“習主席 3期目以降もトップの座に” 示唆か 中国「三中全会」

中国では18日、共産党の重要会議「三中全会」が閉会し、建国80年となる2029年までに改革の任務を完成させるという新たな目標が示されました。習近平国家主席の党のトップとしての今の任期は、2027年までとなっていて、3期目以降もトップの座にとどまることを示唆しているとの見方も出ています。

中国の長期的な経済政策などの方針を決める、共産党の重要会議「三中全会」は18日まで4日間の日程で北京で開かれ、中国の国営メディアは、閉会後、討議の内容を総括したコミュニケを伝えました。

このなかでは、習近平国家主席が掲げる「改革の全面的な深化」と、独自の発展モデルを意味する「中国式現代化」を推進する方針を決定したとしたうえで、党の指導のレベルをさらに引き上げるとしています。

「中国式現代化」は、習主席が党のトップとして異例の3期目に入った2022年の党大会で打ちだされたスローガンで、きのう公表されたコミュニケでは20回以上、言及されています。

そして「2029年の建国80年までに改革の任務を完成させる」として、今後5年で公正な市場競争の確保や不動産や地方政府の債務問題などのリスク防止といった一連の改革を完了させるという新たな目標が示されました。

目標の期限とする2029年について、中国の現代政治が専門の東京女子大学の高原明生 特別客員教授は習主席の党のトップとして3期目の任期が2027年に終わることに着目したうえで「今の第3期で辞めるつもりはないと感じ取ることができる、そういう書きぶりであることは間違いない」と述べ今の任期が終わってもトップの座にとどまることを示唆していると分析しています。

高原特別客員教授は「三中全会」のコミュニケで、国民に身近な不動産の問題などをめぐって「世論の誘導を強化する必要がある」と明記されたことについて「『ゼロコロナ』政策の解除後、経済が強い勢いで回復せず、人々が将来に自信を失っている今の状況や、場合によっては指導部に対して不満をためている状況を問題視しているのだろう」と述べ、習近平指導部の危機感が表れている可能性があると指摘しました。

さらに、党籍をはく奪された李尚福 前国防相が呼び捨てだった一方で中央委員を解任された秦剛氏は「同志」という敬称がつけられていたことについて「秦氏の調査をしたが、汚職や秘密漏えいの問題は見つからなかったということが読み取れる」として、今後、秦氏が党から重い処分を科される可能性は低いという認識を示しました。