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News Up まとめサイト 書いているのは誰?

3月13日 19時42分

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大手IT企業のディー・エヌ・エーが運営する「WELQ」などのサイトをめぐる問題で、13日、第三者委員会の調査結果が公表されました。多くのニュースサイトやまとめサイトがあるなかで、中には、別のサイトの記事や画像を転載してつくった記事を載せるサイトも問題になっています。そうした記事は誰が書いているのでしょうか。先月、このニュースアップに掲載した記事が別のサイトに転載されたケースを元に取材しました。

「塩水洗浄ダイエットに注意」という記事が

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先月、ニュースアップに掲載した「塩水飲んでダイエット?あふれる”フェイク”健康情報」という記事では、「大量の塩水を一気に飲んで腸内を洗浄する」というダイエット方法がソーシャルメディアなどで話題になっており、医師は大変危険だと指摘していること、この方法を紹介していたある生活情報サイトは、医師の監修を受けていなかったことなどを伝えました。記事はツイッターで1万回以上リツイートされるなど高い関心を集めましたが、掲載後、翌日までにNHKの記事とほとんど同じ内容の記事が、複数のニュースサイトやまとめサイトなどに載っていることがわかりました。中には検索サイトでNHKの記事より上位に表示されていたものもありました。

※なお「大量の塩水を一気に飲んで腸内を洗浄するダイエット法」については、今も検索サイトで「実際にやってみた」「ダイエットに嬉しい効果がいっぱい」といった記事が表示されますが、医師は「内臓出血などで命に関わる危険もある」と警告しています。

間違った内容の記事も

中には事実関係が一部異なる記事もありました。あるサイトはNHKが記事を公開した翌日昼ごろに「1リットルの塩水を一気飲みする『塩水洗浄』なるものが流行る」という記事を掲載していましたが、そのなかで、「塩水洗浄で検索すると山のように健康サイトが現れ、その元凶が『●●●●』だったようだ」と伝えていました。(●は大手の生活情報サイトの名前です)。
NHKの取材では、その生活情報サイトよりも前に塩水洗浄についての記事を掲載したサイトは多くありました。また、この記事には独自に取材した形跡がなく、引用元についての明確な記載もありませんでした。

事実関係が違う記事を書いた人は

ニュースサイトやまとめサイトの中には、別のサイトの記事や画像を転載して作った記事を掲載するサイトもあり、問題になっていました。
こうした記事はどのような過程で書かれているのか、塩水洗浄の記事を掲載したサイトに取材を申し込みました。
待ち合わせ場所に現れたのは30代後半の男性で、以前つとめていたIT企業でニュースサイトの記事を書いた経験があり、独立後、ニュースサイトを立ち上げたということです。男性は「記事は塩水洗浄の話題について、読者からの情報提供をもとに書いた」と話し、「大手の生活情報サイトが元凶」という表現について指摘したところ、「大手のサイトなのでネットの拡散に影響したのではと思い、そう表現しましたが、ご指摘のとおり、元凶という言葉は正しくないかもしれません」と話しました。(記事のその部分は翌日修正されました)
男性は「うちはコタツ記事(外に出ずに、ネットで得た情報だけで書く記事をさす言葉)とよく言われますが、新製品発表会などちゃんと取材に行って書いているものもありますし、電話で裏を取っていることもあります。ネットの情報だけで書くものもありますけど」と話しました。今回の塩水洗浄の記事については医師や被害者に直接取材はせず、ネットの情報で書いたということです。事実確認の基準について尋ねると、「この場合は、NHKが報じているのだから大丈夫でしょう」とのことでした。

プラットフォームの考え方は

男性が書いた記事は、大手のIT企業が運営する「ニコニコニュース」に配信され、掲載されていました。ニコニコニュースはさまざまなニュースサイトなどの媒体から配信を受ける「プラットフォーム」の立場です。個別の記事の事実関係をどのようにチェックしているかを尋ねたところ、「基本的には配信されたニュースはすべてニコニコニュースに自動的に掲載されます。ただし事実が間違っているなど、非公開とすることがふさわしいことがわかった場合には、別途、個別ニュースの削除対応をすることもあります」とのことでした。配信元の媒体の信用度などはどのように決めているのかについては、「一定の基準はあり、独自の判断ルールにもとづき社内検討をしています。外部には公開しておりません」との回答でした。

大学生が1人で運営するサイトも

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「塩水洗浄ダイエット」についてのNHKの記事を、ほとんど丸ごと転載していた別のサイトに、取材の過程について問い合わせたところ、メールで回答がありました。
サイトは現在大学3年生の男子学生が、「ニュース記事とネットの反応をまとめて紹介するサイトを作ったらおもしろいのではないかと思いつき、夏休みを活用して始めました」とのことで、1人で運営しているとのことです。
回答の中で「引用の範囲を超えて紹介してしまっていたことをお詫び致します」として、記事はすぐに「NHKの記事では・・・」と出典を明記する形に修正されました。
男子学生に、広告収入はどの程度あるのか尋ねたところ、「詳しくは書けませんが、アルバイトよりは稼ぐことができる」とのことでした。実際に取材をせず、ほかのサイトの記事を丸ごと引用していることについては、「いずれサイトが成長して取材費も捻出できるようになったら挑戦したいと考えていました。拡散する側の責任として、もし元記事の内容が間違っていたとしても、誰かが傷ついたり、他者が不利益を被るような事が発生することのないようなライティングや、話題選びを心がける必要があると思います」と述べていました。

「同じテーマの記事」と「コピー記事」の違い

ニュースメディアが、すでに他社が報じたものと同じテーマを扱うことは従来から数多くあります。同じ塩水洗浄ダイエット法の記事でも、独自に取材と事実確認をしているかどうかでニュースサイトの対応は分かれており、例えば「J-CASTニュース」や「弁護士ドットコム」は、それぞれ医師や弁護士に独自に取材し、事実を確かめた記事を掲載していました。いずれも記事が掲載されたのは、NHKの4日から1週間ほど後で、取材と事実確認などには一定の時間が必要なこともうかがえます。

「質の低いメディアはとう汰される」

ネットメディアをめぐる現状について、フリーライターで、かつてみずからの記事を別のメディアに盗用された経緯をつづった記事が話題になった、ヨッピーさんに話を聞きました。

ヨッピーさんは、ここ数年のネットメディアの急増には4つの理由があったと指摘します。1つは「売却益が目的」。DeNAやKDDIなどの大手企業がネットメディアを多額で買収したケースが報じられ、「一獲千金」を目的としたメディアが現れたといいます。
2つ目は、ニュース記事の体裁で実は商品の宣伝目的の、いわゆる「記事広告」の原稿料が大きな収入になったこと。原稿料が1本100万円、200万円といった例も聞いたことがあるということです。
3つ目は、ページの閲覧数に応じた広告収入の増加。そして4つ目は、「異常なほどの低コスト体質」だといいます。十分に取材して記事を書くには、(交通費や人件費などに換算すると)1万円以上かかりますが、ほかの記事を全部コピーすれば、ほとんどお金はかからないため、といいます。
しかし現状では、ネットメディアの売却や記事広告は、WELQの騒動や記事広告へのモラルの指摘などもあって下火になっていることや、グーグルが、質の低いサイトは検索結果の上位に表示されにくくなるよう対策していることなどから、ネットメディアのビジネスは「今が過渡期だ」と指摘します。
「ネットメディアがビジネスとして成立し始めたのはこの2~3年ほどの話で、参入障壁がないため、いろいろなプレイヤーが入ってきました。今は『勝ち負け』がはっきりしてきている時期で、まだ無責任なメディアもたくさんありますが、そういうところはいずれダメになっていくのでは」(ヨッピーさん)
メディア間の競争の先に、質の向上が実現していくのか。みずからの取材も常に検証しながら、今後も取材と発信を続けていきます。

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