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初期症状・重症化リスクなどQ&A

新型コロナウイルスに感染したときの初期症状やその後の経過、重症化しやすい「リスク要因」、ウイルスの特徴、それに治療薬の現状などの疑問や質問に丁寧に、分かりやすく答えるQ&Aです。

(2021年2月10日更新)

Q.
初期症状は(2021年2月10日時点)
A.

新型コロナウイルスの潜伏期間は平均して5日から6日、最も長い場合で2週間ほどとされています。

初期の症状としては、インフルエンザやいわゆる「かぜ」と同じようなものが多く、WHO=世界保健機関は、最も多い症状として発熱や乾いたせき、体のだるさを挙げています。

患者によっては鼻づまりやのどの痛み、それに頭痛や下痢などが起きるほか、味やにおいが分からなくなる人もいます。

子どもでも出る症状は大人と同様だとしています。

また、重症化する際に出る症状として▼息苦しさや▼食欲がなくなること、▼胸の痛み、それに▼38度以上の高熱を挙げています。

(2021年2月10日時点)

Q.
症状の経過は(2021年2月10日時点)
A.

これまでの研究から新型コロナウイルスに感染して何らかの症状が出た人のうち、およそ80%の人は症状が比較的軽いまま回復します。

重症化する人は、発症から1週間前後で肺炎が悪化するなどしていて、さらに重くなる人は10日目以降に重篤な状態になるとされています。

WHO=世界保健機関によりますと、およそ15%の人で呼吸困難やせきなどが悪化して酸素吸入や入院での治療が必要な状態になるとされています。

さらに、およそ5%の人が人工呼吸器など、集中治療が必要な重篤な状態になります。

最も深刻な状態になる人は、突然の呼吸不全に陥る「ARDS」と呼ばれる症状や血栓ができて血管が詰まる症状、それに心臓や肝臓、腎臓など多臓器の不全が起こるとされています。

(2021年2月10日時点)

Q.
「重症化するリスク要因」は(2021年2月10日時点)
A.

どのような人が重症化しやすいのか、厚生労働省が示した「診療の手引き」では、重症化するリスク要因として、次のようなものを挙げています。

▼65歳以上の高齢者であること
▼悪性腫瘍、
▼COPD=慢性閉塞性肺疾患、
▼慢性の腎臓病、
▼2型糖尿病、
▼高血圧、
▼脂質異常症、
▼免疫不全、
▼肥満の程度を示すBMIが30以上の肥満、
▼喫煙などです。

重症化にはさまざまな要因が関わっているとみられますが「血栓」と「サイトカインストーム」の影響が注目されています。

新型コロナウイルスに感染すると小さな血液の塊=血栓ができやすくなり、さまざまな臓器の血管が詰まることで心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こしているとみられています。

また「サイトカインストーム」は、感染によって「免疫」が暴走して自分自身の体を攻撃する症状で、新型コロナウイルスに感染した場合、サイトカインストームによって多臓器不全などになったとみられるケースが少なくないことが分かってきています。

(2021年2月10日時点)

Q.
軽症や中等症の場合は(2021年2月10日時点)
A.

新型コロナウイルスは感染しても症状が出ない人も多く、発症した人でもおよそ80%は比較的症状が軽いまま、回復します。

感染すると平均して5日から6日ほどで発症し、せきや熱、それにけん怠感などの症状が出ます。

軽症の場合は、特別な治療を受けなくても発症から5日ほどで症状は快方に向かい、多くの人は10日後には回復して、人に感染させることもなくなります。

ただ、当初は軽症でも、発症後2週目までに急速に悪化する場合もあります。

中等症の場合は、重症化を防ぐためにも入院することになっていて、必要に応じて「レムデシビル」などの治療薬を使った治療を受けたり、酸素マスクで酸素の投与を受けたりします。

(2021年2月10日時点)

Q.
子どもが感染した場合は(2021年2月10日時点)
A.

多くの子どもは感染しても症状が出ないか、症状が出ても軽くすむとみられています。

日本小児科学会や厚生労働省によりますと、子どもは大人に比べて重症化する割合は少ないとみられ、国内では、2021年1月現在で、10代以下の子どもが死亡したケースは報告されていません。

一方で、感染のしやすさは、大人と変わらないことが分かってきているということで、子どもが発症した場合、主な症状は大人と同じく発熱やせき、息切れなどで、一部の患者では腹痛や下痢などもみられるということです。

また、WHO=世界保健機関によりますと、心臓や肺の病気や高血圧、ぜんそくや糖尿病、それにがんなどの持病がある場合は、子どもでも重症化するリスクがあるということです。

(2021年2月10日時点)

Q.
「致死率」の推移は(2021年2月10日時点)
A.

新型コロナウイルスは、重症化リスクの高い高齢者が感染するケースが増えると、重症化して死亡する人が多くなる傾向になっています。

感染拡大の時期ごとに感染した人と亡くなった人の数を比べると、▼第1波の時期の2020年5月末までに感染した人は1万6898人、亡くなった人は898人、▼第2波の時期の2020年7月から9月末まででは、感染した人は6万4974人、亡くなった人は601人、▼2020年10月以降の感染拡大、「第3波」では2021年1月末までに感染した人は30万6234人亡くなった人は4178人となっています。

致死率を比較すると、▼第1波では5.31%、▼第2波では0.92%、▼第3波では1.36%となっていて、第3波での致死率は、第1波に比べると低いものの、第2波よりやや高くなっています。

致死率が第1波で高かったのは、感染した人に占める70歳以上の割合がおよそ20%と高く、さらに効果的な治療法がまだ分かっていなかったことが要因と考えられています。

第2波では、比較的重症化しにくい若い世代の感染が多かったことや重症化する前に早期に治療を開始できたことや人工呼吸器を使う際に、患者をうつぶせにするなど効果的な治療法が分かってきたことなどから致死率が下がったと考えられています。

一方で、第3波では治療は改善しているものの、感染者数は第1波や第2波に比べて格段に多くなり、医療体制のひっ迫状況が厳しさを増していることや、高齢者の感染も増えていることから第2波より致死率が高くなっています。

(2021年2月10日時点)

Q.
変異ウイルスの感染力・症状は(2021年2月10日時点)
A.

多くのウイルスは感染を繰り返すことで、遺伝情報に小さな変異が起こります。

新型コロナウイルスでは、2週間に1か所ほどのペースで小さな変異が起きているとされていますが、ほとんどの場合、小さな変異が起こってもウイルスの性質には影響が無く、感染のしやすさや症状の強さ、「病原性」は変化しません。

一方で、2020年、イギリスで報告された変異したウイルスと南アフリカで報告された変異したウイルス、それにブラジルから見つかった変異したウイルスはいずれもウイルスの表面にある突起の部分の遺伝情報などに変異が起こっていて、感染力が高くなっていると考えられています。

このうちイギリスで報告された変異ウイルスは、感染のしやすさが最大70%程度高くなっているおそれがあるとされていて、イギリス国内で急速に広がったほか、日本を含む50か国以上で確認されています。

この変異ウイルスに感染した場合の症状の重さについてはこれまでのところ従来のウイルスと大きく異なるというデータはありません。

ただ2021年1月、イギリスのジョンソン首相が記者会見で、初期の分析の結果として死亡するリスクが高くなっているおそれがあると述べていて、現在詳しい調査や研究が進められています。

(2021年2月10日時点)

Q.
治療薬 研究・開発の現状は(2021年2月10日時点)
A.

新型コロナウイルスが広がってからおよそ1年となり、新たな特効薬の研究や開発が進められていますが、まだ実用化されたものはありません。

現在はもともとほかの病気の薬として開発された薬で新型コロナウイルスに対して効果が確認されたものが使われています。

【レムデシビル】
このうち最も早く承認されたのは、エボラ出血熱の治療薬として開発が進められた薬「レムデシビル」で、2020年5月、アメリカのFDA=食品医薬品局が、国際的な臨床試験で効果が確認されたとして緊急での使用を許可し、日本も特例承認しました。

日本では、投与の対象が重症患者に限定されていましたが、2021年1月からは、肺炎になった中等症の患者にも投与が認められるようになっています。

レムデシビルをめぐってはWHO=世界保健機関が2020年11月、各地の臨床試験を分析した結果「死亡率の低下などにつながる重要な効果はなかった」として入院患者への投与は勧められないとする指針を公表しましたが、厚生労働省では「承認時の根拠となった臨床試験のデータが否定されたわけではない」などとして、承認を見直す予定はないとしています。

【デキサメタゾン】
もう1つ新型コロナウイルスの治療で国際的に使われている薬が免疫を抑える働きがあるステロイド剤の「デキサメタゾン」です。

もともとは重度の肺炎やリウマチなどの治療に使われてきましたが、イギリスで行われた臨床研究で、新型コロナウイルスによる重症者の死亡を減らす効果が確認されました。

この薬はすでに感染症や肺炎の治療薬として、国内でも承認されていましたが、厚生労働省は、2020年7月、新型コロナウイルスの治療薬として推奨しました。

国内では、これらの薬を併用する治療が広く行われていて、2020年春の第1波の際と比べ、その後の流行で致死率が大きく下がった要因の1つになったと考えられています。

レムデシビルとデキサメタゾンを併用した治療を行ってきた日本赤十字社医療センターの出雲雄大呼吸器内科部長は、「2つの薬の併用で、重症の患者が人工呼吸器を早期に離脱でき、生存率が向上するなど、大きな効果を実感している」と話しています。

【アメリカでは「抗体医薬」も】
一方、アメリカでは、新型コロナウイルスに対する抗体を投与してウイルスを狙い撃ちにする「抗体医薬」の投与も始まっています。

抗体は、ウイルスなどの異物を排除するたんぱく質です。

通常、抗体はワクチンを打ったり、実際にウイルスに感染したりすることで体の中で作られますが「抗体医薬」ではこの抗体を人工的に大量に作り出し、投与します。

アメリカ・FDA=医薬品食品局は2020年11月、「抗体医薬」に新型コロナウイルスの治療薬として緊急使用の許可を出しました。

このうち、▽アメリカの製薬会社イーライリリーが開発した「バムラニビマブ」は、軽症から中等症で重症化や入院のリスクが高い患者に対して、また、▽アメリカの別の製薬会社「リジェネロン」が開発した2種類の抗体医薬を組み合わせた治療についても、重症化のリスクの高い患者に対して、いずれも一定の効果がみられるとして許可されました。

ただ、抗体医薬はコストが高いことや重篤な患者などでは、投与によって逆に症状が悪化するおそれもあることが課題だとされています。

感染症の治療に詳しい愛知医科大学の森島恒雄客員教授は、「抗体医薬についてはまだ分からないこともある。重症化するリスクが高い患者が重症化する前のまだ症状が軽い状態の時に限って使用すべきだ」と指摘しています。

【臨床試験中の薬も】
このほかにも、効果が期待されていたり、治療の現場で使われていたりする薬もあります。

このうち「アクテムラ」は日本で開発された関節リウマチの治療薬で免疫の暴走を抑える効果が期待されています。

2021年1月に結果が発表されたイギリスでの臨床研究では死亡率の低下や集中治療を受ける期間の短縮が確認されたということでイギリス政府は、重症患者への使用を推奨する方針を示しています。

一方で、日本で開発された新型インフルエンザの治療薬「アビガン」は、2020年10月、新型コロナウイルスの治療薬として承認の申請が行われていますが、厚生労働省の審議会では審議が続いていて、2021年2月9日現在、結果は出ていません。

(2021年2月10日時点)