高橋侑希たかはし　ゆうき

男子フリースタイル57キロ級の高橋侑希選手は、三重県桑名市出身。前に出て圧力をかけて相手を後退させていくパワーや、試合終盤に入っても運動量が落ちないスタミナ、それに相手の攻撃を返してポイントを奪う「カウンター」が最大の持ち味です。軽量級のトップ選手として2016年のリオデジャネイロオリンピックでは代表を有力視されていましたが、直前の国内大会で敗れて出場を逃し、悔しい思いを経験しました。その後、2017年の世界選手権、男子フリースタイルで36年ぶりとなる金メダルを獲得し一躍注目を集めたほか、2018年も銅メダルの成績を残し、着実に実績を積んでいきました。ただ、東京オリンピックの代表争いは決して簡単ではなく、代表選考につながる2019年の全日本選手権ではリオデジャネイロ大会銀メダリスト、樋口黎選手に敗れ代表入りは絶望的と言われました。それでもわずかな可能性にかけて練習を続け、樋口選手が2021年4月の東京オリンピックアジア予選の計量で失格となったため、2021年５月の世界予選の代表に抜てきされて優勝し、この階級の日本の代表枠を獲得しました。そして6月、樋口選手との代表決定戦を制し、巡ってきたチャンスをものにして初のオリンピック代表となりました。「諦めなければ　結果が出るということを後輩たちに見せたい」と厳しい状況からはい上がった精神力で、東京オリンピックでもメダル獲得を目指します。