「色がだめだ」前市長 遊具塗り直しなど むだな工事約1800万円

神奈川県大和市の前の市長が、公園に遊具を設置する際に「色がだめだ」と言って塗り直しを繰り返させるなど、むだな工事をさせ、およそ1800万円が余分にかかっていたことが分かりました。市は今後、前市長に損害賠償を請求するか検討するとしています。

大和市の前の市長の大木哲氏は、任期中に職員に対してパワーハラスメントを繰り返したとされ、中には公共工事のやり直しを命じられたという声もあったことから、市は去年11月に弁護士と建築士に調査を依頼し、18日、結果を発表しました。

それによりますと、大木前市長は平成29年、市内の公園に遊具を設置する際、着工直前の段階になって「色が全然だめだ。車窓から目立つ色に」などと指示して、手すりの色をもともと決まっていたベージュから白に変更させたということです。

さらにその後、黄色に塗り直させて、およそ1500万円の費用がかかったとしています。

このほか別の施設の床に使う資材を変更させたり、外壁を塗り直させたりといった工事も命じたということで、あわせるとおよそ1800万円が余分に使われたとしています。

大木前市長は聞き取りに対して、「記憶にない」とか「指示ではなく、検討の提案だった」などと話したということです。

調査を行った木村保夫弁護士は「前市長が職員たちに対して強圧的な態度で接していて、現場を混乱させていたことが十分にうかがえる調査だった。市は健全な組織になってもらいたい」と話していました。

古谷田市長は「重く受け止めている。組織をあげて再発防止を図る」としていて、市は今後、大木前市長に対して損害賠償を請求するか検討することにしています。

調査結果 塗り直しを繰り返させたいきさつは

調査結果では、前市長が公園の遊具や施設の外壁の塗り直しを繰り返させたいきさつが明らかにされています。

このうち市内の公園「星の子ひろば」に平成29年に作られた遊具の手すりについては、もともとカラーのイメージ図などを前市長に見せたうえでベージュに塗ることが決まっていたのに、現場に材料が届いたあとで「色が全然だめ。老人ホームじゃないんだから。車窓から目立つ色に」とか、「ベージュ色はすべて白に変更を」と指示したということです。

しかし3日後には「黄色、ピンク、白の3色から選ぶ」と発言。

その後、黄色に決まりましたが、すでに白に塗ってあったため、あわせて2度の塗り直しが必要になり、1500万円余りの費用がかかりました。

このほか別の施設での資材の変更や外壁の塗り直しもあり、あわせておよそ1800万円の費用が余分にかかったということで、調査結果ではいずれも合理性のない変更で、むだだったと結論づけています。

市民「税金は別のことに使って」

遊具が設置されている公園では、市民から疑問の声が聞かれました。

子どもを連れて遊びにきていた市内の40代の男性は、「そこまでお金をかける必要はないと思う。色の違いには気付かないと思うし、税金は別のことに使ってほしい」と話していました。

30代の女性は、「保育施設の充実とかにお金を使ってもらいたいと思う。子どもたちのためには色は何でもいいから、遊べる場所が増えるほうがうれしい」と話していました。