オーバーエイジ枠で守備強化!? 大詰めのサッカーオリンピック代表選考

「守り中心の選手をオーバーエイジで選考して年齢制限のない代表のディフェンスラインに近い形にしたい」
東京オリンピックで、1968年のメキシコシティー大会以来となるメダル獲得を目指すサッカー男子の日本代表。指揮官は最終決定でないと前置きしつつ、オーバーエイジ枠を「守備」で使うという方針を初めて明らかにしました。

目次

    短期決戦

    森保一監督は、ワールドカップを目指す年齢制限のない日本代表と、東京オリンピック世代となる1997年1月1日以降に生まれた24歳以下の日本代表の両方のチームの指揮を託されています。

    東京オリンピックの開会式前日に迎える日本の初戦まで2か月あまり。6月の代表発表を前に、メンバー選考は大詰めを迎えています。

    選考を進めるうえで、ポイントとなるのはオリンピックの過密スケジュールをどう戦い抜くかということです。東京オリンピックでは、日本が勝ち進むと開幕戦から準決勝までは中2日で5試合、さらに中3日で決勝に臨むことになります。

    東京オリンピック 日本代表の試合日程
    ======予選リーグ=======
    ▽7月22日 対南アフリカ(会場:東京スタジアム)
    ▽7月25日 対メキシコ(会場:埼玉スタジアム)
    ▽7月28日 対フランス(会場:横浜国際総合競技場)
    ======(以下決勝トーナメント進出の場合)=======
    ▽7月31日 準々決勝(会場:カシマスタジアムまたは横浜国際総合競技場)
    ▽8月3日 準決勝(会場:カシマスタジアムまたは埼玉スタジアム)
    ▽8月6日 3位決定戦(会場:埼玉スタジアム)
    ▽8月7日 決勝(会場:横浜国際総合競技場)

    いわゆる“短期決戦”となりますが、オリンピックの登録メンバーは、ワールドカップよりも5人少ない18人。暑い真夏の闘いを、限られた人数で勝ち進んでいかなければなりません。

    森保一監督

    「アクシデントであったり、想定外で選手を使えなくなったときにどこのポジションに穴が空いてもカバーして戦っていけるかという、バランスを考えたい。スペシャルな特長を見ながらも複数のポジションをこなせる選手をより多く選びたい。真夏の過酷な日程の中で戦っていかなければいけないのでメンタル的にもフィジカル的にもタフに戦い続けられる選手、最後まで戦える選手を選びたい」

    “オーバーエイジ枠”

    こうした難しい条件を克服し、オリンピックで勝ち上がるため大きなカギになるとみられるのが、最大で3人まで選ぶことができる、いわゆる“オーバーエイジ枠”です。

    オーバーエイジ枠は、1996年のアトランタ大会から設けられましたが、当時の西野朗監督は、この枠を使いませんでした。この大会、日本は予選リーグの初戦で強豪ブラジルに勝利する“マイアミの奇跡”を起こしたものの決勝トーナメントには進めませんでした。

    続く2000年シドニー大会、当時のフィリップ・トルシエ監督は、3選手をオーバーエイジで選考し、ベスト8の結果を残しました。
    オリンピックの代表にオーバーエイジ枠が設けられてから、前回2016年のリオデジャネイロオリンピックまでの6大会で、日本は4大会でオーバーエイジ枠を使用。2大会はオーバーエイジの選手を選考していません。

    【オリンピック日本代表の“オーバーエイジ枠”と成績】

    ▽1996年アトランタ大会(監督:西野朗)成績:予選リーグ敗退
     オーバーエイジ枠使わず
    ▽2000年シドニー大会(監督:フィリップ・トルシエ)成績:ベスト8
     GK楢崎正剛、DF森岡隆三、MF三浦淳宏
    ▽2004年アテネ大会(監督:山本昌邦)成績:予選リーグ敗退
     GK曽ヶ端準、MF小野伸二
    ▽2008年北京大会(監督:反町康治)成績:予選リーグ敗退
     オーバーエイジ枠使わず
    ▽2012年ロンドン大会(監督:関塚隆)成績:ベスト4(4位)
     DF徳永悠平、DF吉田麻也
    ▽2016年リオデジャネイロ大会(監督:手倉森誠)成績:予選リーグ敗退
     DF藤春廣輝、DF塩谷司、FW興梠慎三

    森保監督は、オーバーエイジ枠を使う方針を明らかにしたうえで、選手への期待をこう話しました。

    森保一監督

    「まず絶対的な戦力であること。経験の浅い選手たちにプレーで見せる。そして、コミュニケーションを取って若い選手に成長を促してくれる選手を招集したい」

    そのうえで森保監督は最終決定ではない、と前置きしながらオーバーエイジ枠を「守備」に使うという方針を初めて明らかにしました。

    森保一監督

    「守り中心の選手をオーバーエイジで選考して、年齢制限のない代表のディフェンスラインに近い形にしたい。短期決戦で簡単に失点しないようにしながら得点のチャンスをうかがう。チームが思い切って力を発揮するためにはまず守備が安定すること。それが攻撃にもつながっていくと思う。守備的なところを固めることはチーム作りをするうえで大切だと思う」

    森保監督は6月5日と12日に予定している強化試合に、オーバーエイジの候補選手を招いて若い選手たちとの連係などを確かめる考えです。

    取材した時点で具体的な名前は明らかにしませんでしたが、いずれもオリンピック出場経験があり、年齢制限のない日本代表でも実績を積んでいるセンターバックの吉田麻也選手、サイドバックの酒井宏樹選手、ボランチの遠藤航選手などが候補とみられます。

    6月の強化試合に臨む24歳以下の日本代表のメンバーは5月20日に発表される予定です。森保監督がオーバーエイジ枠で誰を招集するのか。さらには強化試合で結果を残し誰が18人の代表に選ばれるのか。選考は最終段階を迎えます。

    東京オリンピック日本代表の今後の予定

    6月5日 強化試合 対戦相手:ガーナ(会場:福岡 ベスト電器スタジアム)
    6月12日 強化試合 対戦相手:未定(会場:愛知 豊田スタジアム)
    <6月中に代表メンバー発表>
    7月12日 強化試合 対戦相手:未定(会場:大阪 ヨドコウ桜スタジアム)
    7月17日 強化試合 対戦相手:スペイン(会場:兵庫 ノエビアスタジアム神戸)

    (スポーツニュース部 記者 武田善宏)

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