トランプ大統領 どんな姿勢で日本に臨む?

大統領選挙中、日米の安全保障に関して「不公平だ」などと日本を名指しで批判したこともあったトランプ大統領。就任後は、日本に対してどのような姿勢で臨もうとしているのでしょうか。

トランプ大統領と日本

トランプ大統領は、就任後、日本は重要な同盟国で、「日米同盟は平和と繁栄の礎だ」と述べて、日米関係を強化していく方針を示してきました。
しかし、2016年に行われた大統領選挙の期間中は、テレビ討論会やメディアとのインタビューで、たびたび日本を名指しして批判し、その発言が波紋を呼びました。

選挙期間中は“不公平”と主張

トランプ大統領は、選挙期間中、日米の安全保障についてたびたび触れ、日本は「対価を払っていない」などと述べて、不公平だと主張してきました。具体的には、日本が、在日アメリカ軍の駐留経費の負担を増やすべきだとして、負担を大幅に増額しなければ撤退させると主張していました。

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また、日米安全保障条約については、「アメリカが攻撃されても日本は何もしないが、日本が攻撃されたら、アメリカは駆けつけなければならず、不公平だ」としたうえで、「再交渉したい」とも述べていました。

また、日本や韓国が、北朝鮮や中国に対抗するために、核兵器を保有することは否定しない考えも示していました。

経済政策をめぐっては、アメリカと日本の貿易不均衡を問題視し、日本が輸出や投資の促進のために、円の為替レートをドルに対し不正に低く抑えていると述べ、アメリカに輸入する自動車への関税を大幅に引き上げる必要があると主張していました。

実は大統領選挙以前にも…

トランプ大統領が、政治的な関心を見せ始めたのは30年前にさかのぼると言われ、1987年に、9万ドル余りを投じて「ニューヨーク・タイムズ」など、アメリカの有力紙3紙に自身の主張を記した全面広告を出し注目を集めました。

その中で、トランプ氏は「日本やほかの国々に防衛の対価を支払わせろ。防衛費を自分で支払える国々を守るためにかかっている負担を取り除き、アメリカ経済を成長させよう」と訴えています。

また、「アメリカは安全保障に貢献しない同盟国のために、彼らの石油を積んだ船を守っており、世界はアメリカの政治家たちをあざ笑っている」と既存の政治家たちを批判しています。
選挙期間中、アメリカメディアの中には、トランプ氏の日本に対するスタンスは、30年前と変わっていないと分析しているところもありました。

では、現在のスタンスは?

トランプ大統領は、2017年2月、就任後初めての日米首脳会談後に行った記者会見で、「日本の施政下にあるすべての領域の安全に関与していく」と述べ、直接的な表現は避けながらも、沖縄県の尖閣諸島についても日米安全保障条約に基づいてアメリカの防衛義務を果たしていく姿勢を示すなど、日米同盟を重視していることを強調しました。

そして、懸念されていた在日アメリカ軍の駐留経費の負担について、増額を求める考えは示さず、トランプ大統領が日本側の懸念払拭に努めたと受け止められました。

一方、経済政策に関しては、現在も、日本に対する貿易赤字が増加していることから、貿易の不均衡の是正を求める考えで、農作物の関税の引き下げや、自動車市場の非関税障壁の見直しなど、日本の市場開放に強い意欲を示しています。

首脳どうしは良好な関係

トランプ大統領は、就任前から安倍総理大臣を評価しています。2月には、外国の首脳として初めて直接会談した安倍総理大臣を、南部フロリダ州の別荘に招待し、「ゴルフ外交」を通じて親睦も深め、重要な同盟国として日米同盟を重視する姿勢を示しています。

また、トランプ大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応をめぐり、日本との連携を密にしていきたい考えで、8月には、安倍総理大臣と極めて異例とも言える2日続けての電話会談を行っています。

これまでに、アメリカの新聞の「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、「トランプ大統領にとって、日本の安倍総理大臣は北朝鮮問題における信頼できる親友だ」と報じるなど、両国の首脳の緊密な関係にも注目が集まっています。