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News Up 天文学的確率?「サッカーくじの数字が一致」

2月27日 21時11分

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サッカーくじの「BIG」を今月購入した男性が、「2回に分けて買った複数のくじの数字の並びが全く同じだった」とツイッターに画像つきで投稿し、「ありえない確率だ」などと話題になっています。
運営側が、「システムの不具合や不正はない」と公式に発表する事態になりましたが、システムのミスなどは無かったと言えるのか。「原因」は明らかになるのか。統計学の専門家と検証します。

「あれ?数字の並びが一緒」

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「BIG」は、国内や海外で行われるサッカーの14試合の結果で当せん結果が決まるサッカーくじです。

窓口などで発行されるくじの券には14桁の数字がランダムに並んでおり、この数字が実際の14試合の結果と一致すれば、最高で6億円が支払われます。

この「BIG」を、今月、2回に分けて計15口分購入したという人が、「最初に購入した5口分と、あとで購入した10口分のうちの5口分の数字の並びが全く同じだった」とツイッターに画像つきで投稿しました。

この投稿について、「何らかの不正があったのでは」とか「システムの不具合では」といった投稿が相次いだほか、投稿された画像の信ぴょう性を疑う意見もありました。

「不正や不具合はない」

「BIG」を運営する日本スポーツ振興センターは、男性が画像で投稿したくじの番号は「実際に販売されたものだった」と認めたうえで、「システムの不具合や不正な操作などによるものではないことを確認しました」と発表しました。

取材に対して、振興センターの担当者は「これまでにも同じ開催回で重複した数字の並びが出たことはあり、不具合などは考えにくい」と話しています。

どの程度の確率なのか?

ツイッターなどでは、今回のケースについて、独自に計算して「天文学的な確率だ」と分析した投稿もありました。

「BIG」のくじに記載されている14桁の数字は、「0」か「1」か「2」の組み合わせです。

男性の購入した方法で数字が一致するのはどれくらいの確率なのか、統計学の専門家に聞きました。

東京・立川市にある統計数理研究所の石黒真木夫特命教授によりますと、「0と1と2で作る14桁の組み合わせは、3の14乗=478万2969通りあります。今回のケースのように、最初に買った5口と、次に買った10口のうちの5口が一致する確率を考えます。数学的には順序をひっくり返して、最初に10口買って、そのあと5口買い足したと考えても同じなので、わかりやすくするためにその順にしましょう。10口買ったあと、1口買い足したくじの数字の並びが、すでに買った10口の中の一口のくじの並びと一致する確率は478万分の10です。これが5回続けて起きる確率はその5乗なので、約2.5穰(じょう)分の1となります」(石黒特命教授)

「穰」とは聞き慣れない単位ですが、「京」の3つ上の単位で、1のあとに0が28個も並びます。

「家庭用のかなり大きな風呂の中の水の分子1つくらいのスケール感ですね。2015年度のBIGの販売数の合計が約2億5500万口ということも考えて、単に数字だけを見れば、システムのほうに何らかの問題があったと考えるのが普通ではないでしょうか」と話しています。

「検証は難しい」

「天文学的」に珍しい確率ということで、日本スポーツ振興センターに再度取材しましたが、「すでに公表している見解を変更したり、再検証する予定はありません」とのことでした。

石黒教授は「同じような事態が頻発しているのでなければ、システムの原因を突き止めるのは極めて難しい」とみています。

議論のきっかけになったツイートを投稿した30代の男性会社員は、取材に対し、「自分もBIGのファンの1人ですが、センターのこの回答では何を調査して、どのような根拠で不具合や不正が無いと言い切れるのかわからず、納得できません」と話しています。

「通常ではありえない」ことが起きたとき、ファンや利用者にどのように説明すれば適切な対応といえるのか。今回の「騒ぎ」はその事例とも言えそうです。

BIGをめぐって、同じような(同一開催回に購入した複数のくじの数字の並びが同じだった)体験をしたことがあるという方は、NHKの通報窓口、ニュースポストまでご連絡ください。

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