10日午後6時前、奈良市学園中1丁目にある学校法人帝塚山学園のグラウンドで「複数の生徒が雷に打たれた」という内容の通報が近くにいた人から警察にありました。
警察によりますとグラウンドには部活動中の生徒や顧問の教諭がいて、中学生と高校生の男女あわせて6人が病院に搬送され、このうちサッカー部に所属する14歳の男子中学生が意識不明だということです。
ほかの5人のうち4人はサッカー部に所属する男子中学生で、搬送された時は受け答えがはっきりできなかったり、手足のしびれを訴えたりしていたということです。
もう1人は野球部のマネージャーの女子高校生で、落雷で動揺していたため搬送されましたが、けがなどはなかったということです。
当時、サッカー部は顧問の指導のもとミニゲームをし、野球部はグラウンドを整備していたということです。
サッカー部の顧問は警察の聞き取りに「午後6時前に急に雨が強くなったと思ったら、いきなり雷の音がして生徒たちが倒れた」と話しているということで、警察が当時の状況を詳しく調べています。
グラウンドに落雷 男子中学生が意識不明 中高生6人搬送 奈良
奈良市にある学校のグラウンドに雷が落ちて部活動などをしていた中学生と高校生の男女6人が病院に搬送され、警察によりますとこのうち14歳の男子中学生1人が意識不明だということです。警察は当時の状況などを詳しく調べています。
落雷から身を守るには【専門家に聞く】
局地的に発達した雨雲が通過
気象庁のレーダー画面では奈良市周辺には午後5時半ごろから局地的に発達した雨雲が通過していました。
近鉄奈良線の学園前駅付近では落雷も観測しています。
当時、奈良県では全域に雷注意報が出されていました。
現場近くの大学の学生 “耳元で手を叩かれたような音だった”
現場のグラウンド近くにある帝塚山大学の男子大学生は「午後5時半すぎくらいに豪雨が降り出しました。雷が何回か鳴り、1回だけ光ってすぐに音が鳴って友達と『怖いな』と話していました。耳元で手を叩かれているようなパンっといった乾いた音でした。しばらくしたあとにニュースを見て事故のことを知り驚きました」と話していました。
学校法人のウェブサイトによりますと、帝塚山学園は近鉄奈良線の学園前駅の南側にあるキャンパスに幼稚園から大学まであります。
搬送された子どもたちがいたグラウンドは、校舎のあるエリアから500メートルほど西に離れた場所にあります。
専門家 “春先にも積乱雲の発生はある”
雷のメカニズムに詳しい大阪大学の牛尾知雄教授は今回の落雷事故について「非常に強い積乱雲がかかり、雷放電(らいほうでん)が生じたと考えられる。雷は夏の夕方に発生すると思われているが、春先にもこうした形で積乱雲が発生することは時々ある」と指摘しました。
また「地理的な特性はなく、積乱雲はどこにでも生じるので、気象庁が発表する雷注意報や、気象レーダーに注意してほしい」と述べました。
身を守るために注意することとして「空が黒くなり、空気がひんやりして雷の音が聞こえると、危険な兆候だと捉えるべきだ。できれば建物の中に避難してほしい。雷は高いところに落ちる傾向があるので、とにかく身を伏せることが大切だ」と話していました。
部活動中の落雷事故は去年も 文科省が通知
落雷をめぐっては、去年4月、宮崎市のグラウンドに雷が落ち、遠征中だった熊本県の高校のサッカー部員など18人が病院に搬送され、このうち1人が意識不明の重体となりました。
この事故を受けて文部科学省は、落雷の危険性を認識し、兆候があればためらわずに活動を中止するよう、全国の教育委員会などに通知しました。
この中では、雷は積乱雲の位置しだいで場所を選ばず落ちる特徴があるとした上で、グラウンドなど開けた場所では直接、人体に落雷することがあり、その場合、およそ8割の人が亡くなると言われているとして、落雷の危険性を認識するよう呼びかけています。
また、真っ黒い雲が近づく、雷の音が聞こえる、急に冷たい風が吹く場合は、積乱雲が近づいているサインだとして、屋外活動を中断して速やかに屋内に避難すること、近くに避難場所がない場合はしゃがむなどできるだけ姿勢を低くし、近くの木から2メートル以上離れることを求めています。
その上で、屋外活動を行う際は事前に気象情報を確認し、天候が急変した場合はためらわずに計画を中止するなど、適切な対応を徹底するよう注意を呼びかけています。
春も落雷に注意を 身を守るには
気象庁のまとめでは落雷による被害は8月が最も多くなっていますが季節を問わず報告はあり、4月からしだいに増えていきます。
開けた場所・木の下は危険
雷は周囲より高いところに落ちやすい性質があるため、グラウンドや平地、海岸、山頂など開けた場所では人に直接落ちる「直撃雷(ちょくげきらい)」が起きて大変危険です。
木の下も危険です。木に落ちた雷の電流が人の飛び移る、「側撃雷(そくげきらい)」のリスクがあります。
逃げるサインは
落雷は発達した積乱雲がもたらします。真っ黒な雲など、積乱雲が近づく兆候があったらすぐに避難してください。
▽急に周囲が暗くなる
▽冷たい風が吹く
▽ひょうが降るなどがサインです。
雷の音が聞こえた時は、遠くに感じたとしてもいつ雷が落ちてもおかしくない状況です。ただちに避難してください。
どこに逃げる?
鉄筋コンクリートなどしっかりした建物が比較的安全です。木造の建物も基本的に安全です。
車や電車の中も安全ですが、必ず窓を閉めて車内の金属部品には触れないようにしてください。
外にいて周囲に逃げ込む場所が無い場合は「雷しゃがみ」で身を守ってください。
「雷しゃがみ」は
▽両足をそろえ膝を折って姿勢を低くし
▽つま先立ちをして地面との接地面を少なくします。
▽両手で耳をふさいで鼓膜が破れるのを防ぎます。