減税 現金給付めぐり与野党から発言相次ぐ 物価高や米関税で

物価高や、アメリカの関税措置を受けて、与野党双方からは、国民負担の軽減策として、現金給付や減税を求める声が相次いでいて、夏の参議院選挙もにらみながら、今後、さらに議論が活発になる見通しです。

各党の主張をまとめているほか、過去に実施された政府による給付金の額や予算規模、財源などについても、記事後半で解説しています。

公明 斉藤代表 “減税までつなぎで現金支給を”

公明党の斉藤代表は、10日午前、党の中央幹事会で「物価高に加え、アメリカの関税措置による影響が広がる中、最も効果的な対策は、減税によって家計や企業の負担を直接軽減することだ」と指摘しました。

その上で「減税の実現には法改正など一定のプロセスが必要で時間がかかり、つなぎの措置として現金還付をすることは一定の理解ができる。減税につながらない現金還付だけでは不十分だ」と述べ、減税が実現するまでのつなぎの措置として、現金の支給を検討すべきだという考えを示しました。

そして斉藤氏は、政府に対し減税を柱とした包括的な経済対策を早急にまとめるよう求めていく意向を示しました。

自民からも給付求める声 “1人数万円”主張も

現金給付や減税を求める声は、自民党内からも出ています。減税の実施には法改正が必要となることから、自民党の参議院側や公明党からは、まず現金給付で迅速に対応し、その後、減税を行うべきだという声が出ていて、現金給付にあたっては過去のケースも勘案して国民1人当たり数万円にすべきだと主張する議員もいます。

減税・給付に慎重な意見も

ただ、自民党の小野寺政務調査会長は、今回の関税措置の影響がどこに及ぶのか見極める必要があるとして「冷静に判断すべきだ」と指摘しています。

また、現金給付を行っても、過去には預貯金に回って経済効果は薄かった例もあるという指摘や、数兆円規模の財源が必要となり財政規律の観点から慎重に検討すべきだという意見も根強くあります。

《野党は減税に軸足》

一方、野党側ではこれまでのところ、現金給付よりも減税に軸足を置いた主張が多く見られます。

立民 議員グループ “食料品対象の消費減税を”

立憲民主党では、党内の議員グループが食料品を対象とした消費税率の引き下げなどを求めています。

江田元代表代行らが立ち上げた勉強会は10日、会合を開き、食料品にかかる消費税を当分の間、なくすべきだとする提言の素案を示しました。来週以降、緊急の経済政策として打ち出すよう執行部に求める方針です。

消費税の引き下げについて、立憲民主党の小川幹事長は4月8日の会見で、今後、党の経済対策に盛り込むことも検討する考えを示しています。

維新 前原共同代表 “減税が柱 給付金はばらまき”

日本維新の会の前原共同代表は記者会見で、アメリカの関税措置について「世界第1と第2の経済大国が応酬していて、景気の後退は避けられない。しっかりとした対応策を考えていきたい」と述べました。

その上で「その対応策は決して『ばらまき的』であってはならず、減税が1つの柱になってくる。ガソリン税の暫定税率は廃止を求め、食料品にかかる消費税の一時的な税率引き下げも議論したい。生活者、消費者にどのような有効な手だてを取りうるか考えたい」と述べ、減税を柱とした経済対策を今週中にまとめたいという意向を示しました。

また、与党内で国内需要を高めるため現金の給付を求める声が出ていることについては「ばらまきにくみするつもりは全くない。過去の給付は多くが貯金に回ったことは歴然たる事実だ」と述べ、否定的な考えを示しました。

国民 玉木代表 “つなぎの給付より 今国会で減税を”

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「減税を実現するまでのつなぎで給付が必要だというのなら、もう減税したらいいのではないか。年末に1回しか税制改正ができないというのはこれまでの慣例であって、アメリカの関税措置という天下の一大事に対しては、今の国会で法案を審議して減税したらいい。ガソリン税の暫定税率の廃止も同じで、今すぐやるべきだ」と述べました。

さらに玉木代表は林官房長官と面会し、景気の悪化に備えた機動的な経済対策が必要だとして、今年度の補正予算案の速やかな編成や消費税率の一律5%への引き下げを検討するよう求めました。

共産 田村委員長 “給付金は一時しのぎ 消費減税を”

共産党の田村委員長は記者会見で「給付金は一時しのぎであり、効果が限定的だということも示されてきた。恒久的な措置としての消費税の減税こそ求めていきたい。こういう時に最もやらなければいけないのは内需の拡大であり、物価高騰対策としても消費税の減税が最も有効だ」と述べました。

れいわ “減税・消費税廃止のほうが長期的に効果”

れいわ新選組の高井幹事長は、記者会見で「現金給付は非常に即効性のある支援だが、ワンショットではなく継続して季節ごとにやるべきだ。1回でしかも3万円とか4万円ならば、減税や消費税廃止のほうが長期的に見ても効果がある。財源は国債発行でできると思っており、ここは重要な局面なので思い切った支援をすべきだ」と述べました。

林官房長官 “補正予算案 編成検討の事実ない”

林官房長官は記者会見で、アメリカの関税措置や物価高を踏まえ、給付金の支給を含めた経済対策を検討しているか問われ「自民党にはアメリカの関税措置を受けた対応策として、党の考え方を早急にまとめてほしいと伝えたが、経済対策の検討を要請したものではなく、政府として補正予算案の編成を検討している事実もない」と述べました。

その上で「物価高への対応については、昨年度の補正予算や今年度の予算に盛り込んだあらゆる政策を総動員し、物価上昇が家計や事業活動に与える影響に細心の注意を払いながら取り組んでいく」と述べました。

政府による給付金 これまでも

政府による国民への給付は、経済危機や物価高などへの対策として実施されてきました。

2009年 リーマン・ショック後に定額給付金
リーマン・ショックのあと、当時の麻生政権が総額2兆円規模の定額給付金の支給を行いました。支給額は1人1万2000円で、65歳以上と18歳以下の人は8000円が加算されました。

2020年 新型コロナ感染拡大で1人10万円給付
新型コロナの感染が広がり、当時の安倍政権が1人あたり10万円の一律給付を実施し、給付に伴う予算規模は12兆8803億円にのぼりました。財源は、全額を追加の国債発行でまかないました。

2024年 1人4万円の定額減税
岸田政権で1人あたり4万円の定額減税が行われ、所得税と住民税あわせて3兆2800億円程度の減収が見込まれたほか、あわせて実施した低所得者への給付では2023年度の補正予算で1兆592億円を計上しました。この時の補正予算は、全体で13兆1992億円でこのうち7割近くを占める8兆8000億円あまりを国債の発行でまかなっています。

2024年 住民税非課税世帯に給付金
石破政権では、物価高対策として住民税の非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円の給付金、子育て世帯には子ども1人あたり2万円を加算し、必要な費用として4908億円を計上しました。この時の補正予算では、一般会計の総額およそ13兆9000億円のうち半分近くを占める6兆6900億円を国債の追加発行でまかないました。