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News Up 国有地売却問題 どうなる?小学校の開校

2月24日 16時09分

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大阪・豊中市にあった国有地が、鑑定価格より大幅に低い価格で学校法人に売却されていたことが、今月わかりました。国が売却した価格は、当初、非公開とされ、大幅に安くなった経緯も不透明だという指摘が出ています。一方、学校法人は、この土地に小学校を建設中で、4月の開校を目指していますが、運営が成り立つのか疑問視する声も出ています。

そもそも国有地売却とは?

問題となっているのは、大阪空港に近い大阪・豊中市にあるおよそ8800平方メートルの土地です。かつては住宅地でしたが、空港の騒音対策の一環として、昭和49年から平成元年にかけて国が買い取り、国有地にしました。

その後、国はおととし、大阪の学校法人森友学園にこの土地を貸し、小学校の建設が進められました。
国は、去年、森友学園に土地を売却しましたが、当初、売却価格は公開されませんでした。
国は、森友学園が公開を望まなかったと説明していましたが、豊中市の市議会議員が公開を求める裁判を起こしたところ、2日後に一転して売却価格を明らかにしました。

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どれだけ どうして安く?

国が公開した文書などによりますと、この土地の鑑定価格は9億5600万円でしたが、売却価格は1億3400万円で、8億円以上の開きがあったのです。

国は「地下にごみが埋まっていて、森友学園が撤去する費用としておよそ8億2000万円を差し引いた」と説明し、撤去費用は、過去の調査結果などをもとに見積もったとしています。

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一方、森友学園の籠池泰典理事長は、NHKの取材に対し、「売却価格は、国が提示した金額を受け入れただけだ」として、値引きの働きかけなどはしていないと説明しています。

情報公開を求めた市議会議員は「ごみの撤去に8億円もかかるとは思えず、売却価格は安すぎる。一連のいきさつは不可解だ」と指摘しています。

国会でも議論紛糾

民進党の玉木幹事長代理は、ごみがどこにあったかや、実際に処理したかなどを国の担当者は把握しておらず、8億円を超す撤去費用の根拠が不透明だとして、国会で追及する考えを示しました。

また、共産党の穀田国会対策委員長も、「交渉過程の文書が当然あるわけで、政治家の関与がなかったかどうかも含めて、きちんと公開すべきだ」と述べました。

民進党などが追及の構えを見せる背景には、森友学園が建設中の小学校の名誉校長に、安倍総理大臣の妻の昭恵氏が就任していたことがあります。小学校のホームページには、昭恵氏の写真と、昭恵氏が小学校を紹介するあいさつ文が掲載されていましたが、23日までに削除されました。

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安倍総理大臣は、衆議院予算委員会で、「妻としては、名誉校長を引き受けていることで、子どもたちや親にかえって迷惑をかけるので、辞任させて頂くと申し入れた。国有地の売却や小学校の認可の問題に、私と家内、あるいは事務所も一切関わっていない」と述べました。

ごみの撤去費用を見積もった国土交通省や、土地の売却の窓口となった財務省も、経緯に問題はなかったとしていますが、民進党や共産党は、今後も追及する構えです。

小学校建設中 でも…

国会での議論とは別に、地元の大阪では、建設中の小学校について、別の問題も出ています。実は、この小学校、建設は進んでいますが、まだ正式に大阪府の認可を受けていません。
教育の専門家などでつくる府の「私学審議会」では、安定した学校運営ができるのか、疑問視する意見が出ています。

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私立の学校を新たにつくる場合、文部科学省の学校会計基準を満たす「積立金」が必要ですが、森友学園は、おととし12月の審議会で、「積立金はゼロだが、寄付金でまかなえる」と答えたということです。
このため、委員から、積立金が本当にまかなえるのか、児童が集まるのかといった指摘が相次ぎ、審議会は、これらの疑問を解消することを条件に、小学校の開校を認可すべきと答申しました。

それから1年がたちましたが、疑問が解消されたかというと、そうとは言い切れないのが実情です。
22日に開かれた臨時の審議会では、森友学園が「寄付金は計画以上に集まっているが、160人の児童の募集に対し、志願者は45人程度にとどまっている」と報告したということです。
さらに、審議会では、別の問題も指摘されました。
森友学園が運営する幼稚園が保護者に配った文書に、「よこしまな考えを持った在日韓国人や支那人」といった民族差別的な表現とも受け取れる内容が含まれていたのです。保護者の指摘を受けて、大阪府は、行政指導の必要があるか検討しています。

認可はどうなる…?

さまざまな問題が指摘される中、小学校の開校は4月に迫っています。
大阪府は、来月、現地調査をして、児童が集まるのか、学習指導要領にのっとったカリキュラムを実施できるのか、安定した学校運営ができるのかといった点を確認するとしています。

私学審議会の梶田叡一会長は「疑問点が解消されなければ、開校を認めた判断を変えることもありうる」と話していて、今後の動きが注目されます。

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