圧力の効果見極め戦略再検討 残された時間少ない

ホワイトハウスで安全保障を担当するマクマスター大統領補佐官に単独インタビュー。トランプ政権は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮にどう対処していくのでしょうか。近く、武力行使に踏み切ることはないのでしょうか。インタビューの全文を掲載しました。

※2017年11月2日にインタビュー

(動画:5分33秒)

英語全文は以下のリンクで

日本訪問で同盟関係強化

――― マクマスター補佐官、きょうはありがとうございます。私たちは大統領の訪日を心から歓迎します。
マクマスター氏: ありがとうございます。トランプ大統領は訪日をとても楽しみにしています。大統領就任後まもなく安倍総理大臣をお迎えして以来、日本を訪れるのを心待ちにしていました。両首脳はマールアラーゴ(トランプ氏のフロリダ州の別荘)で素晴らしい時を過ごし、今度は日本で安倍総理大臣とお会いするのを楽しみにしています。

――― 大統領は訪日で何を達成したいと考えているのでしょうか。

マクマスター氏: 大統領は日米両国の国民の安全と繁栄を促進したいと考えています。そしてもちろん、現在、安全保障には北朝鮮の核とミサイルの脅威という大きな障害があります。日本がこれをよく認識していることは私も知っています。大統領はそれについていくつかのことをします。

重要な同盟国である日本と協力する決意を強め、より幅広い諸国――もちろん深刻な脅威に直面している韓国を含みます――と協力しますが、アジア地域と世界のすべての国が結束してこの脅威に対応しなければなりません。
それだけでなく、大統領は重要な同盟国である日本への関与を確認し、日本国民に、日米が共にこの脅威に立ち向かうことを約束するでしょう。

世界に問う このような政権に核持たせてよいのか

――― 大統領は拉致被害者の家族とも面会する予定ですね。

マクマスター氏: そうです。

――― 家族にどのようなメッセージを送るでしょうか。

マクマスター氏: まず、ご家族に対する同情や思いやりの気持ちを示すメッセージを送るでしょう。子どもが拉致されるなど想像もできません。ただそれだけでなく、北朝鮮がいかなる政権なのかを示し、このような政権に核兵器を保有させてもよいのかと世界に問うでしょう。

核放棄しかないと北朝鮮を説得する

――― 北朝鮮問題についてお聞きします。とても重要な問題です。「すべての選択肢がテーブルの上にある」と言いましたね。

マクマスター氏: はい。

――― そして今、大統領とあなたは「時間がなくなりつつある」と言っています。

マクマスター氏: はい。

――― この難しい問題をどのように解決するのですか。

マクマスター氏: われわれが同盟国やパートナーと共に、そしてもっと幅広く中国やほかの国と共に策定した戦略があります。武力を使わなくて済むようにできるかぎりのことをしてほしいと、これらの国に要請しました。

ただ大統領は武力行使の選択肢はテーブルの上にあり、必要であれば軍事力を行使する用意があると非常にはっきりと述べています。しかしわれわれがしたいのは、外交的、経済的に北朝鮮を孤立させ、国連制裁の実施やそれ以外の行動をとおして、核兵器を保有する方が安全でなく、核を放棄するしか選択肢がないと北朝鮮を説得することです。

圧力強化の効果を今後数か月 見極め

――― 米空母3隻がアジア地域に展開され、嘉手納基地にはF-35戦闘機が配備されています。

マクマスター氏:  はい。

――― 北朝鮮に対する武力行使にどのくらい近づいているのでしょうか。

マクマスター氏: まずしなければならないのは、攻撃をすれば、それがいかなるものであっても、圧倒的な反撃を受けるということを北朝鮮に理解させることです。空母はその象徴です。長年アジア地域に駐留してきた米軍はそれを象徴しています。そしてわれわれの強い同盟を通して、70年以上にわたって大規模な紛争を回避することができました。人類史上最大の流血を伴った最も恐ろしい戦争の後、われわれは協力して、相対的に平和で安全な環境を作り出すのを支援してきました。

今、北朝鮮がそれを脅かしています。われわれはこれを放棄するつもりはありません。われわれには子どもたちが平和で安全に暮らせる環境を残す義務があります。そしてそれが繁栄の基盤となります。日米両国の国民、そして世界のすべての人々の繁栄のため、われわれは自由かつ安全で開かれたインド太平洋海域を提唱しているのです。

――― 先ほどブリーフィングで、今後数か月「様子を見る」と言われました。これは、あと数か月、2、3カ月待ってから北朝鮮への軍事行動について決定するということなのでしょうか。

マクマスター氏: そうではありません。私が申し上げたのは、北朝鮮を孤立させるためにほかの国にできるかぎりのことをしてもらうという点でどのくらい成功したかを評価し、北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮の指導者が核の放棄が必要だと結論づけることを確認するためには、いくらか時間が必要だということです。
その間、われわれはさらに何ができるかを極めて慎重に検討し、行動の成果を評価する必要があります。

武力行使決定の場合 日本に知らせる

――― 軍事行動をとると決定したら、日本に通知しますか。

マクマスター氏: われわれは同盟国との間で、極めて開かれた、透明性の高い関係を維持しています。そして日本のみなさんはご存じだと思いますが、われわれは多くのレベルで協力しています。軍の指導者レベルの関係は極めて良好で、信頼できる盟友です。そして政治レベルでも、絶えず調整が行われています。

そしてもちろんご存じのように、トランプ大統領は安倍総理大臣との間に極めて強い、緊密な関係を築いています。いつでも電話をかけられる関係で、頻繁に話をしています。そしてわれわれは安全保障面での脅威の評価という点では、特に北朝鮮問題においてそうですが、完全に連携していますし、そうした脅威への対応や、市民の安全を守るための対応においてもそうです。

――― 大統領は「今は対話のときではない」と言いましたが、米国がもし対話を始めるとしたら、どのような条件の下であれば米国と北朝鮮の間の対話が行われるのですか。

マクマスター氏: 大統領はこうしたことについては詳細に説明しませんが、過去の交渉とはまったく異なる条件のもとで始まる対話でなくてはなりません。北朝鮮が交渉を隠れ蓑にして核やミサイル開発を続けることを可能にするような長引く交渉を始める余裕はありません。