東京パラリンピック 最高のプレーで恩返しを 卓球 クラウディア・ペレス(メキシコ)

新型コロナウイルスの感染リスクやみずからの障害と向き合いながら、東京パラリンピックを目指すメキシコのクラウディア・ペレスさん。東京大会での活躍を誓う背景には、1人の日本人の存在があった。

目次

    人生を変えた運命の出会い

    激しいラリー。ラケットを口にくわえてのショット。選手たちはさまざまな障害を乗り越え、卓球にすべてを打ち込んでいます。

    卓球 メキシコ代表 クラウディア・ペレスさん

    その一人がメキシコのクラウディア・ペレスさんです。25歳のとき「関節リウマチ」という病気になり、両ひざに人工関節を入れています。
    体の不調から精神的にも不安定になりましたが、希望を与えてくれたのが9年前に始めた卓球でした。

    クラウディア・ペレスさん

    「ラケットの使い方を教わったらすぐ、文字どおり卓球に恋をしました」

    競技の魅力にとりつかれたペレスさんは、卓球に生活のすべてをかけることを決意。国の練習施設に通い、代表選手たちと打ち合うなど力をつけていきました。

    クラウディア・ペレスさん

    「食費を節約するため豆とチーズのタコスを持って行きました。経済的に大変でしたが練習をやめたくなかったので兄弟や家族に助けてもらいました」

    左:伊藤有信さん

    2018年。ペレスさんの競技人生を変える出来事がありました。
    日本から、JICA=国際協力機構のボランティアとして卓球の指導に来ていた伊藤有信さんとの出会いです。

    伊藤さんから指導を受けるペレスさん

    ラケットに貼る「ラバー」の特徴をいかした打ち方を教わったことで、攻撃の幅を広げられたと言います。

    クラウディア・ペレスさん

    「私たちが成長できるよう熱意を持って教えてくれました。フォアハンドを使うようにとかスピードとか、言われたことを今も続けています」

    ペレスさんは、2019年に東京パラリンピックの出場権をかけた大会に参加。伊藤さんから教わったラケットさばきを武器に優勝を果たし、パラリンピック初出場を決めました。

    クラウディア・ペレスさん

    「まさか勝てるとは思っていなかったので、勝てたときは大きな感動でした」

    “成長した姿を見せたい”

    しかしその後、新型コロナウイルスの感染拡大でパラリンピックの延期が決定。特にメキシコは死者の数が世界で4番目に多く、経済活動は制限されたままです。
    外出もままならない状況の中、ペレスさんはいま自宅でオンラインでの練習を余儀なくされています。コーチの指示にすばやく反応することでコンディションの維持を目指すなど、試行錯誤を重ねる日々です。

    クラウディア・ペレスさん

    「卓球台を使った練習やサーブの練習ができないのがつらいです。自宅のスペースは狭いのでなんとかやりくりしています」

    病状が悪化することへの不安も抱えるペレスさん。それでも、日本にいる伊藤さんに成長した姿を見せたいという思いが支えになっていると言います。

    クラウディア・ペレスさん

    「東京に行って伊藤さんとラリーができるとうれしいです。うまくなったところを見てほしいです」

    青森で卓球を教える伊藤有信さん

    今は地元・青森で卓球を教える伊藤さんも、ペレスさんたちが大舞台で輝く日を楽しみにしています。

    伊藤有信さん

    「帰国前、帰り際に彼らに言ってきたのはNos vemos en Tokyo、“東京で会おう”。
    東京パラリンピックが行われることを信じて、彼らを応援し続けたいと思っています」

    自分に希望を与えてくれた卓球を通じて、今度は恩返しをしたい。
    来年のパラリンピックで、ペレスさんが掲げる夢です。

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