どうなる イギリス EU離脱

どうなる イギリス EU離脱

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      今後はどんな動きが?

      イギリス議会は今月29日に迫るEU=ヨーロッパ連合からの離脱を6月30日まで延期することを可決しました。これから延期までにどのような動きが想定されるのかまとめました。

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      今回の可決は、来週20日までに離脱の条件を定めた協定案が議会で可決されることが前提になっています。このためメイ首相は、EUに延期を求める前に、まずは議会に対して、これまで2度にわたって大差で否決された離脱協定案を3たび諮るとみられます。

      ここで仮に可決され、議会での承認が得られれば、イギリスはEUに延期を要請します。

      EU各国は今月21日にベルギーのブリュッセルで開く首脳会議で対応を協議するものとみられ、来週の一連の動きが今後の焦点になります。

      一方、協定案が20日までに承認されない場合、イギリスは6月30日を越える長期にわたって離脱を先延ばしする可能性があるとしています。延期を決めたあと、どのようなプロセスをたどるかは全く定まっておらず、いずれも時間がかかるとみられるからです。

      離脱の延期が長期間に及ぶ場合、想定されるのは、

      ▼現在の協定案を引き続き審議する
      ▼イギリス議会の承認に持ち込める別の協定案をまとめるためEUと再交渉する
      ▼新たな国民投票や総選挙を実施して離脱をこのまま進めるか改めて国民に問う
      ▼議会で離脱そのものの撤回を議論する、などです。

      いずれのケースも議会の意見は大きく割れていて、結論に至るのは難しいのが実情です。離脱を先延ばしても何も決められなければ、結局は、EUと何の取り決めもないまま離脱する「合意なき離脱」となる可能性も残されています。

      そもそも、こうしたことはあくまでイギリス側の希望に過ぎません。どの程度、延期するにしても、イギリスを除くEU加盟の27か国が全会一致で認めなければ離脱の延期は実現しません。

      EUが延期を認めず、なおイギリスが離脱を撤回しない場合も、「合意なき離脱」となる可能性があります。EUは、イギリスが離脱の延期を求める場合は明確な説明が必要だとしていて、イギリスの思惑どおり進むかは不透明です。

      EU離脱めぐる動き

      どうなる イギリス EU離脱

      英 EU離脱 これまでの経緯は

      イギリスが国民投票でEU=ヨーロッパ連合からの離脱を決めたのは2016年6月。しかし、残留を求めるイギリス国内の声と離脱派の隔たりは大きいまま、現在に至っています。

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      残留を訴えたキャメロン首相の辞任を受けて就任したメイ首相は、「残留派」と「離脱派」で分断された与党・保守党内の融和を図ろうと、閣僚には、残留派とともに、ジョンソン外相など多くの離脱派を起用しました。

      メイ首相はすぐに離脱の手続きを始めず、まずは経済への混乱を最小限に抑えながら離脱する方法を模索しました。

      しかし離脱派から、決断を先送りしていると批判を受け、2017年1月、EUの単一市場と関税同盟からの撤退を表明します。

      そして3月29日、EUに正式に離脱を通知し、2年を期限とする離脱交渉が始まりました。

      2か月後の6月、メイ首相は、突然、総選挙に踏み切ります。政権基盤を強化するねらいでしたが、与党・保守党は過半数を割り込み、北アイルランドの地域政党の閣外協力を得て、かろうじて政権を維持することになりました。

      選挙後、本格化した離脱交渉で、最も難航したのが、陸続きのイギリスの北アイルランドと、EUに加盟するアイルランド共和国との国境管理の問題でした。イギリスもEUも、これまで通り人やモノの往来の自由を守ることでは一致したものの、具体的な方策について、意見の隔たりは埋まりませんでした。

      EUの単一市場からの完全撤退など強硬な離脱方針を貫いてきたメイ首相は、行き詰まる交渉を打開しようと、去年7月、EUとの協調や経済的な結び付きを重視する新たな方針を示しました。

      しかし、離脱強硬派のジョンソン外相らが猛反発し、主要な閣僚の辞任が相次ぎます。メイ首相は去年11月、離脱の条件を定めた「離脱協定案」を何とか取りまとめ、EUとの間で合意しますが、北アイルランドとアイルランドの国境管理の条項に反発する閣僚のさらなる辞任を招くことになりました。

      一方、EU残留を望む議員も事態の打開には2度目の国民投票の実施しかないと政権への圧力を強めました。

      メイ首相は離脱派と残留派との間で板挟みとなり、ことし1月、イギリス議会で行われた「離脱協定案」の採決では、歴史的な敗北を喫します。

      メイ首相は、「協定案」の修正を求めてEUとの話し合いを続けますが、EUは再交渉には応じない構えを崩しませんでした。

      日本企業 生産計画見直しの動き相次ぐ

      イギリスのEU離脱が問題となる中、現地に拠点を置く日本のメーカー各社では、生産の計画を見直すなどの動きが広がっています。

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      このうち日産自動車は、イギリスの工場で生産している高級車ブランドの現地での販売が低迷しているとして生産をことし半ばで終了します。この工場ではすでに別の車種の新型モデルも生産の計画を撤回しています。

      ホンダも世界的な生産体制の見直しの一環として、2年後の2021年中にイギリスの工場での生産を終了する方針です。

      トヨタ自動車は、イギリスがEU=ヨーロッパ連合との合意がないまま離脱した場合、イギリスで生産した車の輸出に関税がかかるのは打撃になるとして、将来的には撤退も選択肢になりうるという認識を示しています。

      このほかソニーは来月、イギリスにあるEUへの輸出手続きを行う拠点の登記をオランダに変えます。

      パナソニックも去年10月にイギリスにあるヨーロッパの本社機能の一部をオランダの拠点に移しました。

      金融業界 リスク回避の動き

      イギリスに拠点を置く日本の大手金融グループの中にはEU離脱によるリスクを減らそうと、ドイツやオランダに新たに拠点を設けてすでに営業を開始したところもあります。

      EUには1つの加盟国で当局から認可を得れば、ほかの国でも事業を行える「単一パスポート」と呼ばれる制度がありますが、イギリスで認可を受けた金融機関は、離脱後、EU域内での事業が制限される可能性があります。

      このため証券大手の大和証券グループ本社はドイツのフランクフルトに新たな拠点を設けて、法人向けの業務などを段階的に始めているほか、みずほ証券も今月からフランクフルトで業務を開始しました。

      このほか野村ホールディングスやSMBCグループもフランクフルトに、三菱UFJ証券ホールディングスはオランダ アムステルダムに新たな拠点を設けて、EU域内での営業に必要な免許をすでに取得しています。

      各社はイギリスとEUとの交渉状況などを見ながら、新たな拠点の開業時期を検討していて、離脱の影響を最小限に抑えたいとしています。

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