日本と台湾の巡視船が初の合同訓練 房総半島の南の海上で

日本と台湾の海上保安当局の巡視船が千葉県の房総半島の南の海上で初めて合同で捜索や救助に関する訓練を実施したことがわかりました。中国が海洋進出を強める中、日本としては周辺国や地域と連携するねらいがあるとみられます。

関係者によりますと、合同訓練は18日午前、千葉県の房総半島の南の海上で行われ、海上保安庁の巡視船「さがみ」と台湾の沿岸警備を担当する海巡署の「巡護9号」が参加したということです。

台湾の巡視船は訓練を前にした今月10日に東京港に寄港し、燃料の補給などをしていました。

日本と台湾は外交関係がないため、交流を目的としたそれぞれの協会を通じて2017年に海難事故の際に捜索や救助で協力する覚書を交わしています。

今回の訓練はこれらの協会どうしの交流の一環で行われていて、関係者によりますと、日本と台湾の巡視船どうしが合同で訓練を行うのはこれが初めてだということです。

中国が海洋進出を強める中、日本としては周辺国や地域と連携するねらいがある一方で、今回の訓練は公表しておらず、中国に対して一定の配慮を示す姿勢もうかがえます。

専門家「共通課題に直面で協力深める必要」

海洋安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授は今回の訓練について、「中国が海上保安機関を使って他国の主権を脅かすという行為を行っていて、日本は尖閣諸島で台湾は金門島などで直面している。共通の課題に直面しているなか、協力関係を深めることでより有効に対処する、そういう意味でも、協力を深める必要がある」と話しました。

そして、「これまでほとんど接点がなかったので、お互いを知るということが一番大きいと思う。どれくらいの技量を持っているのか、事案に接したときにどのように考えるのか、共通認識を持つことも大事で、お互いを知るという意味での訓練だと思う」と述べました。

また、中国と対話を続けることも重要だと指摘したうえで、「協力できるところでは協力する、中国が国際法にもとづかない行動を取る場合は、そこは毅然と抗議をするということが必要だ。日本側は対話のドアはオープンであると言い続ければいいと思う」と話しました。