警戒していた“開始15分間”
東京オリンピックのサッカー女子は、開会式に先立って21日に予選リーグが始まり、世界ランキング10位の日本は初戦で世界8位のカナダと対戦しました。
日本はこれまで強豪と対戦した際、序盤で圧倒される展開が多く、高倉麻子監督はかねてから「試合開始直後の15分間の集中力が重要になる」と、この時間帯を警戒していました。
そして15分間を無失点でしのぎ、相手のスピードとパワーに慣れたところで多くの選手が連動して細かくパスをつなぐ得意の攻撃パターンで得点を奪い、初戦での勝利をつかもうと考えていました。
しかし、ふたを開けてみれば開始早々の前半6分にいきなりの失点。高倉監督が最も避けたい展開になってしまいました。
ボールを奪われた後、左サイドを攻められ、クロスボールを相手のエースのクリスティン・シンクレア選手に押し込まれてしまったのです。
カナダ 日本のパスサッカーを分析
試合後、カナダのベブ・プリーストマン監督は「日本は技術力が高いのでどの選手がどこにパスを出すか、研究して先読みし、ボールを奪うことを狙った。そのうえで、ペナルティーエリア内にボールを運べば競り勝てる」と日本のパスサッカーをつぶさに分析していたことを明かしました。
日本は相手の術中にはまって先制点を奪われる、苦しい展開に追い込まれてしまったのです。
その後も日本は、ボールを奪われては速攻に脅かされる苦しい時間帯が続きました。勢いに押されて守備的なミッドフィルダー、ボランチの中島依美選手や三浦成美選手は下がって守ることを余儀なくされ、前線の攻撃的な選手との間に距離が生まれる悪循環に陥りました。
エースの岩渕真奈選手にも良い形でボールがわたる場面もほとんど見られず、相手のゴールに迫るプレーがなかなか生まれませんでした。
試される日本の底力
それでもカナダの体力が落ちてきた終盤、持久力が持ち味の日本は運動量の多さでチャンスを見いだしました。
ロングボールに抜け出した岩渕選手が巧みにコントロールしたシュートで同点に持ち込み、意地を見せました。
試合後、「きょうは本当にいい教訓になった」と振り返った高倉監督。
ただ、日本については「1試合1試合成長していくチーム」と常々話しているだけに、2大会ぶりのメダル獲得に向けてこの”教訓”を生かせるのか、ここから日本の底力が試されます。
(スポーツニュース部 記者 鈴木笑)