染に関わる、せきなどの飛まつがどう広がるのか、最新のスーパーコンピューターで予測した動画を神戸市の理化学研究所が公開しました。

    この動画は理化学研究所の坪倉誠チームリーダーなどのグループが研究の中間報告として報道各社に公開しました。

    予測には最新のスーパーコンピューター「富岳」が使われていて、机をはさんで人が対面しているケースでは、1人がマスクをせずにせきをした場合、口元を隠すくらいの高さの仕切りを間に置いていても向かいにいる人の顔に飛まつがかかっています。

    一方、頭の高さより高い仕切りであれば飛まつをせき止めています。

    また、時速80キロの電車が窓を開けて走行した場合でも通勤ラッシュ時のような満員の状態だと空気の流れが止まり、十分な換気ができないこともわかったということです。

    坪倉チームリーダーは「『富岳』の計算能力によって、飛まつや空気の流れを細かく分析することが可能になった」と話しています。

    研究グループでは7月にも、こうした結果をもとに感染予防策の具体的な提言をまとめたいとしています。

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    新型コロナ エアコンの「風」で飛沫流れ感染 CDCが事例報告(6/5)

    2020年6月5日

    気温が上がり、エアコンを使う機会が増える季節となりましたが、海外の飲食店ではエアコンの風にのって飛まつが飛び、新型コロナウイルスの感染が広がったとみられる事例が報告されています。アメリカCDC=疾病対策センターなどは換気を十分に行うよう呼びかけています。

    CDCの報告書によりますと、中国 広州市の保健当局が1月から2月にかけて新型コロナウイルスの感染が確認された別々の3つの家族、合わせて10人の感染経路を調べたところ、全員が1月24日に同じレストランで昼食をとっていたことがわかりました。

    3つの家族はエアコンの吹き出し口からみて1列に並べられた3つのテーブルに分かれて座っていました。

    レストランに窓はありませんでした。

    真ん中のテーブルには、当時、中国で最も感染が広がっていた武漢市から前日にやってきた家族が座っていて、このうちの1人はこの日の昼食後に発症しました。

    報告書では、当時、症状はなかったものの、この1人から出た飛まつが風下に流れて、隣のテーブルの家族に感染し、さらに強い空気の流れで壁に反射して最も風上のテーブルの家族にも感染が広がったとみられると結論づけています。

    エアコンのある壁から向かいの壁までの距離は6メートルで、エアコンからはウイルスの遺伝子は検出されず、同じフロアにいたほかの73人の客から発症者は出なかったということです。

    報告書はウイルスの拡散を防ぐため、飲食店ではテーブルの間隔をあけ、換気を十分に行うよう勧告しています。

    また、家庭用の空気清浄機についてアメリカEPA=環境保護庁はウイルスを除去して感染を防ぐ機能は十分ではないとして家庭でも換気を十分に行うよう呼びかけています。

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    “感染者 1日10人の入国で3か月後に大規模流行” 専門家(6/2)

    2020年6月2日

    新型コロナウイルスの第2波に向けた警戒が続く中、海外から感染者が入国するリスクについて、専門家が新たにシミュレーションを行いました。今後、感染が流行している国から1日当たり10人の感染者が入国した場合、3か月後には100%に近い確率で大規模な流行が起きるとしています。一方、1日1人であれば大規模な流行は4割以下の確率におさえられるとしていて、専門家は「感染者が流入するリスクをしっかりと踏まえたうえで入国制限の緩和などを検討すべきだ」と指摘しています。

    国内では、これまでヨーロッパなどの海外から、感染者が流入したことがきっかけで、流行が拡大したと指摘されていて、感染者の流入を、いかに食い止めるかが大きな課題となっています。

    北海道大学大学院の西浦博教授らのグループは今後、海外から何人の感染者が入国すると大規模な流行が起きるのか、シミュレーションを行いました。

    それによりますと、感染が流行している国から1日当たり10人の感染者が入ってきた場合、検疫でのPCR検査やホテルなどでの2週間の待機要請を行ったとしても、完全には防げず一部は流入してしまい、3か月後には98.7%の確率で緊急事態宣言などが必要となる大規模な流行が起きるとしています。

    一方で、感染が流行している国からの入国を厳しく制限するなどして、1日当たりに入国する感染者を2人にした場合は3か月後に大規模な流行が起きる確率は58.1%、1日当たり1人にした場合は35.3%にまで抑えることができるとしています。

    専門家「リスクを分析し制限や緩和を」

    今回のシミュレーションについて、西浦教授は「多数の感染者が入国すると検疫で食い止めるのは限界があるので、入国者そのものを制限する必要がある」と指摘しています。

    一方で、入国制限をめぐる現在の状況について「制限の緩和については政府が判断をしているが、感染リスクをどこまで踏まえているのか、透明性をもって明確に語られていない状態だ」と指摘しています。

    さらに「検疫や入国制限は省庁の管轄がそれぞれ異なり、縦割りの状態にある。政府が一体となって、感染者が入国するリスクを分析し、制限を掛けたり緩和したりする仕組みを急いで作らなければならない」と話しています。

    入国時の検疫対応は

    新型コロナウイルスの対策としての入国制限について、政府は外国人と日本人で異なる対応をとっています。

    外国人の場合、「感染症危険情報」がレベル3に引き上げられているアメリカやロシアなど111の国と地域からの入国は拒否していて、そのほかの国や地域からの入国も制限しています。

    日本人の場合、帰国することはできますが、帰国後14日間は自宅やホテルなどで待機し、公共交通機関を利用しないよう要請しています。

    また「感染症危険情報」がレベル3の国と地域に滞在していた人についてはPCR検査を受けることを義務づけています。

    厚生労働省によりますと、検査の対象となる人数が多いため、結果が出るまでに1日から2日ほどかかっていて、その間は空港内のスペースなどで待機する必要があるということです。

    入国拒否の緩和に向けて

    外国人の入国を拒否している現在の措置について、政府は緩和に向けた検討を進めています。

    感染状況が落ち着いていて日本との経済的なつながりが大きいとして、タイとベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの合わせて4か国について、ビジネス関係者らに限って緩和する方向で検討しています。

    早ければ、今月中にも緩和する方向で4か国との協議を進めていて、実現すれば感染拡大以降、初めての緩和措置となります。

    安倍総理大臣は、緊急事態宣言が全国で解除された5月25日の記者会見で「感染再拡大の防止と両立する形でどのように国際的な人の往来を部分的・段階的に再開できるかについて、慎重に検討したうえで、政府として適切なタイミングで総合的に判断していく」と述べています。

    専門家会議「徐々に緩和を目指すのが適当」

    新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議は、5月29日に出した提言の中で、水際対策の見直しについての考え方も示しています。

    提言では、ヨーロッパなどで感染した人たちが日本に帰国したことがきっかけで、3月中旬からの感染拡大が起きたことが遺伝子解析で明らかになったと指摘しています。

    このため、今後、海外との人の行き来を再開することで、日本国内で再び感染拡大が起きるおそれがあるため、当面は入国者を限定するなどして、徐々に緩和を目指すことが適当だとしています。

    また、水際対策の検討にあたっては各国によって患者数を特定する体制に差があるため、国別に報告されている患者数が必ずしも実態を反映していない可能性も考慮して、慎重に見極める必要があると指摘しています。

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    「次亜塩素酸水」現時点では有効性は確認されず NITE(5/29)

    2020年5月29日

    NITE=製品評価技術基盤機構は、新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっている「次亜塩素酸水」について、現時点では有効性は確認されていないとする中間結果を公表しました。専門家は、噴霧での使用は安全性について科学的な根拠が示されていないなどとして、注意を呼びかけています。

    NITEなどはアルコール消毒液に代わる新型コロナウイルスの消毒方法の検証を進めていて、29日「次亜塩素酸水」についての中間結果を公表しました。

    検証では、2つの研究機関で酸性度や塩素の濃度が異なる次亜塩素酸水が新型コロナウイルスの消毒に有効かどうかを試験しました。

    その結果、一部にウイルスの感染力が弱まったとみられるデータもありましたが、十分な効果がみられないデータもあるなどばらつきが大きく有効性は確認できなかったということです。今後、塩素濃度を高くした場合などについて検証を続けるということです。

    またNITEでは、次亜塩素酸水は噴霧することで空間除菌ができるとして販売されるケースが少なくないことについて、人体への安全性を評価する科学的な方法が確立していないことや、国際的にも消毒液の噴霧は推奨されていないことなどを紹介する文書を合わせて公表しました。

    議論に関わった専門家は「加湿器などで噴霧した場合に塩素を吸い込むことの安全性はまだ科学的な根拠が示されていない。手や指の消毒に使うスプレーボトルなども含めて現時点では新型コロナウイルス対策として使うのは控えてほしい」と話しています。

    一方、「次亜塩素酸水」として販売されている製品の中には、新型コロナウイルス対策とは別の用途で手指消毒への使用が認められているものがあるということです。

    ※最新の取材内容に基づいて、記事を一部更新しました。(6月4日)

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    新型コロナ 1度感染のサル再感染せず 米ハーバード大など研究(5/21)

    2020年5月21日

    新型コロナウイルスに1度感染したサルは、免疫の働きによって再び感染しないことが確認されたとする研究成果をアメリカのハーバード大学などのグループがまとめました。研究グループは「免疫反応を利用した予防や治療の可能性を示す成果だ」としています。

    ハーバード大学の医療センターなどの研究グループは、新型コロナウイルスを9匹のサルに感染させ、ひと月余りたってウイルスの遺伝子が検出されなくなったあと、サルの鼻や気管にウイルスを含んだ液体を注入して、経過を観察しました。

    その結果、サルの体では、注入後からウイルスの遺伝子が速やかに減り始め、最も多い量を注入したものでも、2週間後には検出されなくなり、いずれも症状はほとんど見られなかったということです。

    血液を調べたところ、ウイルスの働きを弱める抗体の量が増えていることが確認され、研究グループは、抗体がウイルスの増殖を抑えて再感染を防いだと結論付けています。

    ヒトでも同じことが起こるのかはまだわかっていませんが、研究グループは「免疫反応を利用した予防や治療の可能性が示された」としています。

    この研究成果は、5月20日付のアメリカの科学雑誌「サイエンス」に掲載されています。

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    鼻づまりないのに嗅覚に異常「感染を疑って」専門家(5/8)

    2020年5月8日

    新型コロナウイルスに感染することで、においを感じなくなる嗅覚障害のメカニズムが明らかになり、専門家は「鼻づまりがないのに、突然、嗅覚に異常を感じた場合は、新型コロナウイルスに特有の症状として感染を疑う必要があり、発熱などの症状がなくても感染を前提に行動すべきだ」と呼びかけています。

    新型コロナウイルスに感染したことによる嗅覚の異常をめぐっては、ウイルスに感染したプロ野球・阪神の藤浪晋太郎投手が退院後の記者会見で「鼻がすっきり通っているのに、においがしないという違和感があった」と語ったように、鼻水や鼻づまりがないのに嗅覚に異常を感じたという報告が国内外で相次ぎ、アメリカのCDC=疾病対策センターも4月、新型コロナウイルスに感染した場合の症状の例として追加しています。

    嗅覚障害の治療に詳しい金沢医科大学の三輪高喜主任教授によりますと、嗅覚障害は、一般的なかぜやインフルエンザで鼻水や鼻づまりなどの症状を発症したあとに起こることがありますが、他の症状がないのに突然、嗅覚障害が多発したケースは他に例がないということです。

    この嗅覚障害について、欧米のグループの最新の研究では新型コロナウイルスが鼻の奥の特定の細胞から感染してにおいを感じる神経の働きを妨げることが明らかになっています。

    三輪主任教授は「突然の嗅覚障害は、新型コロナウイルスに特有の症状として感染を疑う必要があり、発熱などの症状がなくても感染していることを前提に行動すべきだ。これまでの症例の報告などから、嗅覚障害があるからと言って直ちに重症化するということはないので自宅で安静にしたうえで、まずは電話などで医師に相談してほしい」と話しています。

    新型コロナ感染で嗅覚障害になるメカニズム

    嗅覚障害の治療に詳しい金沢医科大学の三輪高喜主任教授が去年6月までの過去10年間に大学病院の嗅覚外来を受診した1683人の患者を調べたところ、嗅覚障害の原因で最も多かったのは副鼻腔炎で39%、次いで、ウイルス感染と原因不明がそれぞれ21%などとなっています。

    このうち、副鼻腔炎による嗅覚障害は慢性的な鼻水や鼻づまりが原因とされ、ウイルス感染による嗅覚障害は一般的なかぜやインフルエンザなどで、鼻水や鼻づまりなどの症状を発症したあとに、においを感じる神経細胞がダメージを受けることで起こるとされています。

    では、新型コロナウイルスに感染した患者が鼻水や鼻づまりがないのに、においを感じなくなるのはなぜなのでしょうか。

    通常、人は鼻の奥にある「嗅細胞」と呼ばれる神経細胞でにおいの分子をとらえ、脳に信号を送ることでにおいを感じています。

    この「嗅細胞」を支えているのが「支持細胞」と呼ばれる別の細胞です。欧米などの研究グループの最新の報告では、「支持細胞」には新型コロナウイルスが人の細胞に入り込む際の受け皿となる「受容体」と呼ばれるたんぱく質があることが分かっています。

    三輪主任教授は、新型コロナウイルスに感染すると「支持細胞」が炎症で腫れ上がり、においの分子の通り道を塞ぐことで分子が「嗅細胞」に届かなくなることが嗅覚障害の原因ではないかと指摘しています。

    このため、感染症から回復して「支持細胞」の腫れがひくと、2週間から3週間ほどの比較的短い期間で、嗅覚障害も解消される可能性が高いとしています。

    三輪主任教授は「この嗅覚障害は鼻づまりとは関係のないメカニズムで起こっており、こうしたメカニズムは一般的なかぜやインフルエンザでは確認されておらず、新型コロナウイルスの感染者に特有の症状と言える」と話しています。

    欧州で感染患者の80%以上に嗅覚や味覚に障害

    4月、ヨーロッパの研究グループが発表した論文では、新型コロナウイルスに感染した患者の80%以上に嗅覚障害があったと報告されています。

    それによりますと、ベルギーやフランスなどヨーロッパの12の病院で治療を受けた軽症から中程度の症状の患者、417人のうち、85.6%にあたる357人に嗅覚障害が確認されたということです。

    また、研究グループは、味が分からなくなる味覚障害についても、同様に全体の88%で確認されたとしていて、「突然起こる嗅覚障害や味覚障害は新型コロナウイルス感染症の重要な症状として国際的に認識される必要がある」と結論付けています。

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    症状に“味覚異常”など追加 米CDC(4/28)

    2020年4月28日

    アメリカのCDC=疾病対策センターは、新型コロナウイルスに感染した場合の症状の例について専門家の見解をもとに新たに情報を更新しました。

    CDCは、これまで挙げていた発熱とせき、息切れに加え、新たに、味覚または嗅覚の異常、寒気や悪寒、頭痛、のどの痛み、筋肉の痛みの6つの症状を追加しました。

    これらに発熱を加えた症状のうち2つ以上の症状が出た場合、感染の可能性もあるとしています。

    また、せきと息切れ、または呼吸困難のうち、いずれかの症状があれば感染の可能性があるということです。

    CDCは症状を追加した理由について、専門家の団体が新型コロナウイルスの主な症状についての見解を変更したことを受けての対応だとしています。

    そのうえでCDCは、胸の痛みが続いたり、顔や唇が青ざめたりした場合などは深刻なサインだとして、すぐに医療機関を受診するよう呼びかけています。

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    米CDC元所長「早期再開は危険性高い」新型コロナウイルス(4/26)

    2020年4月26日

    公衆衛生の専門家で、アメリカCDC=疾病対策センターのトム・フリーデン元所長がNHKのインタビューに応じ、外出制限の緩和や経済活動の再開について「再開を急げば、再び感染の拡大を引き起こす危険性が高い」と述べ、検査や感染者の隔離、感染経路の追跡などの態勢が整うまでは人々が接触する機会を最小限にとどめるべきだと訴えました。

    トム・フリーデン氏はニューヨーク市の保健当局の責任者を経て、2009年にオバマ前大統領にCDCの所長に指名された公衆衛生の専門家で、現在は保健政策のアドバイザーとして新型コロナウイルス対策について地方の行政機関などに助言を行っています。

    フリーデン氏はNHKのインタビューに対し、世界各国で行われている外出や経済活動の制限について早期の再開を求める声が高まっていることについて、「このウイルスは貧困層や移民など、社会のぜい弱なところに入り込み、封じ込めるのが難しい。早期に再開すれば、すぐに感染を再び拡大させる危険性がある。治療薬やワクチンができてコントロールできるようになるまでは、このままの状態で1か月から3か月待たなくてはならないかもしれない」と述べ、検査と感染者の隔離、それに感染経路の追跡などの態勢が十分整ってから、慎重に再開すべきだと述べました。

    また、多くの人が新型コロナウイルスに感染して免疫を持つことで、結果としてウイルスの感染拡大が抑えられるようになる、いわゆる「集団免疫」については、「ウイルスへの抗体についてはわからないことが多く、集団免疫を期待することは何百万もの人命を危険にさらすことになる」と述べ、政策としての手法には否定的な考えを示しました。

    さらに、発展途上国での感染拡大も、パンデミックの終息を遅らせることになるとして、世界各国が協調して治療薬や衛生状態の改善に資金を拠出して、対策を進めるべきだと述べました。

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    「熱やせきの発症前でも感染広げる」シンガポール研究グループ(4/2)

    2020年4月2日

    新型コロナウイルスに感染した人は、熱やせきなどの症状が出る前でもほかの人にウイルスを広げてしまうことを裏付ける研究をシンガポールの研究グループが発表し、集会や人混みを避け、自宅にとどまって人との距離を取る一人一人の取り組みが感染対策として重要だとしています。

    シンガポールの研究グループは1日、アメリカCDC=疾病対策センターが発行する報告書に研究成果を発表しました。

    それによりますと、シンガポールで発生した新型コロナウイルスの感染例について感染経路を詳しく検証したところ、7つの集団感染で自覚症状がない人からほかの人に感染したとみられる例が見つかりました。

    自覚症状がなかった人は、人と接触した数日の間にせきや発熱、鼻水などの症状が出始めていて、研究グループはこうした発症前の潜伏期間にウイルスが飛まつなどを介してほかの人に感染したものとみています。

    また、検証した集団感染の中には歌の教室で感染が広がったケースが複数あり、せきなどの症状がなくても声を張り上げるなどして飛まつが生じ、感染した可能性があるとしています。

    研究グループは新型コロナウイルスが潜伏期間でも別の人に感染することが裏付けられたとみて、すでに症状のある人を隔離するだけでは対策として不十分で、一人一人が集会や人混みを避け、自宅にとどまって人との距離を取る、いわゆる「ソーシャル・ディスタンシング」が重要だとしています。

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    乳児も重症化のリスク(4/1・2)

    2020年4月1日・2日

    山梨の0歳児重症化 米では死亡

    山梨県内に住む0歳の女の子が3月31日、心肺停止の状態で山梨大学医学部附属病院に搬送され、PCR検査で新型コロナウイルスの感染の陽性が確認されました。女の子には肺炎の症状があり、集中治療室で治療を受けています。一方、アメリカ東部コネティカット州で生後7週間の女の子が意識がない状態で病院に搬送されたあと死亡し、その後、新型コロナウイルスに感染していたことが確認されました。

    乳児は重症する割合高い 中国の研究グループ

    中国の小児科の病院や大学などのグループがアメリカの医学雑誌の電子版で発表した研究によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認されたり、感染した疑いがあったりした子ども合わせて2000人余りの症状を調べたところ、1歳未満の乳幼児など年齢が低いほど重症化する割合が高かったことがわかりました。

    グループでは2020年1月中旬から2月上旬までに中国国内で新型コロナウイルスへの感染が確認されたり、症状などから感染した疑いがあったりした18歳未満の子ども、合わせて2143人について症状などを分析しました。

    その結果、症状の重さは、▽軽症の子どもが全体のおよそ半数にあたる1091人、
    ▽中等症の子どもが全体のおよそ39%にあたる831人、また、▽無症状の子どもが94人となりました。

    一方で、およそ6%にあたる127人が重症化し、このうち2人が死亡していました。

    子どもが重症化する割合を年齢別に分析すると、
    ▽1歳未満が10.6%、
    ▽1歳から5歳が7.3%、
    ▽6歳から10歳が4.2%、
    ▽11歳から15歳が4.1%、
    ▽16歳以上が3%となり、年齢の低い子どもほど重症化する割合が高くなっていました。

    研究グループでは「子どもたちの症状は大人に比べると重くはなかったが、幼い子ども、特に乳幼児は新型コロナウイルスの感染により、重くなりやすい」と結論づけています。

    専門家「子どもも絶対安全とはいえず」

    子どもが重症化するケースは、高齢者に比べると少ないものの、中国などで報告されています。

    中国の研究グループは、中国 武漢で、2020年1月、新型コロナウイルスに感染して肺炎などの症状が出て入院した1歳から7歳の子ども6人のケースについて報告していて、このうちの1人は重症化して集中治療室で治療を受けたということです。

    これらのケースでは、全員が回復し、退院したということです。

    また、中国の疾病予防センターが2月11日までに中国本土で新型コロナウイルスの感染が確認されたおよそ4万5000人のデータを分析した結果、10歳未満の子どもで感染が確認されたのは全体の0.9%にあたる416人で、死亡したケースはなかったとしています。

    子どもの感染症に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は「子どもは重症化しにくいと言われてきたが、最近、海外からは特に3歳未満の子どもが重症化したケースの報告が出てきている。子どもが感染しても絶対に安全だとはいえず、特に保育所や幼稚園など小さな子どもを扱う施設での予防策の徹底が重要だ」と話しています。

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    人工心肺装置使った高度治療 19人回復も6人は死亡 新型コロナ(4/1)

    2020年4月1日

    新型コロナウイルスによる肺炎が悪化し、重篤な症状になった患者のうち、これまでに少なくとも40人が人工心肺装置を使った高度な治療を受け、およそ半数の19人が回復に向かっていることが専門の学会の調査で分かりました。一方で、6人は死亡しており、治療の限界も明らかになってきています。

    新型コロナウイルスに感染して症状が悪化し、肺が機能しなくなると、「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置を使って、血液中に直接、酸素を送り込む治療が必要になり、亡くなったコメディアンの志村けんさんもこの治療を受けていました。

    日本集中治療医学会や日本救急医学会などが全国の医療機関を対象に調べたところ、3月30日の時点で少なくとも40人がこの治療を受けていたことがわかりました。

    このうちのおよそ半数の19人は、この治療を終えて回復に向かっていて、学会では、長期的に見ると、重篤化しても70%程度の人は治療によって回復するとみています。一方で、肺の機能が回復しないなどの理由で6人が亡くなっていて、治療の限界も明らかになってきています。

    現時点で国内では500人以上に対してこの治療ができるとみられ、学会で治療についてまとめている竹田晋浩医師は、「経験の少ない医療施設向けに研修を行うなど、体制の拡充をさらに進めていきたい」と話しています。

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    若い人でも重症化や死亡のケースも 新型コロナウイルス(3/31)

    2020年3月31日

    新型コロナウイルスに感染し、若い人でも重症化するケースがあることが分かってきました。海外では持病がなかった20代の女性が死亡したケースが報告されているほか、国内でも比較的若い世代で重症化するケースがあり、治療に当たっている医師は当面、カラオケなど感染が拡大しやすい場所を避けるよう呼びかけています。

    新型コロナウイルスに感染して重症化しやすいのは高齢者や持病のある人とされていますが、今月、イギリスで持病がなかった21歳の女性や、フランスでも16歳の少女の死亡が伝えられるなど、若い世代でも一部で深刻な症状になることが分かってきています。

    国内でも比較的若い世代で重症化するケースがあり、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師は、これまで治療に当たった30人以上のうち、40代前半で重い持病はなかったのに重症化した男性がいたことを明らかにしました。

    忽那医師によりますと、男性は最初の数日は発熱やせきの症状だけでしたが、1週間ほどたつと重症の肺炎で呼吸状態が急速に悪化し、人工呼吸器が必要になったということです。

    男性は現在は回復しているということですが、忽那医師は「若いから自分は大丈夫ということではなく、重症化することはある」と指摘しています。

    そのうえで、「周りの人に感染させないために発熱やせきなどの症状があれば必ず自宅で安静にして、カラオケやライブハウスなど、密閉した空間で人が密集し、密接な距離で会話などをする『3密』の環境を今の時期は避けてほしい」と呼びかけています。

    若い世代の感染について、WHO=世界保健機関は50歳未満でも入院するケースが相次いでいるとしているほか、アメリカではCDC=疾病対策センターが20歳から44歳の2%からおよそ4%が集中治療室で治療を受けていると報告しています。

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    感染者の遺体の搬送や火葬 厚生労働省が注意点まとめる(3/31)

    2020年3月31日

    厚生労働省は新型コロナウイルスに感染して死亡した人の遺体を搬送したり、火葬したりする際に注意すべきことをまとめています。

    まず、遺体はウイルスが付着した血液や体液などを通さない「非透過性」の袋に納めることが望ましいとしています。この袋を使った場合、特別の感染防止策は不要で、遺族などが遺体を搬送しても差し支えないとしています。

    一方、葬儀場の従業員など継続的に遺体の搬送や火葬を行う人は必ず手袋を着用し、体液などが顔に飛び散る可能性がある場合は、マスクやゴーグルを使うよう呼びかけています。また、衣服が汚染されるのを防ぐため、使い捨てのガウンを着ることが望ましいとしています。

    そして、火葬の前に遺族などが遺体に触れたいと希望する場合は手袋を着用するよう依頼することを求めていて、遺体に触ったあとは、手洗いやアルコール消毒が必要だとしています。

    また厚生労働省は3月30日、都道府県を通して医療機関に通知を出し、新型コロナウイルスに感染して亡くなった人や、その疑いがある人については遺体を引き渡す際、搬送や火葬の作業にあたる人に感染者であることを伝えることや伝える相手を必要最低限にするなどプライバシーの保護にも十分配慮するよう求めました。

    厚生労働省は「感染を防ぐための対策をきちんと講じることができる場合は通常の葬儀を行うことに問題はなく、遺族の意向を尊重してほしい」としています。

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    WHOが表明 新型コロナウイルスは「パンデミック」(3/12)

    2020年3月12日

    世界各地で感染が拡大する新型コロナウイルスについて、WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、「新型コロナウイルスはパンデミックと言える」と述べて世界的な大流行になっているとの認識を示したうえで、各国に対して対策の強化を訴えました。

    これは、WHOのテドロス事務局長が3月11日、スイスのジュネーブの本部で開いた定例記者会見で述べたものです。

    テドロス事務局長はこの中で、「過去の2週間で中国以外での感染者数は、13倍に増え、国の数は3倍になった。今後、数日、数週間後には感染者数と死者数、そして感染が確認された国の数は、さらに増えると予想する」と述べ、感染が今後も拡大するとの見通しを示しました。

    テドロス事務局長は「われわれは、感染の広がりと重大さ、そして対策が足りていないことに強い懸念を持っている」と述べたうえで、「新型コロナウイルスは『パンデミック』と言えると評価をした」と述べ、新型コロナウイルスは世界的な大流行になっているという認識を示しました。

    WHOが過去にコロナウイルスの流行を「パンデミック」だと表現したことはなく、今回の新型コロナウイルスが初めてです。

    テドロス事務局長は「初めて『パンデミック』と呼ぶコロナウイルスであると同時に初めて封じ込めができるケースにもなりうる」と述べ、感染を封じ込めることは可能だとして、感染者の発見や隔離、そして治療を進めるよう呼びかけました。

    WHOとしては、世界各地で急速に感染が拡大するなか「パンデミック」という表現を使うことで各国に対して強い危機感を持って対策を強化するよう促すねらいがあるものと見られます。

    冷静に対策を進める必要性訴える

    一方でテドロス事務局長は「こうしたことがWHOによるウイルスの脅威に対する評価を変えるものではないし、WHOが行っている対策や、各国がとるべき対応を変えるものではない」と述べ、冷静に対策を進める必要性を訴えました。

    そのうえで、各国に対して、
    ▽感染のリスクと予防方法を広く周知すること、
    ▽感染者を発見して隔離し、治療するととともに、接触した人を追跡すること、
    ▽医療体制を整え、医療従事者を感染から守ることなどを改めて呼びかけました。

    イランの医療機器不足に懸念

    記者会見で、WHO=世界保健機関の危機対応を統括するライアン氏は、感染が9000人に拡大したイランで人工呼吸器などの医療機器や医療用資材が不足する事態に懸念を示しました。

    そのうえで、ウイルスの感染を確認する検査キットをこの1日で4万セット、イランに提供するなどWHOとして医療現場への支援を続けていく姿勢を強調しました。

    専門家「さらなる対策強化も考えていく必要ある」

    WHOが「パンデミックといえる」という認識を示したことについて、感染症に詳しい東北大学の押谷仁教授は「ヨーロッパやアメリカなど先進国でも患者の数が増え、WHOとしてもパンデミックという表現を使って世界中に警戒を呼びかけざるをえないと判断したのだと思う。今後、世界各国で大きな流行が起きるおそれがあり、日本にもさまざまな国から感染者が入ってくることが想定される。状況を見ながら改めて水際対策に目を向けたり、海外に住んでいる日本人に帰国を呼びかけたりするなど対策をさらに強化することも考えていく必要がある」と話しています。

    政府関係者「対策のフェーズ 変わることはない」

    政府は、WHOがパンデミック=世界的な大流行になっているという認識を示したものの、国内の状況が大きく変わったわけではないとしていて、政府関係者の1人は「現在の対策のフェーズが変わることはない」と述べるなど、今の対策を進める方針です。

    そのうえで、各国での感染状況なども見極めながら、水際対策の強化を検討することにしていて、国内の拡大防止策の徹底とあわせて、終息に向けて全力をあげる方針です。

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    パンデミックとは

    パンデミックは感染症の世界的な大流行を指すことばで、WHOでは2009年に当時の新型インフルエンザについてパンデミックの状態になったことを宣言して、各国に対して対策などを呼びかけました。

    今回の新型コロナウイルスを含むコロナウイルスについてはパンデミックを宣言する手続きは定められておらず、過去にWHOがパンデミックと表現したことはありませんでした。

    一方で、WHOは2020年1月31日に新型コロナウイルスについて医療体制のぜい弱な国への感染拡大を懸念しているとして「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、各国に向けて警戒と対策強化を呼びかけています。

    これまでの経緯

    WHOはこれまでの会見で「パンデミック」について、「明確な定義はないが、病気が国から国に広がるのをもはや制御できない段階に達したことを指す」とか「地球上のすべての人がウイルスにさらされている状態」などと表現してきました。

    そのうえで、当初は、ウイルスを封じ込めようとしている段階にあり「パンデミック」という表現は有益ではないとして、各国に対策の強化を求めてきました。

    テドロス事務局長は3月2日の会見で「証拠に基づいて、感染の広がりを『パンデミック』だと表現することはためらわない」としながらも、「状況を客観的に見なければならない」と述べ、「パンデミック」という表現自体に慎重な姿勢を示してきました。

    過去の「パンデミック」は

    WHOは、新型インフルエンザが流行した2009年に世界的な大流行を意味する「パンデミック」を宣言しています。

    しかし、実際には新型インフルエンザは感染しても軽症で済む人も多く医療機関に大勢の人たちが押し寄せるなど社会的な混乱ももたらしました。

    こうしたことを教訓に、WHOは当時使っていた6段階の警戒レベルの基準を廃止し、2013年に新型インフルエンザを4段階で警戒する新たな基準を発表しましたが、あくまでインフルエンザを警戒する基準のため、今回の新型コロナウイルスではこの基準は使っていません。

    WHOが「パンデミック」という表現を使って特定のウイルスを警戒するのは2009年以来になりますが、コロナウイルスについて「パンデミック」と表現するのは今回が初めてです。

    過去の「パンデミック」との違い

    WHOの専門家によりますと2009年、新型インフルエンザについてWHOが当時使っていた6段階の警戒レベルで「パンデミック」を宣言したあと、各国は季節性のインフルエンザ用のワクチンの製造をパンデミックワクチンの製造に切り替え、封じ込めにあたりました。

    一方で、今回の新型コロナウイルスに対応するワクチンや治療法はまだ確立されておらず、「パンデミック」ということば自体も、すでに決められている基準に基づいて表現されたわけではありません。

    今回の「パンデミック」について危機対応を統括するライアン氏は「『国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態』のように正式な手順をへて表現したものではない。テドロス事務局長がWHO内外の専門家の話を聞いたうえで現状を描写したものであり、より精力的に対策を講じるという以外、何かの引き金になるものではない」と述べ、WHOが「パンデミック」と表現したことで、各国が封じ込めを諦めるのではなく、対応をより強化することに力を尽くすべきだという考えを示しています。

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    新型コロナ「エアロゾル」で3時間生存 米研究グループが発表(3/18)

    2020年3月18日

    NIH=アメリカ国立衛生研究所などの研究グループは、新型コロナウイルスについて、霧のように空気中に漂ういわゆる「エアロゾル」という状態でも、3時間以上生存できるとする論文をアメリカの医学雑誌に発表しました。

    NIHやCDC=アメリカ疾病対策センターなどの研究グループは、新型コロナウイルスについて、空気中や物質の表面などでの生存期間を調べた論文を17日、アメリカの医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表しました。

    それによりますと液体を噴霧する装置を使って、ウイルスが含まれた液体の粒を5マイクロメートル以下の、いわゆる「エアロゾル」という状態にした場合、3時間が過ぎてもウイルスは生存していました。

    普通のせきやくしゃみで出る飛沫のほとんどは粒が大きいためすぐに地面に落ちますが、より小さい粒子は長時間、空気中に漂います。

    こうした小さい粒子でもウイルスが一定の時間、生存できることが確認されたことから、研究グループでは「『エアロゾル』による感染が起こりうる」と結論づけています。

    CDCは、エアロゾルが発生しやすい医療現場で働く人などに対し、専用のマスクを着用するなどしたうえで新型コロナウイルスの感染者に対応するようガイドラインに明記するなど、厳重な対策を求めています。

    “プラスチック表面では72時間生存”

    研究グループはこのほか、プラスチックや金属、紙などの表面でのウイルスの生存期間も調べました。

    それによりますと、銅の表面では4時間、ボール紙の表面では24時間たつと生存しているウイルスは検出できませんでしたが、ステンレスでは48時間、プラスチックの表面では72時間にわたり、ウイルスが大幅に減少しながらも生存することが確認されたということです。

    研究グループは「固体の表面でも長時間生存できることから、接触感染にも十分な注意が必要だ」としています。

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    WHO 新型ウイルス「夏場に消えるというのは誤った期待」(3/7)

    2020年3月7日

    WHO=世界保健機関は、感染が拡大する新型コロナウイルスについて、「インフルエンザのように夏場になれば消えるというのは誤った期待だ」として、各国は自然に終息するのを待つのではなくいま取り得る対策に全力を尽くす必要があると強調しました。

    WHOで危機対応を統括するライアン氏は3月6日、スイスのジュネーブにある本部で開いた記者会見で「ウイルスが異なる気候状況でどのように変化するかまだ分かっていない。インフルエンザのように夏場は消えるというのは誤った期待だ」と述べました。

    そのうえで「ウイルスが消えるのを待つのではなく、いまこそ闘う必要がある」と述べ、各国は自然に終息するのを待つのではなく、いま取り得る対策に全力を尽くす必要があると強調しました。

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    感染拡大は空気がよどみがちな閉じた環境(3/2)

    2020年3月2日

    新型コロナウイルスの集団感染について厚生労働省の専門家のチームが国内のデータを詳しく分析した結果、感染した人の75%はほかの人にはうつしておらず、つぎつぎと感染が広がったのはほとんどが空気がよどみがちな閉じた環境だったことが分かりました。分析した専門家は「屋内の狭いスペースなどに人が集まるのを避けることで、感染の拡大を防げる可能性がある」と指摘しています。

    これは「クラスター」と呼ばれる感染者の集団が発生するのを防ぐために設置された厚生労働省の対策班の研究者グループがまとめました。

    グループは2月26日までに感染が集団で発生した10の事例を含む、国内の感染者110人について詳しく分析しました。

    その結果、75.4%にあたる83人は調査時点で誰にもうつしておらず、二次感染が確認された27人についても、半数以上で感染の広がりは1人にとどまっていました。

    一方で、1人から別の2人以上に感染が広がった11の事例はほとんどが屋内に多くの人が集まる閉ざされた環境で起きていて、中には1人から9人、12人に感染が広がったケースもありました。

    屋外など空気のとおりがよい環境では、2人以上に感染の広がりが確認されたのは2つの事例だけで、4人以上に広がったケースはありませんでした。

    感染症の流行は1人が別の人にうつす人数が1人を下回ると終息に向かうとされていて、グループによりますと空気の流れがよどみがちな閉じた環境が、感染の広がりに影響を与えている可能性があるということです。

    「屋内の狭いスペースに集まるのはリスク」

    分析を行った1人で、北海道大学の西浦博教授は「現時点での分析だが、換気していても空気がよどみがちな屋内の狭いスペースに人が集まるのはリスクがある。特に軽くてもかぜの症状がある場合は、絶対に人が近距離で会話する環境に行くのを控えることが必要だ。今は屋内で密に集まるのを避けることで感染拡大を防ぐことができる可能性があるので、こうした環境のイベントなどは必要性を含めて開催するかどうか検討してほしい」と指摘しています。

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    症状の特徴・致死率は? WHO調査報告書(2/29)

    2020年2月29日

    新型コロナウイルスの感染が広がっている中国で、WHO=世界保健機関などの専門家チームが行った共同調査の報告書が公表され、感染者の症状の特徴や致死率などについて詳しい分析を明らかにしました。

    この報告書は、WHOが派遣した各国の専門家や中国の保健当局の専門家らによるチームが現地で調査にあたり、2月20日までに中国で感染が確認された5万5924人のデータについて分析しています。

    感染者からみられた症状

    ▽発熱が全体の87.9%
    ▽せきが67.7%
    ▽けん怠感が38.1%
    ▽たんが33.4%
    ▽息切れが18.6%
    ▽のどの痛みが13.9%
    ▽頭痛が13.6%などとなっています。

    また、感染すると平均で5日から6日後に症状が出るとしています。

    感染者のおよそ80%は症状が比較的軽く、肺炎の症状がみられない場合もあったということです。

    重症患者

    呼吸困難などを伴う重症患者は全体の13.8%、呼吸器の不全や敗血症、多臓器不全など命に関わる重篤な症状の患者は6.1%だったということです。

    重症や死亡のリスクが高いのは60歳を超えた人や高血圧や糖尿病、それに、循環器や、慢性の呼吸器の病気、がんなどの持病のある人だということです。

    子ども

    逆に子どもの感染例は少なく、症状も比較的軽いということで、19歳未満の感染者は全体の2.4%にとどまっていて、重症化する人はごくわずかだとしています。

    子どもの感染について報告書では多くが家庭内での濃厚接触者を調べる過程で見つかったとしたうえで、調査チームが聞き取りを行った範囲では、子どもから大人に感染したと話す人はいなかったと指摘しています。

    致死率

    一方、5万5924人の感染者のうち死亡したのは2114人で、全体の致死率は3.8%でした。

    致死率は高齢になるほど高く、80歳を超えた感染者の致死率は21.9%と5人に1人に上っています。

    特に合併症の患者は致死率が高く、
    ▽循環器の病気がある人は13.2%
    ▽糖尿病が9.2%
    ▽高血圧が8.4%
    ▽慢性の呼吸器の病気が8.0%
    ▽がんが7.6%となっています。

    また、感染拡大が最も深刻な湖北省武漢は、致死率が5.8%なのに対し、その他の地域では、0.7%と大きな差が出ています。

    さらに、2020年1月1日から10日までに発病した患者の致死率は17.3%となっているのに対し、2月1日以降に発病した患者の致死率は0.7%と低く、感染拡大に伴って医療水準が向上した結果だと分析しています。

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    なぜここまで感染拡大? “見えにくい感染症”か(2/29)

    2020年2月29日 NHKスペシャル

    なぜ感染はここまで拡大したのか。その背景には、新型ウイルスならではのある特性があることが見えてきました。それは、感染しても症状が見られない“無症状感染者”の存在です。明確な症状がない段階でも感染を広げるおそれが指摘される、いわば“見えにくい感染症”であるため、封じ込めが難しくなっているといいます。

    “無症状感染者” 最初の報告例

    “無症状感染者”の存在を世界で初めて報告したのは、香港大学の金冬雁教授が率いる研究グループです。“無症状感染者”は、1月5日、中国・深センの病院を訪れた家族から発見されました。

    年末年始に武漢を旅行で訪れた60代の夫婦。発熱やせきなどの症状がみられ、感染が確認されました。一緒にいた娘夫婦も感染し、発熱に加え、下痢や胸の痛みなどの症状が出ていました。ところが、同じく感染が確認された10歳の少年には、症状が全くみられなかったのです。

    症状がみられない感染者が、気づかないままウイルスを拡散するおそれがあるのではないか。金教授は、ただちに警戒が必要な事態だと考えたといいます。

    この情報は、すぐに中国当局に報告されましたが、当局が、そのリスクを公にしたのは、10日以上たってからでした。

    金教授は「感染しても症状がないため、病院に行かない人が多くいる。そういう人たちが、日常生活で周りの人に感染させてしまったら、予防や封じ込めは極めて難しくなる」と話しています。

    人にうつすまで平均3.4日 症状に気づかぬうちに…

    無症状の感染者が、ウイルスを拡散させている可能性は、統計データの分析からも指摘されています。

    北海道大学の西浦博教授は、中国などの患者の追跡調査をもとに分析を行っています。西浦博教授は、新型コロナウイルスが、ほかの感染症と違う特徴について「発病する前に、潜伏期間の途中で、2次感染の多くが起こっているということだ」と指摘します。

    WHOによれば、新型ウイルスの潜伏期間は、長くて12.5日。

    一方、西浦教授が、感染ルートが明らかになっている52人を分析したところ、感染した人が別の人にうつすまでの日数は、平均で3.4日でした。

    症状に気づかないうちに、別の人に感染を広げている可能性が見えてきたというのです。

    西浦博教授は、「サイクルが3日すると、雪だるま式に増えた感染者が、次の世代に移る。それを繰り返して、どんどんと増えていくので、実践的にはそういう接触を追いかけて、全部捉えることが相当に難しいということになる」と話しています。

    SARSに対応 押谷教授「今回は感染連鎖が見えないところでも」

    WHO=世界保健機関で、SARSの封じ込めの指揮をとった東北大学大学院の押谷仁教授は、新型ウイルスについて、「感染連鎖が見えないところでも進んでいる」と指摘しています。

    Q.症状がみられない感染者が、気づかぬうちに、周囲にウイルスを広げ、感染を拡大させているという指摘が出ているが、今回の新型ウイルスについて、どうみているか。

    A.まだわれわれが理解できていないこともたくさんあるが、この1か月ちょっとの間に、分かってきたこともかなりある。

    原因となっているウイルスは、ウイルス学的には、SARSを起こした、SARSコロナウイルスに、よく似たウイルスだが、それは、SARSと同じ感染性、病原性を持つウイルスだ、ということを意味しているわけではない。

    実際に、SARSとはかなり違う。これをコントロールする、これを封じ込めるのは、非常に難しいウイルスだということが、分かってきている。

    SARSの場合は、ほとんどの感染者が重症化して、ほとんどの感染者を見つけることができた。そのために、すべての感染連鎖を見つけ出して、それをひとつひとつ、つぶしていく。それによって、封じ込めができた。

    しかし、このウイルスに関しては、感染連鎖が見えない。見えないところで進んでいる。

    武漢でも、最初は、おそらくSARSに準じた対策はしたと思う。だけれども、SARSと同じような対策をして、見えているところは、非常に簡単にコントロールできるように見えたと思うが、その裏で、非常に多くの感染連鎖が続いていたと。それによって、武漢では、いまのような状況になってしまったと。おそらく私がやっていても、同じような失敗をしたんじゃないかと思う。

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