オリンピック 陸上男子100m 夢のファイナリストへ

男子100m。
世界最速の男を決める戦いが、いよいよ7月31日に始まる。決勝は8月1日だ。

史上最強といわれた国内の代表選考会を勝ち抜いたのは、山縣亮太、小池祐貴、多田修平の3人。彼らは世界中のいだてんたちが集うオリンピックという舞台で、たった8人しか立つことのできない決勝のスタートラインを目指している。

日本選手の歴史をたどると「暁の超特急」と言われた吉岡隆徳が、1932年のロサンゼルスオリンピックで6位に入賞したほかは、だれひとりとして決勝の舞台に立てていない。しかし、そこから89年。日本は9秒台のスプリンターが4人誕生するなど急激にレベルが向上し、ついに夢の舞台が現実味を帯びてきた。世界との差はどうなのか、また、それぞれの決勝にかける思いは?
歴史に名を刻むスプリンターたちを紹介する。

目次

    自己ベスト特徴

    オリンピック決勝のラインは?

    まず、オリンピックの決勝にいくために、準決勝でどの程度のタイムが必要なのか? これまでのオリンピックや世界選手権といった最高峰の舞台から検証してみた。

    すると、決勝への最低ラインは、ロンドンオリンピックが10秒02、リオデジャネイロオリンピックが10秒01、2017年の世界選手権が10秒10、2019年の世界選手権が10秒12となっている。

    もちろん条件による差はあるものの、準決勝を9秒台で走ることができれば決勝が大きく近づいてくることがわかる。選手たちがたびたび取材で口にしているのが「準決勝でベストな走りをすれば決勝が見えてくる」ということ。カギは、そのことばどおりの結果を示せるかだ。

    出場選手のシーズンベストは?

    もう1つ参考になるのが、シーズンベストと言われる記録だ。「今シーズンその選手がどれだけのタイムで走ったか」を示すデータで、単純な自己ベストとは別の数字になっている。

    今シーズンマークした記録になるため、例えば2、3年前にいい記録を出していたとしても、このランキングで上位には入ってこない。

    風などの条件が違うため単純に比較することはできないが、山縣選手はシーズンベストで6位に入っていて、決勝ラインも可能な実力を持っていることがわかる。

    多田選手や小池選手は、この順位でみれば厳しく見えるが、100分の1秒の間に何人もがひしめく100mの世界。本番で力を発揮できれば、いくらでもチャンスは出てくる。

    それぞれの選手の意気込みは?

    歴史に名を刻む男子100mまであとわずか。選手たちはどのように考えているのか。意気込みを聞いてきた。

    山縣亮太 日本記録をひっさげて

    今シーズン、6月に日本新記録をマークした山縣選手は「オリンピック男」と言われるほど大舞台に強いのが特徴だ。日本選手の中で最も決勝に近いと言っても過言ではない。

    日本選手権では、力みから中盤以降に走りを崩して3位に終わったが修正能力は高く心配はいらない。

    決勝に向けて、特にポイントにあげたのはメンタルだ。

    山縣亮太選手

    「まずは当たり前だが、自己ベストが出せる体の状態でしっかり本番を迎える必要があるなと。それは筋力のことであり、体力のことであり、いろんな要素がある。そのうえで準決勝の期待がかかる中で、自分のレースをしっかりつくるメンタル的なところが非常に大事になってくると思っている。持っている力を全部しっかり出せたら決勝進出の可能性はあると思うので、これまでに培ってきたものをすべて出し切れるように頑張っていきたい」

    小池祐貴 初志貫徹の100mで勝負

    今シーズン、本来の走りができていない小池選手だが、日本選手権では200mを制して、100m、200mともに代表権を勝ち取った。

    しかし、かねてから東京オリンピックは「100mで勝負したい」と話していて、200mの代表を辞退して100mをとった。シーズンベストは10秒13だが、2019年に9秒98をマークしたときの調子が戻ってくれば、ファイナリストも遠い場所ではない。

    小池祐貴選手

    「東京オリンピックまでは100mに注力してやっていくと決めていたので、初志貫徹で100mで最後まで勝負することになった。日本選手権が終わってから、本当に体がスッと軽くなって、だいぶ練習でも走れるようになってきた。本番では自分の今までの経験や勘みたいなものも信じて周りを気にせず、とにかく横に並んでいる誰よりもはやくゴールするんだという気持ちで走っていきたい。その結果ファイナルに残れればこれ以上ない」

    多田修平 絶好調をキープして迎える五輪

    史上最強といわれた日本選手権を制した多田選手は、絶好調をキープしてオリンピックを迎える。

    実は、9秒台の選手4人をおさえて優勝した日本選手権、太ももに違和感があり万全とはいえない状態で勝ちきった。指導する佐藤真太郎コーチは「ここからもう1段階上がると思う」と太鼓判を押す。

    大舞台に臨む多田選手は、みずからを分析し「大きい大会のほうが実力を発揮できる」と話す。世界に誇るスタートダッシュを決めてファイナリストになれるか、期待は高まる。

    多田修平選手

    「準決勝でしっかり自分の最大のパフォーマンスが出せれば、決勝はいけないところではないと思っている。本番で自分の力を出し切るというのは難しいことではあるが、これまでのオリンピックなどをみると準決勝で9秒台を出せばファイナルのラインが見えてくる。まずは準決勝で9秒台を目指していきたい。自信を持って楽しみつつ、適度な緊張感で挑めたら。チャレンジャーとして結果を残していきたい」

    (スポーツニュース部 記者 小林達記)

    陸上男子100m レース日程詳細

    予選  7月31日 午後7時45分
    準決勝 8月 1日 午後7時15分
    決勝  8月 1日 午後9時50分

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