「太平洋・島サミット」首脳宣言 “力による現状変更に反対”

日本と南太平洋の島しょ国などによる「太平洋・島サミット」は首脳宣言を採択して閉幕しました。気候変動など共通の課題に協力して取り組むことに加え、中国の海洋進出などを念頭に、力による一方的な現状変更の試みに強く反対することが明記されました。

南太平洋の18の国と地域の首脳らを東京に招いて開かれた「太平洋・島サミット」は、最終日の18日に首脳らによる討議が行われ、首脳宣言を採択して閉幕しました。

宣言では、気候変動を最大の脅威と位置づけ、防災能力の強じん化や脱炭素化の推進などを日本が支援することを打ち出しました。

また、海洋進出の動きを強める中国なども念頭に、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の重要性や、力による一方的な現状変更の試みに強く反対することが明記されました。

一方、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐっては、安全基準に合致しているとしたIAEA=国際原子力機関の報告書を踏まえ、科学的根拠に基づいて対応することが重要だという認識で一致しました。

岸田総理大臣は共同記者発表で「日本と島しょ国・地域は、法の支配や民主主義などの価値と原則を共有している。信頼と協力関係をさらなる高みに引き上げ、未来に向け、ともに歩む決意を示すことができた」と強調しました。

中国外務省「平和に資するものであるべき」

「太平洋・島サミット」の首脳宣言で中国を念頭に、力による一方的な現状変更の試みに強く反対することが明記されたことについて、中国外務省の林剣報道官は18日の会見で記者からの質問に対し、「まだ見ていない」と答えたうえで、「原則として、日本と太平洋の島しょ国との協力は島しょ国の経済発展と生活の改善、それに、地域の平和や安定、繁栄に資するものであるべきだ」と述べました。