2つ目の金メダルへ エース上野由岐子の誓い

東京オリンピックの開幕に先立って試合がスタートするソフトボール。
日本代表の絶対的なエースが上野由岐子投手です。
7月22日に39歳の誕生日を迎える彼女は、新たな使命を胸に3回目の大舞台に挑みます。

目次

    “燃え尽き症候群”から

    上野由岐子投手

    「正直、もう一度この舞台に立つとは思っていなかった。2008年まで追っていたものが達成して『じゃあ次なに』みたいになっていたので」

    13年前の北京オリンピック。
    当時26歳の上野投手は、2日間で行われた準決勝から決勝までの3試合を1人で投げ抜き、日本に金メダルをもたらしました。

    オリンピックの金メダルは、追いかけ続けていた長年の夢。目指していたものが大きかっただけに、その目標を達成したことで“燃え尽き症候群”のような心境に陥ったと言います。
    所属する実業団のチームで競技は続けていましたが、東京オリンピックでソフトボールの復活が決まっても、日本代表のユニフォームに再び袖を通すことにはためらいがありました。

    ソフトボールへの“恩返し”

    そんな上野投手が代表のエースとして再び戦うことを決心した背景には、チームを率いる宇津木麗華監督の存在が大きかったと振り返ります。
    頑張っていない自分自身に嫌気がさし、ソフトボールをやめたいと考えていた上野投手に、宇津木監督はそれまでと違ったアプローチで競技に向き合うよう「これからは頑張るんじゃなくてソフトボールに恩返しするつもりでやればいいのよ」とアドバイスしました。

    宇津木麗華監督

    「人のためにやるということは彼女にとってプレッシャーがないのではないかと思う。気づいたら金メダルが取れていたということで十分」

    決意

    上野投手は7月15日、選手村への入村会見で短いことばながらも再び金メダルを獲得して宇津木監督を胴上げするという熱い決意を口にしました。

    上野由岐子投手

    「ずっとここまで一緒に“ソフトボール”を歩んできた監督なので、思いは今も変わらずここでしっかりと恩返しができるように戦っていきたい」

    東京オリンピックへ歩み進めることを決めてからも数々のけがやオリンピックの1年延期など、さまざまな壁が立ちはだかりました。
    それでも「きっと神様が現状で満足するなよ、もっと探究心、追求心を持っていろいろな意味で進化しないとだめなんだ」と強い覚悟で前向きに捉えてきました。
    この間、ヨガを始めたり、新しい球種の習得に取り組んだりとベテランになってもチャレンジすることをやめませんでした。
    オリンピック初戦の翌日、22日に39歳の誕生日を迎える上野投手。金メダルを獲得することが、ソフトボールという競技、そして恩師の宇津木監督に対する最大の恩返しだと信じています。

    上野由岐子投手

    「ソフトボールに対する向き合い方というか、13年前と今では180度変わっているというくらい感じているし、その分、経験だったりいろいろなものを積み重ねた今がある。あのときと同じようなパフォーマンスはできないかもしれないが、さらに違った自分を表現していけたらいい」

    【東京オリンピック 日本代表の予定】

    • 7/21(水)対オーストラリア(午前9時~、会場:福島あづま球場)
      7/22(木)対メキシコ(午後0時~、会場:福島あづま球場)
      7/24(土)対イタリア(午後8時~、会場:横浜スタジアム)
      7/25(日)対カナダ(午後2時半~、会場:横浜スタジアム)
      7/26(月)対アメリカ(午前10時~、会場:横浜スタジアム)
    • 7/27(火)3位決定戦(午後1時~、会場:横浜スタジアム)
      7/27(火)決勝(午後8時~、横浜スタジアム)

    (スポーツニュース部 記者 沼田悠里)

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