WBC 日本4戦全勝で1位通過 16日の準々決勝でイタリアと対戦へ

野球のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックは12日夜、3大会ぶりの世界一を目指す日本は東京ドームで行われた1次ラウンドの最終戦でオーストラリアと対戦し、大谷翔平選手のスリーランホームランなどで7対1で勝ちました。この結果、日本は1次ラウンドのグループBを4戦全勝の1位で通過して準々決勝進出を決めました。

準々決勝は今月16日に東京ドームで行われ、グループAを2位で通過したイタリアと対戦します。

※記事後半では試合経過や各種データを詳しくお伝えしています。

日本は1回にノーアウト一塁二塁の場面で3番の大谷選手がライトスタンド後方の看板を直撃するスリーランホームランを打って先制しました。
さらに2回には、ワンアウト三塁として1番のヌートバー選手のタイムリーヒットと、2番の近藤健介選手のタイムリーツーベースで2点を加えました。

先発の山本由伸投手は、150キロ台の速球に加え、フォークやカットボール、それに、120キロ台のカーブを組み合わせる多彩な投球を見せて相手打線を封じました。

試合は打線が4回と5回にそれぞれ1点を追加してリードを広げると、投手陣は5回から2人目で登板した高橋奎二投手が2イニングを投げて無失点と好投するなど投手リレーで相手打線の反撃を1点に抑えて日本が7対1で勝ちました。この結果、日本はグループBを4勝全勝の1位で通過して準々決勝進出を決めました。
日本の1次ラウンド突破は2006年の第1回大会から5大会連続です。そして日本は、今月16日に東京ドームで行われる準々決勝でグループAを2位で通過したイタリアと対戦します。

ヒーローインタビュー 大谷翔平「久々にいい打球を打てた」

「貴重な先制点だった。早く1本打ちたいと思っていた。いいホームランだったと思う。いきなりチャンスで来たのでなんとかまずつなげることを考えて打席に立った。いい角度で上がってくれたので『入ってくれ』と見ていた。引っ張った打球はあまり上がっていなかったが久々にいい打球を打てた」と振り返りました。
また、WBCで初ホームランとなったことについては「子どものころからずっと夢見ていたし、早く打ちたいなと思っていたので、なんとか1本打てた。また次の試合で打てるように頑張りたい」と話していました。また、準々決勝進出を決めたチームの状態については「どこからでも点数が取れる打線だしピッチャーも粘り強く投げているのでいい試合が続いている」と話しました。そして、きょうの試合のファンの歓声の大きさを問われると「まあまあでした」と笑みを浮かべながら答えて笑いを誘ったあと「まだまだ気合い入れて優勝目指して頑張ります」と決意を新たにしていました。

4回無失点 先発 山本由伸「無失点で勝てたのでよかった」

「緊張感はあったが、初回からホームランで先制してもらったので、無駄な力みもなく、いい入りができた。いいボールがたくさんあった一方で課題もあったが、無失点でチームも勝てたのでよかった」と試合を振り返りました。
この日の課題について問われると「狙ったところからボールが抜けて、球数が増えてしまった。そういうボールは少なくしていきたい」と話していました。そのうえで、「細かい部分だが、しっかり課題を詰めて、いいピッチングができるように調整していきたい」と今後の意気込みを語りました。

通算打率.467 近藤健介「甘く来た球に対応できた」

2安打1打点と活躍した近藤健介選手は「きょうは先攻だったので先制点を取れて、そこからいいリズムで試合が進んだ。つないでいく日本の野球ができたので、いい流れで来ていると思う」と話していました。
1次ラウンドのすべての試合で2番に入り、打率4割6分7厘の成績をマークしたことについては「1番のヌートバー選手がしっかりとボールを見てピッチャーに球数を投げさせてくれるので準備がしやすい。さらに、後ろには大谷選手がいるので僕が対戦相手でも『僕で勝負したい』と思う。そういうところで甘く来た球に対応できた1次ラウンドだった」と分析していました。準々決勝に向けては「お互い予選を勝ち抜いてきているので、1つのミスが命取りになってくる。いままでどおり、しっかりつないで1点でも多く取る日本の野球をしていきたい」と意気込んでいました。

栗山監督「準々決勝に進め ほっとしている」

1次ラウンドを4戦全勝で通過し準々決勝進出を決めた栗山英樹監督は「まずは予選を通過して次に行くということしか考えていなかった。内容に関しては、いい面と反省点もあるが、まずは準々決勝に進めてほっとしている」と心情を明かしました。
1回表の大谷翔平選手の先制のスリーランホームランについては「これまで前半にチャンスがあっても点を取れていなかったし、初めての先攻ということで早く点が欲しかった。山本投手を安心してマウンドに送りたかったので先に点が取れてよかった」とたたえていました。

日本 4戦全勝 首位で準々決勝進出

準々決勝の相手はイタリアに

1次ラウンドのグループAは5チームすべてが2勝2敗で並ぶ混戦となりましたが、イタリアは、このグループで1位だった強豪・キューバと、プロ野球・ヤクルトで活躍したバレンティン選手などを擁したオランダから勝利をあげました。
イタリアは4試合の合計で20得点をあげて、失点は17でした。失点数を守備イニングで割った「失点率」の差で2位となり、準々決勝進出を決めています。

「イタリア」どんなチーム

イタリアは5大会連続のWBC出場で、1次ラウンドを突破したのは2013年の第3回大会以来となります。チームを指揮するのは大リーグ屈指の強打のキャッチャーとして通算427本のホームランを打ったマイク・ピアッツァ監督です。
ピアッツァ監督は、現役時代、ドジャースで野茂英雄さんとバッテリーを組んだことで日本の野球ファンにもなじみが深く、どのようなさい配を見せるかも注目です。

チームはイタリア系のアメリカ選手を中心に構成されていて、注目は大リーグのエンジェルスで大谷翔平選手とチームメートのデービッド・フレッチャー選手です。華麗な守備と積極的なバッティングが持ち味の内野手で、昨シーズンは61試合の出場にとどまりましたが、おととしのシーズンは、157試合に出場し164本のヒットを打っています。大谷選手とは28歳の同い年で、大リーグのデビューも同じ2018年ということもあり仲がいいことでも知られています。

《日本 対 オーストラリア 個人成績》

打撃成績

《日本》     打 安 点 本 通算率 盗 
1(中)ヌートバー3|1|1|0|.429|1
2(右)近藤健介 4|2|1|0|.467|0
  右 牧原大成 0|0|0|0|.500|0
3(指)大谷翔平 2|1|4|1|.500|0
  打 山川穂高 1|0|0|0|.200|0
4(三)村上宗隆 4|1|0|0|.143|0
5(左)吉田正尚 4|0|0|0|.417|0
  左 周東佑京 0|0|0|0|.000|0
6(一)岡本和真 2|0|0|0|.200|0
  打一牧 秀悟 1|1|0|0|.300|0
7(二)山田哲人 5|0|0|0|.222|0
8(遊)中野拓夢 4|1|0|0|.300|1
9(捕)中村悠平 3|3|1|0|.600|0
  打捕大城卓三 1|0|0|0|.000|0
計        35|10|7|1|.326|2
【各打席】    1回 2回 3回 4回 
1(中)ヌートバー|四球|中安|--|四球
2(右)近藤健介 |右安|右安|--|四球
3(指)大谷翔平 |HR3|敬遠|--|四球
4(三)村上宗隆 |中飛|二ゴ|--|空K
5(左)吉田正尚 |死球|中飛|--|二併
6(一)岡本和真 |空K|--|中飛|--
7(二)山田哲人 |左飛|--|見K|--
8(遊)中野拓夢 |--|左安|中飛|--
9(捕)中村悠平 |--|一犠|--|左安。

     5回 6回 7回 8回 9回  
1ヌー |空K|--|空K|--|--  
2近藤 |空K|--|--|中飛|--  
3大谷 |--|空K|--|--|--  
打山川 |  |  |  |左飛|--  
4村上 |--|左安|--|四球|--  
5吉田 |--|投ゴ|--|左飛|--  
6岡本 |四球|右飛|--|--|--  
打 牧 |  |  |  |  |遊安  
7山田 |中飛|--|見K|--|見K  
8中野 |四球|--|二ゴ|--|見K  
9中村 |右2|--|右2|--|--  
打大城 |  |  |  |  |右飛
盗塁:中野(2回)ヌートバー(2回)
※空K=空振り三振 見K=見逃し三振 敬遠=申告敬遠

投手成績

○山本  4回 60球 1安打 三振8 責0 防0.00
 高橋奎 2回 28球 1安打 三振2 責0 防0.00
 大勢  1回 13球 1安打 三振1 責0 防0.00
 湯浅  1回 16球 1安打 三振0 責0 防0.00
 高橋宏 1回 16球 1安打 三振2 責1 防4.50

《日本 対 オーストラリア 試合経過》

先発メンバー発表 大谷は3番 指名打者

《打順》     打 安 点 本 打率 盗
1(中)ヌートバー11|5|2|0|.455|1
2(右)近藤健介 11|5|4|1|.455|0
3(指)大谷翔平 10|5|4|0|.500|1
4(三)村上宗隆 10|1|2|0|.100|0
5(左)吉田正尚 8|5|8|0|.625|0
6(一)岡本和真 7|2|1|0|.286|0
7(二)山田哲人 4|2|2|0|.500|1
8(遊)中野拓夢 2|0|0|1|.333|1
9(捕)中村悠平 2|0|0|0|.000|0
 (投)山本由伸
日本は上が紺色、下が白のユニホームです。

19:08 試合開始

【1回表】大谷翔平が看板直撃先制スリーランHR 日本 3-0 豪州

日本は先頭のヌートバー選手がフォアボールを選び、続く近藤選手がライト前ヒットでチャンスを広げました。
そして3番の大谷選手が変化球を捉えて、ライトスタンド後方の看板を直撃するスリーランホームランを打って3点を先制しました。大谷選手はWBCで自身初のホームランです。
大谷選手は「序盤にチャンスが回ってきて少し低めの球だったが、しっかり振り抜けてよかった」とコメントしています。

【1回ウラ】山本由伸 上々の立ち上がり 日本3-0豪州

1回ウラ、日本の先発ピッチャーの山本由伸投手がオーストラリアの先頭バッターをフォークで空振り三振。2番はストレートでセカンドゴロ。3番はフォークで見逃し三振と3人で抑え、上々の立ち上がりを見せました。球数は13球でした。

【2回表】 ヌートバーと近藤タイムリーで2点追加 日本5-0豪州

日本は、先頭の中野選手がレフト前ヒットで出塁し、続く中村選手の打席で二塁へ盗塁。中村選手は送りバントを成功させランナー三塁でヌートバー選手がセンター前へタイムリーヒットを打って追加点をあげました。続く近藤選手にもタイムリーツーベースが出て、この回2点を追加しました。

タイムリーツーベースを打った近藤選手は「いい流れで打順がまわってきた。しっかり対応して結果を出すことができてよかった」とコメントしています。
ヌートバー選手はこの回、盗塁成功。今大会2盗塁目となりました。

【2回ウラ】日本 山本が2回ノーヒットで無失点投球

日本は2回ウラ、山本投手が先頭の4番をフォークで空振り三振。5番を変化球でファーストゴロ。6番を変化球で空振り三振。150キロ台の速球に変化球をまじえ、この回も安定したピッチングで3人で抑えました。2回を投げて山本投手の球数はここまで28球です。

【3回表】日本は三者凡退で無得点

日本は、岡本選手が変化球を打ち損じてセンターフライ。山田選手がフルカウントから見逃し三振。中野選手が低めのボールを捉えるもセンターフライで、この回、3人で攻撃を終えました。

【3回ウラ】山本初安打打たれるも無失点投球続く

山本投手は先頭の7番をストレートで空振り三振。8番には初球の変化球を打たれレフト前にこの試合初めてのヒットを打たれましたが、9番は2球で追い込んでから高めのストレートで空振り三振。続く1番は速球でセカンドゴロに打ち取り、この回も無失点に抑えました。山本投手は3回までで6つの三振を奪っていますここまでの球数は39球です。

【4回表】日本 押し出し四球で1点追加 日本 6-0 豪州

先頭の中村選手がレフト前ヒットで出塁。ヌートバー選手と近藤選手はフォアボールを選び満塁にすると大谷選手もフォアボールを選び押し出しで1点を追加しました。さらに満塁の場面でしたが、不振が続く村上選手は空振り三振、吉田選手はセカンドライナーでダブルプレーでした。

【4回ウラ】山本の奪三振は8 無失点投球続く 球数は60球に

山本投手は先頭の2番をストレートでレフトフライ。3番を低めのフォークで空振り三振。4番を低めのフォークで2者連続の空振り三振と3人で抑えました。山本投手は4回まで投げて8奪三振。球数は60球でした。

4回無失点の好投を見せた山本投手は「初回から大谷選手がホームランを打ってくれて力みなく試合に入っていくことができた。その後も追加点を取ってくれたのでしっかり自分のピッチングができた」とコメントしています。

【5回表】中村のタイムリーツーベースで1点追加 日本 7-0 豪州

先頭の6番岡本選手と8番中野選手がフォアボールを選んで一塁二塁のチャンスを作り、9番・中村選手のライト線へのタイムリーツーベースヒットで1点を追加しました。

【5回ウラ】2人目の高橋奎二 三者凡退で抑えて無失点

日本は5回ウラ、この回から登板した2人目の高橋投手が先頭の6番をストレートで空振り三振。7番をストレートで打ち取りライトフライ。8番を変化球でピッチャーゴロに打ち取り3人で抑えました。

【6回表】村上が今大会2本目のヒットも追加点ならず

先頭の大谷選手はフルカウントから速球で空振り三振でした。続く村上選手は追い込まれてからレフト前へヒットを打ちました。不振が続く村上選手はこれが今大会2本目のヒットです。このあとツーアウト二塁としましたが、岡本選手はライトフライで追加点はなりませんでした。

【6回ウラ】高橋は2イニング目も無失点

2イニング目に入った高橋投手が先頭の8番をストレートでショートゴロ。9番にはストレートを捉えられセンター前にヒットを打たれましたが、続く1番をアウトコースへのストレートで空振り三振。2番を高めのストレートでセンターフライに打ち取り、この回を無失点に抑えました。

【7回表】中村がこの日3安打目の二塁打も追加点ならず

日本はツーアウトから、中村選手がライトへのツーベースヒットを打ちました。中村選手はこの試合、3本目のヒットです。このあと1番のヌートバー選手は空振り三振で、得点はなりませんでした。

【7回ウラ】日本3人目は初登板の大勢 1安打打たれるも無失点

この回から登板した3人目の大勢投手が先頭の3番バッターにライト前ヒットを打たれましたが続く4番に変化球を打たせて、ピッチャーゴロでダブルプレーを取りました。5番はストレートで見逃し三振に抑え無失点でした。

【8回表】大谷はこの回で交代 代打は山川

3番の大谷選手に代わって山川選手が代打で起用され、レフトフライでした。続く村上選手はフォアボールを選びましたが、5番・吉田選手はレフトフライで無得点に終わりました。

【8回ウラ】日本4人目は湯浅 得点圏に走者進められるも無失点

この回から登板した4人目の湯浅投手が先頭の6番バッターを1球でライトフライに打ち取りましたが、7番にショートへの内野安打を打たると8番にフォアボールを与えてピンチを招きました。それでも9番をセンターフライ、1番をセカンドゴロに抑えて無失点でしのぎました。

【9回表】代打牧出塁も追加点ならず7点リードで最終回の守りへ

岡本選手の代打 牧選手はバットを折られながらも内野安打で出塁しました。このあと連続三振でツーアウトとなり、中村選手の代打 大城選手はライトライナーで無得点でした。

【9回ウラ】チーム最年少高橋宏斗1失点も後続抑え試合締めくくる

日本は5人目の高橋宏斗投手がマウンドに上がりました。先頭の2番バッターにストレートを捉えられライトへのホームランを打たれましたが、3番は低めの変化球で空振り三振。4番は変化球を打たせてファーストゴロ。5番には低めの変化球で空振り三振と後続を抑えて試合を締めくくりました。

日本は5人の投手による継投でオーストラリアに7対1で勝ちました。この結果、日本は1次ラウンド4戦全勝でグループBを1位で通過して準々決勝進出を決めました。