1年後の舞台へ アスリート 東京オリンピックへの誓い

東京オリンピックは1年後の2021年7月23日に開幕を迎えます。選手たちは新型コロナウイルスによる活動自粛期間を前向きにとらえ、改めて活躍を誓っています。

柔道 大野将平「何か伝わるような柔道を体現する」

柔道男子73キロ級で東京オリンピックの代表に内定している大野将平選手は、リオデジャネイロ大会に続いて2連覇が期待される日本のエースです。
新型コロナウイルスの影響で乱取りなど本格的な稽古の再開もままならない状況について「正直、来年の東京オリンピックのこともまだまだ考えられないのが本音だ。きょう1日、まず何しよう、長くて1週間先の目標を立てている状況だ」と率直な心境を明かしました。
この数か月間は、毎日、ランニングや筋力トレーニング、1人での打ち込みなどを継続してきたということで「この期間は、皆平等で、それをどう糧にしていくかで差が出る。1人の時間が多いので、孤独な時間が増えるが、孤独ではなく『孤高』だ。自分1人で高いところに行くという自己暗示をして、トレーニングを積んできた」と話しました。
今後に向けては、「3カ月、半年、1年間で失うものは無い。この稽古をしている道場のどこかに無くなった技術、体力、精神的なものがすべて落ちているので、しっかりと拾い集めて、もう一度、強かったときの自分を、焦らずに取り戻していくことが、今、1番やるべきことだ」とみずからに言い聞かせるように話しました。
東京オリンピックへの思いについては、「もちろん金メダルがほしいが、今そういうことを言える状況でもないので、柔道家としてやらなければならないのは、もう一度、畳の上に立って、何か伝わるような柔道を体現すること、これに尽きる」と話していました。

バドミントン 桃田賢斗「自分を信じている」

バドミントンの男子シングルスの桃田賢斗選手がNHKのインタビューに応じ、ことし1月に交通事故に巻き込まれリハビリの期間にオリンピックの延期が決まったことを踏まえ「自分の取り組む姿勢や、絶対にあきらめない姿を見てもらい、何かを伝えられるような東京オリンピックにしたい。新型コロナウイルスのネガティブなニュースが多いなかでも、『つらくても諦めなければ夢はかなう』と思いを伝えたい」と話しました。
新型コロナウイルスの影響で国際大会が中断され日本代表の強化合宿も来月まで延期されるなど活動再開のめどが立たない状況については「試合ができないという条件はみんな同じだ。土台がしっかり作れていれば試合がはじまった時に勝てると思う。自分を信じているので、心配はしていない」と話し、実戦復帰に向けて自信を示しました。

バドミントン 奥原希望「課題克服し後悔なく舞台に立ちたい」

東京オリンピックの代表入りを確実にしているバドミントン女子シングルスの奥原希望選手が出身地の長野県大町市を表敬訪問し、「バドミントン人生最大の目標に向けて準備したい」と意気込みを語りました。
リオデジャネイロオリンピックで銅メダルに輝いた奥原選手は、新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックが来年に延期され、国際大会の日程が変更されたことなどもあり、今回、出身地の大町市を訪れました。
市役所では牛越徹市長らから「おかえりなさい」の声をかけられ、花束などを受け取りました。
そして奥原選手の後援会のメンバーや市長らと懇談し、「新型ウイルスの影響で今まで当たり前にできていた試合ができなくなりアスリートの在り方を考える機会になった。バドミントン人生最大の目標の1年後のオリンピックに向けて準備していきたい」と話しました。
これに対し牛越市長は「来年のオリンピックに向けて笑顔で頑張ってほしい」と激励しました。このあと奥原選手は記者団に対し「この1年がどうなるか想像がつかず不安もあるが、金メダルを取るという目標は変わらないので、今ある課題を克服し後悔なく舞台に立てるようにしたい」と意気込みを語りました。

陸上 桐生祥秀「延期は100%プラス」

陸上男子短距離の桐生祥秀選手は、1年延期となった東京オリンピックについて「100メートルで決勝に残って勝負するという目標は変わらないし、開催については自分で決められることではないので不安はあまりない。年齢的にも24から25になるし、メンタルも体も1年1年成長しているので、自分にとっては延期は100%プラスだと捉えている」と前向きに話しました。
そのうえで、緊急事態宣言が出た後は自宅にトレーニング器具を買いそろえたほか、人通りのない早朝や深夜に近所を走るなどして体力が落ちないよう心がけていたことを明かし、「自分だけでなく、世界中で誰も満足に練習できていないと思うので足りないと思うことはなかった。ただ、久しぶりにトラックで走った時は足の裏が疲れた」と笑顔を見せていました。

スポーツクライミング 楢崎智亜「完璧な状態で金メダル」

新競技のスポーツクライミングで東京オリンピック代表に内定している楢崎智亜選手は、去年の世界選手権で優勝し、金メダルの最有力と位置づけられています。
オリンピックが1年延期されたことや新型コロナウイルスの影響で活動が制限された状況について「ことしオリンピックをやりたかったという思いはあった。ただ、また一つ強くなって臨めると考え気持ちを切り替えた。たくさんの人の応援に支えられスポーツの大会が行われていることを感じているし、こんな大変な中でもたくさんの応援のメッセージをいただけているのがすごくうれしい」と話していました。
現在は、同じ所属先である野口啓代選手の茨城県の実家にことし5月に完成した3種目すべての壁がそろう練習場でトレーニングを続けています。
楢崎選手は「オリンピックが延期されても、僕の目標は金メダルを取ることだ。少しずつ成長して完璧な状態で金メダルを取りたい」と変わらない目標を口にしました。

スポーツクライミング 野口啓代「1年間でどれだけ強くなれるか」

スポーツクライミングで東京オリンピック代表に内定している31歳の野口啓代選手は東京大会を最後に現役を引退することを決めています。
新型コロナウイルスの影響で大会が中止になり活動が制限されてからは、茨城県の実家にことし5月に完成した3種目すべての壁がそろう練習場でトレーニングを続けています。
野口選手は「オリンピックは延期されたが、もう1年間、競技生活としてこの壁で練習できることをうれしく思って、わりとすぐにポジティブに受け止められた」と話していました。
実家でトレーニングに集中しているこの3か月の間に、野口選手が課題としている登る速さを競う種目「スピード」でのタイムを日に日に縮めているということです。
野口選手は「毎日のように自分の力はまだまだだと実感させられている。本来であればあと1か月もないくらいで競技を引退するところだったので、いただいた1年間でどれだけ自分が強くなれるかというのを毎日考えている」と第一人者がいまなお成長に意欲を示しています。

卓球 伊藤美誠「実力が上がるチャンス」

東京オリンピックの代表に内定している卓球の伊藤美誠選手は、世界ランキング2位。新型コロナウイルスの影響で中断する前、最後となったことし3月の国際大会で、リオデジャネイロオリンピック、金メダリストの中国、丁寧選手にストレート勝ちするなど金メダル獲得の期待も高まっています。
伊藤選手は新型コロナウイルスの感染拡大で来年のオリンピック開催を巡って不安の声も出ていることについて、「東京オリンピックのためにこれだけ頑張っているので、開催してほしいという願いはあるし、自分自身が不安に思っていたら前に進まない。オリンピックがないと思って行動しているのと、あると思って行動しているのではモチベーションも全然違う。私自身は完全にあると思って練習しているので、突き進む一方かなと思う」と強い決意を話しました。
そのうえで「来年にオリンピックが開催されたほうが、ことしより勝てる自信がある。実力が上がるチャンスや優勝するチャンスもあると思う。自信を持ってオリンピックに臨みたいので、この1年間、やり残すことがないようにやれることはやっていきたい。オリンピックを楽しみにしている」と1年後に向けて自信を示していました。

卓球 平野美宇「人の心に刺さるようなプレーを」

東京オリンピックの代表に内定している卓球の平野美宇選手は22日夜取材に応じ、開幕まで1年となる東京オリンピックについて、「開催されたら、見た人の心に刺さるようなプレーをしたい」と意気込みを話しました。
平野選手は22日夜、オンラインで報道機関の取材に応じました。
緊急事態宣言が出されていた期間中は、自分自身について考える時間もあったということで、「世界が平和でないとスポーツはできないんだと改めて感じた。でも私は卓球をずっとやってきて卓球しかできないので、力不足だなとすごく思った。試合が再開された時に皆さんにいいプレーをお見せできるように努力することが今はいちばんで、練習するのみかなと思う」とアスリートとしての思いを語りました。
また、先月、およそ2か月半ぶりに再開した代表合宿で伊藤美誠選手などともに代表に内定している選手と一緒に練習したことを振り返り、「伊藤選手はすごく楽しそうに、それでいて強くなりたいという気持ちも持ちながら練習していて、自分も取り入れてみたいなと思った。合宿でみんなと一緒に頑張ることができた」と話し、久しぶりの再会で刺激を受けた様子でした。
そして、開幕まで1年となる東京オリンピックについて、「新型コロナウイルスの感染が世界で広がっていて、いつ試合が再開するのかも分からない状況だが、オリンピックが開催されたら新型コロナウイルスが終息し、世界が平和になったという象徴でもあると思う。その中で見た人の心に刺さるようなプレーをしたい」と意気込みを話しました。

卓球 水谷隼「前より成長した自分を見せる」

東京オリンピックの代表に内定している卓球の水谷隼選手は、前回のリオデジャネイロオリンピックで男子団体で銀メダル、男子シングルスでは個人種目で日本選手初となる銅メダルと2つのメダルを獲得しました。 水谷選手は新型コロナウイルスの影響で来年の開催も不透明な状況になっている現状について、「自分自身の力ではどうすることもできないことで、心の準備はできている。自分が卓球を始めた時からの目標はオリンピックでのメダル獲得だったが、それをリオデジャネイロ大会で成し遂げることができたことで心に余裕あるのではないかと思う」と冷静に受け止めていました。
そのうえで、4回目のオリンピックとなる地元開催の東京大会について、「今は開催されると信じて、1年延期になろうが、2年延期になろうが、4年延期になろうが、東京でオリンピックがあるかぎりはそこに向けて準備していきたい」と強い意欲を示しました。
そして、卓球も国際大会再開の見通しが立っていない今、アスリートが果たす役割について、「国民の皆さんに普通の生活が戻ってきてから、僕らの存在意義があると思う。僕はその時に少しでも元気や勇気を与えられる存在でいたいと思っているので、今はしっかり準備して、今度、自分のプレーを見てもらう時には前より成長した自分を見せたい」と話していました。

体操 寺本明日香「人生を語るような演技を」

体操女子の寺本明日香選手は、東京オリンピックの延期が決まる前のことし2月に左足のアキレスけんを断裂する大けがを負い、一時はオリンピック出場を諦めました。
4年前、2回目のオリンピック出場となったリオデジャネイロ大会では、女子団体4位と過去最高の成績に貢献し、その後も日本の中心メンバーとして活躍してきました。
去年6月、東京オリンピックの団体の出場権がかかった世界選手権の日本代表が発表される場では、直前の代表選考をけがで棄権したエースの村上茉愛選手が大粒の涙を流しているのを見つけると、寺本選手は、壇上から降りて村上選手を抱き締めました。
そして、「必ず出場権を取ってくるから一緒に東京オリンピックに出よう」と力強いことばをかけ、その4か月後の世界選手権でオリンピックの出場権を獲得しました。
ことしに入って寺本選手がけがをし、東京オリンピックへの出場を諦めかけたとき、気持ちを奮い立たせてくれたのが、村上選手でした。

「けがをした瞬間にオリンピックは無理だと思い、もう終わったと感じた。競技をやめたほうが楽だと思ったが、村上選手から“絶対に乗り越えられる”と書かれた色紙をもらい、心が痛くなった」

寺本選手は、まだ、けがをする前の演技はできず、復帰までの道半ばですが、「やらないで後悔するより、やって後悔したい。結果も重要だと思うが、人生を語るような演技をしたい」と、オリンピックへの意欲を示しています。

ソフトボール 上野由岐子「探究心と追求心を持って進化」

ソフトボールの上野由岐子投手は22日が誕生日で38歳になりました。
120キロを超える速球と多彩な変化球は健在で圧倒的な存在感を見せています。
東京オリンピックの1年延期について、「1年は正直長い。この間に何が起こるかわからない不安は正直あるが、プラスに捉えるしかない。しっかり努力をして満足することなく上へ上へと行けたらいい。探究心と追求心を持って進化したい。この1年をむだにしないようにしたい」と前向きに考えています。
新型コロナウイルスの影響で所属するチームのリーグ戦がなくなった期間に「ヨガ」をトレーニングメニューに加えました。
「ヨガ」を始めたことでその日の体の状態を把握できるようになったと言います。
またブルペンでは投げ込みを精力的に行い、新しい球種の習得を目指しています。
上野投手は「まだまだできないことがある。自分がこういうボールを投げてみたいと思えることがハッピーなこと」と話しています。
39歳で迎える3回目のオリンピックについて意気込みを聞かれると、「その時の自分の心が満たされるピッチングさえできればきっと楽しいと思うし、やりがいを感じて取り組めているはずなので、あんまり年は関係ないかなと思っています。モチベーションは高いので、頑張れる時に頑張りたい」と笑顔で答えていました。

セーリング 吉田愛「ママの力強い姿と金メダルを」

セーリングの女子470級で日本代表に内定している吉田愛選手はロンドン大会の後からペアを組む吉岡美帆選手とともにメダル候補にあがっています。
39歳の吉田選手はリオデジャネイロ大会のあと長男の琉良ちゃんの出産で一時、競技を離れましたが、出産から1年後の世界選手権で日本女子初の金メダルを獲得。4大会連続の出場となる東京大会を競技人生の集大成の場と位置づけています。
吉田選手は大会の延期や簡素化の議論など異例の展開が続くなか、オリンピックという舞台について「3大会を経験して勝つ難しさを肌で感じてきたし、やはりオリンピックが最高峰の大会だと思っている。ウイルスの影響でどうなるかわからないこともあるが、開催されるだけでも本当にうれしいこと」と話しました。
吉田選手は大会の延期自体は前向きに受け止めていて、「琉良が4歳で大会を迎えるので、大きくなっても覚えていてくれるかなという期待が出てきた。印象に残るようなママの力強い姿に加えて、金メダルを見せてあげたいという強い思いがわき上がっている」と話していました。
東京オリンピックまで1年の節目を再び迎えることについては「これからの1年は海外の選手と大会で競う機会が減ることが想定されるなど、去年の1年前とは状況が違う。金メダル獲得のための道のりをしっかり考えて進んでいきたい」と力を込めていました。

空手 西村拳「堂々とやるべきことをやる」

東京オリンピックの新競技、空手の男子組手75キロ級で代表内定を確実にしている西村拳選手は国際大会で優勝経験があるなどメダル獲得が期待されています。
新型コロナウイルスの影響で来年の開催も不透明な状況について、「次のパリ大会では空手は競技として採用されないことが決まっているので、今回が空手界にとっても、僕にとっても一生に1回のチャンスだ。だからこそ開催してほしいというのが本音だが、環境が整わず中止となれば、それは受け入れなければならないと思っている」と冷静に話しました。
国際大会が相次いで中止となる中、感染防止対策のため稽古内容がこれまでより制限されていることについては、「モチベーションが上がらないのは事実だが、今の状況を考えれば無理して上げなくてもいいと思っている。練習が満足にできず、先がどうなるかわからないという意味で不安はあるが、それは全員同じなのでやれることをやるしかない」と話しました。
来年のオリンピックに向けては「状況は変わっていくが、一喜一憂せずに堂々とやるべきことをやる。開催されれば、そこに向かって調整して、最高の状態で戦って金メダルを取るだけなので、1日、1日、頑張っていきたい」と意気込みを話していました。

空手 喜友名諒「さらに進化していきたい」

空手の男子形で代表内定を確実にしていて金メダル獲得が期待される喜友名諒選手は「オリンピックの競技日程が決定したため、当日までの準備プランをイメージしやすくなった。気合いが入り気持ちも高まってきている。あと1年の期間で、基本や身体づくりで土台をしっかり固めてさらに進化していきたい」と意気込みを示しました。

空手 清水希容「今できることに精いっぱい取り組む」

女子形で代表内定を確実にしていて金メダル獲得が期待される清水希容選手は「新型コロナの影響で2回目の1年前を迎えるが、去年よりも落ち着いて稽古に集中できているので、確実に積み上げて成長していきたい。練習自体は少しずつ元の環境状態に戻りつつあるが状況を見ながら臨機応変にうまく取り組んでいきたいと思っている。今できることに精いっぱい取り組み悔いなくすべてを出し切れるように精進したい」と決意を話していました。

体操 内村航平「開催を信じ 自分を信じて頑張る」

オリンピックの体操で3つの金メダルを獲得している内村選手は23日、IOCの日本語の公式インスタグラムに登場しました。

この中で、オリンピックの意義について「世界中の人たちに注目される舞台で、体操をする最高の舞台というだけでなく、世界に自分のメッセージを表現する場所だ」と力強く答えました。

そして、1年後の開幕に向けて新型コロナウイルスの影響で開催できるか不安の声があることについて触れ「すべてのアスリートが開催されることを信じているし、そこに向けて自分を信じて頑張るだけだ。東京オリンピックが行われるために世界の人たちが手を取り合ってやっていかなくてはいけない。皆さんの力がないとオリンピック開催はできないと思うので、大きな声援をお願いしたい」と心境を語るとともに、世界中の人たちにメッセージを送りました。

公式インスタグラムには体操女子のエース、村上茉愛選手も登場し、東京オリンピックについて「最初に延期と聞いた時は悲しく感じたが、より長い時間を準備に費やせるし、悪いことばかりではない。日本でオリンピックができるように私たちも頑張るので、世界中の人たちも安全な状況になれば、日本に足を運んでほしい」と話していました。

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