金メダルで恩返しを スケートボード 四十住さくら

「コロナの影響で練習ができなくなった」
東京オリンピックを目指して新たな練習場所を探し求めていたアスリートに、地元の企業が救いの手をさしのべました。新たな練習場として提供されたのは意外な場所でした。

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    東京オリンピック 期待の星

    四十住さくら選手は東京オリンピックの新競技、スケートボードで出場を目指す18歳です。2018年に初めて行われた世界選手権では、すり鉢状のコースで技の完成度を競う種目「パーク」で初代女王に輝きました。ジャンプをしながら1回転半する「540」という女子では数少ない大技を駆使して、2021年1月現在の世界ランキングは2位。東京オリンピックの代表はまだ決まっていませんが、オリンピックのメダル候補として期待されています。

    しかし、2020年は新型コロナの影響で練習が制限された時期がありました。
    自宅がある和歌山県岩出市には練習施設がないため、これまで四十住選手はおよそ90キロ離れた神戸市の練習場まで車で往復3時間かけて通っていましたが、春、感染拡大を受けて練習場がおよそ1か月閉鎖されてしまいました。

    四十住さくら選手

    「練習場が閉鎖された時はずっと家で折り紙やマスクを作っていました。技の練習が全然できなかったです。(感染者が多かった)神戸に行くのも怖かったです」

    地元に練習場を 紹介されたのは?

    このことをきっかけに、四十住選手は地元に専用の練習場を作ることを決意しました。専用の練習場なら、感染を気にすることなく、いつでも練習できるほか、移動による感染のリスクを減らすことができます。
    地元の不動産会社を訪れた四十住選手は思いもよらない物件を紹介されます。それは地元で100年以上続く酒造メーカーが所有する倉庫でした。

    もともと大きな精米機を設置していたため、高さ13m、広さ600㎡とスケートボードの練習場にうってつけで、自宅からわずか5分ほどと好条件がそろっていました。

    四十住さくら選手

    「下見に来たときはとても広いと感じました。天井も高くて飛べるし、すごくいい建物だと思いましたね。1人でこれだけ広い場所を滑ることができるのはぜいたくです」

    地元の星を支えたい

    救いの手を差し伸べた酒造メーカーの社長、安村勝彦さんは、四十住選手の活躍を数年前から耳にしていました。精米機を撤去し、物置きとして使っていた倉庫を“地元の星”に役立ててもらえるなら、と無償で貸し出すことを決めました。ただ、スケートボードの練習では周辺に音が響いてしまうという懸念もありました。そこで安村さんは、周辺の家を訪ねて説明を重ね、住民の理解を得ることにも協力を惜しみませんでした。

    安村勝彦社長

    「岩出市には、東京オリンピックを目指すメダル候補はいなかったので、ぜひ応援したいし、できるだけサポートしたいです」

    五輪で“さくら”を満開に

    スポンサーの協力も得て、練習場は2020年11月に完成。往復3時間の移動時間がなくなったことで、朝から晩まで練習できるようになり、技の完成度も高まってきたといいます。

    2021年1月2日に、地元の神社に初詣に訪れた四十住選手。
    絵馬に書いた願い事は「さくらを満開に」
    自分の名前の「さくら」にかけて、東京オリンピックでの活躍を誓いました。地元の支えを力に変えて、オリンピックで頂点を狙います。

    四十住さくら選手

    「専用の練習場ができて、自分のペースで集中して練習もできるし、1個1個の技のクオリティを上げられるようになりました。オリンピックで実力を出し切って、金メダルを取って、みんなに恩返しできるように頑張りたい」

    (NHK大阪 記者 足立隆門)

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